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4年間で県内の入院ベッドが1112床も削減

 山口生活と健康を守る会の社会保障資料5月号は、山口県の地域医療構想に基づく病床機能報告結果(2019年7月現在)の公表を受けて、次のような記事を掲載しました。(表は割愛しその部分の文章をカットしています)
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去る3月31日、山口県は地域医療構想(構想)に基づく病床機能報告結果(2019年7月現在)をやっと公表しました。例年は調査時点の1年後に公表していましたが、今回は9ヶ月遅れの公表(しかも4月28日には一部数値を訂正)です。県の担当者に聞くと「厚生労働省との調整に手間取った」と語っていますが、厚生労働省が2019年9
月に行った“公立・公的病院の統廃合・病床削減の名指し“と関係があるのではないかと疑りたくもなります。
 それはともかくとして公表数値を見てみたいと思います。
 構想の基準年(2015年)と比べて2019年時点の病床数は全体で1,112床の減少。機能別に見ると高度急性期、急性期、慢性期が減少して回復期が増加しています。傾向としては、高度急性期と急性期は回復期に転換され、慢性期は介護医療院への移行と一部は回復期に転換されているようです。
 また、目標年(2025年)に向けては慢性期病床の介護医療院への転換が本格化してさらに1,499床が減少する見込みで、合計の予定削減数は2,611床となります。
  一方、構想では目標年(2025年)の必要病床を15,889床、削減数は6,384床としています。これに対し、今回報告の予定削減数は2,611床ですから、その「達成率」は40.9%に過ぎません。もともと「必要病床数」は、山口県が国の算式を基に機械的に算出したものですが、今回の報告結果は、改めて、この削減目標が地域の実情からも医療現場の実態からも離反した“無謀な数値”であることを明らかにしたと言えます。
 次に医療圏ごとの動向を見てみます。なお、これ以降の表は山口県地域医療構想と2019年病床機能報告結果から作成したものです。
【岩国医療圏】
 高度急性期病床が大幅に削減されています。これは岩国医療センターが高度急性期240床を急性期に転換したことによるものです。また、岩国市医療センター医師会病院は20床、岩国市立美和病院は15床、同錦中央病院は5床をそれぞれ廃止、みどり病院は慢性期60床を介護医療院に移行しています。
【柳井医療圏】
 急性期と慢性期が減、回復期は増加していますが、課題の高度急性期はゼロのままです(表4)。周東総合病院は54床を急性期から回復期に転換、周防大島町立東和病院は54床を、同大島病院は39床を慢性期から回復期にそれぞれ転換しました。同橘病院は17床を廃止して有床診療所(19床)に転換、本年2月にはその19床さえも休床しています。
 さらに本報告時点(2019.7)以降、周東総合病院は39床を急性期から回復期に転換し、東和病院は26床を廃止、光輝病院は慢性期病床668床を介護医療院に移行するとしています。
【周南医療圏】
  急性期と慢性期が減少し、回復期が増加しています。周南記念病院は50床、徳山病院は46床、下松中央病院は28床を急性期から回復期に転換、また、周南リハビリテーション病院は40床、徳山病院は32床を慢性期から回復期に転換しました。
 さらに本報告時点(2019.7)以降、周南市立新南陽市民病院は50床を急性期から回復期に転換、周南高原病院は57床、鹿野博愛病院は36床の慢性期病床を介護医療院にそれぞれ移行するとしています。
【山口・防府医療圏】
 急性期と慢性期病床が減少し、回復期が増加しています(表6)。県立総合医療センターは56床、小郡第一病院は45床、防府胃腸病院は60床を急性期から回復期に転換、また、阿知須共立病院は45床、山口リハビリテーション病院は30床を慢性期から回復期に転換、阿知須同仁病院は60床、山口若宮病院は56床の慢性期病床を介護医療院に移行しました。
 さらに本報告時点(2019.7)以降、山口赤十字病院は病棟建替えに絡めて高度急性期36床と急性期83床を回復期44床と慢性期25床に転換し休棟分48床を含めて98床を廃止します。また、湯田温泉病院は慢性期46床を回復期に、防府リハビリテーション病院は慢性期100床を介護医療院に移行するとしています。
【宇部・小野田医療圏】
