昨日、11月県議会が閉会しました。
私は、本議会に提案された議案に対する反対討論を行いました。
昨日の11月県議会最終本会議で討論に立つ私
私が行った討論の内容は以下の通りです。
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日本共産党議員団を代表して、本会議に提出された議案に対する討論を行います。
本会議に提案された67議案と継続審査中の6議案のうち、議案第10号、11号、23号、26号及び27号と継続審査中の議案第12号及び15号に反対します。残り66議案には賛成します。
賛成する議案の内、議案第67号、2024年度一般会計補正予算について、意見を述べます。
補正予算の追加分として、①医療機関・社会福祉施設等光熱費等支援23億5900万円、②LPガス・特別高圧等支援7億5400万円、③中小企業賃上げ環境支援7億1800万円を計上しました。経済対策の追加補正額は357億9400万円です。重点支援地方交付金を財源にしたものは、①②③の合計38億3100万円です。追加分の内、278億円が公共事業です。その財源は、国庫支出金が111億円、県債が153億円8千万円です。追加補正の県債発行額全てが公共事業の財源となります。
その結果、県債発行額は、当初予算で458億円だったものが、追加補正後、634億円にまで増高します。過去にも経済対策と言う名の公共事業の積み上げが県財政をひっ迫させたことがあります。県債に依存した安易な公共事業の積み増しには慎重な対応を行うよう求めます。
また、不発弾処理対策事業として約8億円が計上され、負担は県と周南市が折半する形です。しかし、そもそも不発弾問題は、戦前の天皇制政府が政府行為としてはじめた戦争の“つめあと”であって、自治体、住民が責任を負うべき問題ではありません。
戦争のさなかに米軍が投下、砲撃した爆弾が不発弾として地中や海中に埋まっているのかを探査し、処理する責任は、国にあるのは明らかです。関係自治体に処理を押し付けるのは本末転倒であり、政府が全額経費負担し、不発弾処理の先頭に立つよう求めるべきであることを指摘するものです。
議案第10号、一般職に属する学校職員の給与に関する条例の一部を改正する条例についてです。
本議案は、先の通常国会において、自民、立憲、国民、維新、公明の5党の賛成により成立させられた「給特法」改定に伴う条例改正です。
「改定」の最大の問題点は、公立学校の教員のみ、膨大な時間外勤務を「在校等時間」というあいまいな概念で労働時間として認めず、一切の時間外勤務手当を支給しないという労働基準法の原則を平然と踏みにじったところにあります。
今回の「給特法」改定は、「恥であり罪である」と喝破したのは、東京大学の本田由紀教授です。
国会での公聴会で参考人として陳述した本田教授は、改定案について「法規範を逸脱するような法律を国の大量の教員に対して国が法として定めるということは、恥であり罪であるという事柄は他にありません」と述べました。本田教授が指摘した法規範とは、「人たるに値する生活を営むための」労働条件の在り方を定めた労働基準法です。その中心は、「使用者、労働者に、週40時間、1日8時間を超えて、労働させてはならない」という原則に他なりません。法規範を逸脱する方途は、残業代を支給しないと定めた『給特法』です。
本条例は、法規範を逸脱するような法律を県内の大量の教員に適用する点で「恥であり罪」であることを指摘して、本条例改正に反対します。
次に、議案第11号知事等の給与及び旅費に関する条例及び山口県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例の一部を改正する条例です。
本条例は、知事及び県議会議員の議員に支給する期末手当を3.45から3.50に引き上げるものです。
本議会には、358億円の経済対策関連予算が追加提出されました。知事は、追加提出について国の経済対策を活用して「物価高への対応や賃上げ環境の整備、暮らしの安心・安全に向けた基盤整備等を進めていく」と議案説明しました。
知事及び県議会議員の期末手当引き上げに要する予算は、県民の暮らしの安心・安全に向けた基盤整備等に充てるべきであることを指摘し、本条例に反対します。
次に議案第23号、一般国道490号2号橋(仮称)橋りょう整備工事(上部工)の請負契約の締結についてです。
