藤本かずのりサポーターズ はじめました

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人間よりも国が大事だと考えるとき、戦争の準備は始まっています。

 日本基督教団の牧師でありながら、辺野古新基地建設抗議の海上行動を行う「不屈」の船長である金井創さんは、先日、山口県で講演をされました。
 田植えの準備で、その学習会に参加できなかったのですが、金井創著「沖縄・辺野古の抗議船『不屈』からの便り」を読む機会を得ました。
 金井さんが勤務する沖縄キリスト教平和総合研究所で全国募金をして新しい船を購入することになりました。船の名前を「不屈」にしたことについて金井さんは次のように書いています。
 「座り込みテントで一枚のチラシを見ました。そこには2014年9月3日に名護市中心の街頭で翁長雄志那覇市長(当時)と稲嶺進名護市長(当時)が並んで大演説会を行うという予告チラシでした。驚きました。翁長さんと言えば自民党沖縄県連の会長、沖縄の保守のリーダーでしたし、稲嶺さんは辺野古に基地を絶対に作らないことを公約に掲げて名護市長になった人です。傍から見れば立場の全く異なる二人が仲良く並んで演説会をする、こんなことが実現するかという驚きです。これが私にとっては一連の『オール沖縄』との運動の初めての出会いでした。その時に、座り込みテントにはいつも貼っていた瀬長亀次郎さんの言葉『弾圧は抵抗を呼ぶ 抵抗は友を呼ぶ』という言葉を初めて実感を持って納得できました。瀬長さんの言った言葉がいま目の前で本当に起こっていることへの驚きと感動です。それを思った時に、天から降ってきたのです。『不屈』の言葉です。(中略)『不屈』という言葉も瀬長さんが色紙などによく書いていたものですし、座右の銘と言ってもよい言葉だと思っていました。」
 瀬長亀次郎さんの言葉が「オール沖縄」の運動の芯にあることを実感しました。
 辺野古の近くの佐敷教会では年4回、「戦争責任告白」を皆で朗読するそうです。
 「神様、むかし、日本は戦争をしてたくさんの国々にめいわくをかけ、たくさんの人に悲しい思いをさせてきました。戦争は勝っても負けても、たくさんの命を奪うものです。弱い立場の人たち、赤ちゃんやお年寄りがさいしょに命を奪われていきます。神様が創られた自然を、戦争はこわしました。教会はその戦争の手伝いをしました。わたしたちの教会は大きなあやまちをしてしまったのです。人間よりも国が大事だと考えるとき、戦争の準備は始まっています。みんなで歌いなさいと、国の歌が押し付けられています。一人一人の心を大切にしないからです。外国からたくさんの人をさらってしまいます。人間を大切にしなくなっているからです。わたしたちの住む沖縄で、アジアのたくさんの悲しいことが起きています。人間の命よりも国の秘密が大事にされているからです。けれど、どんなことが起きたのか、わたしたちはあまり知っていません。戦争の準備や基地に慣れてしまっています。『自分に関係ない』と思ってしまっています。遠い出来事だと思ってしまっています。慣れてしまい、『関係ない』と思うことが一番こわいことです。わたしたちの心は今、とてもあぶないところに立っているのです。どうしたら、戦争をやめることができるでしょうか。どうしたら平和を造ることができるでしょうか。あやまる心を持つことです。困っている人を助けることです。ちがいを認め合うことです。自然を大切にすることです。武器を持たないことです。『関係ない』と思わないで、自分に大きな関係があると知ることです。押し付けられたものではなくて、大切にしたいものを一人一人が見つけることです。神さまがわたしたち一人一人を大切にしてくださっていることを知ることです。神さまがのぞむ平和な世界をつくるために、愛と勇気をもって戦争に反対します。」
 私が敬愛する武蔵野大学名誉教授の山崎龍明さんは自著「平和への道 憲法9条は仏の願い」で「第一次世界大戦、第二次世界大戦にあっても仏教教団と仏教者は積極的に戦争協力の道を歩んだことはよく知られるところです。」と書いています。
 仏教を学ぶ者として、佐敷教会で朗読されている「戦争責任告白」は私の胸を打ちます。「教会はその戦争の手伝いをしました。」このことを戦後80年近くなる今でも忘れず「告白」し続けることの大切さを感じました。
 「人間より国が大事だと考えるとき、戦争の準備は始まっています。」
 まさに、辺野古で新基地が建設されている状況こそ、この言葉が現実に迫っていることが分かります。
 また、土地利用規制法の強行や、オリンピックを強行しようとする政治状況も、この事が現実に迫ってきている証左かも知れません。
 「関係ない」と思わないで、私は、これからも平和を造るために、皆さんと一緒に力を尽くしていこうと思いました。
 金井牧師のお話を直接お聞きすることは叶いませんでしたが、この本を読んで、金井さんと心が通じ合えた思いがしました。
 金井牧師さんに、コロナ収束後の辺野古でお会いしたいと思います。
 金井さん、すばらしい本をありがとうございました。
 これからもこの道を歩んでいく勇気をいただきました。
 金井さんの本を読んで、これからも少しづつ仏教を学んでいこうとも決意を新たにしました。
 辺野古新基地建設に対する皆さんの想いをお聞かせ下さい。

