月別アーカイブ:2018年11月

タクシー運転手~約束は海を越えて~

 レンタルDVDでチャン・フン監督の映画「タクシー運転手~約束は海を越えて~」を観ました。

 韓国では1200万人突破の記録的にヒットした映画となりましたが、そのことが伺える、まさに今観るべき映画だと感じました。

 この映画は、光州事件に関わる物語です。

 光州事件とは、1980年5月18日から27日にかけて光州市を中心として起きた民衆の反政府蜂起です。デモ参加者は約20万人にまで増え、全実権を握る軍が市民を暴徒とみなし銃弾を浴びせました。少なくとも150名以上の市民が亡くなり3000人以上が負傷しました。

 1980年、私は、高校生でした。当時、隣の国で起きたこの重大事件を十分知りません。

 それには、理由があり、戒厳令で言論統制の中、光州事件の全容が韓国国内ですら、十分報道されていませんでした。

 映画は、光州を取材し、全世界に事件を伝えたドイツ人記者・ユンゲン・ヒンツペーターと彼おタクシーに乗せ、光州中心部に入ったタクシー運転手・キム・サボクに焦点を当てて描かれています。

 戒厳令の中、果敢に取材を続けるドイツ人記者の姿を、最近、開放された安田さんと重ねて観ました。

 当局が隠そうとする真実を世界に知らせる記者の存在の重要性を再認識しました。

 権力者が隠そうとした韓国現代史の重大事件を、今日、映画に仕上げたチャン・フン監督らスタッフの勇気に敬意を表したいと思います。

 この映画が作成され、ヒットした背景には、キャンドル革命で勝利した文大統領を誕生させた韓国民衆の底力を感じます。

 この映画を最後まで観て、ヒットした理由が分かった気がします。一人ひとりの民衆の生きる姿を喜怒哀楽を交えてしっかり描いていることです。

 特に、タクシー運転手を演じたソン・ガンホの演技は最高です。

 反政府蜂起に立ち上がった人びとに敬意を表しつつ、ドラマチックな映画に仕上げた監督とスタッフの皆さんに改めて感謝します。

 この映画は、西京シネクラブ12月例会として12月22日(土)に山口県教育会館で上映されます。

 上映時間は、①10:30~②13:30~③19:00~です。

 第二回目の上映終了後、16時~ 国際ジャーナリストの伊藤千尋さんが「不屈とケンチャナヨ(大丈夫だよ)~独裁を打倒した韓国の現場から」と題してスペシャルトークを行います。

