朝日新聞が、「陸のイージス」という特集を5回にわたって掲載しました。
どの記事もとても興味深い内容でした。
特に、私が、注目したのが最終回(1日)の政治学者・中島岳志さんの指摘です。
中島さんの文章は、私のブログに度々登場します。
昨日、取り上げた、山際寿一さん同様、中島岳志さんは、私の敬愛する学者のお一人です。
中島さんは、「小泉純一郎政権以降、新自由主義を使った主体的服従を迫るという政策に変わった」と述べ、次のように解説しました。
「官から民への規制緩和など市場優先の新自由主義では、競争の中で困窮する自治体も出てくる。自立できなくなれば、補助金を得ようと迷惑施設を誘致する自治体も現れる。無理やり迫らず、丁寧な合意形成もないまま、自治体が主体的に手を挙げてくれる。『主体的服従』といえるもので、政府にとっては楽だ。そういう統治手法が新自由主義の構造としてあることを理解しておくべきだ。」
地方の「主体的服従」の典型が、私は、「ひと・まち・しごと」総合戦略の手法だと思います。
国が示した全国一律のまちづくりの方式に地方を従わせる。
国は、地方が従ったのではなく、主体的に選んだのだという。まさに「ひと・まち・しごと」総合戦略の手法は、地方の「主体的服従」の典型です。
山口県内で起こる、基地問題も原発問題も同様の構図があり、そして、イージス・アショアの配備にも同様の構図を感じます。
中島さんは、国と地元の合意形成で何が必要かと問われ次のように述べています。
「住民がボトムアップしていくシステムがないと、国と地元のぶつかりあいが起きる。イージス・アショアの問題に限らず、住民が集まって対等に議論する多様な場をつくっていくことが重要」と語ります。
中島さんは、地方の「主体的服従」を越えた、住民がボトムアップで合意形成していくシステムの重要性を指摘しています。
昨日に続き、私は、日本共産党の志位委員長のメーデーメッセージを引用します。今日は、次の部分を引用しました。
「新型コロナを克服した、その先には、よりよい未来をつくろうではありませんか、社会保障を大切にし、人間らしいく働けるルールをつくり、環境破壊を抑え、すべての人びとが人間らしく生きることのできる社会を」
私は、国の新型コロナウイルスへの対応に対する、全国知事会の発言に、希望を持っています。
昨日の飯泉全国知事会長の「『緊急事態宣言』の延長を受けて』と題するメッセージには、次の文章がありました。
「国民や事業者に更なる負担を強いることを踏まえ、『地方創生臨時交付金』や『緊急包括支援交付金』、『持続化給付金』、『雇用調整助成金』更には『特別低額給付金』など、こうした対策の充実を図る第二弾の補正予算の速やかな検討」
地方から国へのボトムアップとてしての貴重な提案が列記してあります。
国が地方の声を誤魔化し中途半端な対応に終始するならば、新型コロナウイルスの収束は展望できなくなるでしょう。
新型コロナウイルスを克服するためには、「主体的従属」を越えた新しい国と地方との関係が必要です。
中島さんは、イージス・アショアが必要なのかとの問いにこう答えています。
「日米安保『だけ』では限界なのに、仮想敵をアジアとする巨額な配備が合理的なのか説明がない」
今朝のしんぶん「赤旗」に、「新型コロナが問う 日本と世界」という特集記事に軍事ジャーナリストの半田滋さんが登場し、次のように語っています。
「トランプ大統領から武器購入を要求されて導入を決めたイージス・アショアや、計画そのものが破綻している辺野古新基地の建設工事など、『不要不急』の支出はあります。これらを一時停止して、休業を余儀なくされている店舗への補償など、コロナで苦しむ国民の負担軽減のために使うべきです。」
イージス・アショアへの支出を社会保障と雇用の安定にあてる時です。
コロナ禍を克服し、よりよい未来をつくる岐路に私たちは立っているのだと思います。
引き続き、中島岳志さんから多くのことを学んでいきたいと思います。
山口県は、緊急事態宣言の延長を受け、今日、対策本部員会議を開いて、県としての方針を明らかにするようです。
県の方針を見極め、必要な発言を行っていきたいと思います。
新型コロナ対策についての皆さんのご意見を引き続きお寄せ下さい。
4月28日付、毎日新聞に京都大学学長の山極寿一さんの新型コロナウイルスに対する寄稿が掲載されていました。