6月補正予算に生理用品の配布費が計上される

村岡県知事は、6月16日、記者会見を行い、6月補正予算の概要を発表しました。6月補正予算の総額は241億円です。その内、239億円が新型コロナ感染症対策関連予算です。
 新型コロナ感染症対策関連の第一の柱は、感染拡大の防止です。
ワクチン接種の加速化を図るため、県内3カ所に広域的な集団接種会場が設置されます。
 第二の柱は、県民生活の安定です。新型コロナ感染症の影響が長引く中、女性への深刻な影響が明らかになりました。補正予算にはSNS相談や女性相談会の開催とともに、生理用品の配布を行うなどの女性への支援に1500万円が計上されています。
 第三の柱は、県内経済の下支えです。売上が30%以上減少した県内中小企業に、事業継続支援金を支給します。法人には40万円、個人には20万円です。また、飲食店の感染防止対策に県独自の基準を設け、その基準を満たした場合に認証を行います。認証店に20万円の応援金を支給します。
 日本共産党県議団などは、5月6日、新型コロナ対応に係る第6次の申し入れを行いました。この中に、①自治体が実施するワクチン接種が円滑に進むよう県として人的、財政的な支援をおこなうこと②「生理の貧困」を生じさせないため、公立学校や公共施設に無料配布する窓口を設置すること③中小零細事業者の経営を支援するため県としても独自の財政支援を行うことなどを求めてきました。
 6月補正予算には、これら日本共産党県議団などが求めてきた要望が反映されたものとなっています。藤本県議は「引き続き、新型コロナ感染症対策の諸制度の拡充を求めていく」と話しています。

