月別アーカイブ:2021年7月

「電気事業を行うためには保安林を解除しなければならないのか」に回答

 私は、6月県議会の一般質問で、(仮称)阿武町風力発電事業(以下、阿武風力発電)について質問を行いました。
 阿武風力発電は、環境影響評価法に基づき、これから環境影響評価方法書の審議が行われる段階です。
 にも関わらず、産業経済大臣の発電事業計画の認定を3月10日に受けていることが分かりました。
 また、当該地番は、保安林であることが分かり、解除の申請が行われていないことが分かりました。
 私は、一般質問の後、農林水産部にこの問題に関し資料請求を行い、この程、回答が寄せられましたので報告します。
 Q電気事業を行うためには保安林を解除しなければならないのか。
 A→再生可能エネルギー電気の固定価格買取制度の適用を受けようとする者は、経済産業大臣から発電事業計画の認定を受ける必要がある。その認定基準によれば、申請に係る再生可能エネルギー発電事業を営むに当たって、関係法令の規定を遵守するものであることが必要とされている。認定の申請時には、事業の実施に当たって必要な全ての手続きを終えておく必要はないが、認定後に必要な関係法令を遵守していないことが判明した場合には、認定が取消しになる可能性がある。
 →森林法において、「知事は、指定した保安林について、その指定の理由が消滅したとき※①は、遅滞なくその部分について保安林の指定を解除しなければならない。」または「公益上の理由により必要が生じたとき※②は、その部分につき保安林の指定を解除することができる。」とされている。
※①→受益の対象が消滅したとき
  →自然現象等により保安林が破壊され、森林に復旧することが著しく困難な場合
  →保安林の機能に代替する機能を果たす施設等が設置される場合
※②→土地収用法その他法令により土地を収用し若しくは使用できることとされている事業又はこれに準ずるものの用を供する必要が生じたとき
 Q保安林解除の許認可権者は県知事か。
 A県知事である。
 Q当該保安林の地上権は「県森と緑の公社」が保有してるが、その経緯。
 A公社が分収造林を行う場合には、契約地に地上権の設定を行っている。当該地は、昭和53年に公社が土地所有者と分収造林契約を締結し、地上権設定後、平成26年に保安林指定がなされたものである。
 Q森と緑の公社は現在、県やまぐち農林振興公社に統合されている。地上権者の登記が変更されていないことに関し、県はどのような問題があると認識しているのか。
 A以下の理由から、地上権登記の公社名称が変更されていないことについて、問題があるとは考えていない。
 ・地上権の登記は、法律上、義務とはなっていない。
 ・地上権登記は、名称変更があった場合でも、第三者への対抗要件となりうる。
 阿武風力発電所建設計画を考える会など3団体は、6月24日に要望書を提出し、7月13日に、要望書を追加しました。
 3団体は、県に対し、要望書への文書回答と関係部局との懇談会の開催を要請しています。
 引き続き、3団体と連携して、阿武風力発電事業の問題について必要な調査と発言を行っていきたいと思います。
 皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

中国電力は16日午後から調査中断を通告

 私は、立憲民主党の戸倉県議、社会民主党の中嶋・宮本県議とともに、16日、中国電力が上関原発建設のための海のボーリング調査を実施しようとしている上関町田ノ浦海岸を訪ねました。