山極寿一さんは、ゴリラ研究で知られる世界的な学者です。彼の著書(庶民向けの著作)を本ブログでいくつか紹介しています。
私が敬愛する学者のお一人が山極寿一さんです。
寄稿文の最初に、山際さんらしい新型コロナウイルス考が紹介されています。
「感染の拡大が危惧され始めた時、私の頭に浮かんだのはカミュの『ペスト』でも小松左京の『復活の日』でもなく、『猿の惑星』というSF映画だった。1968年に第一作が公開され人気を博し、続編が次々に製作された。米国から打ち上げられた宇宙船が6カ月の飛行を経て地球へ帰還。地球時間は700年後の2673年になっている。4人の宇宙飛行士が出くわしたのは、人間の言葉をしゃべって文明生活を送る類人猿(オランウータン、ゴリラ、チンパンジー)と、言葉を失って飼育される人間だった。なぜそんなことになったのかは、続編を経て明らかになる。感染症の新薬を開発するため実験用に飼われていたオスのチンパンジーがある時、変異を起こして人間の言葉をしゃべるようになる。彼は策略を巡らして同じような境遇にある類人猿たちを開放し、自治区を設ける。その後、人間の世界ではあるウイルスによる感染症が急速に広がり、絶滅の危機にひんする。わずかに生き残った人間たちは言葉がしゃべられなくなり、この感染症に抵抗力を持っていた類人猿たちに支配されるようになったのである。」
私は、「猿の惑星」の第一作目だけをこれまで見ました。
自由の女神の残骸が生き残った人間の前に現れるシーンが印象的でした。
私は、このシーンを「核戦争」で、世界が崩壊した象徴的な姿なのかと早とちりしていましたが、本当は、「感染症による危機」だったことを山際さんの寄稿文で知りました。
コロナ危機は戦後最大の危機と言われます。
実際、戦後55年生きてきた私ですが、こんな連休を過ごしたことは初めてです。
この連休にも様々な映画を観てきましたが「人と人が語らう」普通のシーンが再び来るのだろうかと不安にも感じる昨今です。
山極さんは、新型コロナの懸念について次のように述べています。
「コロナ後に各国が猛烈な経済復興対策を取り、これまで以上に地球の崩壊を招くことである。近年のウイルス性の感染症は、自然破壊によって野生生物との接触を加速したことが原因である。更に自然資源の開発が続けば、深海や氷河の下に眠っている未知の微生物やウイルスを引きずりだしてしまうかもしれない。開発の手を抑えても、地球温暖化は生物の動きを変え、新たな脅威をもたらす可能性がある。今私たちに必要なのは、グローバルな地球と国の動きと、私自身の身近な暮らしの双方で人間にとって大切なことは何かということをじっくり考えることである。コロナ後にそれが決定的な効果を生むだろうと思う。」
コロナ後のV字回復が更なる人類への脅威とならないために、「人間にとって大切なものは何か」ということをコロナ禍の今、私たちはじっくり考える時だとの山際さんの指摘に頷くばかりです。
1日は、第91回メーデーでした。
日本共産党の志位和夫委員長は、動画で次のようなメッセージを出しました。
「この半世紀の世界的な感染症の多発は、無秩序な生態系の破壊、自然環境の破壊と深く結びついています。それは地球的規模での気候変動とも同じ根をもつものです。利潤第一で、自然環境を破壊する動きを続けていいのか。このことも深く問われているのではないでしょうか。」
私は、この連休、実家の田植えの準備に、かつてなく、時間をかけています。
畦の草刈りや田起こし。空には、鳥が、地面には、蛙や虫たちが生きていることを実感する日々です。
コロナ禍で、それぞれの皆さんにとって、初めての連休をお過ごしのことと思います。
この連休、それぞれが、「人間にとって大切なものは何か」を考えながら、コロナ禍の先に、よりよい未来をつくろうではありませんか。
山極さんには、いつも人間にとって大切なものはなにかを教えていただいています。
引き続き、新型コロナウイルス感染症に対する皆さんのご要望をお聞かせください。
4月30日に行われた臨時議会における私の質疑で①で触れていないことなどについて報告します。
私は、緊急事態宣言が1カ月程度延長され、それが全国一斉だった場合、5月6日までとされている休業要請を延長するのか、延長した場合、休養要請協力金を再度支給すべきと質しました。
内海総務部長は「改めて休業要請するのかどうかについては、緊急事態宣言の延長の有無等を見極めて判断する必要がある」と答えました。