この橋りょうは、わが党が従前から反対してきた高規格道路・小郡萩道路の一部です。このような巨大プロジェクトは見直し、物価高に苦しむ県民の暮らしを支える県財政を推進すべきと考え反対します。
議案第26号及び27号は、防府警察署庁舎新築に伴うものです。防府警察署は、防府市の要望に基づき防府市役所建設に伴い生じる空地へ移転するものです。
地元の市民団体は2021年、県警本部長に、新庁舎の空地へ警察署が移転すれば防災空地がなくなることや、交差点にあまりにも近すぎて利用しづらくなるのではないかとの理由で反対する要望書を提出しました。こうした経緯により、同議案には反対します。
次に請願についてです。
請願1号、2号、4号、5号、7号を不採択とした委員長報告に反対します。
請願第1号は、日本政府に核兵器禁止条約の調印・批准を求める意見書の国への提出を求めるものです。
日本被団協がノーベル平和賞を受賞して1年が経過しました。日本政府が核兵器禁止条約に参加しない姿勢は、世界中から奇異なものに受け止められています。請願が主張するように、唯一の戦争被爆国である日本政府が条約締結をすることは、被団協の行動をさらに力強く補強し、核兵器廃絶への大きな希望を世界にもたらします。各議員の賛同を呼びかけます。
請願第2号は、使用済核燃料中間貯蔵施設の上関町への建設に反対することを求めるものです。
9日、中国新聞は、「7日投開票の柳井市議選で、中国電力が山口県上関町で建設を検討する使用済み核燃料の中間貯蔵施設について、中国新聞が告示前に実施したアンケートで反対と回答したのは当選者全16人のうち9人と過半数を占めた」と報じました。中間貯蔵施設建設予定地周辺の自治体で反対する議員が過半数を超えたのは、田布施町に続き2自治体目です。
8日夜に発生した青森県を中心とした地震により、日本原燃は、六ケ所村にある使用済燃料の再処理工場で、燃料プールから650リットルの放射性物質を含んだ水が溢れでたと発表しました。
請願にある通り、中間貯蔵施設建設予定地の近くには、政府の地震調査研究推進本部が発表した、今後30年以内に地震が発生する確率が3%以上と最もリスクの高い「Sランク」の周防灘断層帯が存在します。このような場所に原子力施設を建設すべきではありません。よって、本請願は採択されるべきです。
次に、請願第4号「特別支援学校の過大・過密、教室不足の解消を図るため、学校建設の国庫補助率引き上げを求めることについて」です。
文科省の2023年10月1日現在の「公立特別支援学校における教室不足調査の結果」によると、山口県の不足教室数は7カ所、全国では3359カ所あります。
文科省が、18歳人口に特別支援学校の卒業生を含めずに大学等の進学率を算出していることが判明しましたが、特別支援学校での教室不足の放置は、文科省による失政の最たるものです。
また、私は、一般質問で、マンモス学校である宇部総合支援学校の分割や美祢、長門分教室の分校化を訴えてきました。請願にある特別支援学校建設のための国庫補助率3分の2への引き上げは当然の要望であり、本請願は採択されるべきです。
次に、請願第5号「2026年度山口県予算に学校法人山口朝鮮学校への補助金を計上することについて」です。
1948年12月10日、国連総会で、「世界人権宣言」が採択され、採択日が「人権デー」と定められました。法務省は、人権デーを最終日とする1週間を「人権週間」と定めています。
世界人権宣言第2条第1項には、「すべて人は、人種、皮膚の色、性、言語、宗教、政治上その他の意見、国民的若しくは社会的出身、財産、門地その他の地位又はこれに類するいかなる事由による差別をも受けることなく、この宣言に掲げるすべての権利と自由とを享有することができる」とあります。山口県人権推進指針は、16の分野別施策を掲げています。
子どもの問題では、「より子どもの立場に立って、子どもを大切にした県づくりを推進するという基本方針のもと」に、施策を推進するとしています。
外国人問題では、「『日本人と外国人が、お互いを尊重しながら、共に地域を創る一員として活躍することで、全ての県民が豊かに安心して暮らすことができる山口県』を基本理念に掲げ、県内の市町や関係機関等と連携し、多文化共生社会の実現に向けて施策を推進する」としています。
山口県が朝鮮学校に補助金を支給しないことは、世界人権宣言にも山口県人権推進指針にも反するものです。よって、本請願は採択されるべきです。
