議員日誌

「シリーズ疫病と人間 山極寿一氏寄稿」を読んで

 4月28日付、毎日新聞に京都大学学長の山極寿一さんの新型コロナウイルスに対する寄稿が掲載されていました。

 山極寿一さんは、ゴリラ研究で知られる世界的な学者です。彼の著書(庶民向けの著作)を本ブログでいくつか紹介しています。

 私が敬愛する学者のお一人が山極寿一さんです。

 寄稿文の最初に、山際さんらしい新型コロナウイルス考が紹介されています。

 「感染の拡大が危惧され始めた時、私の頭に浮かんだのはカミュの『ペスト』でも小松左京の『復活の日』でもなく、『猿の惑星』というSF映画だった。1968年に第一作が公開され人気を博し、続編が次々に製作された。米国から打ち上げられた宇宙船が6カ月の飛行を経て地球へ帰還。地球時間は700年後の2673年になっている。4人の宇宙飛行士が出くわしたのは、人間の言葉をしゃべって文明生活を送る類人猿(オランウータン、ゴリラ、チンパンジー)と、言葉を失って飼育される人間だった。なぜそんなことになったのかは、続編を経て明らかになる。感染症の新薬を開発するため実験用に飼われていたオスのチンパンジーがある時、変異を起こして人間の言葉をしゃべるようになる。彼は策略を巡らして同じような境遇にある類人猿たちを開放し、自治区を設ける。その後、人間の世界ではあるウイルスによる感染症が急速に広がり、絶滅の危機にひんする。わずかに生き残った人間たちは言葉がしゃべられなくなり、この感染症に抵抗力を持っていた類人猿たちに支配されるようになったのである。」

 私は、「猿の惑星」の第一作目だけをこれまで見ました。

 自由の女神の残骸が生き残った人間の前に現れるシーンが印象的でした。

 私は、このシーンを「核戦争」で、世界が崩壊した象徴的な姿なのかと早とちりしていましたが、本当は、「感染症による危機」だったことを山際さんの寄稿文で知りました。

 コロナ危機は戦後最大の危機と言われます。

 実際、戦後55年生きてきた私ですが、こんな連休を過ごしたことは初めてです。

 この連休にも様々な映画を観てきましたが「人と人が語らう」普通のシーンが再び来るのだろうかと不安にも感じる昨今です。

 山極さんは、新型コロナの懸念について次のように述べています。

 「コロナ後に各国が猛烈な経済復興対策を取り、これまで以上に地球の崩壊を招くことである。近年のウイルス性の感染症は、自然破壊によって野生生物との接触を加速したことが原因である。更に自然資源の開発が続けば、深海や氷河の下に眠っている未知の微生物やウイルスを引きずりだしてしまうかもしれない。開発の手を抑えても、地球温暖化は生物の動きを変え、新たな脅威をもたらす可能性がある。今私たちに必要なのは、グローバルな地球と国の動きと、私自身の身近な暮らしの双方で人間にとって大切なことは何かということをじっくり考えることである。コロナ後にそれが決定的な効果を生むだろうと思う。」

 コロナ後のV字回復が更なる人類への脅威とならないために、「人間にとって大切なものは何か」ということをコロナ禍の今、私たちはじっくり考える時だとの山際さんの指摘に頷くばかりです。

 1日は、第91回メーデーでした。

 日本共産党の志位和夫委員長は、動画で次のようなメッセージを出しました。

 「この半世紀の世界的な感染症の多発は、無秩序な生態系の破壊、自然環境の破壊と深く結びついています。それは地球的規模での気候変動とも同じ根をもつものです。利潤第一で、自然環境を破壊する動きを続けていいのか。このことも深く問われているのではないでしょうか。」

 私は、この連休、実家の田植えの準備に、かつてなく、時間をかけています。

 畦の草刈りや田起こし。空には、鳥が、地面には、蛙や虫たちが生きていることを実感する日々です。

 コロナ禍で、それぞれの皆さんにとって、初めての連休をお過ごしのことと思います。

 この連休、それぞれが、「人間にとって大切なものは何か」を考えながら、コロナ禍の先に、よりよい未来をつくろうではありませんか。

 山極さんには、いつも人間にとって大切なものはなにかを教えていただいています。

 引き続き、新型コロナウイルス感染症に対する皆さんのご要望をお聞かせください。

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