私は、私立学校等における家計急変世帯への支援についていくつか質問しました。
私は、授業料減免、奨学給付金減免の見込み世帯数を質しました。
内海総務部長は「私立学校における新型コロナウイルス感染症の影響で収入が急変したと認められる場合に、授業料減免する世帯は、80世帯、奨学給付金で約240世帯、専門学校の授業料減免で40世帯を見込んでいると答えました。
私は、申請への柔軟な対応について質しました。
内海総務部長は「高等学校の授業料減免については、これまでも、災害時に一定の期間を設けて申請を受け付け、事案発生の翌月から認定するとともに、収入等要件の確認方法についても簡素化をしており、今回も同様の取り扱いとすることにしている。」と答えました。
私は、県立大学の授業料減免について質しました。
内海総務部長は「山口県立大学における授業料の減免については、家計が急変した学生に国の高等教育修学支援新制度により支援する」と答えました。
自民党の友広議員は、質疑の中で、「行財政構造改革の取組は一時凍結または中止する判断もすべき時がきている」と質しました。
村岡知事は、「現在進めている行財政構造改革の取組については、一時凍結し、その未曾有の危機に対処するため、必要な予算措置を迅速かつ機動的に講じてまいります。」と答えました。
山口県が進める行財政構造改革の第一は、歳出構造改革で以下の点です。
第一は、総人件費の縮減。第二は、事務事業の見直し。第三は、公共投資の適正化。第四は、公債費の平準化。第五は、公の施設の見直しです。
その他、臨時的・集中的な財源確保対策などがあります。
1日、朝日新聞は、行財政構造改革の一部凍結について「秋吉台国際芸術村(美祢市)など県有11施設の廃止や市町への譲渡の議論も進めてきたが、村岡知事は当面先送りする考えを示した」と報じました。
新型コロナウイルス感染症対策のため、必要な職員を配置することが必要です。市町に県有施設の譲渡などで、今、新たな財政負担を強いてはなりません。
県議会自民党会派が、行財政構造改革の凍結に言及し、知事が応じた対応を一定評価します。
その上で、県財政という点では、歳出が増える部分に対する国のこれまで以上の山口県への財政支援が求められます。
私が補正予算の質疑で冒頭指摘しましたが、まず、国は、地方創生臨時交付金を増額して、山口県にしっかり財政支援することが求められます。
引き続き、新型コロナウイルス感染症対策への皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
県内の球技・遊興施設等の事業者に知事が休業要請し、要請に応じた事業者に対し協力金を支給する手続きが、昨日確定しました。
支給対象は、県からの休業要請の対象となった施設です。
申請要件は、次の全てを満たす方が対象となります。
①山口県内で対象施設を運営する事業者(法人又は個人事業主)
※この場合、県外に本社がある事業者も対象となります。
②県の休業要請(令和2年4月20日)以前から対象施設を運営している方
③県が休業要請している全ての期間(令和2年4月21日から同年5月6日)において、休業を行っていただくことが基本ですが、少なくとも令和2年4月25日から5月6日までの期間において連続して終日休業していただくことが必要
支給金額は、1店舗15万円、2店舗以上30万円です。
申請手続きは、以下の通りです。
申請期間は、令和2年5月7日から令和5月29日まで(5月29日の消印有効)
申請方法は、郵送(簡易書留など郵便物が追跡できる方法で郵送してください)
申請書類送先
〒753-8501
山口市滝町1-1
山口県防災危機管理課「休業協力要請・協力金相談窓口」宛
※封筒の裏側に申請者名を記入してください
申請に必要な書類は、以下の通りです。(詳しくは、県のHPを参照してください)
①必要事項を記入した「新型コロナウイルス感染症拡大防止協力金支給申請書(別記1号様式)」
②営業実態が確認できる書類
・業種に係る営業許可書の写し、直近の経理帳簿の写し など
③休業要請に協力した事実を確認できる書類
・休業期間を告知するホームページの写し、休業期間を店頭に提示するポスター等の写しなど、休業していることを第三者が見てわかるもの
④振込先口座と口座名義がわかる通帳等の写し
⑤複数の店舗・事業所を有する場合 「休業協力施設一覧表(別記2号様式)」
