5月24日、上関原発用地埋立禁止住民訴訟の会(以下、住民訴訟の会)は、村岡山口県知事に対し、上関原発に係る公有水面埋立免許についてと一般海域占用許可についての要望と質問書(以下、質問書)を提出し、6月9日、県土木建築部港湾課長と同河川課長名での文書回答と懇談が行われました。
上関原発用地埋立禁止住民の会からの回答書を手渡す坂本県河川課長(左)、受け取る小畑事務局長(右)
まず、公有水面埋立免許に関する点です。
住民訴訟の公文書開示請求によって、中国電力による上関原発建設のための「埋立に関する工事の進ちょく状況報告書」(2021年4月21日付。以下、進捗報告書)が明らかになりました。中国電力は「進捗報告書」で、2021年3月末現在「令和2年度の工事の進ちょくはなく」としています。
1974年の国の「公有水面埋立法の一部改正について」とする都道府県知事あての通達に「埋め立て免許基準の性格」があり、「第4条第1項各号の基準は、これらの基準に適合しないと免許することができない最小限度のものであり、これらの基準のすべてに適合している場合であっても免許の拒否はありうるので、埋立ての必要性等他の要素も総合的に勘案して慎重に審査を行うこと。」としています。
埋立の竣功期限は、2023年1月6日です。中国電力が残り1年半で埋立て工事を竣功できる見通しは立ちません。
質問書は上関原発建設に「普遍的必要性」はなく、知事は「免許を失効とすべき」としています。
県港湾課長は「お示しの国の通知は、延長許可には適用されない」として「延長を取り消す考えはない」と答えました。
1974年の国の通知は、延長許可に適用されないとの県の見解は今後検証しなければなりません。
次は、一般海域占用許可についてです。中国電力は5月20日、上関原発建設のため、海上ボーリング調査を行う必要があるとして一般海域占用申請書を提出しました。中国電力は、過去2回、廃止届を提出し、今回が三度目の申請です。
県が定めた「一般海域占用許可基準」にある「占用許可の基本方針」に「原則としてその占用は認めるべきではないが、社会経済上必要やむを得ない場合にはこの基準に従って許可する」とあります。
質問書は、知事は、上関原発を「社会経済上必要やむを得ない」ものと認めているのか質しました。
県河川課長は「海上ボーリング調査については、原発の安全審査に万全を期すために実施するとの事業者の説明に合理性があることが認められ」許可したと答えました。
懇談の中で、共産党の藤本県議は「申請事由とされた海上ボーリング調査は『占用許可の基本方針』に基づき『社会経済上必要やむをない』と判断したのか。」と質しました。
県河川課は「一般海域の占用に関し、海上ボーリング調査の必要性は審査しているが、原発の必要性などについて『社会経済上必要やむをえないかどうか』の審査は行っていない」と答えました。
県が自ら定めた「基本方針」について審査しなかったという発言は重大なものです。
昨日の懇談の中で明らかになった問題点は、来たる6月県議会を通じて明らかにしていきたいと思います。
上関原発に関し、皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
6月8日、原発に反対する上関町民の会など5団体は、村岡知事に、「上関原発予定地の海上ボーリング調査申請の不許可を求める申し入れ」を行いました。
申し入れ書を三浦商工労働部理事に手渡す小中「原発いらん!山口ネットワーク」代表
中国電力は、5月20日、上関原発予定地海域において海上ボーリング調査をするため、一般海域占用許可の申請書を山口県に提出しました。2019年、2020年に続いて、3度目の提出となります。
申し入れ項目の第一は、上関原発予定地の海上ボーリング調査に係る一般海域占用申請を不許可にすることです。
三浦理事は「中国電力から提出された申請書について条例に基づき審査している。」と答えました。
第二は、昨年のボーリング調査の際に出された一般海域占用許可に関して「中国電力が廃止届を出すに至った要因は何か。また、その要因は、現在、解消されたのか」です。