 高度急性期と慢性期が減少し、急性期と回復期が増加しています。山口大学医学部附属病院は高度急性期375床を急性期に転換。また、宇部記念病院は急性期66床、山口労災病院と尾中病院は急性期各60床、宇部協立病院は急性期52床、シーサイド病院は慢性期51床、宇部第一病院は32床の慢性期を回復期にそれぞれ転換しました。宇部リハビリテーション病院は120床、宇部西リハビリテーション病院は78床の慢性期病床を介護医療院に移行。綿田内科病院(39床)は廃止、美祢市立病院は急性期7床を減床しています。
 さらに、本報告時点(2019.7)以降、小野田赤十字病院は急性期40床を回復期に、セントヒル病院は43床、宇部記念病院は34床の慢性期病床を回復期に転換。また、尾中病院は慢性期60床を介護医療院に移行するとしています。
【下関医療圏】
 高度急性期・急性期・慢性期が減少し、回復期が増加。病床転換の進捗率は最も高くなっています。下関市立市民病院は高度急性期204床を急性期と回復期に転換する一方、下関医療センターは急性期96床を高度急性期に転換しています。下関市立豊田中央病院は急性期45床と慢性期26床を合わせて回復期60床とし、昭和病院は急性期46床と慢性期120床を回復期106床と介護医療院60床に転換、武久病院は87床、安岡病院は51床、光風園病院は47床、岡病院は46床の慢性期をそれぞれ回復期に転換。また、安岡病院は44床、王司病院は48床の慢性期病床をそれぞれ介護医療院に移行、下関医師会病院(64床)は廃止され、下関市立市民病院17床と光風園病院13床は減床となっています。
 さらに、本報告時点(2019.7)以降、武久病院は95床、森山病院は48床、桃崎病院と岡病院はそれぞれ32床の慢性期病床を介護医療院に移行するとしています。
【長門医療圏】
 急性期と慢性期が減少し、回復期が増加していますが、課題の高度急性期はゼロのままです。長門総合病院は急性期6床と慢性期38床を回復期40床に転換し4床を減床。斎木病院も急性期8床を減床しています。
 さらに本報告時点(2019.7)以降、俵山病院は慢性期50床を介護医療院に移行するとともに10床を減床するとしています。
【萩医療圏】
 急性期が減少し、回復期が増加しています。都志見病院が急性期57床を回復期に転換したことによるものですが、課題の高度急性期はゼロのままです。
 さらに本報告時点(2019.7)以降、全真会病院は54床、萩慈生会病院は40床の慢性期病床を介護医療院に移行、都志見病院は慢性期29床を減床するとしています。
 新型コロナの感染拡大が地域の医療提供体制に深刻な影を落とす中、県内では高度急性期病床の削減・転換が目立っています。具体的には、山口大学医学部附属病院375床、岩国医療センター240床、下関市立市民病院204床、山口赤十字病院36床などです。病状急迫時に医療資源を集中投下して治療に当たる高度急性期病床の削減は、地域医療の大きな機能低下に直結します。
 SARS(重症急性呼吸器症候群・2002年)、MERS(中東呼吸器症候群・2012年)や今回の新型コロナなど新たな感染症が繰り返し発生している歴史的事実は、地域の医療提供体制には平常時から一定の“ゆとり”が必要なことを教えています。
 医療費抑制のために入院ベッドを削減しようとする地域医療構想は一旦中断するとともに、公立・公的病院を名指しして統廃合に追い込むような企ては直ちに撤回すべきと考えます。
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 地域医療構想が提起されてこの4年間で、県内で1112床が削減されたことは重大です。2025年に向けて更に1499床のベットが削減されようとしています。医療構想そのものは、2015年に対し2025年は6384床削減するというとてつもないものです。
 同時に県内で高度急性期病床が大幅に削減されようとしていることは、新型コロナの嵐の中とても心配されることです。
 「地域医療構想は一旦中断するとともに、公立・公的病院を名指しして統廃合に追い込む企ては撤回すべき」とする社会保障資料の指摘に共感します。
 私は、過去の議会と環境福祉委員会の中で、地域医療構想に基づく急激な病床の削減に反対し、コロナ禍の中、構想の中断を県に求めてきました。
 社会保障資料の指摘を受けて、更に、この方向で発言を続けていこうと決意を新たにしました。
 県内で大幅な病床の削減が行なわれ、これから更に行われようとしています。この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

