藤本かずのりサポーターズ はじめました

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危険ため池の農家負担ゼロは各市町で判断をと農林部長答える

 私は、12月2日に一般質問を行い、災害に強い県づくりについて、急傾斜地対策について質しました。
 私は、「周防大島町で急傾斜地崩壊対策事業の実施を求める交渉において、当該急傾斜は、土砂災害特別警戒区域内にあったが、事業実施対象は保全人家戸数が5戸以上という理由のため、該当しないとの回答であった。鳥取県は、保全人家戸数1戸以上の単県斜面崩壊復旧事業、単県小規模急傾斜地崩壊対策事業を創設している。山口県も鳥取県同様の保全人家戸数1戸以上の制度を創設すべきだが、尋ねる。」と質しました。
 これに、阿部土木建築部長は「急傾斜地のがけ崩れ対策については、土地所有者もしくは被害を受けるおそれがある方による実施が原則ですが、多額の費用負担や技術的な困難性などの理由により、土地所有者等が対策を行うことが困難な場合には、保全人家戸数5戸以上などの国の基準に基づき、急傾斜地の崩壊対策事業を行っている。また、国の基準に満たない場合でも、がけ崩れが発生し、人家戸数2戸以上に被害が及ぶと認められて、早急な対策が必要なものについては、事業を行う市町に対し、県費補助などの支援を行っているところであり、更なる支援の拡大は考えていない。」と答えました。
 次に私は、危険ため池改修問題を取り上げました。
 私は、「山口県は1998年度から危険ため池整備促進対策として補助率を上げた。県内では、下関市・山口市・長門市・防府市・下松市が市町の補助率を上げ、農家負担をゼロにしている。高知県では、事業主体が県のため池改修事業で地元負担を0%で実施している。農水省は、来年度、危険なため池の補助率を上げる概算要求を示した。危険なため池の国の補助率引上げの動きを受け、来年度、県は補助率を挙げ、農家負担ゼロの制度を創設すべきだ。」と質しました。
 これに農林水産部長は「県ではこれまでに、国が示す水準を上回る補助率の嵩上げを行い、危険ため池の整備促進を図ってきたところだ。現在、国において、危険なため池の整備促進に向けた、補助率の引上げ等を検討されているが、農家の費用負担をゼロとすることについては、各市町において判断されるものと考えている。」と答えました。
 私は、更に「県全体で地元負担ゼロに来年度からなるように県が市町と協議すべきだ。」と質しました。
 これに、松岡農林水産部長は「農家負担をゼロとすることについては、各市町において判断されるものと考えている。」と答えました。
 今回で、私の11月県議会の報告は終了いたします。
 来る2月県議会でも皆さんのお声をしっかり県議会に届けたいと思います。
 引き続き、皆さんのお声を藤本にお届け下さい。

ナオミ・クライン著「地球が燃えている」読書ノート①

  年末年始に読んでいる本は、ナオミ・クライン著「地球が燃えている」です。

 数年前に、知人からナオミ・クラインさんの本をプレゼントされて読んだのがきっかけで、ナオミ・クラインさんは、私が敬愛するジャーナリストの一人となりました。

 この本の帯に、この本の推薦者の名前が二人登場しています。

 一人は、気象活動家のグレタ・トゥーンベリさん。二人目は、経済思想家の斎藤幸平さんです。

 私が注目している二人が推薦する本ですから、読まない訳にはいきません。

 特に、斎藤幸平さんは、この本について次のように評しています。

 「気候崩壊は新たなショック・ドクトリンとエコファシズムを生み、さらには文明を崩壊させる。だからこそ、資本主義に終止符を打ち、脱成長型経済をめざすグリーン・ニューディールが必要だ。『社会主義か、絶滅か』。これは、かつてないほどラディカル化したナオミ・クラインによる革命の書だ!」