次に、請願第7号、「小・中学校、高校の少人数学級実現、私学助成の増額、教育費の父母負担軽減、障害児教育の充実を求めることについてのうち、第2項、第3項、第4項及び第6項に関する部分について」です。
第2項は、「小・中学校での30人以下学級、高校35人以下学級を早期に実現すること」を求めています。
県教委は、県立高校再編整備計画後期実施計画(素案)を10月に公表し、14校を7校に再編統合し、3つの分校の募集停止を検討するとしています。
本素案の基には、「望ましい学校規模を1学年4~8学級(1学級当たりの生徒は原則40人)」の基準が厳然として存在します。
本議会の一般質問で指摘しましたが、高知県教委は、中山間地域等の小規模校は、本校=1学年1学級20人以上、分校=1学年1学級10人以上を学校規模の最低規模の目安として再編整備基準としています。
本請願の第2項、第3項、第4項及び第6項を採択し、子どもたちが安心して学べる山口県を推進すべきです。
次に継続審査中の6議案のうち、議案第12号、2024年度山口県歳入歳出諸決算と、第15号、工業用水道事業会計の決算の2議案に反対します。
2024年度山口県歳入歳出諸決算の反対理由の第1は、長年続く実質賃金の減少と年金削減、そして41年ぶりの物価上昇という非常事態から、県民の暮らしと県内経済を守る支援策が不十分であったと言うことです。
この年の実質賃金は、マイナス0.4%であり、ガソリンや水光熱費はもちろん、食材費、コメまで値上がりとなる物価高騰が家計を直撃しました。
一方で異次元の物価高により、県財政は、地方消費税清算金が約59億円の増収となり、これらを含め県民の負担軽減や暮らしをまもる施策に使われることが求められました。しかし、家計を直接支援する施策は全くなく、「賃上げ環境整備応援事業」を創設した点は評価するものの、その予算規模は1億9400万円に留まり、県内6万企業に対し487企業、0.8%に過ぎません。一例を上げれば秋田県の10分の1の規模です。
この年から国の「森林環境税」の徴収が始まり、納税義務者1人あたり1000円を徴収、県では「やまぐち森林づくり県民税」が県民からは500円、法人からは1000円から4万円を徴収しており、目的と使途が違うと言っても、県民にとっては森林保全のための税金の二重払いの感覚であり、この際、県民負担の精査をすべきです。
第2は、地方自治体の使命である「住民の福祉の増進」も県独自の施策は見られず、子ども医療費助成制度は子育て支援ではなく、「福祉医療」に止まらせ、この間、予算執行率は100%を切り、前年度は約84%まで低下しているのに、対象年齢の拡大に踏み出そうとはせず、市町に負担を押し付けたままです。このため同制度の予算が当初予算総額に占める割合を中国5県で比較すると、鳥取県が0.32%に対し、山口県は0.08%と4分の1になっています。
また、地域医療構想によって、この間、437床もの病床が削減がされました。国民健康保険料は、県の示した標準保険料率が上昇傾向にあり、市町の保険料は県の保険料率よりも低く抑えていますが、値上げに踏み切る市町が増加傾向にあります。国の訪問介護報酬の引き下げの影響などで、訪問介護事業所は、昨年度、指定13か所に対し、廃止は21か所となりました。
2024年度の一般会計は、基金残高が186億円増の1067億円となり、減債基金20億円、安心・安全基盤強化基金143億円、デジタル実装推進基金17億円などに貯めこまれています。これら基金を年度途中でも、物価高や負担増で苦境に立たされている県民生活への温かい支援に回すことこそ求められたと思います。
第3は、こうした一方で、あいも変わらず下関北九州道路や木屋川ダム嵩上げなど不要不急の大型公共事業の着手に向けた施策や企業立地補助金など大企業への過度な支援が続けられています。これら事業のあり方、進め方、税金の使い方が、自治体の本旨である住民福祉の増進につながるのか、との視点で改めて検討されるべきです。
以上、3つの理由をもって、2024年度山口県歳入歳出諸決算に反対し、討論とします。
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引き続き、県政全般に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
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