県知事へ新型コロナ対応に係る申し入れ(第6次)行う

 昨日、日本共産党県委員会と同県議団は、村岡知事に対して、新型コロナ感染症の対応に係る申し入れ(第6次)を行いました。

 申し入れは、私と木佐木県議、河合県副委員長が行い、県防災危機管理課の担当者が受け取りました。

 新型コロナウイルス感染症の対応に係る申し入れ(第6次)を手渡す河合副委員長

(手前が私、奥が木佐木県議)

 来週から始まる臨時議会の閉会までに文書で回答を受けることにしています。

 申し入れの文書は以下の通りです。

山口県知事
村岡嗣政様

2021年5月6日

日本共産党山口県委員会 
委員長 吉田 貞好
日本共産党山口県議会議員団
団 長 木佐木大助

新型コロナウィルス感染症の対応に係る申し入れ(第6次)

 新型コロナ感染は第4波の拡大期に入り、東京など4都府県に緊急事態宣言が発令されました。県内でも変異株による感染者が増加するなど、日々、深刻さを増しています。
 県内でもワクチン接種が始まりましたが、当初想定されたスケジュールからは大きく遅れており、国の後手対応に苛立ちが増しています。
県内業者、特に飲食に関わる業種は、「緊急事態宣言も出ていないのに外国客も地元の客もこの1年減ったまま。もう持ちこたえられない」との悲鳴が上がり、現に休廃業した店も増えています。
 あらためて、現時点での県民の命と暮らし、生業を守るための緊急要望をいたします。
 善処方ご検討いただき、後日、文書で回答ください。

《申し入れ事項》

1,医療体制の維持とPCR検査の抜本的な拡充
①新型コロナ患者を受け入れている医療機関はもとより、受診抑制の影響を受けている医療機関への財政支援を国に求めるとともに、県としても実態把握を行い、必要な財政手当てをすること。
②新型コロナ感染拡大の最大の要因である無症状感染者を早期発見し、保護・隔離するため、広島県が実施している薬局等を通じたPCR検査キットの無料配布に取り組むこと。
③若い世代に感染が広がっている状況を踏まえ、小中高校、大学生を対象にした前項のPCR検査キットの無料配布を検討すること。
④県が実施している介護保険施設や障害者施設等の従事者を対象にした一斉PCR検査については、1回限りとせず、ワクチン接種が行き渡るまでは頻回検査を実施すること。
⑤新型コロナ感染患者を受け入れている医療機関の従事者については、定期的なPCR検査を実施すること。また、それ以外の医療機関の従事者のPCR検査費用についても行政検査と同様の扱いにするよう国に求めること。
⑥新型コロナ感染拡大で懸念されている病床ひっ迫を加速させかねない地域医療構想に基づく病床削減、病院統合計画は中止し、拡充に転換するよう求めること。
⑦受診抑制につながる75歳以上の医療費2割負担への国の計画は中止するよう国に求めること。

2,ワクチンの迅速な接種体制の整備
①国に対し、必要なワクチンを一刻も早く確保するとともに、その配布スケジュールを明確にするよう求めること。
②自治体が実施するワクチン接種が円滑に進むよう県として人的、財政的な支援を行うこと。

