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内田雅敏弁護士から「靖国神社と聖戦史観」を学ぶ

 昨日、「合祀いやです」少数者の人権を求める会・日本基督教団西中国教区靖国天皇制問題特別委員会主催の第32回自衛官合祀拒否訴訟最高裁不当判決抗議集会が宇部市内で開かれました。
 講師は、靖国問題など多くの著作のある日弁連憲法委員会委員の弁護士である内田雅敏さんが務めました。
 演題は「死者の追悼と歴史の往路ー死者に対する想いが歴史に向き合う目を曇らせてはならないー」でした。
 内田さんは、「靖国問題を巡る二つの誤解を解く」について話ました。
 第一の誤解は、「戦没者の追悼が批判されているのではない」という点であり、第二の誤解は、「A級戦犯分祀では靖国問題は解決しない」という点だと内田さんは話します。
 その上で、内田さんは、靖国問題の核心は、「聖戦史観」に拠って立つ神社である点だと話します。
 この点について内田さんは、自著「靖国神社と聖戦史観」の中でこう書いています。
 「天皇の兵士の戦死者を『護国の英霊』として顕彰するためには、戦死した戦争が不義のものであってはなりません。間違った戦争での死者を『護国の英霊』として顕彰することはできないのです。したがって、南京大虐殺もなかったし、軍の強制による『従軍慰安婦』も存在していなかったということにされます。ですから靖国神社は、『聖戦史観』を絶対に放棄できません。靖国神社が『聖戦』史観を放棄したら、『英霊』たちが、『(聖戦)だと俺たちを騙していたのか』と怒り出し、靖国神社ではなくなってしまいます。」
 次に内田さんは、別格官幣としての靖国神社型の神社仏閣を凌駕した理由について、自著でこう書いています。
 「戦前、歴史も浅く、社格も官幣大社、中社、小社の下位にあり、楠正成を祭神とする湊川神社と同格の別格官幣社としての靖国神社が、他の神社を凌駕する特別な地位を獲得したのは、陸・海軍省が所管し、天皇の軍隊の戦死者の魂全てを祀るという、戦死者(戦病死者を含む)の魂の独占と、そこに臣下に頭を下げることのない天皇が参拝してくれるとされたからです。靖国神社は、天皇の参拝によって戦死という悲しみを、誇らしげなものへ変え、後に続け!と戦死者の予備軍を作り出すための宗教的軍事施設、すなわち戦争神社でした。」
 内田さんは、「すべての戦没者の為の無宗教の国立追悼施設」をと最後に語りました。この点について内田さんは自著でこう書いています。
 「今からでも遅くありません。軍人、軍属であった人たちだけでなく、すべての戦没者を追悼する無宗教の国立追悼施設を設けるべきです。但し、そこでは戦没者に感謝したり、戦没者を称えたりしてはなりません。称えた瞬間に戦没者の政治利用が始まり、戦没者を生み出した者の責任が曖昧にされます。戦没者に対してはひたすら追悼し、再び戦没者を生み出すことしないと言う誓いがなされなければなりません。」
 靖国問題の核心に触れた講演に胸を打たれました。
 内田さんは講演の最後に三つの共闘について語られました。
 第一は、過去との共闘。戦争で亡くなった多くの死者の想いと共闘するということです。
 第二は、未来との共闘。子どもたちの未来のために、非戦の国を作る決意と共闘するということです。
 第三は、アジアとの共闘。近隣の国々と友好関係を築いていくことの重要性です。
 総選挙が終わって数日後に、内田先生のこの話は心に届きました。
 選挙が終わった途端に、日本維新の会が、「改憲」についての言及を始めました。日本国憲法の前文は、戦争で亡くなった多くの国民の決意が語られたものと思います。
 内田先生のお話を聞き、現代を戦前にしないとの決意を新たにすることができました。
 会場で購入した内田雅敏著「靖国神社と聖戦史観」を興味深く読んでいる最中です。
 内田先生の著作からしっかり学んでいこうと思います。

 靖国問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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