 一人でも多くの方に観ていただきたい映画です。

 力が湧いてくる映画です。

アクセス数35万突破

 本ブログは、2006年12月28日に開設しました。

 もうすぐ13年目に突入します。

 その当時、現在、中学校2年生の娘は2歳だと書いています。

 当時は、県議の2期目の後半、県議会では人口減少問題対策特別委員会の委員長を務めていました。

 年齢は、40歳だったんですね。若いです。

 本ブログが、今朝の時点で、35万アクセスを突破しました。

 議員ではなくなったこの3年間は、話題が不足しがちでした。

 選挙が近づいてきた最近は、じっくり考える時間が少なくなってきて、付け焼刃な話題となりがちです。

 しかし、本ブログが、私の原動力であることは間違いありません。

 日々の生活サイクルの一つとなり、学習の機会となり、月一度発行している「かえる通信」の元となっています。

 とにもかくにも12年近く続けておられたのは、本ブログをご覧になっていただいている皆さんのおかげです。

 これまでも、これからも不十分な点は多々あると思いますが、「継続は力なり」の精神で続けてまいります。

 フェイスブックなどにも張り付けています。

 様々な形で、ご返事をいただけたら幸いです。

 今度は、40万アクセスに向けて、歩みを始めてまいります。

 様々な要望やご意見を、本ブログのトップページからお伝えください。

 それでは、今日も、本ブログ書きから私の一日がスタートします。

 皆さんにとって今日が素敵な一日となりますように願っています。

「イージス・アショア許すな」宣伝

 昨日、日本共産党山口県委員会主催で「イージス・アショア許すな」宣伝を現地、萩市・阿武町で行いました。

 私は、五十嵐萩市議と一緒に、萩市内で街頭宣伝を行いました。

イージス・アショア街宣

萩市内での「イージス・アショア許すな」宣伝

 私が行った演説の要旨は以下の通りです。

・・・

 日本共産党の前県議会議員の藤本です。この場所でお訴えします。

 防衛省の来年度概算要求には、陸上配備型迎撃システム「イージス・アショア」本体を2基導入するために2352億円もの関連経費が計上されています。しかし、配備候補地としている秋田県や山口県では、電磁波の影響やテロ攻撃の標的になることへの不安とともに、「北朝鮮情勢が変わっているのになぜ必要か」という批判が噴出しています。
 日本共産党の山下芳生副委員長参議院本会議で「地元や住民の合意なしに計画を進めることなどあってはなりません。米側の武器購入要求に唯々諾々と応じ、朝鮮半島の平和と安定に背を向け、逆に情勢を悪化させることになるイージス・アショアの配備は中止することを強く求めます。」と安倍首相に建設中止を強く求めました。
 地元阿武町では、宇生賀地区の16の自治会長らが「配備計画の撤回を求める請願」を町議会に提出し、9月20日、町議会は全会一致で採択しました。同日花田町長は「まちづくりに逆行する」と反対を表明しました。
 花田町長は、日本共産党の機関紙「赤旗」のインタビューでこう語っています。「町民の信託を受けて町長に就任した私の大義は、町民の安心・安全の確保です。それを脅かすものを排除するのは町長として当然の責務です。」と語っています。私たちは、町長の判断を支持して力を尽くします。
 防衛省の適地調査が開始されました。宇生賀中央自治会は調査の協力はできないとボーリング調査に応じておられません。
萩市議会全員協議会での宮内議員の質疑に対し五味戦略企画課長は、発射後の、2段目、3段目ミサイルについて、『絶対に陸上に落ちないのかということは、色々な条件があるので必ずしも100%ではないということも考えられる』と答えました。
 萩市議会全員協議会の場で、日本共産党の宮内議員が、「計画に反対する住民の声も適地としての判断要素になるのか」と質し、五味課長は、「適地かどうか判断する上で住民の皆さんの理解は重要な要素となる」と答えました。この点で、阿武町の花田町長の「配備反対」の表明は、防衛省が行う適地かどうかの判断において、重大な要素になります。
 建設反対の声を更に強めてイージス・アショアをストップしましょう。

・・・

 イージス・アショアに対する皆さんのご意見を引き続きお寄せ下さい。

安倍改憲居直り答弁

 14日付しんぶん赤旗日刊紙に、沖縄大学客員教授の小林武さんの、安倍首相が、志位委員長の質問に答え、国会に対して改憲の議論をうながすことは、問題ないと答弁したことに対する談話が掲載されました。

 「30日の衆参両院代表質問では、安倍首相は憲法上の根拠を示そうとして、63条(首相・大臣の議会出席・発言)、67条(首相は国会議員の中から指名)を挙げ、国会に対して改憲の議論を呼びかけることは禁じられていない、と述べました。しかし、憲法改正は、主権者である国民が国民投票で決定する課題であり、したがって、96条は、その発議をする権限を国民の代表機関である国会に委ねています。こそに内閣や首相が関与する余地はなく、63条や67条を関与の根拠とすることはできません。首相は答弁で96条にふれませんでしたが、たしかに、これを持ち出すと自身の解釈が崩壊してしまうことになります。99条との関係でも、安倍首相は、同条は、首相等が改憲の主張をすることを禁止する趣旨ではない、と言います。しかし、国民代表である国会議員とは異なり、首相を含む国務大臣が憲法の精神に反する言動をしていて、その立場で改憲を主張することは同条に抵触することになります。安倍氏の場合、第2次内閣発足の前とはいえ、この憲法に対し『いじましい憲法』『みっともない憲法』などと最大級の悪罵を投げかけてきた人物であり、99条違反は明瞭です。」

 自民党の下村博文憲法改正推進本部長は、13日、内定していた衆議院憲法審査会幹事への就任を辞退する意向を固めたと周辺に伝えました。

 下村氏は9日のテレビ番組の収録で衆参両院の憲法審査会で「率直に議論さえしなかったとしたら、それは国会議員としての職場放棄ではないか」などと開催要求に応じない野党を攻撃しました。

 これに対し野党側から、発言の撤回と謝罪とともに下村氏の幹事就任の撤回を求め、このような状況では審査会は開けないとの反発が強まっていました。

 今朝のしんぶん赤旗日刊紙は、このことについて次のように書きかました。

 「下村氏の行動の背景には改憲を焦る安倍首相の意思があります。しかし「安倍改憲反対」世論の強まりの中で、出だしから大きく頓挫しました。」

 安倍9条改憲ノーの声を今こそ強め、安倍政権による改憲策動をストップさせましょう。

 憲法改正に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

映画「否定と肯定」

 今読んでいる「4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した」の最後に、「訳者あとがき」があります。

 この本を訳した森内薫さんは、次のように書いています。

 「2017年暮れに日本で公開され話題を呼んだ映画『否定と肯定』は、『ナチスによる大量虐殺はなかった』と主張する歴史家アーヴィングと、彼のことを『史実を歪曲したホロコースト否定論者』と断じたユダヤ人歴史学者リップシュタットの対立を描く、実話にもとづいた法廷ドラマです。この映画の陰の要と言えるのが、ホロコーストの生存者の存在でしょう。とりわけ衝撃的なのが、ホロコースト否定論者のアーヴィングが生存者らを『この入れ墨で、いくら稼いできたんか』と愚弄する場面です。」

 私は、この文章を読み、映画「否定と肯定」を観たくなり、レンタルショップで、DVDを借りて観ました。

 この映画は、ミック・ジャクソン監督により、2016年に公開された映画です。

 実際の「アーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタト事件」は、1993年に出版されたリップシュタトの「ホロコーストの否定」で名誉が棄損されたとして、1996年、アーヴィングが起こした裁判です。

