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保育難民を考える

 『保育園落ちた』ブログで政治の焦点の一つに浮上した待機児童問題。

 日本共産党の田村智子議員が14日の参院予算委員会で緊急対策を提案し、保育予算の抜本的拡充を求めました。

 田村参院議員が提案した緊急対策は、①公共施設の活用など「自治体による緊急保育の実施」②公立保育所の分園設置・改修への補助や国有地の貸し出し費用の軽減など「国による新たな財政支援」③保育所が見つからず育児休業をとる母親の雇い止め・解雇は法違反であり、企業に呼びかけ・周知して雇用を守ること-です。

 田村参院議員は、保育関係者の「政府は保育を『子守り』程度に考えているのでは」「保育は成長の土台を耕すもの」との声を紹介しました。

 私は、保育園の保護者会会長などを長く務めた経験から、政府や自治体に「保育は子どもの成長の土台を耕すもの」との視点がなくなりかけていることを懸念しています。

 私が昨年8月4日のブログで書いたように、宇部市は、「宇部市立保育園のあり方検討委員会」を設け、保育園の民営化を含めた検討を行っています。

 「5つの公立保育園保護者の会」が行った保育園の民営化に反対する署名は短期間に数万筆が集まりました。

 宇部市は保育園の民営化は断念し、「保育は子どもの成長の土台を耕すもの」との視点から公立保育園として存続させるべきです。

 田村参院議員は、川崎市では、昨年4月現在、認可保育所を申し込んでも利用できなかった人が2231人いたのに、「待機児童ゼロ」とされた例を示しました。

 塩崎厚労相は、18日、昨年4月時点で少なくとも4・9万人の『隠れ待機児童』がいたことを認めました。

 宇部市も待機児童はゼロと言われています。山口県内の待機児童も限りなくゼロに近い数字が発表され続けています。

 山口県は、県内の認可保育所に入れなかった実際の待機児童が何人いるのか明らかにすべきです。

 その上で、実態に見合う認可保育園の確保を県内でも行うべきだと思います。

 田村参院議員は、GDPに占める保育所等への支出の国際比較を行った数値を明らかにしました。

 フランスが1.24%なのに対して日本は、0.45%です。EUでは少なくとも保育・幼児教育への公的支出は少なくとも国内総生産(GDP)比1%以上です。日本の水準はあまりにも低いものです。

 全産業の年収の平均が489万円であるのに対して、保育士の平均が323万円です。

 保育士の賃金を上げる公的支援を強めることを始め、国は、保育難民の実態を深刻に受け止め抜本的に予算を増やすときです。

 そして、地方自治体は、公的保育の水準を引き上げる努力を行うべきです。

 農業従事者に限った安倍内閣支持率は18%に急落したと言われています。

 保育難民に苦しむ保護者の内閣支持率を調べたら厳しい結果になるものと思われます。

 安倍内閣は、国民の応える政治を行うべきです。

 保育難民問題に関する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

高校と政治活動

 18日の毎日新聞に「高校と政治活動」との社説が掲載されました。

 選挙権年齢の18歳以上への引き下げに対応し、生徒によるデモや集会への参加など、学校外での政治活動に事前届け出を義務付ける動きが愛媛県などで具体化していることに対し社説は「届け出制は生徒の自主的な活動を妨げるおそれがあり、行き過ぎた学校による関与だ。取り分け、県教育委員会が主導した愛媛県のケースは突出している。同様の対応が広がらぬよう、政府は届け出制を容認した見解を速やかに改めるべきだ。」と述べています。

 17日のしんぶん赤旗に「高校生の政治活動」との主張が掲載されました。

 赤旗主張は、「学校外や集会やデモにいったり、宣伝したり、署名を集めたりすることは、本来、憲法が保障している集会・結社・表現の自由にもとづき自由にできるはずです。しかし、いつ、どこで、どんな集会や行動に参加するのかを届け出ることになれば、結果的にどんな政治的考えを持っているか、どの政党を支持しているかなどを学校に知らせることになります。高校生は萎縮させらてしまいます。憲法が保障する思想・良心の自由は内面的精神的自由の中でも、もっとも根本的なものです。それは個人の思想信条を明らかにすることを、権力が強制することは許されないという内心の自由によって支えられています。生徒がどんな政治的考えを持っているかを、いやでも明らかにさせる届け出制は内心の自由を侵す重大な憲法違反です。」と述べています。