山口県内の県立高校の校則に下着の色を指定するものがある

 15日、しんぶん赤旗日刊紙は、文科省が校則の見直しで通知を発出したと次のように報じました。
 「生徒の下着の色や髪型を指定して点検する人権侵害ともいえる校則や指導が問題となるなか、文部科学省は児童生徒の実情や保護者の考え方などを踏まえて校則を絶えず積極的に見直すよう求める通知を全国の教育委員会に出しました。通知は8日付。校則見直しで考慮すべきこととしてほかに地域の状況、社会の常識、時代の進展を挙げています。通知は『校則は、学校が教育目的を達成するために必要かつ合理的な範囲内において定められるもの』とし、校則が真に効果を上げるには『内容や必要性について児童生徒・保護者との間に共通理解を持つようにすることが重要』だと指摘。校則の見直しに児童生徒が参加することで、校則への理解を深めたり、主体性を培ったりする機会にもなるとしています。また、下着の色指定などについて見直しを促し全ての学校で改定された岐阜県教育委員会の事例や、学級や生徒総会での議論を校則改定に反映した公立中学校の事例を紹介しています。日本共産党の吉良よし子議員は3月21日の参院文教委員会で、理不尽な校則が子どもの心を傷つけている問題を取り上げ『おかしいと思ったら意見していいし、変えられると子どもたちに伝えてほしい』と要望。萩生田光一文科相は『おかしな校則を変えようと高校生や中学生が声をあげることはいいことだ』と応じていました。日本共産党は東京都議会でも理不尽な校則の改善を繰り返し求めてきました。」
 NHKは、校則問題での三重県教育委員会の対応を次のように報じました。
 「文部科学省が、先週、全国の教育委員会に対し、社会常識や時代に合わせて積極的に校則を見直すよう通知したことを受けて、三重県教育委員会も14日、県立学校と県内の市と町の教育委員会に同様の通知を出しました。一方、三重県教育委員会によりますと、今回の通知に先駆けて、県内すべての県立高校は今年度から、制服を性別ごとに定める記述や、髪の毛が黒以外の色やくせ毛の生徒に対して、事前に『地毛証明書』の提出を求める記述を、校則から削除したということです。三重県教育委員会は今年度中を目標に、各県立高校の校則を各校のホームページで公開したいとしていて、生徒指導課の井ノ口誠充課長は『誰が見ても納得できるよう、時代に合わせて絶えず校則の見直しを図っていきたい』と話していました。」
 赤旗やNHKが報じた文部科学省の通知は、6月8日、文部科学省初等中等教育局児童生徒課から都道府県教育委員会、都道府県私立学校主管課に出された「校則の見直し等に関する取扱い事例について」とする事務連絡です。
 事務連絡は「都道府県教委などに、所管の学校に、都道府県に対しては、所轄の学校法人及び私立学校などに対して、周知を図る」ことを要請しています。
 三重県教委は、6月14日、各県立学校長に、「別添の取組事例を参考とし、学校や地域の実態に応じて、校則の見直し等に取り組むよう願います。」との鑑文を付け、文科省の事務連絡と別添の取組事例を届けています。
 山口県教委や山口県がこの事務連絡を受けて、県立学校や県内の私立学校にどのように8日付で、関係機関に周知したとの報告を受けました。
 私は、県内の県立高校の校則を県教委を通じて、集約しているところです。現在まで集まっている県立高校の校則の中で、下着の色を指定する内容など生徒の人権に配慮がない内容が含まれていることを確認しました。

 NHKの記事に、三重県の県立高校で、いわゆる「地毛証明書」の提出が廃止されたことや、校則がホームページに掲載されるなど、県内で具体的に校則が人権に配慮したものに変わっていることが報じられています。

 山口県教委などは、国の通知を受けて、県内の学校の校則の実態を調査し、改善方策を独自に提示すべきです。

 可能な限り、全県の県立高校の校則を入手し、6月県議会の中で、県立高校の校則について大いに議論したいと思っています。
 校則について皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

県6月補正予算に中小業者へ支援金と応援金を支給

 昨日の読売新聞は、6月議会に上程される補正予算の内容に中小企業予算が計上されると次のように報じました。
 「新型コロナウイルスの感染拡大で打撃を受けた中小企業や個人事業主に対し、県が支援金を支給する方針を固めたことがわかった。県が実施している集中対策などで影響を受けた事業者を支援することで、県内経済へのてこ入れを図る。関連経費を盛り込んだ補正予算案を県議会6月定例会に提案する。支給対象は、今年に入って売り上げが前年同期と比べ30%以上減少した事業者。支援金は一律で、法人が40万円、個人事業主が20万円という。費用は約26億円が見込まれている。そのほか、仕切り板の設置や換気、手指消毒といった感染対策について、一定の基準を満たしている飲食店には応援金として20万円を支給。新たに感染防止策や事業展開を行う企業に対しては、経費を50万円まで支援する。県は5月18日から、『Go To イート』のプレミアム宿泊券の利用自粛や、外出機会の半減を県民に呼びかける集中対策を実施。これらの影響で、飲食店などでは大きく売り上げが減少するなど県内経済に影響が出ている。」
 日本共産党県議団などは、5月6日、県知事に第6次のコロナ対策に関する要望書を提出しました。
 この中で、中小零細事業者、困窮者等への支援を項目建てし、「営業時間の短縮や観光客の減少などで経営困難に陥っている中小零細事業者の経営を支援するため持続化給付金と住居確保支援金の再度交付を国に要望するとともに、県としても独自の財政支援を行うこと。」を要望しました。
 6月議会に上程されるとの報道がある中小業者支援が事実ならば、日本共産党県議団も要望してきた内容であり、評価したいと思います。
 今日の知事の記者会見で詳細が明らかになります。詳細を検討し、引き続き、県内の中小業者への支援について必要な発言を続けたいと思います。
 6月議会に提出される補正予算に中小企業を支援する内容が含まれるとの報道がありました。この点に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