 判決は、「アーヴィングは彼自身のイデオロギー的理由から、歴史的証拠を持続的かつ故意に間違って解釈し操作しており、同じ理由から、彼は主としてユダヤ人に対するヒトラーの態度や責任の面で、ヒトラーを不当に好意的な人物のように見せかけており、彼は積極的なホロコースト否定論者であり、反ユダヤ主義者、差別主義者であり、ネオ・ナチズムを推進する右翼の過激派たちと協力しており、・・・したがって被告の立証は成功している・・・その結果として被告を支持する判決が下されなければならないということになる。」としました。

 センシティブな問題を現代において、映画にしたスタッフに敬意を表したいと思います。

 アウシュヴィッツの真実を強烈に私たちに伝えた作品として、一人でも多くの皆さんに観ていただきたい作品です。

 判決の文章にもありますが、アーヴィングは、ホロコースト否定論者であると同時に、差別主義者である一面が映画でも描かれています。

 安倍政権の下で、人権侵害、女性差別の言動が止まりません。以前、本ブログでも紹介しましたが、日本共産党の志位和夫委員長は、第5回中央委員会総会でこのように語っています。

 「これらの人権侵害、女性差別の言動の根本に、安倍政権が、『日本会議』『神道政治連盟』など、過去の侵略戦争を肯定・美化し、歴史を偽造する極右勢力によって構成され、支えられているという大問題があります。男尊女卑、個人の尊厳の否定、個人の国家への従属は、どれもみなこの勢力が共有している時代ぎゃっこうの思想にほかなりません。」

 アーヴィングの裁判の判決で彼について「ユダヤ人に対するヒトラーの態度や責任の面で、ヒトラーを不当に好意的な人物のように見せかけている」と断じたように、日本でも戦前を好意的に見せるために、歴史を偽造する状況が広がっているのではないでしょうか。

 アウシュヴィッツから生還したマイケルさんのように、私たちは、生存者の声に真摯に耳を傾ける時です。

 戦前の歴史に関する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

「4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した」読書ノート①

 先日、日本テレビ系情報番組「世界一受けたい授業」に、4歳の時にアウシュヴィッツから生還したマイケル・ボーンスタイン(以下マイケル)さんが先生として登場しました。

 今、マイケル・ボーンスタインさんと娘で、アメリカのテレビ局プロデューサーを務めるデビー・ボンスタイン・ホリンスタートさんの共著「4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した」を読んでいます。

 マイケルさんは、アウシュヴィッツでの体験を戦後、家族にもあまり語りませんでした。

 きっかけは一枚の映像でした。

 マイケルさんは、当時4歳。ホロコースト(ユダヤ人大虐殺)によって100万人以上が殺された殺戮工場(アウシュヴィッツ)から生還した最年少の子どもの一人でした。

 1945年1月27日のアウシュヴィッツ解放後にソ連軍が撮った記録映画の一場面に、マイケルさんが写っていました。

 ホロコーストは嘘で、存在しなかったと主張するサイトに、マイケルさんが写った映像が使われていたのです。

 マイケルさんは、このサイトを見た時の気持ちをこう綴っています。

 「私は不快な気持ちでパソコンをパタンと閉じた。あまりにひどい話だ。手は怒りで震えていた。でも今となっては、そのサイトを見てよかったと思う。それによって、私ははっきり自覚した。もしも私たち生存者がこのまま沈黙を続けていたら、声を上げ続けるのは嘘つきとわからず屋だけになってしまう。私たち生存者は過去の物語を伝えるために力を合わせなければいけない。」

 マイケルさんは、ジャーナリストの娘さんの力を借りて、当時のマイケル一家の歴史を一冊の本にまとめました。

 冒頭からナチスによるポーランドに住むユダヤ人を虐殺するシーンが連続して出てきます。

 私は、一つ一つの歴史的事実を体に刻んでマイケル一家の歴史を知っていこうと思います。

 安倍首相は、2015年8月、戦後70年にあたっての首相談話を発表しました。「安倍談話」には、「侵略」「植民地支配」「お詫び」などの文言がちりばめられましたが、日本が「国策を誤り」「植民地支配と戦争」を行ったという「村山談話」に示された歴史認識の核心的内容はまったく語られず、「反省」と「お詫び」も過去の歴代政権が表明したという事実に言及しただけで、首相自らの言葉としては語られませんでした。

 日本共産党第27回党大会決議では、「安倍談話」の中で日露戦争を美化したことについて「暴力と強圧をもって朝鮮半島の植民地化をすすめた日露戦争を賛美したことは、乱暴きわまりない歴史の歪曲であり、植民地支配正当化論である。」と指摘しています。

 その上で、決議は、「安倍政権の『戦争する国』への暴走は、過去の侵略戦争を肯定・美化する歴史逆行の政治と一体のものである。過去の侵略戦争を反省しないものが、海外での戦争に乗り出すことほど危険なものはない。このような政権に日本の政治を担う資格はない。」と指摘しています。

 侵略戦争の歴史を歪曲することなく後世に伝えることが、未来の平和にとって重要だと感じます。

 引き続き、マイケルさんの本からアウシュヴィッツで何があったのか学んでいきたいと思います。