  左から戸倉県議、宮本県議、中嶋県議、私です。訪問した16日の午後1時過ぎから調査は中断しています。

 7月14日、中国電力は、「調査場所付近におられる皆様へ」とする文書を祝島漁民の皆さんに渡しました。
 中国電力は「これまでの裁判において、祝島の方々には、中国電力が埋立工事施工区域内で行う地質調査を妨げないとお約束いただいています。」としています。
 具体的に中電は次の点を示しています。
①平成26年6月、祝島の方々と中国電力は裁判上の和解をしており、中国電力が埋立工事施工区域内で行う地質調査に関して、漁船等の船舶を侵入・係留して同調査を妨げないというお約束をしていただいています。
②今回の海上ボーリング調査はこのお約束の対象となるものですが、祝島の方々がこの調査場所付近に船舶を侵入・係留させていることが妨げとなり、中国電力は調査を行えない状況となっています。
③どのような理由であっても、この調査付近に船舶を侵入・係留させることは、調査の妨げとなり、お約束に反する行為となりますので、速やかにこの付近から離れていただくようお願いいたします。
 私たちが、田ノ浦を訪ねた当日の9時15分頃、上関原発を建てさせない祝島島民の会の清水会長は、笹木中国電力上関事務所副所長に「『調査場所付近におられる皆様へ』への反論」を手渡しました。
 反論書の内容は次の通りです。
①「調査場所付近におられる皆様へ」には、「平成26年6月、祝島の方々と中国電力は裁判上の和解をしており、中国電力が埋立工事施行区域内で行う地質調査に関して、漁船等の船舶を進入・係留して同調査を妨げないというお約束をしていただいています」として、中国電力と祝島漁民との和解の内容を記した山口地裁平成26年6月11日審尋調書が添付されている。
②当該審尋調書に記されている和解条項には、次のとおり記されている。「2、申立人らと被申立人は、被申立人が、本件公有水面につき、有効な公有水面埋立法による免許に基づき、適法に埋立てに関する工事を再開したときは、申立人らが被申立人に対し、本件仮処分決定主文第1項の不作為義務を負うことを確認する。」
③上掲和解条項に示されているように、中国電力が、「適法に埋立てに関する工事を再開したとき」は、祝島漁民は中国電力に対し上記不作為義務を負う。
④ところで、適法に埋立工事がなされるには「事業者と公の関係」において埋立免許が出されるだけでなく、「事業者と民の関係」において損失補償がなされることが必要である。同時に、適法にボーリング調査がなされるには、「事業者と公の関係」において一般海域占用許可が出されるだけでなく、「事業者と民の関係」において損失補償がなされることが必要である。
⑤しかるに、本件ボーリング調査においては、祝島漁民への損失補償は一切なされていない。したがって、本件ボーリング調査は適法になされておらず、祝島漁民が上記不作為義務を負うことは全くない。
 笹木副所長が16日、10時頃清水会長にたいし「話し合いを持てないか」と言ってきましたが、清水会長が「埋立中止をしない限り、話し合いには応じない」と返答したました。
 笹木副所長は、同日、午後1時頃「内部で弁護士等と打ち合わせるので、当分調査はしない」と言い、その日の中国電力による調査は終了しました。
 その後、今日まで、中国電力の調査は行われていません。
 熊本一規明治学院大学名誉教授は、自らのホームページで祝島島民の会の反論書について「反論書は、簡潔に言えば、適法な埋立・調査のためには損失補償が必要だが、本件では損失補償がなされておらず、違法な調査である。したがって、祝島漁民が上記不作為義務を負うことはない、というものです。」と述べています。
 中国電力は許可漁業者・自由漁業者である祝島漁民の皆さんへ損失補償を行っていません。
 中国電力の「一般海域占用許可申請書」には、祝島漁民の同意書が添付されていません。
 今回の反論書は、県が中国電力に許可した一般海域占用許可にも重大な問題があったことを示しています。
 引き続き、祝島漁民の皆さんを始め、上関原発はいらないと運動されている皆さんと一緒に、運動を続け、県議会で必要な発電を行っていきたいと思います。

ルネサスが山口工場を来年6月末で閉鎖すると発表

 ルネサス エレクトロニクス株式会社は、7月16日、「山口工場の集約時期のお知らせ」とするプレスリリースを発表しました。

 ルネサスが来年6月末で廃止すると発表したルネサスセミコンダクタマニュファクチュアリング㈱山口工場

 お知らせには「ルネサス セミコンダクタマニュファクチュアリング株式会社の山口工場(山口県宇部市)について2022年6月末に集約することを決定しました。」とし、具体的には、「現在生産している製品は、当社グループの他拠点への生産移管や生産中止を行います。本集約に伴う社員の処遇につきましては、雇用の継続を念頭に置き、今後、労使間で協議してまいります。また、集約後の山口工場については、引き続き譲渡先の確保に努めてまいります。」とあります。
 ルネサス山口工場は、日本電気山口工場として1985年に創業を開始しました。楠町(現在、宇部市と合併)は、立地奨励金など約2億円を支出し、山口県は、工業用水の敷設に5億7千万円の負担をしています。
 2018年山口工場閉鎖発表の際、久保田宇部市長(当時)は、「山口工場の存続について、再度検討いただくとともに、従業者の雇用が継続されるよう、県と連携し要請していきたい」とコメントしています。
 ルネサス山口工場は、日本電気山口工場として1985年に操業を開始して以来、宇部市と山口県の雇用と地域振興に大きな役割を発揮してきました。
 宇部市や山口県の山口工場存続の要請が行われたにも関わらず、2022年6月末に閉鎖の方向が出されたことは、私としてもとても残念に感じています。

 私と日本共産党宇部市議団で、7月21日水曜日に県知事と宇部市長に「ルネサス山口工場の事業継続と従業者の雇用継続を求める要望書」を提出する予定です。

 要望を行った内容は、後日のブログで報告していきます。

 ルネサスで働いておられる県民の皆さん、ご家族や関係者の皆さん、皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