3,中小零細事業者、困窮者等への支援
①営業時間の短縮や観光客の減少などで経営困難に陥っている中小零細事業者の経営を支援するため持続化給付金と住居確保支援金の再度交付を国に要望するとともに、県としても独自の財政支援を行なうこと。
②新型コロナによる失業や減収により生活に困窮する世帯等が増加していることを踏まえ、国に対し、定額給付金を支給するよう求めるとともに、県としても支援をすること。
③全国的に社会問題化している、生理用品が買えず、外出をためらう「生理の貧困」を生じさせないため、公立学校や公共施設に無料配布する窓口を設置すること。

4,東京オリンピック・パラリンピックの見直し
①新型コロナ感染拡大の第4波の終息見通しが立たない中で、感染拡大、医療体制のひっ迫を防ぐため、東京オリンピック・パラリンピックは中止するよう国に求めること。

以上

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 引き続き、新型コロナウイルス対策に関する皆さんのご意見をお聞かせください。

9知事「五輪 感染次第」と回答

 4日、毎日新聞は、東京オリンピック・パラリンピック開催について全47都道府県知事にアンケートを実施し、結果を次のように報じました。
 「4月20日に書面を送り、28日までに全知事から回答を得た。1問目は都道府県民の健康を守る立場の知事として開催をどのように考えるかを尋ね①感染状況にかかわらず開催すべきだ②感染状況次第で中止・延期すべきだ③すぐに中止延期すべきだ④わからないーの選択肢を示した。①と③を選んだ知事はおらず、秋田▽茨城▽埼玉▽山梨▽長野▽静岡▽鳥取▽大分▽沖縄各県の9知事がいずれも開催のメリットを認めつつも②を選択した。」「富山、岡山、広島、宮崎、鹿児島の5知事は『わからない』を選択。残る33知事は選択肢から回答を選ばす、『県として開催の可否を論ずる立場にない』(福井)、『大会の主催者等が判断すべきだ』(岐阜)などと政府や大会組織委員会、東京都などの判断に委ねる説明が目立った。」
 デジタル版には、各都道府県知事のコメントが掲載されています。
 山口県の村岡知事は無回答その他とし次のようにコメントしています。
 「新型コロナウイルス感染症の感染状況を踏まえ、東京2020大会に参加される選手・関係者はもとより、すべての国民に対する安全・安心の確保が重要であり、それが困難な状況になれば、主催者により開催方法の変更や、中止・延期を含め、適切に判断されるべきと考える。東京2020大会主催の主体となる5者(IOC,IPC、東京都、政府、大会組織委員会)において、専門家等の意見を取り入れ、感染対策を万全にし、科学的・客観的な観点から、安全・安心な大会が実現されるよう、しっかりと準備を進めていただきたい。」
 村岡知事は、五輪について、自らの意見は避け、主催者に判断を委ねる回答であり、私としては残念なものでしたが、「すべての国民に対する安全・安心の確保」が「困難な状況になれば」「中止・延期も含め」主催者が判断すべきと「中止・延期」も含めて検討すべきとの発言を行ったことは重要です。
 4日のしんぶん赤旗日刊紙は、「東京五輪・パラリンピック組織委員会が、大会中に各会場医務室などで対応可能な日本スポーツ協会公認ドクター(医師)を同協会を通じて200人程度募集していることが3日までに、分かりました。」「東京大会の医療スタッフをめぐっては、『しんぶん赤旗』のスクープで、組織委が4月に日本看護協会に対して看護師500人の確保を依頼していたことが判明しています。内閣府などによると、大会期間中に必要な医療従事者は医師約300人、看護師約400人のほか、歯科衛生士、理学療法士などとしています。うち医師と看護師のそれぞれ100人ずつが、新型コロナに対応するといいます。のべ人数では、約1万人の医療従事者が必要としています。国内で新型コロナの感染が拡大しているなか、医療従事者を退会に動員することは、医療現場などから厳しい批判が上がっています。」
 しんぶん赤旗日曜版(5月3・9日合併号)は、「東京都内の公立・私立の幼稚園から高校、特別支援学校などの園児や生徒などの約8割、約81万人を今夏の東京五輪・パラリンピック競技観戦に『動員』するー。新型コロナウイルス感染拡大が深刻となる中、子どもの命とリスクにさらす無謀な計画を都が強行しようとしていることが日曜版編集部の調べで分かりました。」と報じました。
 3日のしんぶん赤旗日刊紙に、水無田気流国学院大学教授が「東京五輪が『開催ありき』で進んでいることに危惧しています。」と発言しています。
 自民党の二階幹事長が東京五輪の開催は「中止を含めて」検討すると発言したことが大きな話題となりましたが、実際は、「開催ありき」で進んでいるとしか考えられません。
 五輪関係者は、村岡知事が指摘するように「中止・延期」を含めて検討すべき時にきています。
 コロナの第四波が猛威を振るう中、国民の命と五輪開催の両立はとても難しい状況です。五輪に約1万人の医療スタッフを動員することは無謀としかいいようがありません。
 東京五輪の開催について皆さんはどうお考えですか。ご意見をお聞かせ下さい。