⑥個人事業主の場合は、本人確認書類(運転免許証や、パスポート等の写し)
申請書類は県のHPに添付されています。
近くの県民局や市役所(町役場)でも申請書類を配布予定です。
問い合わせ先は、山口県総務部防災危機管理課「休業協力要請・協力金相談窓口」
電話番号 083-933-2455
開設時間 9:00~18:00
(5月10日(日曜日)までは、土日祝日も開設しています)
上記のことは、県のHPに書かれてあります参照下さい。
これからも県の新型コロナウイルスに関する新しい制度の概要が分かり次第、私のブログでも紹介していきます。
新型コロナウイルス感染症対策に関する皆さんのご意見を引き続き、藤本までお寄せ下さい。
私は、昨日、今年度補正予算についての質疑を行いました。
昨日、補正予算の質疑で登壇しました
私は、補正予算の歳入について質疑を行いました。
リーマンショックが起きた2009年度の県税収入を当初予算と確定額を比較すると約110億円減収となり、約101憶円の減収補てん債で穴埋めしました。
リーマンショックを超える経済危機といわれる状況の中、私は、数百億円の県税収入減を想定し国に特段の財政措置を講じるよう求めよと質しました。
村岡知事は、「地方税収はかつてない大幅な減収となるおそれがあることから、地方消費税をはじめ、減収補てん債の対象外となっている税目についても、その対象となるように制度の拡充を求めている」「地方が持続可能な財政運営を行えるよう、全国知事会等を通じて、引き続き国に要望していく」と応えました。
補正予算の歳出について、まず、感染拡大の防止に関して質疑を行いました。
私は、県の新型コロナウイルス感染症対策本部員会議の議事録と、専門家会議の設置要綱とメンバーを公開するするよう求めました。
弘田健康福祉部長は「本部員会議の議事録については、県民に広く公表することとしている。専門家会議の設置要綱及びメンバーについては、県のホームページで公開している」と答えました。
私は、近県では広島県や鳥取県が策定している「新型コロナウイルス」対策のための行動計画を策定すべきと質しました。
弘田健康福祉部長は「法第7条の規定により、政府行動計画に基づいて策定されるものとされており、政府行動計画が変更された時点で、県計画の見直しを行う予定です。」と答えました。
私は、PCR検査の一日あたりの検査件数を60件から160件にすることに対し、環境保健センターでの検査件数と、その他の件数がどうなるのか質しました。
弘田健康福祉部長は「環境保健センターで60件を90件に、県内医療機関等の協力を得て、新たに70件実施する」と答えました。
私は、全国12府県が設置し、22都府県が検討中と報じられている「地域外来検査センター」の設置を求めました。
弘田健康福祉部長は「感染拡大防止のためには、やはり保健所に設置した帰国者・接触者相談センターを通じて、個々の行動歴を確認して、感染経路を特定していくという方法が有効であるので、県としては保健所が関与した検査体制を維持していきたい」と答えました。
私は、健康増進課と保健所と環境保健センターの職員体制の強化について質しました。
弘田健康福祉部長は「健康増進課に8名、保健所に13名、環境保健センターに2名増員した」と答えました。
私は、米軍岩国基地に係る諸問題について質しました。
日米合同委員会の覚書では、米軍岩国基地で感染者が判明した場合、岩国健康福祉センターに通報されることになります。
私は、これまで米軍から保健所にどのような情報が寄せられたのか質しました。
弘田健康福祉部長は「現時点、感染者に関して保健所に寄せられた情報はない」と答えました。
米海軍協会の23日のニュースは、米海軍横須賀基地所属の原子力空母ロナルド・レーガンで、新型コロナウイルスに16名が感染しました。空母艦載機部隊が駐留する米軍岩国基地に影響はないのかとの不安が広がっています。
3月30日、米国防総省が、個別の事案を非公開にする方針を発表しました。
また、米軍横須賀基地の感染症情報を受ける横須賀市保健所の担当者は私に対して「3月下旬、外務省から協議の依頼があり、今後、米軍から提供された情報については、公開しない場合がある。感染者の情報が、現時点であるかないか答えることが出来ない。」と答えました。