美和町メガソーラー建設地周辺で河川護岸崩壊や法面崩壊起こる

 岩国市美和町でメガソーラーが建設中です。
 7月8日の大雨で、開発地の周辺で複数の土砂災害が発生しました。7月16日、松田一志衆議院山口2区候補とともに、中村美和町の自然を守る会会長の案内で、現場を視察しました。
 写真①は、メガソーラーに反対を表明されている立岩地区を流れる下畑川(立岩川)の護岸が大きく崩れた現場です。

 

 写真① 下畑川の護岸が崩壊している現場です。近くに、メガソーラーのための新たな放水路があります。

 7月8日の大雨で、この場所を含め17カ所の護岸が崩壊しました。当日は、復旧に向け、護岸や農地の測量が行われていました。
 写真②は、県道周東根笠本郷線(県道2号線)に平行して走る太田原川の法面の崩壊現場です。

 

 写真② 県道周東根笠本郷線(県道2号線)と並行して流れる生見川の法面が崩壊した現場です。

 法面は、メガソーラー建設のための盛り土とみられ、5月20日の大雨で崩壊し、7月8日の大雨で再び崩壊しました。当日は、メガソーラーの施行業者などが復旧の相談を行っていました。
 写真③は、県道秋掛錦線(県道134号線)の法面が大きく崩壊した現場です。

 

 写真③ 県道秋掛錦線(県道134号線)が大きく崩落した現場。生見川法面の崩壊と連動か。

 県道の法面の下には、太田原川が流れています。太田原川の法面も崩壊しています。
 太田原川の法面は、メガソーラー建設のための盛り土と思われます。太田原川の法面が崩れ、せき止められた大量の土砂が、下流に押し流されて、県道の法面を崩壊させた可能性があるのではないかと感じました。当日は、メガソーラーの施行業者が、生見川の崩壊した法面の土砂を撤去していました。
 7月12日、廣兼立岩地区自治会長と林片山地区自治会長と中村美和町の自然を守る会会長が、村岡県知事に対して「岩国市美和町の太陽光発電所建設に伴う林地開発許可の取り消し(計画の見直しを含む)を求める請願書」を提出しました。
 要望書は「5月に発生した県道2号線の土砂崩れは、林地開発が原因と考えられます。開発業者の責任で早急に復旧工事に着手するよう指導」を求めました。
 この点に県の担当者は「早急に応急対策の改善を指導する」などと答えたと7月14日付しんぶん赤旗は報じています。
 7月8日の大雨で周辺の地域で被害が出ていないにも関わらず、下畑川、太田原川、県道秋掛錦線で被害が出た要因として、メガソーラーの開発があるのではないかということを現場に立って実感しました。
 河川の護岸の崩壊や土砂の流入で、立岩地区や秋掛地区の農地に被害が出ています。
 また、県道秋掛錦線などは県管理道路などです。農地の復旧だけではなく、県管理道路などの復旧にあたっては開発業者の責任を明らかにして対応すべきだと現場に立って感じました。