映画「ノマドランド」

 2020年ベネチア国際映画祭金獅子賞と2020年トロント国際映画祭観客賞をW受賞したのがクロエ・ジャオ監督の映画「ノマドランド」です。2021年アカデミー賞では、作品賞、監督賞、主演女優賞の三部門を「ノマドランド」が独占しました。
 映画のチラシには「あなたの人生を変えるかもしれない、特別な作品」とありますが、昨日、この作品を観た私にとって、まさにこのキャッチフレーズ通りになりました。県内では下関市の映画館で今月中旬まで上映しています。一人でも多くの皆さんにこの作品に触れてほしいと思います。
 映画のチラシからこの映画の概要を紹介します。
 「企業の破たんと共に、長年住み慣れたネバダ州の住居も失ったファーンは、キャンピングカーに亡き夫との思い出を詰め込んで、〈現代のアマド=遊牧民〉として、季節労働の現場を渡り歩く。その日、その日を懸命に乗り越えながら、往く先々で出会うアマドたちとの心の交流と共に、誇りを持った彼女の自由な旅は続いていくー。」
 この映画の原作はジェシカ・ブルーダーのノンフィクション小説「ノマド 漂流する高齢者労働者たち」です。
 ジェシカは、昔から季節労働者はいたが、2000年代に入ってからはノマド(放浪の民)が増えてきたと次のように書いています。
 「昔ながらの家やアパートに住むことを諦めて、『車上住宅』に移り住んだ。現代のノマド(放浪の民)である。彼らにとってはどんな車も『住宅』になる。」
 アメリカにノマドが生まれた背景をジェシカはこう説明しています。
 「かつて中流階級が不可能な選択を迫られた結果、『ふつうの暮らし』に背を向けて立ち去りつつあるのだ。」
 ジェシカは「不可能な選択」をこう説明します。
 「食べものと歯の治療」「住宅ローンの支払いと電気代の支払い」、「車のローンの返済と薬の購入」、「家賃の支払いと学生ローンの返済」、「冬物の衣類と通勤用のガソリン」
 総じて、ジェシカは、ノマドが生まれる背景をこう解説しています。
 「とどまることを知らない家賃の高騰と、頑として上がらない賃金という経済的矛盾から脱出しようともがく人々だ。皆、万力に挟まれているかのような閉塞感のなかで、気が滅入るほど単調で骨が折れ、それでいて駐車料金や住宅ローンを払うとあとには何も残らない低賃金の仕事に、ありったけの時間を費やしている。暮らし向きを長期的に向上させる手立てもなく、リタイヤするあてもないままに。」
 ジェシカは「賃金の上昇率と住宅費の上昇率があまりに乖離した結果」ノマドが増えていると分析し次のように書いています。
 「私が出会ったノマドの多くは、勝てる見込みのない出来レースに時間を費やしすぎたと感じて、システムの裏をかく方法を見つけ出していた。伝統的な『ふつうの』家をあきらめることで、賃貸料や住宅ローンのくびきを壊したのだ。彼らはキャンピングカーやトレーラーハウスに移り住み、その時々に気候の良い場所から場所へと移動しながら、季節労働でガソリン代を稼いでいる。」