宇部市内に健全度3(早期措置段階)の橋が24橋あることが判明

 私は、2月県議会において室津側の上関大橋で発生した鋼棒の破断問題について質問を行いました。
 この中で、2006年に長島側の上関大橋で鋼棒の破断が起きていたことを指摘し、なぜ、県はこれまで公表しなかったのか質しました。
 これに、阿部土木建築部長は「15年前のケースでは、構造計算をした結果、橋の安全性が確認でき、通行に支障がある変状もなかったことから、公表しませんでした。」と答えました。
 同時に、阿部部長は「今後、橋の重要性や損傷の過程などによる公表基準を定め、点検結果を公表する考え」を明らかにしました。
 その後、土木建築部道路整備課は、3月30日に、橋梁の調査結果の公表基準を公表しました。
 そして、5月28日、道路整備課は、①県管理橋梁4315橋の健全度を含めた管理一覧表の公表②県管理離島架橋(9橋)の過去の補強履歴や最新の点検結果を含めた橋梁管理カルテの公表を行いました。
 まず、橋梁管理一覧表の公表についてです。これは、昨年度末の段階での県管理橋梁全ての健全度が明らかになっています。今回の公表で、緊急措置段階である健全度4の橋はありませんでしたが、早期措置段階である健全度3の橋は、537橋ありました。
 健全度3の宇部市内21橋を紹介します。(道路名、場所、橋梁名)
①県道宇部船木線・宇部市大字妻崎開作・東割B橋
②県道宇部船木線・宇部市大字中野開作・八千代橋
③県道宇部船木線・宇部市東割・小八千代橋
④県道宇部船木線・宇部市大字際波・西宇部2号橋
⑤県道宇部船木線・宇部市大字際波・寺田跨線橋
⑥県道宇部船木線・宇部市大字船木・古川橋
⑦県道小野田美東線・宇部市大字矢矯・下矢矯橋
⑧県道小野田美東線・宇部市大字矢矯・下舩原橋