土砂災害特別警戒区域への太陽光発電施設設置を規制する条例制定を

 昨日、防府市を中心に活動する「野ばら生物多様性協議会(益田悦子代表)」は、村岡知事に対し、防府市「真尾地区太陽光発電所計画に関する要望」を提出しました。

 「防府市真尾地区太陽光発電所建設に関する要望」書を提出する益田悦子野ばら生物多様性協議会代表

 株式会社木下エネルギーパークが、ライフケア高砂跡地を建設予定地として太陽光発電所の設置を計画しています。
 予定地は土砂災害特別警戒区域、土砂災害警戒区域があり、要望書は「ひとたび災害が発生すれば漏電で可能性は極めて高く、人命に関わる甚大な被害、パネル損壊により有害物質が土壌・河川への浸透、流出の可能性など安全面からも適切な場所とはいえません。」と指摘しています。
 益田代表は、「2009年に土石流災害で、多くの人の命が奪われた。そのような場所に太陽光発電施設を建設すべきではない。土砂災害特別警戒区域に太陽光発電施設を設置できない規制を県は設けるべきだ。」と要望主旨を説明しました。
 要望書は、次の点を要望し、県から次の主旨の回答がありました。
 第一は、「計画内容を示し、防災、住民の安全対策など、説明をきちんとするよう、事業計画業者を指導していただきたい。」です。
 県商工労働部商政課の担当者は「太陽光発電事業に関わる事務は、国が担当している。県が業者を指導することは出来ない。」と答えました。
 第二は、「自然環境の保護、里山の景観を守り、絶滅危惧種、準絶滅危惧種など希少野生動植物の保護をするため、計画中止を表明していただきたい。」です。
 環境生活部自然保護課の担当者は「工事の過程で、保護が必要な動植物が発見された場合は、保護を業者に求めたい。事業の中止を求めることは出来ない。」と答えました。
 第三は、「土砂災害特別警戒区域への太陽光発電設置の禁止、警戒区域など設置に適さない場所への規制を含む太陽光発電設置に関する条例を策定していただきたい。」です。
 土木建築部砂防課の担当者は、「土砂災害特別警戒区域は、居住を伴う建物を建てることは出来ないが、太陽光発電施設は、居住を伴わない建物なので設置に関し法的問題はない。6月県議会で答弁したが、関係法令で対応しており、支障は生じていないので、条例制定は考えていない。」と答えました。
 私は、「太陽光発電所が災害を発生させる恐れがあることから、他県では条例を制定していることを県はどう受け止めているのか。国は、地球環境温暖化対策促進法を改正する中で、再生可能エネルギー発電施設の新設などを優遇する『促進区域』を設定しようとしている。『促進区域』は、『土砂災害特別警戒区域』などは含めない方向で検討されているとの報道がある。県は、国の動きをどう受け止めているのか。」と質しました。
 県の担当者は「他県や国の動向は承知している。」と答えました。
 私は、「県は、環境アセスの対象に太陽発電施設を含めた。また、林地開発の要綱に、太陽光発電施設を含めた。県は、太陽光発電施設について、関係法令では対処できない問題を対象にしてきた。県は、県内で、発生している再生可能エネルギー発電施設で発生している様々な問題を直視し、国や他県での取組に学び、太陽光発電施設を規制するガイドラインや条例を制定すべきだ。」と質しました。
 県の担当者は、「6月県議会で答弁した通り、条例制定は考えていない。」と答えました。
 私は、「再生可能エネルギー発電施設の設置の問題点を検証する全庁的なチームを立ち上げる時だ。」と重ねて要望しました。

防府警察署の建て替えを市役所新庁舎「空地」を含めて「検討」との答弁

 防府市は、2018年以降、県への予算要望で防府警察署を建替える際に、防府市役所建設に伴い生じる「空地」への移転の検討を求めています。
 4月19日、防府市の市民団体「新庁舎建設を考える会」は、県警本部長に「防府市役所新庁舎建設に伴う『空地』への警察署移転に関する要望書」を提出しました。
 要望書は、新庁舎の「空地」へ警察署が移転すれば「防災空地」がなくなることや、交差点に近すぎて利用しづらくなるなどの理由で反対を表明しています。
 私が、この間、建替えられた警察署を調べてみると、署員が減少した美祢署を除き、警察署の建て替え後、敷地面積が増加しています。
 現在の防府署の面積は6003㎡です。新庁舎の「空地」は5000㎡です。
 私は、「防府署の移転先として新庁舎の『空地』は敵地ではないと言わなければならない。県警本部長の見解を尋ねる」と質しました。
 谷県警本部長は「昭和46年に建築された防府警察署は、今年で築後50年になるが、施設の老朽化はもとより、OA機器の導入等による狭隘化も著しく、多目的トイレもエレベーターも設けられていないなど、バリアフリーという点でも地域の方々の利便性を著しく欠いており、その建替整備は喫緊の課題と位置付けている。そのような中、防府市から知事部局に対し、防府市役所庁舎跡地への移転要望がなされたものだが、県警察としては、大変ありがたい話であると受け止めている。同地の敷地面積が現庁舎のそれよりも狭いとのご指摘があったが、新しい警察署が、防府市の警察活動の拠点として必要な機能性や執務・来客スペース等を確保すべきことは当然であり、警察署庁舎の効率的な整備等により対処すべく検討を進めてまいる。敷地面積以外にも、移転に反対するご意見があることも聞いているが、県警察としては、防府市を始め関係者の皆さんの声に耳を傾けつつ、警察活動の機能性や利用する市民の利便性を確保するための庁舎のあり方について、知事部局と連携しながら引き続き検討してまいりたいと考えている。」と答えました。
 県警察として、防府警察署の建て替えを防府市役所新庁舎「空地」への移設を含めて「検討」するとの答弁でした。
 この答弁を受け、よりよい防府署の建て替えになるよう県民の声を急いで上げていく時だと思います。
 防府警察署建替え問題について、皆さんのご意見をお聞かせ下さい。