 この本の訳者である鈴木素子さんがこの作品についてこう書いています。
 「経済がグローバル化したいま、アメリカの経済危機が対岸の火事で済まないことは、私たちも痛いほど経験している。日本国内を見ても明るい材料は乏しく、先が見えない。少子高齢化が急速に進み、年金が医療保険の財源が先細るなか、自己責任の範囲は拡大するばかりだ。」
 鈴木さんの指摘の通り、映画「ノマドランド」は、日本の現実を写す鏡として見てほしいと思います。
 一方、鈴木さんは、こうも書いています。
 「そんな危機感を抱かせるにもかかわらず、本書の読後感は意外に明るい。車を生活の場とするライフスタイルに、自由への憧れが刺激される。登場するさまざまなキャンピングカーや改造車の写真を眺めていると、尽きせぬ興味がわいてくる。」
 映画「ノマドランド」の主人公であるファーンは脚本上の人物であるけれど、この映画には多くの実際のノマドの人々が登場しています。
 映画の中で、癌を患い余命を宣告されて「ノマド」として移動を続ける女性がファーンに今までに出会った自然の素晴らしさを語るシーンがあります。
 カヌーで川を下る彼女。無数のつばめの巣が集中した場所がありました。卵から雛がかえり、卵の殻が川に落ちてきます。親燕が一斉に飛び立ちます。こんな光景を見た時に彼女は「この瞬間に死ねたら、幸せ」と思ったとファーンに語ります。
 私は、冒頭でこの映画が「あなたの人生を変えるかもしれない特別な作品」になったと言いましたが、私は、このシーンを観て、人生の価値について考えさせられました。
 自分の人生を大切に生きるとは何かを考えさせられ、考えていこうとました。
 人生を変える映画とは、これまでの生き方を問い直す作品だと思います。
 私にとって、「ノマドランド」はこんな作品でした。
 「ノマドランド」をご覧になった皆さん感想をお聞かせ下さい。

高齢者施設等従業者への社会的検査、11府県が全域で実施

 国は、4月~6月に行う高齢者施設の従業者等への検査を行う「新集中的実施計画」の策定を全ての都道府県等に求めていました。
 4月14日に、策定状況が公表されました。
 この内容が、日本共産党中央委員会が発行する「地方議員FAXニュースNo428」に掲載されていましたので紹介します。
 全国の高齢者施設等の4月~6月に行う「集中的実施計画」の状況が公開されたのは、4月14日に行われた厚生労働省「第30回新型コロナウイルス感染症対策アドバイザーボード」の「資料5-1」です。
 集中的実施計画は、全国21都道府県などで策定されていました。
 その中に、山口県が含まれます。
 まず、対象地域です。山口県は、県内6市としています。
 集中的実施計画を策定した都道府県のなかで、全域としているのは、宮城県、埼玉県、千葉県、東京都、愛知県、京都府、大阪府、兵庫県、鳥取県、広島県、福岡県です。(保健所設置市を除いている自治体あり)