 斎藤さんにこう書かせた部分を紹介します。

 ナオミ・クラインさんは、本書でこのように書いています。

 「変革につなががるプラットホォームを擁護する私のような者は、気候危機に乗じて、この危機に着目する前から抱いていた社会主義的、または反資本主義的なアジェンダを推進しようとしていると非難されることもある。これに対する私の答えは簡単だ。私は成人してからの人生全体を通してさまざまな運動にかかわり、現在の経済システムが、非情な利潤追求によって人々の生活と自然の景観を粉々に潰す無数の方法に立ち向かってきた。(中略)このような経済活動が悲惨で、時には生命を奪うような影響を引き起こすことは否定しようがない。そこで、あっさりこう論じられた-こうしたものは、膨大な富を生み出すシステムの必要コストであり、恩恵が徐々に下々に滴り落ち(トリクルダウン)、やがて地球上のほぼすべての人の生活を改善することになるであろう、と。しかし実際に起きたことは逆だった。(中略)率直に認めるが、私はこの気候変動危機を、自分なりに長年記録してきた、市場経済の生み出す局所的な危機と切り離せるものだと思っていない。両者の違いは悲劇の規模と範囲だ。いまや人類のたったひとつの家が存亡の危機に瀕しているのだ。私は常にすさまじい焦燥感をもって、もっと劇的に人道的な経済モデルへと転換する必要性を感じてきた、しかしいまでは、その緊急性の質が変わってきている。なぜなら、期せずしていま私たち全員が、進路を変更することによって想像を絶する規模の生命を救う可能性のある最後の瞬間を生きているからだ。」

 その上で、ナオミ・クラインさんはこう結論づけています。

 「以上のことはいずれも、すべての気候政策は資本主義を解体するものでなければならない、さもなけれれば却下されるべきだという、一部の批評家の愚劣な主張にはつながらない。排出量削減のためには可能な限りのすべての対象が必要であり、それもいますぐ必要だからだ。むしろ、IPCCがきわめて強い調子で確認したように、体系的な経済と社会の変化を進んで受け入れようとしない限り、決してこの使命を達成することはできないことを意味しているのだ。」

 今朝のしんぶん赤旗日刊紙で音楽家の坂本龍一さんがこのように述べています。

 「コロナ感染拡大で、貧困と格差、地球温暖化、差別などさまざまな問題が明るみに出ました。資本主義が行き着いた『ニューリベラリズム(新自由主義)』の政策は、効率を何よりも優先して福祉や教育を切り縮め、医療体制を脆弱なものにしてきました。」

 「これまではニューヨークの自宅の庭から街の喧騒が聞こえていましたが、ロックダウン(都市封鎖)で人間の活動が制限されたことで、街が静かになり、鳥の鳴き声がよく聞こえてきました。アメリカの温暖化ガスの排出量もこの30年間で最も少なくなりました。コロナ禍により、経済活動が制限され、困窮された方も多いと思いますが、一人ひとりに余裕のある生き方は、自分の体にも自然環境にも優しくなります。何十年も突っ走って

きた暮らし方、社会のあり方を変えても、暮らせると分かった人は多いはずです。どんな暮らしをしたいかをこの機に考え、声をあげていくべきだと思います。」

 日本共産党の志位和夫委員長は、第二回中央委員会総会で、「日本でも、労働苦、格差拡大、高学費、環境問題など、息苦しく希望が見えない社会の根源には、人間が人間を搾取するシステム、『利潤第一主義』を本性とする資本主義の矛盾があります。」と述べました。

 地球温暖化問題を改善するために運動に参加し発言を続けてきたナオミ・クラインさんは、「すべての気候政策は資本主義を解体するものでなければならない」と述べました。

 音楽家の坂本龍一さんは「資本主義が行き着いた『ニューリベラリズム(新自由主義)』の政策は、効率を何よりも優先して福祉や教育を切り縮め、医療体制を脆弱なものにしてき」たと述べました。

 二人の問題意識に共通する問題把握と解決の方向があると感じました。

 志位委員長は先述した総会で「パンデミックは、資本主義というシステムをこのまま続けていいのかという重大な問いを人類に突きつけるものとなっている」と述べました。

 私は、更に、ナオミ・クラインさの本から地球温暖化問題を解決するために、どのような変革をすべきかを学んでいきたいと思いました。

 今年も少しづつ学び続け、その想いを本ブログに書き留めたいと思います。

 ナオミ・クラインファンの皆さん、彼女の著作の感想をお聞かせ下さい。

 