三浦理事は「廃止届が出された理由は、作業スケジュールが大幅に遅れたことが原因と聞いている。その要因が解消されたかどうか確認する必要はないと考える。」と答えました。
申し入れ書提出に参加した共産党の藤本県議は、「過去の申請において、中国電力は、占用期間内に二度とも調査を完了させることができなかった。今回の申請書に対し、占用期間の妥当性を審査すべきだ。」と質しました。
土木建築部河川課の深地水政班班長は「占用期間の妥当性について審査している。」と答えました。
標準処理期間は33日です。6月23日前後に、県の判断が下される模様です。
先日の読売新聞は政府の男女共同参画会議がまとめた「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」の原案に「生理の貧困」への対策が明記されたと次のように報じました。
「政府の男女共同参画会議は、『女性活躍・男女共同参画の重点方針2021』の原案をまとめた。経済的な困窮で生理用品を入手できない『生理の貧困』への対策を初めて明記した。近く正式決定し、『経済財政運営の改革の基本方針(骨太の方針)』に反映させる。」
「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021」(原案)を見ると「Ⅰコロナ対策の中心に女性・女児を」の「(3)『生理の貧困』への支援」があります。ここでは次のように述べています。
「経済的な理由で生理用品を購入できない女性や女児がいるという『生理の貧困』問題が顕在化しており、女性や女児の健康や尊厳にかかわる重要な課題となっている。このため、地方公共団体が女性や女児たちへの寄り添った相談支援の一環として行う生理用品の提供を、地域女性活躍推進交付金により支援する。その際、地方公共団体に対し、生理用品の提供だけではなく、それを一つのきっかけとして、『生理の貧困』にある女性や女児たちの背景や事情に丁寧に向き合い、きめ細かい寄り添った相談支援を拡充するよう促す。」
山口県は、(原案)にあるように、県内の女性や女児たちへの寄り添った相談支援の一環として生理用品の提供を、地域女性活躍推進交付金を活用して行うべきです。そのための予算を6月県議会の補正予算に計上すべきです。
国の男女共同参画会議の「女性活躍・男女共同参画の重点方針2021(原案)に「生理の貧困」への支援が初めて盛り込まれました。
この問題に関する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
5月31日、山口新聞は、高齢者が入所する介護施設で、新型コロナウイルスに感染した入所者の状況について次のように報じました。
「高齢者が入所する介護施設で、新型コロナウイルスに感染した入所者が全国で少なくとも累計9490人おり、このうち486人が亡くなっていたことが30日、共同通信の調査で分かった。46自治体が、入院が必要にもかかわらず施設にとどまった高齢者がいたと回答した。昨年5月に共同通信が実施した同様の調査では、感染した入所者は474人、死者79人。感染者は1年で約20倍となった。非公開とする自治体もあり、実際の数はさらに多いとみられる。介護現場では本来の業務に加え、感染防止策、コロナ療養も担うなど負担が激増。感染弱者の高齢者に病床逼迫のしわ寄せが及んでいる恐れもある。厚生労働省は介護施設での感染者数を集計していない。実態把握を踏まえた手厚い対策が必要だ。都道府県、政令市、中核市、東京23区の計152自治体に昨年1月から今月10日までの累計を尋ね、149自治体から回答を得た。質問によってクラスター分のみ回答や、非公表、未集計とする自治体もあった。感染が確認された施設は特別養護老人ホームや介護老人保健施設など少なくとも1285施設。死者数が最も多かったのは都道府県では埼玉県の87人で、山口県は3人。政令市では横浜市67人(クラスター分のみ)、中核市では大阪市枚方市の25人で、下関市は0人。陽性となり入院が必要にもかかわらず、施設にとどまった例を把握しているのは北海道、栃木県、熊本県など46自治体。自治体によっては、施設療養が最善と判断した事例もあった。山口県、下関市は施設待機はなかった。国への要望として『十分な入院病床の確保』(大阪府吹田市)『施設職員への誹謗中傷の強力な抑制策』(静岡県)などが挙がった。介護施設の入所者のワクチン接種が進む中『職員のワクチン接種も加速してほしい』(東京都中央区)との指摘も複数あった。クラスター発生時の人手不足状態も続いており、大阪府八尾市は『都道府県を超えた職員の派遣調整』を求めた。東京都は『施設の感染者の全数を把握しておらず、追跡調査をしていない』、大阪府は『集計に時間がかかり回答困難』として、いずれも回答していない。」