 18歳選挙権の実施にかかわり、文部科学省が高校生の政治活動にさまざまな制限をつける動きを強めています。学校の恣意的な判断で政治活動を禁止できるよう通知したのに続き、学校外での活動を学校に届け出させる「届け出制」を容認する見解も示しています。

 山口県教育委員会は校長の判断で、届け出制を導入できる旨を県議会で答弁しています。

 高校生の思想・良心の自由を侵害する憲法違反の届け出制を容認する文科省通知や「Q&A」は撤回すべきです。

 文科省通知に基づき、届け出制を強制したり、容認する都道府県の対応についても撤回すべきです。

 高校生が政治について自由に語り、行動できることは、民主主義を日本に根づかせるうえで焦眉の課題です。

 皆さんは、高校生が政治活動を学校に届け出することをどうお考えですか、お教え下さい。

 

精霊の守り人

 上橋菜穂子さん原作の「精霊の守り人」が実写ドラマとして昨夜からNHKドラマとして放送が始まりました。

 全22話の3部作となっているようです。再来年まで放送は続くようです。

 この作品のアニメも観ましたが、実写の迫力は圧巻でした。

 子どもたちと一緒に楽しみたいと思います。

 バルサ役の綾瀬はるかさんの殺陣シーンは迫力満点でした。

 綾瀬さんの女優として地平を拓く作品になる予感がします。

 文庫版の「精霊の守り人」の解説で作家の恩田陸さんは、この作品について次のように書いています。

 「下品な言い方だが、『モノが違う』。それが率直な感想だった。思えば、『ハリー・ポッター』シリーズ以降、有象無象の異世界ファンタジーが世界中に溢れた。それらは獲得するアイテムや敵味方のキャラクターのバラエティを描くことに終始しており、ポイント制のカードゲームを文字にしたようなものが散見されたように思う。長らく日本の作家や漫画家が、英米の異世界ファンタジーにあこがれ、西欧的世界を舞台にしたいと必死に勉強してゴシップロマンやヒロイックファンタジーを描こうとしたのに、彼らは自分たちのルーツや神話、宗教的拝啓といういわば地の利を放棄しているようにすら見えた。しかし、『精霊の守り人』を読んで、それは私の考えちがいだと気づく。それ以前の問題なのだ。そういう二流、亜流の異世界ファンタジーは、世界を構築すらしていなかったのである。」

 更に恩田陸さんは、「歴史や言い伝えの意味する真実、行事に残された手掛かりなど、作者の文化人類学的アプローチがよく生きていて、世界のなりたちや『記された歴史』という本質が見えてくるのも心憎い。くっきりと、私たちの棲む世界が、私たちの姿が浮き彫りになってくる。これこそが、私の考える異世界ファンタジーだ。」と書いています。

 恩田さんは、最後に「あなたはラッキーだ。私たちは、母国語で読める。しかも私たちが読むべきファンタジーにようやく巡りあったのだ。」と締めくくっています。

 最高の原作を、ドラマがどれだけ描ききることが出来るのか大いに楽しみです。

 最高の異世界ファンタジーである原作を改めて読み返しながらドラマを楽しみたいと思います。

 守り人シリーズのファンの皆さん、原作、アニメ、ドラマの感想をお聞かせ下さい。

 

 