私は、「横須賀と岩国が同じ状況なら、岩国に、患者がいるかもしれないが、情報が公表されていないという疑念が湧いてくる。米軍岩国基地は、日米合同委員会の覚書に沿って、新型コロナウイルス感染症の情報を岩国健康福祉センターに提供すると言っているのか」と質しました。
藤田総務部理事は「米軍岩国基地とは、これまでの情報交換を通じて、感染者が発生した場合に公表する、ということを確認している」と答えました。
岩国基地内に、劇場やプール、ボウリング場、クラブ等の娯楽施設があります。私は、岩国基地に対しても休業要請を行うべきと質しました。
内海総務部長は「米軍岩国基地では、基地内のバーやレストラン、ボウリング場などは既に閉鎖されていると承知している」と答えました。
その他の質疑内容につては、明日以降報告していきます。
引き続き、皆さんのご意見をお寄せ下さい。
本日、新型コロナ対策に関する補正予算を審議する臨時議会が開かれました。
私は、質疑で登壇しました。
私が行った第一質問は以下の通りです。
・・・
日本共産党県議団を代表して、4月臨時議会に提案された議案についての質疑を行います。
まず、新型コロナウイルス感染症に対処するために、最前線で対応されている医療従事者や県職員及び関係者の皆さんに感謝申し上げます。また、はからずも感染し、入院や療養されている皆様方の一刻も早い回復を祈念するものです。
新型コロナウイルス感染症の拡大を一日も早く収束させ、いつもの日常を取り戻すため、わが党も全力をあげることを申し上げ、質疑に入ります。
まず、今年度補正予算案(第2号)についてです。
村岡知事は、総額686億円余の予算規模について、「過去最大規模の補正額」と説明されました。直近では2009年6月、国の経済危機対策に呼応して、541億円の補正予算が編成されました。
しかし、両者には大きな違いがあります。
09年6月補正の歳入には116億円の交付金を含め、474億円の国庫支出金が配分され、ほぼ全額が真水です。
今回補正の歳入の国庫支出金は32億円、5%しか見込めなかったため、財政調整基金46億円の取り崩しを強いられました。しかも真水は79億円のみです。
国の補正予算案には、地方自治体が休業要請に応えた業者への協力金などにも使える臨時交付金を計上してはいますが、総額は1兆円に留まり、制度設計の遅れで、本県の今補正予算案には計上されていません。
国の地方への財源対策は、あまりにも小さく、遅い。そう言わざるを得ません。
少なくとも倍の2兆円以上、そして一刻を争って交付されるべきと考えますが、知事の見解を伺います。
また、財務省が27日、発表した4月の経済情勢報告では、判断を「極めて厳しい」と引き下げ、今後、法人2税や地方消費税など県税の大幅な減少が想定されます。
国に対し、過去の減収補てん債の枠組みを超えた財政支援措置を要求することが必要と考えますが、知事の見解を伺います。
次に、補正予算(第2号)の歳出についてです。
まず、感染拡大の防止についてお尋ねします。
新型コロナウイルス感染拡大の防止を議論する前提として、県の対策本部、調整会議、行動計画についてお尋ねします。
第1に、対策本部についてです。
県は、政府が「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置したことを受け、1月31日、「新型コロナウイルス感染症対策本部」を設置し、これまでに12回対策本部員会議を開催しています。
国は、3月14日、新型インフルエンザ等対策特別措置法を改正しました。山口県は、改正特措法に基づき、対策本部をどのように強化されたのかお尋ねします。また、本部員会議の議事録は県民に広く公表すべきですが、お尋ねします。
第2は、調整本部等の設置についてです。
厚生労働省は、3月6日、新型コロナウイルス感染症患者のピーク時の入院患者数及び重傷者数を受け入れるために必要な医療供給体制を都道府県が中心になり整備することを通知し、併せて、県内の患者受け入れ調整等を行うため、救急医療や感染症の専門家が参画する「調整本部」を設置するよう求めました。
山口県は、専門家会議を持ち、2月4日の初会合以降、3回会議を開催していると説明されます。設置要項やメンバー、審議内容については公表されるべきものと考えますが、お尋ねします。
第3は、行動計画等についてです。
先に触れた新型インフルエンザ等特措法の改正により、国は、すでに策定済みの新型インフルエンザ等対策行動計画を、「新型コロナウイルス感染症対策行動計画としても定められたもの」とみなす方針を明らかにしています。