県担当者に、県が共同通信のアンケートにどう回答したか尋ねた結果、感染者数は20人、死亡者数は3人でした。(下関市を除いた数、入所型介護施設を集計した数、昨年1月から5月10日までの数)
山口県で5月26日までに37件のクラスターが発生しています。その中で一番多いのは、医療機関・高齢者施設等の11件です。その内高齢者施設は、5月23日までに8件で、陽性者数は、507名となっています。
県はこの程、「新型コロナウイルス感染症に係る特別要望」を国に行いました。
この中で、「今後の感染拡大に備え確保した病床を最大限活用するため、受入協力医療機関に対し、平時より十分な財政支援を行うとともに、緊急時に一般医療を制限した際の経営上の損失補償についても十分な財政措置を講じること。」など医療供給体制の充実・強化を求めています。
また、「接種を担う医療従事者の一層の確保に向けて、早急に接種を行う者の範囲の拡大等を進めるとともに、接種に従事する医療従事者が十分な報酬を受け取れるよう、必要な財政措置を行うこと。」などワクチン接種の円滑な実施を求めています。
また、「社会福祉施設等で感染が生じた場合、重症化やクラスター化のおそれが高く、徹底した感染防止対策が必要になることから、引き続き、国の責任において、こうした施設等への衛生・防護用品の安定的な供給に努めるとともに、感染防止対策に取り組む社会福祉施設等への財政支援の充実を図ること。」と、社会福祉施設等における感染防止対策への支援を求めています。
県が国に求めたこれらの要望にあるように、まず、コロナ感染症患者に対応する病床をしっかり確保し、介護施設の負担を軽減することが必要です。また、介護施設の入所者と職員へのワクチン接種を急ぐことも重要です。そして、新型コロナ感染症予防に取り組む介護施設への財政支援を強めることが重要です。
県の集計で、高齢者施設等でこれまでにクラスターが8件発生し、陽性者が507人生まれています。その内、入所施設で少なくとも3名の方がお亡くなりになっておられます。
県内で、高齢者施設での感染拡大を防止するために、今後とも必要な発言を続けていきたいと思います。この問題に関する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
6月5日、長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会は、宇部市内でオンライン公演会を開きました。会場とオンライン合わせて約70名が参加しました。講師は、歴史研究家の竹内康人さん。演題は「山口県での朝鮮人強制労働―長生炭鉱を中心に―」でした。
直接視聴の会場である日本基督教団・宇部緑橋教会でオンライン公演会を視聴する参加者
竹内さんは「強制動員された朝鮮人は特高警察によって監視され、警察署に協和会がおかれた。協和会の会員数から、山口県の朝鮮人は約12万人、宇部・小野田・船木・伊佐の朝鮮人数は5万人を超えた。」と話します。当時の小野田市の人口の32%、宇部市の21%が朝鮮人でした。
竹内さんは、「宇部の炭田では常時、1万1000人ほどの朝鮮人労働者が動員されていた。炭田だけでなく、軍事工場・輸送・土木にも動員された。厚東川ダム工事の現場に330人の朝鮮人が動員されたという記録がある。」と語ります。
竹内さんは、長生炭鉱には、「戦時下、朝鮮人強制動員で1258人の動員が確認されている。1942年2月3日の水没事故で、約180人が事故死し、その内160人余が朝鮮人だった。」と話します。