下関市立小で学力テスト不正

 17日付毎日新聞は、「県教委は16日、下関市立小学校1校で、2013年4月と14年4月に実施された6年生対象の全国学力・学習状況調査(全国学力テスト)の問題を解く順番を児童に指示する不正があったと発表した。」「発表によると、不正があったのは、いずれも国語の応用力をみるB問題。テスト前日に校長、教頭、学級担任ら7、8人が問題の傾向を確認した。その上で、児童にとって『難しい』と判断した問題を後回しにし、先にとかせる順番を決定。全クラスでテスト開始前にこの順番を黒板に書き、口頭で児童に指示した。」「今年2月12日、下関市教委に通報があり発覚した。市教委の聞き取り調査に対し、校長らは『児童の最初の問題であきらめてしまえば正確な学力が分からなくなると思った』と説明し、『点数を上げる意図はなかった』と話したという。」などと報道しました。

 文部科学省は、国公立の小学校6年生と中学3年生の全員を対象した全国学力テストを2007年から毎年実施しています。

 日本共産党は、2014年の総選挙政策で学力テストについて「全国学力テストがはじまってから各地で学校が平均点競走に走らされ、『平均点をあげるため先生が正解を教える』『ドリルばかりでほんらいの授業がおろそかになる』など問題が噴出しています。学力形成に有害な全国学力テストを廃止し、学力の全国的調査は抽出調査とします。面白く分かる自主的な授業づくり、学習のおくれがちな子どもへのケアを手厚くするなどほんらいの学力形成をすすめます。」と提起しています。

 大阪府教育委員会は、学力テストの結果を高校入試の内申点に反映する方針を発表しました。

 学力テストの実施要領には「序列化や過渡な競走が生じないよう十分な配慮が必要」とされているのに、本末転倒な対応が行われていることを文科省は放置してはならないと思います。

 1998年国連子どもの権利委員会がの「日本政府に対する報告書」の総括所見43に「競争の激しい教育制度が締約国に存在すること、ならびにその結果として子どもの身体的よおよび精神的健康に悪影響が生じていることを踏まえ、委員会は、締約国に対し(中略)過度なストレスおよび学校ぎらい(学校恐怖)を防止しそれと闘うために適切な措置をとるよう勧告する」とあります。

 国連子どもの権利委員会が指摘している競走の激しい教育制度は改善されたとは言えず、子どもへの悪影響は否めない状況にあるにも関わらず、2007年から更に過度な競争を子どもに強いる学力テストを文部科学省は実施しています。

 県内での不正事案もこのような背景があったのではないと私は思います。

 全国学力テストには毎年60億円の予算が使われています。この予算を少人数学級の実施などに回すほうが、子どもの学力形成にとって有用ではないでしょうか。

 県内での弊害が顕在化してきました。この際、全国学力テストは直ちに廃止すべきです。

 全国学力テストについての皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

 

 

宇部市立西宇部小学校第35回卒業証書授与式

 宇部市立西宇部小学校第35回卒業証書授与式が行われました。

 末次副市長や松田教育次長などの来賓の参列を得て盛大に開催されました。

 私は、PTA会長として次の趣旨で挨拶を行いました。

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 卒業生の皆さんご卒業おめでとうございます。ご家族の皆さんにおかれましては、誠におめでとうございます。卒業式にご臨席いただいた教育委員会や地域の方々など来賓の皆様方に心から感謝を申し上げます。先生方におかれましては、卒業生のために今日までありがとうございました。