⑨県道小野田美東線・宇部市大字東吉部・今瀬橋

⑩国道490号・宇部市大字善和・善和橋

⑪国道490号・宇部市大字車地・車地1号橋
⑫国道490号・宇部市大字小野・下瀬戸橋
⑬県道宇部停車場線・宇部市大字際波・第二西ケ丘跨線橋
⑭県道宇部美祢線・宇部市大字西万倉・いさぢ橋
⑮県道宇部美祢線・宇部市大字西万倉・上五ノ瀬橋
⑯県道山口宇部線・宇部市大字東岐波・権現橋
⑰県道山口宇部線・宇部市大字西岐波・片倉高架橋
⑱県道山口宇部線・宇部市大字西岐波・大神田跨線橋
⑲県道山口宇部線・宇部市大字西岐波・迫田跨線橋
⑳県道山口宇部線・宇部市大字西岐波・黒岩跨線橋
㉑県道山口宇部線・宇部市大字西岐波・東片倉B橋
㉒県道宇部船木線・宇部市大字妻崎開作・東割2号B橋
㉓県道宇部船木線・宇部市大字妻崎開作・中野開作1号B橋
㉔県道宇部停車場線・宇部市大字際波・際波1号橋
 県内全ての橋の健全度が公表されたことは前進です。その上で、健全度3の橋から順次改修工事が行われるよう要望していきたいと思います。近くにお住まいの皆さん、橋の状況をお教え下さい。
 次に、県内の離島架橋(9橋)の過去の補強履歴なども含まれた橋梁管理カルテが公表されたことについてです。
 昨年、橋台端部の浮き上がりが発生した上関大橋についても管理カルテが公表され、15年前の鋼棒の破断についてもカルテに明記されたことは、15年前の調査結果を公表すべきと議会で質した議員の一人として、今回の県の対応を評価したいと思います。
 今回カルテが作成された離島架橋9橋については、今年度か来年度以降から補修工事が行われることも明記されています。
 橋梁管理カルテについて、道路整備課は、①今年度上半期を目途に長大橋・特殊橋(24橋)のカルテを公表予定②引き続き、特に重要な橋などのカルテを公表する予定としています。
 私は、昨年、11月県議会において、離島架橋及び長大橋16橋において個別の補修計画のない11橋について計画を策定すべきと質し、阿部土木建築部長が「計画を策定する」と答えました。
 私は、2月県議会で、上関大橋の鋼棒破断に関し、報告書を策定すべきと質し、阿部部長は「復旧検討会議終了後に報告書をとりまとめ、公表する」と答えました。
 これら、離島架橋等11橋の個別の補修計画の策定と上関大橋の鋼棒破断に関する報告書の策定について、土木建築部の担当者は、「議会答弁通り、今後対応する」と答えました。
 上関大橋での鋼棒破断を契機に、県内の橋の点検結果の公表が大きく進みました。以上報告した「橋梁管理一覧表」「橋梁管理カルテ」などは、県のホームページからご覧いただけます。
 山口県の橋梁に関する皆さんの声を引き続き藤本にお伝えください。
 今後とも必要な発言を続けてまいります。