竹内さんは、長生炭鉱に動員された朝鮮人名簿1100人分をデータ化し、うち約800人が強制動員者であることが判明、水没事故の死者の内、約60人を特定したことを報告しました。竹内さんは「戦時下、宇部市で2割を占めた朝鮮人の歴史は重要。その象徴として長生炭鉱の水没事故を歴史に刻む活動は益々重要だ。」と語りました。
日本共産党中央委員会理論政治誌「前衛」5月号の巻頭は、日本共産党政策委員会の山根隆志さんの「増大する日米軍事同盟の危険性ー安保法制施行5年」という論文です。
山根さんは、この論文で、安保法制のもとで日米軍事一体化と「戦争する国」づくりが加速した問題を指摘しています。
今日は、山口県と関係のある「米宇宙戦略に協力・補完する自衛隊の宇宙軍拡」について山根さんの指摘した内容を紹介します。
18年の「防衛大綱」は、「領域横断作戦に必要な能力強化」として、「宇宙・サイバー・電磁波の領域における能力の獲得・強化」を強調しています。従来の「宇宙領域を活用した情報収集、通信」などの能力をいっそう向上させるだけでなく①宇宙空間の状況を地上及び宇宙空間から常時継続的に監視する体制の構築、②機能保証能力や相手の指揮統制・情報通信を妨害する能力を含め、平時から有事までのあらゆる段階で、宇宙利用の優位確保能力の強化をうたっています。
20年度予算で「宇宙作戦隊」(定員20名)が新編され、宇宙領域における統合運用をはかるために「宇宙領域企画班(仮称)」などを新設するための費用が計上されました。
21年度予算案では、宇宙領域における指揮統制を担う部隊を新編し、当該部隊及び宇宙作戦部隊を隷下部隊に持つ「宇宙作戦群(仮称)」を新編するなどの組織体制の強化をしました。
「宇宙作戦隊」は20年5月、防衛相直轄部隊として空自府中基地に発足しました。
山根さんは、宇宙状況監視(SSM)システムを整備する中での山陽小野田市の基地について次のように指摘しています。
「自衛隊は高度約3万6千キロメートルの静止軌道を地上から監視するSSAシステムを整備中で、18年度から米軍のFMSによる技術援助を受け、21年度の完成を目指している。すでに、軌道監視用レーダー基地の建設が山口県山陽小野田市で始まっている。」
私は、昨年9月県議会で「防衛省は、山陽小野田市の照会に対して、レーダーの設計が完了し、シミュレーションを行って、運用開始前に安全確認をした後に、改めて説明会を開催したいと説明しています。レーダーの任務の重大な変更が明らかになった今、県は、防衛省に住民説明会の早期開催を求めるべきですが、お尋ねをしたいと思います。」と質問しました。
これに内海総務部長は「地元への説明については、国から、現在のレーダーの設計が終了しなければ、運用や影響などについて、具体的な説明ができないことから、レーダーの設計を終えた後に地元に対し、説明を行う旨聞いているところです。県としては、国の責任において、地元に対し丁寧に説明していただきたいと考えており、今後、山陽小野田市から要請があれば、連携して対応していくこととしております。」と答えました。
私が、先日、中国四国防衛局に電話で問い合わせたところ担当者は、「レーダーの詳細設計は3月末までに終了した。現在、本省で、電波の影響に関する検証作業が行わている。今後、山口県や山陽小野田市と調整し、地元説明会を開催したいと考えている。」と答えました。
レーダーの詳細設計が終わった今、早急に、地元説明会が開催されるよう、県は、山陽小野田市とともに、防衛省に要請すべきだと思います。
「前衛」で山根さんは、1969年に衆院本会議で採択された「我が国における宇宙の開発及び利用の基本に関する決議」に「宇宙に打ち上げられる物体及び利用は、平和の目的に限り(中略)行うものとする」という文章があることを指摘しています。
山根さんは、この文章を「憲法9条にもとづく『宇宙の平和利用』である。」と述べています。
その上で、山根さんは、今日の状況について「憲法9条を踏みにじる宇宙の軍事利用と日米協力」を加速するものだと指摘しています。
私は、引き続き、どのようなレーダーを設置しようとしているのか、防衛省主催の地元説明会の早期開催を求めていきたいと思います。
山陽小野田市に、日米の宇宙領域の軍事力強化の拠点であるレーダー基地の建設が進められています。引き続き、この問題に関する皆さんのご意見をお聞かせください。