 さて、今日は、卒業生の皆さんのために絵本を持ってきました。「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」です。2012年にブラジルのリオデジャネイロで地球の未来について話し合う国際会議が開かれました。
 世界中から集まったか各国の代表者は、順番に意見をのべていきました。会議も終わりに近づいた頃、南米のウルグアイのムヒカ大統領が行った演説に大きな拍手が送られました。これは、その演説を絵本にしたものです。
 ムヒカ大統領は、環境悪化の原因についてこう述べています。「わたしたちが挑戦しなければならない壁は、とてつもなく巨大です。目の前にある危機は地球環境の危機ではなく、わたしたちの生き方の危機です。人間は、いまや自分たちが生きるためにつくったしくみをうまく使いこなすことができず、むしろそのしくみによって危機におちいったのです。」
 ムヒカ大統領は、貧乏についてこう述べています。「貧乏とは、少ししか持っていないことではなく、かぎりなく多くを必要とし、もっともっととほしがることである。」
 ムカヒ大統領は、社会の発展についてこう述べています。「社会が発展することが、幸福をそこなうものであってはなりません。発展とは、人間の幸せの味方でなくてはならないのです。人と人が幸せな関係を結ぶこと、子どもを育てること、友人を持つこと、地球上に愛があること、こうしたものは、人間が生きるためにぎりぎり必要な土台です。発展は、これらをつくることの味方でなくてはならない。」
 卒業生の皆さん、社会の発展が私たちの幸せにつながるような社会にしていくために、中学校でしっかり学んで下さい。
卒業生の皆さんは、18歳になれば政治に参加できる権利を得ます。6年間しっかり学んで、政治に参加するための準備をしてほしいと思います。
 卒業生の皆さんの未来が希望あるものであることを、今日参加しておられる皆さんとともに念願いたしまして、私の挨拶にしたいと思います。

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 挨拶で引用した「世界でいちばん貧しい大統領のスピーチ」は、私の生き方にも通じるスピーチです。

 多くの皆さんにこの絵本を読んでいただきたいと思います。

 卒業生の皆さんご卒業本当におめでとうございます。

 

仮面病棟

 知念実希人さんの「仮面病棟」を読みました。

 知念さんは現役の医師。

 現役の医師ならでは、医療サスペンスの秀作でした。

 本格ミステリーとしても最後までハラハラドキドキさせて、約三日間で一気に読みました。

 同時のこの小説は、社会派小説としても秀作だと思いました。

 事件が起る病院は、療養型病院。この病院には不似合いな豪華な手術室。

 この手術室では、身元不明の患者から臓器が取り出され、移植する手術が行われていたのです。

 移植を受けた患者から高額の報酬を院長は得ていたのです。

 貧困な人々の臓器が富める人々に移植されていたという事実が、この物語の根底に流れています。

 私は、この本を読んで、宗教学者・島薗進さんの「いのちをつくってもいいですか?」という本で書かれてあることを想起しました。

 この本には、「エンハンスメント」=「より強い、より有能な、より幸せな」人間を求める科学技術の在り方が書かれています。

 その一つの見方として、アメリカのブッシュ大統領時代の2003年に「治療を超えて」と題された報告書の内容が紹介されています。

 「治療を超えて」では4つのテーマでエンハンスメントに潜んでいる問題点が書かれています。

 一つ目は、「より望ましい子ども」を選び育てるこということ。具体的には、「子供の性別を選ぶ」ことと「生まれてくるいのちの選択」に関わることです。この中には、「子どものふるまいを改良する」ことも含まれています。

 二つ目は、「優れたパフォーマンス」。スポーツにおける体力増強についてです。

 三つ目は、「長寿を求める」というテーマです。

 最後は、「心を変える」というテーマです。

 島薗さんは、この本で「バイオテクノロジーを用いて人為的に『生』を拡大していくような医療のあり方は、そうした限界への自覚を見失わさせてしまうのではないでしょう。」と書いています。

 アメリカの報告書「治療を超えて」の副題は「バイオテクノロジーと幸福の追求」です。

 全ての人々の幸福が追求されるためのバイオテクノロジーであってほしいと思います。

 一部の人々の犠牲の上にある一部の人の幸福の追求のためのバイオテクノロジーであってはならないことを知念さんはこの小説でミステリーという形式を使いながら読者に伝えたかったのではないかと思います。

 「エンハンスメント」をどう考えたらいいのか、人類に突きつけられた大きな課題の一つだと思います。

 その事を考えるきっかけとして知念さんの「仮面病棟」は最良の書であると私は思いました。

 一気に知念ファンになり、昨日から「天久鷹央(あめくたかお)の推理カルテ」を読んでいます。

 知念ファンの皆さん、お勧めの作品をご紹介下さい。