昨日、西京シネクラブの例会で、アグニエシュカ・ホランド監督の「人間の境界」が上映されました。
昨年5月10日、朝日新聞は、この映画について次のように報じました。
「アグニエシュカ・ホランド監督の『人間の境界』が公開中だ。ポーランドとベラルーシの国境で立ち往生する難民の苦境が克明に描かれる。ホランド監督は難民だけではなく、彼らの前に立ち塞がる国境警備隊員や、難民の支援する市民活動家の複数の視点から、国境地帯で何が起こったのかを訴えようとしている。2021年秋、ポーランド政府はベラルーシ国境に非常事態宣言を出し、中東などからの難民を強制的に押し戻す政策を取る。ベラルーシ政府がEUを混乱させようと、難民を送り込んでいるというのだ。映画は、シリアから逃げてきた家族6人の過酷な運命を中心に展開する。『難民受け入れは現代の欧州にとって最大の問題です』とホランド監督は言う。『日本もそうではないですか。EUはこの問題に対する準備が出来ておらず、混乱したリアクションを取ってしまった』冒頭、森林の濃い緑が映し出される。しかしすぐモノクロに変わり、ラストまで色が戻ることはない。『ポーランドでも最も美しい土地で、悪夢が起きていることを伝えたかった。モノクロは時代の間隔を溶けさせる効果があります。シリア難民の苦境を見て、第2次世界大戦時のユダヤ人のことを思い出してもらいたいとも考えました』難民に規模しい態度を取る国境警備隊員の苦しみにも迫っているところも特徴だ。『彼らも普通の人間です。密輸業者を取り締まる覚悟はしていても、幼い子どもを捕まえて国境の向こう側に放り投げる仕事をさせられるとは思ってもいなかった。だから彼らの中に、葛藤に耐えきれない人が少なからず現れました』昨年のベネチア国際映画祭で審査員特別賞を受賞した。『この作品は今の世界に対する私自身の声明です。映画祭での受賞によって、ポーランドの国境でこんなことが起きていると、多くの観客に知っておらえることがうれしい」
映画の上映に対し、当時のポーランド政権は本作を激しく避難し、公開劇場に対し上映前に「この映画は事実と異なる」という政府作成のPR動画を流すよう命じるなど異例の攻撃を仕掛けましたが、ほとんどの独立系映画館がその命令を拒否ししたと、映画のパンフレットに書かれてあります。
映画のパンフレットで久山宏一さんは「ポーランド・ベラルーシ国境における不法越境件数は、2021年8月は3500人、9月は7700人、10月が17300人と増大を続ける。11月には8900人に減少し、12月以降はほぼ1000件前後で推移している。『国境グループ」HPによると、2024年3月現在、『ポーランド・ベラルーシ国境で57名が命を落とした』という」と書いています。
映画のパンフレットで、ホランド監督は、この映画の意義について次のように語っています。
「私個人に世界を救う力があるなんて幻想を抱いているわけではなく、私は理想主義者ではありません。私は、マルク・エデルマンが言った『悪はいつでもどんな人の中にも目覚める可能性があり、それをコントロールする者は大きな責任を負う』という言葉に同意します。私一人だけで、あるいは同じような考えの人とだけ協力することで、この状況を変えることが可能だと信じられるでしょうか?私はそうは思えません。しかし、努力することが私の義務であると信じています。最近、私はよくヴィスピャンスキの言葉を思い出します。『可能な限り、私たちはコントロールしなければならない。あまりに多くの人々が、多くの出来事に対するコントロールを放棄してることを考えると』。世界を変える方法は分かりませんが、映画を使って物語を伝える方法は分かります。それが私の仕事です。」
世界は、コントロールを失おうとしている側面が強まっていると私も痛感します。
私は、個人の尊厳を守るためのコントロールが失われようとしていると思います。
簡単に人の命が失われてしまう社会を変える必要があると思います。
そのためには、他者をリスペクトすることが大切だと思います。
国同士も同じで、相手をリスペクトし、可能なかぎり対立関係を築かない努力を続けることが必要だと思います。
対決から包摂の世界となるよう、私は一人の市民として、県議会議員として、私の仕事を通じて社会や世界の平和に貢献していきたいとこの映画を観て決意を新たにしました。
勇気ある映画を作成していただいたホランド監督に感謝したいと思います。
一人でも多くの方にホランド監督の映画「人間の境界」を観ていただきたいと思います。
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