3月27日付中国新聞は、特別支援学級の障害児が通常学級で学ぶ時間を週の授業の半分以下とするよう求めた文科省の通知について次のように報じました。
「特別支援学級の障害児が通常学級で学ぶ時間を週の授業の半分以下とするよう求めた文部科学省の通知を巡り、31都道府県が通知に沿って授業数を制限するよう市区町村教育委員会に要請していることが26日、共同通信の調査で分かった。実際の運用は市区町村や各学校が決めるが、国や都道府県の意向が与える影響は大きい。大阪府枚方市が通知に沿った運用実態を一度決めた後に撤回するなど混乱も出ている。障害者団体や一部保護者は、障害のない子と『共に学ぶ』教育の流れに逆行すると反発。文科省は『支援学級で半分以上過ごす必要のない子どもは通常学級へ在籍変更するよう促すのが通知の目的だ』として後退を否定しており、議論は平行線のままだ。文科省は、従来、障害児が通常学級で学ぶことを推奨してきたが、都道府県などに対する昨年4月の通知で、一部の自治体で通常学級で過ごす時間が大半を占め『支援学級で障害の状態などに応じた指導を受けていない事例がある』と指摘。こうしたケースは不適切で、支援学級で学ぶべき時間の『目安』として1週間の授業の半分以上を確保するよう求めた。共同通信は3月までに、各都道府県にアンケートを実施した。文科省の通知自体は全都道府県が市区町村に転送していた。その上で、2023年度からの実施を求める3県を含む23都道県が『原則目安通りの運用を求める』と回答。8府県では既に同趣旨の運用基準があり、うち山梨県は支援学級の授業数を『3分の1以上』としていた。5県は『特段の求めはしていない』と回答。11府県は『その他』を選び『授業時間にかかわらず、適切な学びの場の設定を求める』(大分県)などと答えた。国連の障害者権利委員会は昨年9月、障害児を分離する仕組みだとして特別支援教育自体の中止と通知の撤回を日本政府に勧告。文科省は、通知は『(障害の有無に関係なく共に学ぶ)インクルーシブ教育をむしろ推進するものだ』と撤回しない考えを示している。中国地方5県について中国新聞が調べたところ、山口、岡山、鳥取の3県が障害児の通常学級での授業時間数を制限する意向を示した。広島は『特段の求めはしていない』とし、島根県は子ども一人一人のニーズを踏まえ対応するとした。制限する意向の3県のうち岡山と鳥取は、1週間の授業の半分以下とする文部科学省の目安と『既に同様の基準で運用している』と回答した。山口は『開始年度は決めず原則目安通りの運用を求める』とした。『障害の状態などに応じた指導を十分に受けていない事例がある』などと指摘した文科省の通知の趣旨を踏まえたという。広島は、市町教委に対して『特段の求めはしていない』と回答。『市町教委において適切に子どもの状況に応じた教育をされていると認識しているため』と理由を説明した。島根は『通知の趣旨を理解してもらいつつ、単純に半分を超えたから駄目、半分以下だから良いではなく、子どもの状況を改めて確認した上で個々のニーズに応じた対応を求めている』とした。」
国連の障害者権利委員会は、昨年9月に行った日本政府への勧告の中で「全ての障害のある児童に対して通常の学校を利用する機会を確保すること。また、通常の学校が障害のある生徒に対しての通学拒否が認められないことを確保するための『非拒否』条項及び政策を策定すること、および特別学級に関する政府の通知を撤回すること。」と指摘しています。
文科省の通知は、「特別支援学級に在籍している児童生徒については、原則として週の授業時数の半分以上を目安として特別支援学級において児童生徒の一人一人の障害の状態や特性及び心身の発達の段階等に応じた授業を行うこと。」としています。
この通知は、国連の勧告文にある「通常の学校が障害のある生徒に対しての通学拒否が認められないことを確保する」ことに逆行する内容であると受け止められかねません。
文科省が示した「半分以上」の目安が障害児の通常学級で過ごすことへの制限と受け止められかねません。
私は、記事にある島根県のような対応を山口県でも取るべきだと考えます。
この通知に山口県はどのように対応しようとしているのか、県教委に見解を昨日までに照会しました。回答が届き次第、本ブログ等で紹介していきます。
山口県でインクルーシブ教育が進むよう、しっかりチェックしていきたいと思います。
この問題に関する皆さんのご意見をお聞かせください。
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