上関大橋を含む県内11の長大橋で補修計画つくりたいと土木建築部長が答弁する

 今日も11月県議会・一般質問の報告を続けていきたいと思います。
 11月14日午後8時ごろ上関大橋で橋面に段差が生じる災害が発生しました。私は、この問題を一般質問で取り上げました。回答は、阿部土木建築部長です。Q&Aで報告していきます。
 Q 11月24日に「上関大橋復旧検討会議」が行われたが、会議で、段差の原因はどう話し合われ、今後の対応についてどのような協議が行われたのか。
 A 先月24日に開催した第1回検討会議では、原因究明に向けた調査方法、橋全体の構造解析の方法、今後の検討会議の進め方等を議論いただいた。
 Q 道路橋の点検について、山口県橋梁長寿命化計画に基づき、上関大橋は、いつ調査して、健全度評価はどのような区分だったのか。
 A 点検の時期については、直近では平成29年度に実施しており、その評価は4段階のうち、健全度の評価が2番目に高い「予防保全段階」となっている。

 Q 長寿命化計画に基づいて、どのような点検を行い、どのような補修工事を行ったのか。

 A 点検については、庁寿命化計画に基づき、橋の主桁、橋台、橋脚などの橋梁全体について近接目視等により点検を実施した。補修工事については、点検の結果、補修が必要な個所について、適切なコンクリートをもう1回貼り付ける、炭素繊維をつけるなどの補修を行った。また、耐震工事が必要なものは耐震補強工事を行った。

 Q 山口県長寿命化計画に関し、離島架橋及び500㍍以上の橋梁16橋については、個別に補修計画を作成することになっているが、補修計画を立てた橋はいくつあるのか。

 A 16橋の内、補修計画を立てたのは5橋である。上関大橋は補修計画を策定していない。

 Q 長寿命化計画に基づき、離島架橋及び500㍍以上の橋梁16橋の内、上関大橋を含む11橋に補修計画が策定されていないのは大変残念だ。上関大橋を含む11橋の補修計画を策定すべきだ。

 A 11橋については、この計画について策定することを今後検討したいと思う。今回の検討会議の議論の結果も踏まえて、促進していきたい。
 Q 上関大橋の災害を受け、橋梁長寿命化計画の見直しが必要だと思うが。
 A 現在、損傷原因の究明を行っているところであり、直ちに、橋梁長寿命化計画を見直す考えはない。また、同種の橋梁の再点検については、検討会議の助言を踏まえ、適切に対応する考えだ。

 上関大橋を含む補修計画のなかった11橋において計画策定を検討するとの阿部土木建築部長の答弁を評価したいと思います。

 上関大橋での事故を受けて、上関大橋の早期補強工事の完了と同時に、県内での他の長大橋等が安定的に管理され修繕されることを切に願います。

 上関大橋の問題を始め、県内の橋の安全性に関する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

あけましておめでとうございます。

 明けましておめでとうございます。

 昨年9月に本ブログをリニューアルして、4カ月が経過しました。

 これまでに約5300人の皆さんにアクセスしていただきました。

 今年も、本ブログに日々の想いを書きこみながら、活動を続けていきたいと思います。

 今年も皆さんのご支援を心からお願いいたします。

 今年最初のブログは、宇部日報に投稿した新年あいさつを掲載いたします。

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 県内で、新型コロナウイルス感染症の患者が400人を超えました。亡くなられた皆様にお悔やみを申し上げます。入院中の皆様にお見舞いを申し上げます。新型コロナウイルス感染症対策の最前線で働いておられる皆様に感謝を申し上げます。
 私にとって昨年は、コロナとのたたかいでした。私は、県議会で検査・医療体制の充実について繰り返し質問してきました。
 PCR検査など検査体制については、県内で14カ所「地域・外来検査センター」を設置させることができました。宇部・小野田医療圏では、宇部市・山陽小野田市・美祢市と全ての自治体に「地域・外来検査センター」を設置することができました。11月からかかりつけ医等の身近な医療機関で相談・診療・検査を実施する体制がスタートし、その要として、県内に、467の「診療・検査医療機関」が設置されました。私は、地域医療を支える医療機関に緊急包括支援交付金や発熱外来診療体制確保支援補助金が早く届くよう求めています。
 県内で、一昨年度は、43件だった生活福祉資金の緊急小口資金貸付件数について特別措置が講じられた3月25日以降、10月末時点で4564件と100倍以上に増加していることが分かりました。生活福祉資金の特例の延長を求めています。
 我が家では県外の息子たちに会えない状況です。皆様におかれても異例の新年だと思います。皆様の命と暮らしを守る県政になるよう今年もしっかり発言したいと思います。