100分de名著「華氏451度」読書ノート①

 NHKEテレの「100分de名著」は私の好きな番組の一つです。
 マルクス「資本論」や「歎異抄」など、この番組で多くのことを学んできました。
 今月は、レイ・ブラッドベリの「華氏451度」が取り上げられ、名古屋大学の戸田山和久教授が解説しています。
 「華氏451度」を原作としてフランソワ・トリュフォー監督による映画「華氏451」をDVDで観ました。細部に違いはありますが、作品の世界観を見事に描き出している映画だと思いました。
 解説の戸田山さんは、テキストの中で、今日「華氏451」を読む理由を2点述べています。
 第一は、現実を批判的にみる意味です。次のように書いています。
 「われわれの生きる現実を、ひょっとしたらこれは地獄かもしれない、という批判的視点から見る。これが、いま『華氏451度』を読むべき第一の理由です。」
 第二は、自分で考えることを促す意味です。次のように書いています。
 「すぐれた小説は、簡単にはその答えの出ない問いを読者に投げかけ、自分自身で考えることを促してくれるものでしょう。だから読むべきなのです。」
 「華氏451度」は、1950年代のアメリカのパロディとして書かれてあると戸田山さんは指摘します。その上で、1950年代のアメリカの特徴を4点挙げています。
 第一は、ファシズムの記憶が生々しい時代だということです。
 第二は、冷戦と核兵器の時代が始まった時代だということです。
 第三は、レッドパージが始まった時代だということです。
 第四は、大衆消費社会が本格化した時代だということです。
 戸田山さんは、第三と第四の点の関係を次のように書いています。
 「ブラッドベリは、テレビに代表される消費生活により、社会を覆いつくして始めた全体主義的傾向が隠蔽され、ひとびとが、社会に批判的な眼差しを向けることが困難になっていると気づきました。」
 戸田山さんは、社会に批判的な眼差しを向けることを躊躇う意識を体制順応主義という述べています。
 その上で、戸田山さんは、ブラッドベリは「体制順応主義者の地獄」をこの作品で描いたと述べています。
 体制順応主義者の地獄を生きる人々の象徴として描かれているのが、モンターグと妻のミルドレッドです。
 妻のミルドレッドは、耳にいつも巻貝を付けています。そうです、21世紀を生きる私たちが付けているイヤホンと同じです。ミルドレッドの姿を通して、彼らが暮らす「体制順応主義の地獄」の特徴を戸田山さんは4点挙げています。
 第一は、テクノロジーに媒介されたコミュニケーションが優勢な社会だということです。
 第二は、バーチャルな存在とコミュニケーションが優位な社会であるということです。
 第三は、すぐに答えを迫る社会だということです。
 第四は、この社会はひとびとはみな取り替えのきく存在であるということです。
 戸田山さんは、第三の点に関してテキストでこう書いています。
 「モンターグはすぐに返事をすることが当たり前だと思っている。即答が強制されている社会だからです。立ち止まってゆっくり考えてはいけない。反省的思考ではなく、反射的思考が推奨されている社会なのです。実際、すぐに答えが出る問いだけでコミュニケーションできるならば、余計なことを考えなくて済むので気楽かもしれません。」
 6月13日号のしんぶん赤旗日曜版で、戦史・紛争史研究家の山崎雅弘さんが、新型コロナウイルス感染が広がる中、東京五輪・パラリンピックを強行しようとする無謀さは、「戦中との共通点がある」と次のように指摘しています。
 「『インパール作戦』とは、太平洋戦争末期の1944年3月から7月にかけて、日本陸軍が今のミャンマーからインド東部に向けて行った侵攻作戦です。作戦を指揮した軍司令官の牟田口廉也は、兵站の維持の困難さなどを指摘した参謀を排除し、作戦を強行しました。その結果、餓死者、病死者が続出し、9万人の兵士が1万人になってしまいました。安倍・菅政権の新型コロナ対策と東京五輪開催への前のめりの姿勢は、これらの戦中の減少と極めて似通っています。自らの政治的野心と政治基盤の維持を優先させ、中止のタイミングを逸し、開催を強行するかたくなな態度を崩していません。国民の多数の反対を一顧だにせず、開催強行にまい進する菅政権の態度は、インパール作戦を強行した牟田口の姿をほうふつとさせます。菅首相は『感染状況がこうなれば五輪を中止する』という基準すら示すことを拒否しています。開催ありきのIOC(国際オリンピック委員会)に同調して、自国民の命と健康を優先第一位にしない無責任な『人命軽視』の姿勢です。」
 私たちが、「華氏541度」で描かれている「体制順応主義者の地獄」の世界に生きている現実があるのなら、今の現実に疑問を持ち、少しつづ、発言をしていくことが必要ではないでしょうか。
 今、国会で審議されて土地利用規制法案についても大いに疑問を持つ必要があります。
 10日の参議院内閣委員会での日本共産党の田村智子参議院議員の質疑で、小此木大臣は「機能疎外行為」が行われているとみなした場合は国が強制的に取得する土地収用を検討していることを明らかにしました。まさに、この法案は、戦前の「要塞地帯法」に酷似しています。
 政府与党は、来週の委員会で採決を強行し、会期中に成立を狙っていますが、一人一人の国民が今、発言すべき時です。
 「華氏451度」は、モンターグの成長記でもあります。モンターグは出会うクラリスなどの「教師」によって「体制順応主義の地獄」から抜け出していきます。
 100分de名著「華氏451度」は、今日、第三回目の放送が行われます。明日を入れてあと二回の講座ですが、戸田山教授からしっかり、「華氏451度」を学び、現実の社会を少しでも変えるヒントにしたいと思います。また、原書の翻訳本を少しづつ読んでいきたいと思います。
 レイ・ブラッドベリ著「華氏451度」に関し、皆さんのご意見、感想をお聞かせ下さい。