しかし、新型コロナウイルスとインフルエンザでは、違いがあります。
1つは、医療現場で診断できる迅速検査キットが現時点ではなく、現時点ではPCR検査で陽性確認を行うこととなり診断までに時間を要する。
2つは、治療薬やワクチンがなく治療は対症療法となる。
3つは、約80%の人が軽症で済むことから感染に気づかないまま他者へ感染させてしまうおそれもある。
4つは、クラスター(集団発生)により一時的に多くの患者が発生する事例がある。
このため、感染源が分からない感染者が増加していくと爆発的な感染拡大(オーバーシュート(爆発的患者急増))が生じ、「医療崩壊」をまねく恐れがあります。
こうした違いを踏まえて、少なくない都道府県は「新型コロナウイルス」対策のための行動計画を策定しています。
県は現時点で、既存の「行動計画」を新型コロナウイルス感染症の「行動計画」とみなしていますが、それでは不十分です。両者の違いを踏まえた「行動計画」を策定すべきです。お尋ねします。
第4は、相談およびPCR検査についてです。
厚労省は、帰国者・接触者相談センターに寄せられた病状等に関する相談件数と、そのうちPCR検査を実施した件数を公表しています。
4月1日から19日を集計すると、山口県は相談3763件、うちPCR検査を実施した件数は182件、4.8%です。同じく岡山県は2520件のうち331件、13.1%。鳥取県は3305件のうち356件、10.8%です。
山口県でPCR検査実施率が少ない理由についてお尋ねします。
厚生労働省は、15日「行政検査を行う機関である地域外来・検査センターの都道府県医師会・郡市区医師会等への運営委託等について」を通知しました。
通知では「既存の帰国者・接触者外来等の医療機関に加えて、都道府県医師会・郡市区医師会等に対して、行政検査を集中的に実施する機関としての帰国者・接触者外来運営委託ができる」ことを改めて示しました。
今後、県は、感染症検査体制として今までの環境保健センターだけでなく、「県内検査実施機関へのPCR装置等の検査機器の整備」を行うとしています。また、一日あたりの検査件数を60件から160件にすることも発表しました。
具体的に環境保健センターのPCR検査を何件にし、県内検査実施機関での検査を何件にしようとしているのかお尋ねします。
また県内検査実施機関は、厚生労働省の通知を受けて県医師会等へ運営委託するのかお尋ねします。
報道では、都道府県が地域の医師会などに委託して設置するPCR検査を集中的に実施する地域外来・検査センターは12府県が設置し、22都府県が検討中とされています。山口県は、どう対応されようとしているのか、お尋ねします。
第5は、最悪の事態を想定した医療供給体制についてです。
厚生労働省が都道府県に推計を求めた「最悪の事態」の入院患者数は、山口県で、2800余に及びます。県は感染症患者を受け入れる病床を320床確保しましたが、それでも充足率は、1割強です。
山口県においても「最悪の事態」を想定したベッドの確保や医療スタッフ、マスクをはじめ医療従事者の感染を防護する物品の確保などの検討は急務です。今後、どのようなスケジュールで取り組んでいかれるのか、具体的に示してください。
第6は、職員体制についてです。
感染症対策を担う健康福祉部健康増進課、相談センターとなっている各保健所、PCR検査を実施している環境保健センターの業務は多忙を極めています。この間、人員をそれぞれ何人増やしたのかお尋ねします。
第7は、米軍岩国基地に関わる諸問題についてです。
在日米軍司令部は、15日、関東地方の基地や施設に限定していた公衆衛生上の非常事態宣言の対象を日本全土に拡大しました。
2013年1月24日の日米合同委員会の覚書では、米軍岩国基地所属の米兵、軍属とその家族で感染者が判明した場合は、岩国健康福祉センターに通報がされることになっています。これまで、米軍から保健所にどのような情報が寄せられているのかお尋ねします。
空母艦載機部隊移駐のための拡張工事と合わせ、基地内には、知事が休業要請した劇場やプール、ボーリング場、クラブ等の娯楽施設などが再整備されました。
米軍岩国基地に対しても、休業要請を行うべきですがお尋ねします。
第8は、県民向けの情報提供についてです。
山口県はホームページを通じて、各種情報の提供を行っています。県民に必要な情報を丁寧に届けていくことが求められます。
