議員日誌

映画「否定と肯定」

 今読んでいる「4歳の僕はこうしてアウシュヴィッツから生還した」の最後に、「訳者あとがき」があります。

 この本を訳した森内薫さんは、次のように書いています。

 「2017年暮れに日本で公開され話題を呼んだ映画『否定と肯定』は、『ナチスによる大量虐殺はなかった』と主張する歴史家アーヴィングと、彼のことを『史実を歪曲したホロコースト否定論者』と断じたユダヤ人歴史学者リップシュタットの対立を描く、実話にもとづいた法廷ドラマです。この映画の陰の要と言えるのが、ホロコーストの生存者の存在でしょう。とりわけ衝撃的なのが、ホロコースト否定論者のアーヴィングが生存者らを『この入れ墨で、いくら稼いできたんか』と愚弄する場面です。」

 私は、この文章を読み、映画「否定と肯定」を観たくなり、レンタルショップで、DVDを借りて観ました。

 この映画は、ミック・ジャクソン監督により、2016年に公開された映画です。

 実際の「アーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタト事件」は、1993年に出版されたリップシュタトの「ホロコーストの否定」で名誉が棄損されたとして、1996年、アーヴィングが起こした裁判です。

 判決は、「アーヴィングは彼自身のイデオロギー的理由から、歴史的証拠を持続的かつ故意に間違って解釈し操作しており、同じ理由から、彼は主としてユダヤ人に対するヒトラーの態度や責任の面で、ヒトラーを不当に好意的な人物のように見せかけており、彼は積極的なホロコースト否定論者であり、反ユダヤ主義者、差別主義者であり、ネオ・ナチズムを推進する右翼の過激派たちと協力しており、・・・したがって被告の立証は成功している・・・その結果として被告を支持する判決が下されなければならないということになる。」としました。

 センシティブな問題を現代において、映画にしたスタッフに敬意を表したいと思います。

 アウシュヴィッツの真実を強烈に私たちに伝えた作品として、一人でも多くの皆さんに観ていただきたい作品です。

 判決の文章にもありますが、アーヴィングは、ホロコースト否定論者であると同時に、差別主義者である一面が映画でも描かれています。

 安倍政権の下で、人権侵害、女性差別の言動が止まりません。以前、本ブログでも紹介しましたが、日本共産党の志位和夫委員長は、第5回中央委員会総会でこのように語っています。

 「これらの人権侵害、女性差別の言動の根本に、安倍政権が、『日本会議』『神道政治連盟』など、過去の侵略戦争を肯定・美化し、歴史を偽造する極右勢力によって構成され、支えられているという大問題があります。男尊女卑、個人の尊厳の否定、個人の国家への従属は、どれもみなこの勢力が共有している時代ぎゃっこうの思想にほかなりません。」

 アーヴィングの裁判の判決で彼について「ユダヤ人に対するヒトラーの態度や責任の面で、ヒトラーを不当に好意的な人物のように見せかけている」と断じたように、日本でも戦前を好意的に見せるために、歴史を偽造する状況が広がっているのではないでしょうか。

 アウシュヴィッツから生還したマイケルさんのように、私たちは、生存者の声に真摯に耳を傾ける時です。

 戦前の歴史に関する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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