 実に、11府県が、全域を対象にしています。
 次に、対象施設です。山口県は、病院を精神・療養病院に限っています。山口県より病院の対象を広くしている可能性がある自治体は、広島県、高知県、沖縄県です。
 次に、対象者です。山口県は、従業者に限定していますが、埼玉県では、障害者施設に限り新規入所者も対象にしています。
 次に検査頻度です。山口県は期間中に1回です。山口県より検査頻度が多い自治体は次の通りです。
 宮城県週1回、群馬県2週に1回、埼玉県月1回、千葉県月1回、東京都月1回、神奈川県週1回、岐阜県2週に1回、愛知県期間中に2回、京都府期間中に2回、大阪府2週に1回、広島県月2回、福岡県月1回程度、長崎県2回、沖縄県期間中3回。

 実に14都府県が山口県より検査頻度を多く設定しています。
 山口県は、集中的実施計画を策定し454施設(2万2千人)の検査を実施することは評価します。
 その上で、厚労省の全国調査結果を見ると、対象地域や検査頻度を拡充していくことが求められていると思います。
 山口県で高齢者施設などを対象に6月末までの期間、従業者を対象に大規模な検査が実施されます。
 この集中的検査に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

市内各所で県議会宇部市議会議会報告会行う

 5月1日、鵜ノ島61区集会所で県政市政報告会が行われました。

 日本共産党宇部市議の皆さんと一緒に私は県議会報告を行いました。

 鵜ノ島61区集会所で行われた県政・市政報告会での報告者

(右から私、荒川市議、藤井市議、浅田市議)

 私が行った県議会報告の要旨は以下の通りです。

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 県議会報告を始めます。第一は、新型コロナ対策です。
 志位和夫委員長は、政府に「緊急要請 コロナ封じ込めのための大規模検査を」を求めました。緊急要請の第一は「社会的検査を高齢者施設とともに医療機関・障害者施設などにも広げ、職員に対して頻回・定期的に行い、対象を利用者にも広げ、感染防御をはかること」です。
 「山口県集中的実施計画」は、対象地域を岩国市、周南市、山口市、宇部市、山陽小野田市、下関市の6市としました。6月末までに、6市内の介護施設、障害者福祉施設、医療機関の従業者(454施設約2万2千人)を対象に1施設1回、行政検査を実施します。県の計画を評価した上で課題を示します。一つは、検査の定期化です。二つは6市以外の地域での検査の実施です。
 緊急要請の第二は「変異株の疑いを確認する検査の割合を大幅に引き上げること」です。村岡嗣政県知事は、記者会見で資料1のパネルを示し「県内で陽性が確認された場合には100%変異株かどうかの検査を行います。」と述べました。
 第二は、石炭火力発電所建設断念についてです。
 電源開発・大阪ガス・宇部興産は山口宇部パワーを設立し、宇部市に石炭火力発電所を建設する計画が進めてきました。2015年3月、宮沢環境大臣(当時)は、山口宇部パワーの計画段階環境配慮書に対して「現段階において是認し難い」との意見を経済産業大臣に提出しました。
 資料2の通り、2019年2月、日本共産党宇部市議団と私は、県知事と宇部市長に「山口県宇部パワーが提出した環境影響評価準備書に対し、2015年の環境大臣同様『是認できない』旨の意見を述べる」よう求めました。2019年4月、大阪ガスが山口宇部パワーからの撤退を表明し、残る2社は、現行の環境評価準備書を取り下げて、新たな計画を再提出する意向を明らかにしました。2019年6月県議会で私は、村岡知事に、新たな計画に対して環境大臣同様、「是認できない」とする方針で臨むべきだと質しました。
 資料3の通り4月16日、電源開発は、宇部興産は、電源開発と同じ理由で「本計画を取り止める」とのコメントを発表しました。

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 これからの県議会市議会報告の日時と場所を紹介します。

 不明な点があれば、本ブログトップページの問い合わせのバナーから私に連絡を下さい。

 5月7日(金)10時~ 萩原市営住宅集会所

 5月9日(日)10時~ 岬ふれあいセンター

 引き続き、県政に関する様々な情報や要望をお聞かせ下さい。