鳥取県では、「個人向けの支援」、「企業・事業者向けの支援」、「その他の支援」に分け、国の情報も含めて、制度概要や問い合わせ先を示した「鳥取県の緊急支援策」をホームページに掲載しています。山口県も同様の情報提供が必要と考えますが、お尋ねします。
第9は、中小零細企業の支援策についてです。
1つは、休業要請に伴う協力金についてです。
知事は、パチンコ店など県内の遊興施設・遊技施設に休業要請を行い、休業要請に応じた事業者に最大で30万円の協力金を支給するための経費5億2500万円が計上されました。
報道によると全国44都道府県が休業要請を行い、37都道府県で「協力金」などの金銭的な支援を行う方針を示していますが、「財政力の違いもあり、支援内容には差が出ている」と報じられています。
「要請と補償」は一体に行われることが当然です。国が緊急事態宣言を全国に広げた今、休業要請に応じた事業者に対する補償は国が責任をもつべきです。知事は、どう対応されるのか、見解をお示し下さい。
また、東京都など複数の自治体が、風俗業に含まれる無店舗型デリヘルを休業要請の対象施設に追加しました。わが党に、山口県も同様の対応をして欲しいとの要望が県民から寄せられました。検討すべきと考えますが、伺います。
2つは、中小企業に対する金融支援についてです。
さきにふれたように、県内の中小零細企業の先行き不安はかつてないほど深刻であり、手厚い支援が求められています。
県が、経営安定資金の融資枠を現行200億円から460億円に拡大し、融資枠800億円の新型コロナウイルス感染症対応資金を創設するなどの対応されていることは評価します。
その上で例えば、鳥取県は新型コロナウイルスによる影響で、金融機関から借入れた融資については、3年間分の利子を実質ゼロ円にする措置を講じています。山口県も、もう一段階、踏み込んだ支援に乗り出せないでしょうか。お尋ねします。
また、営業自粛しても支払いが必要な固定費の負担により、廃業を余儀なくされる事態が予測されます。いくつかの自治体が家賃補助に乗り出しています。県としても検討すべきと考えますが、伺います。
3つは、食事提供施設に一律10万円を補助する「営業持続化等支援事業」の「持続枠」についてです。
幅広い事業者を対象にされたことは高く評価しますが、県民の方から「なぜ、食事提供施設だけなのか」との疑問も寄せられました。対象業種は拡大できないのか、お尋ねします。
また、鳥取県は、感染症予防対策に取り組んだ中小企業を対象に「企業内感染症防止対策補助金」支給しています。山口県も同様の制度をつくれませんか。お尋ねします。
4つは、文化芸術関係者への支援です。
音楽や落語、講談、舞踊等の公演、コンサート、ライブの現場は密閉、密集、密接の「3密」になることが多いため、県内でも、そのほとんどがキャンセル、中止になり、プロの出演者はもとより、イベントの企画運営、機材のレンタル、舞台、照明、音響などの関連業者は途方に暮れています。
補正予算案には文化団体のパフォーマンス等のWeb配信を行う事業として410万円計上されていますが、十分ではありません。
海外だけでなく、国内でも文化芸術関係者への財政的支援が始まっています。山口県も公演やコンサート、ライブのキャンセル、中止によって、損害を被っている関連業者に支援金を給付し、文化芸術活動の継続を支えることが必要と考えますが、伺います。
第10は、経済的困難を抱える世帯への就学支援についてです。
補正予算案には、家計急変世帯に対する高校等の授業料減免・奨学給付金の給付として、1億1400万円余が計上されています。
授業料減免、奨学給付金の要件や対象となる世帯数などをお示し下さい。
これら制度の申請には、柔軟に対応し、4月に遡って対応すべきです。要件についても可能な限り緩和すべきと考えますが、お尋ねします。
奨学給付金については、新型コロナウイルス感染症の影響により書類提出が遅れても遡って認定を行うべきと考えますが、見解をお示し下さい。
また、広島県は、県立大学についても、新型コロナウイルスの影響で年収が270万円以下となった世帯の学生については授業料を免除します。山口県でも検討できないのか、伺います。
・・・
執行部からの回答内容は、明日以降のブログで報告していきます。
引き続き、新型コロナウイルス感染症対策に対するご要望をお寄せ下さい。