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 今年も県政全般に対する皆さんのご意見を藤本にお伝えください。

県内音響式信号機の約8割が稼働時間制限されていた

 30日の毎日新聞は、視覚障害者に青信号を知らせるために整備された音響式信号機について次のように報じました。
 「視覚障害者に青信号を知らせるために整備された約2万4000基の音響式信号機のうち、8割超が音の出る稼働時間を制限していることが、全都道府県警への毎日新聞のアンケート調査で判明した。近隣住民への配慮や苦情などを受けて稼働を日中のみに制限しているケースが多い。稼働停止中に視覚障害者の死亡事故も発生しており、視覚障害者団体は国に安全策の拡充を求めている。アンケートは12月までに都道府県警すべてから回答を得た。それによると、2019年度末時点で全国の信号機総数は20万8152基。うち音響機能付きは1割ほどの2万4367基にとどまり、稼働時間を制限しているのが84%(2万445基)を占めた。管内に設置している音響式信号機のすべてで稼働時間を制限していたのは、秋田、山形、栃木、兵庫、徳島、福岡、長崎、沖縄の8県・一方、岩手、宮城、香川の3県は制限している信号機の割合が3~4割台と低かった。日本視覚障害者団体連合(日視連)によると、午後7時~翌午前7、8時に音が鳴らないように設定しているケースが多いという。(中略)駅や官公庁、福祉・商業施設、病院などを結ぶ経路で自治体が「生活関連経路」と指定した道路は法律でバリアフリー化が求められているが、その経路でも全国で計6189基が音響機能の稼働時間を制限していたことも判明した。」
 毎日新聞の調査から山口県の状況を見てみます。
 県内に音響式信号機は438基あり、その内、稼働時間を制限している割合は83%でした。県内の音響式信号機も全国並みに稼働時間が制限されていることが分かりました。
 私は、年明けに、県警に対して音響式信号の稼働時間の制限状況を問いたいと思います。記事の中に指摘してあるような「生活関連経路」の音響式信号機の設置状況とその信号の稼働時間制限の状況についても問いたいと思います。
 更に、県内での聴覚障害者の交差点での事故の発生状況と音響信号機の稼働時間外での事故の発生状況についても問いたいと思います。
 2006年に国連総会で採択された「障害者の権利に関する条約」には、権利の実現にあたり「個人に必要とされる合理的な配慮が提供される」ことが明記されています。
 「障害者の権利に関する条約」の策定過程において、全ての障害者の共通の思いを示すものと使用されてきた言葉が「私たち抜きに私たちのことを決めるな」です。
 苦情に対応するために夜間の音響式信号を制限する場合、障害者の方々の意見が聞かれて決定されたのでしょうか。
 政府は、東京オリンピック・パラリンピックのレガシーとして公共空間のバリアフリー化を進めていますが、音響式信号の時間制限は改善すべき重大な問題と言わざるを得ません。
 山口県の状況を調査し、必要な発言を行って行きたいと思います。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

