議員日誌

経済的徴兵制

 布施祐仁著「経済的徴兵制」を読んでいます。

 昨日紹介したアレン・ネルソン著「ネルソンさん、あなたは人を殺しましたか?」に、「わたしが海兵隊に入ったわけ」という章があります。

 「人種差別がはげしかった当時のアメリカ社会では、私たちは「ニガー」とさげすまれ、差別される黒人のチンピラでしかありませんでした。しかし、海兵隊員になれば、わたしは「ニガー」ではなく、国家のために奉仕する、人々から『ありがとう』と感謝される、立派なアメリカ人になることができるのです。入隊すれば母を楽にしてにしてあげられるという気持ちも強くありました。四人のこどもを女手ひとつで育ててきた母は、精神的にも肉体的にもつかれきっていました。でも入隊すれば、母に送金して、母を楽にしてあげられる。」

 「経済的徴兵制」の著者、布施さんは、「経済的な利点を餌にして軍隊に誘導する」システムを「経済的徴兵制」だと定義しています。

 ネルソンさんもまさに「経済的徴兵制」も元で、海兵隊に入ったことがよく分かります。

 「経済的徴兵制」では、今日のアメリカでどのように「経済的徴兵制」が運用されているかが赤裸々に描かれています。

 布施さんは、「歴代自民党政権の新自由主義的な政策によって憲法や教育基本法の定める『教育の機会均等』は骨抜きにされ、大学に進学することは学生にとって『リスク』になってしまった。」と若者を取り巻く状況を分析しています。

 布施さんは、陸上自衛隊東部方面総監部「将来施策検討グループ・募集分科会」の論文に、「中・長期的に取り組むべき施策」として「自衛隊をキャリアアップのステップとして活用できる枠組みの創設」があることを指摘しています。

 具体的には、①自衛隊内部の特技(資格)を公的資格にする、②大学修学環境の整備、③自衛隊勤務経験を評価した公的機関での採用、などが書かれてあると布施さんは指摘しています。

 更に、この論文に、こうした施策が制度化されれば、「『人生の明確な目標が未だ決まっていないので、大学や専門学校に行くより自衛隊でキャリアアップをした方が良い』と考える若者も増えると思われる」「じえたいにとっては、多くの志願者を集められ、企業にとっても、任期満了者をキャリアアップして付加価値の高い人材として獲得できるため、両者にとって大いに価値ある枠組みとなる」と書かれてあると布施さんは指摘しています。

 今、自衛隊の退職者と志願者が減少しています。布施さんは、自衛隊内部の自衛官を募集する会議でも「集団的自衛権行使容認の動きが影響している」ことを認めていると指摘しています。

 安保法制=戦争法の具体化が進む一方で、政府の施策によって大学進学の選択肢を奪われた若者を経済的な利点を餌にして軍隊に誘導する「経済的徴兵制」を本格的に導入させてはなりません。

 政府が来年度から導入しようとしている給付型奨学金の対象はわずかです。

 給付型奨学金の本格的導入や学費の引き下げなど、日本の高等教育に国の予算を抜本的に増やすことが大切です。

 日本でも「経済的徴兵制」を本格化する動きが始まっています。皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

 

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