コミック版「戦争は女の顔をしていない」

 鎌田實さんの「忖度バカ」という本に、彼女の事が取り上げられていて、彼女の書作「戦争は女の顔をしていない」を読んでいることをブログに書きました。
 2019年4月より、webコミック誌ComicWalkerで作画小梅けいとさん、監修速水螺施人さんにより「戦争は女の顔をしていない」が連載されています。
 そして、2020年1月に、この連載のコミック1巻が、2020年12月にコミック2巻が発売され、先ほど読み終わりました。
 そして、再び、スヴェトラーナ・アクレシェーヴィチさんの「戦争は女の顔をしていない」を読み始めています。
 コミックの最終ページに、監修の速水法螺施人さんの解説が掲載されています。
 この物語の舞台は、1941年に始まったソ連とドイツによる戦争(独ソ戦争)です。速水さんは、「この戦争で、ソ連は軍人、民間人あわせて2700万人を失っている。もとの人口は1億9千万人だった。一方、ドイツの死者は約800万人。ちなみに日本は約300万人を失った。」
 日本国内においても、空襲や原爆などで民間人を含めて多くの死者が出ましたが、物語の舞台であるソ連で2700万人の死者が出たことに驚きました。この独ソ戦争で、両国の人たち3500万人が亡くなったことに更に驚きました。
 コミック2巻の冒頭に馬が人間の死体の上を走ることを観た元女性兵士の回想シーンがあります。
 「馬というのは決して死体を踏みつけたりしないの、でもスターリングラード近郊ではあまりにたくさんの死体が転がっていて・・・馬ももうよけられないです。味方の死体は集めたけどドイツ軍の死体がいたるところに転がっていた 車輪の下でこういう死体の頭蓋骨が折れる音が聞こえていた・・・」
 いかに多くの人々がこの戦争で命を落としたのかがよく分かります。
 コミック2巻の最終ページで、監修の速水螺施人さんは、スターリン時代の弾圧と統制について書いています。
 「スターリン時代は弾圧と統制の時代でもあった。工業の発展は農村を犠牲にすることで進められ、農民の生活はともすれば帝政時代より厳しかった。1930年代初頭のウクライナではホロドモールという人為的な大飢饉さえ起き、多くの死者が出た。政治的な逮捕者は途絶えず、1937年に最高潮を迎えた大テロルは政府、行政、軍、党のみならず社会のあらゆるところで荒れ狂い無数の者が処刑され、あるいは強制収容所に送り込まれた。女性兵士たちの回想でも、身内が巻き込まれた者の話が出てくる。密告が奨励され、誰もがまさかと思いつつ逮捕される可能性におびえた。」
 コミック2巻の冒頭は、「戦争は女の顔をしていない」原作者であるスヴェトラーナ・アクレシェーヴィチさんが元女性兵士のインタビューを続け、本にまとめる動機について描かれています。
 その中で「人間は戦争の大きさを越えている」という表現が出てきます。
 岩波現代文庫からこの辺りを引用します。
 「大きな思想にはちっぽけな人間が必要なので、大きな人間はいらない。思想にとって大きな人間というものは余計で、不便なのだ。手がかかりすぎる。私は逆にそういう人間を探している。大きな内容を秘めたちっぽけな人たちを捜している。虐げられ、踏みつけられ、侮辱された人たち-スターリン獄とあの裏切り行為をくぐってきて、勝利した人たちを。奇跡を起こした人たちを。そういう人たちからこの勝利を奪い取ることは誰にもできない・・・」
 原作の冒頭に、ウクライナの飢餓の中で、厩舎で馬糞を盗んで食べた回想が出てきます。コミックにも描かれています。
 スヴェトラーナ・アクレシェーヴィチさんは、「人間は戦争の大きさを越えている。人間のスケールが戦争を越えてしまうような、そういうエピソードこそ記憶に残る、そこで歴史を越えたもっと強いものが支配している。わたしは視野を広げて、戦争という事実だけではなく、人が生きるとは、死ぬとはどういうことなのか。その真実を書かねばならない。」と述べています。
 私たちの国で、安保法制=戦争法が強行された5年前頃から、改めて、日本国憲法に明記されている「個人の尊厳」の重要性が注目されています。
 戦争もスターリンの時代の政治も「個人の尊厳」が著しく虐げられていたのではないでしょうか。
 スヴェトラーナ・アクレシェーヴィチさんが言う「歴史を超えたもっと強いものの支配」とは「個人の尊厳」が大切にされる社会のルールではないかと感じました。
 小梅けいと作画の「戦争は女の顔をしていない」を1巻2巻を読み、改めて、
スヴェトラーナ・アクレシェーヴィチさんが本作で書きたかった中心点を理解することが出来ました。
 改めて、今の日本のコミック界でスヴェトラーナ・アクレシェーヴィチさんの「戦争は女の顔をしていない」を原作として選んだ勇気に感服しました。
 コミック3巻の発行を待ちながら、原作の再読を続けたいと思います。
 是非、多くの皆さんにコミック「戦争は女の顔をしていない」を手にしていただきたいと思います。
 年末年始の時間を利用して、読書にも励もうと思います。