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群馬県が子どもの医療費無料化について高校3年生まで引き上げる方針発表

 29日付しんぶん赤旗日刊紙は、群馬県がこどもの医療費無料化について高校3年生まで引き上げる方針を発表したと次のように報じました。
 「こどもの医療費無料化について群馬県は27日、高校3年生まで引き上げる方針を発表しました。入通院が対象で、県によると、所得制限がなく、窓口での一時払いもないのは都道府県で初。住民と日本共産党県議団が繰り返し求めていたものです。群馬県は中学生までの無料化を2009年10月から実施、自己負担分を県と市町村が折半しています。拡大で新たに必要になる財源は約8億円の見込み。県内35市町村のうち30市町村が、独自財源で高校生までの無料化を実施、実施予定です。県によると、市町村長、県議会各会派から、県が一律の支援をするよう要望があったといいます。山本一太県知事は27日の会見で『なるべく早く実施できるように必要な調整を進めたい』と述べ、都道府県による高校生までの助成拡大について『この流れは今後ますます加速していくのではないか』と話しました。日本共産党の酒井ひろあき県議は『住民運動とも連携して、県議団が論戦でずっと求めてきたもの。中学生無料化から13年半ぶりの前進で評価できる。次は学校給食の無償化に県が踏み切ってほしい』と語りました。」

 2022年4月現在、18歳年度末まで子どもの医療費無料化を実施している都道府県は、福島県、静岡県、鳥取県です。

 それ以降、18歳年度末まで子どもの医療費無料化の方針を示したのが、東京都と群馬県です。

 山本群馬県知事が述べるように都道府県による高校生までの助成拡大の流れは今後ますます加速するのではないかと私も考えます。

 このような中、山口県は、5歳を就学前に上げて以降、19年間、子ども医療費無料化の対象年齢を上げていません。

 山口県は、この制度のみで述べる限り、全国の流れに乗っていない、子育てに不熱心と言わなければなりません。

 2022年10月現在の県内市町の子ども医療費助成制度の状況を見ると、対象年齢を高校卒業までにしているのは、萩市、光市(入院のみ)、長門市、柳井市、和木町、阿武町です。

 県内市町でも対象年齢を高校卒業までとする市町が今後ますます加速する流れです。

 県は、県内市町の努力に学び、子ども医療費無料化の対象を高校卒業までに拡大すべきです。

 日本共産党は、県議選に当たり、子どもの医療費無料化の対象を高校卒業するまでに拡大すべきだと訴えています。

 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

 

県人事データから自民党後援会勧誘へ名簿作成 「業務上のもの」では済まされない

 2021年の衆議院選で山口3区から立候補した自民党の林芳正外相の後援会に勧誘した小松前副知事が略式命令を受け辞職した事件を巡り、26日、中国新聞は次のように報じました。
 「2021年の衆議院選で山口3区から立候補した自民党の林芳正外相の後援会に入るよう当時の副知事が部下に勧誘させた公選法違反事件を巡り、勧誘に県の人事データが利用された問題について、村岡嗣政知事は25日の記者会見で『起きてはならないこと』と述べた。一方、副知事に依頼した自民党関係者の調査はしない考えを示した。県は事件を調査する過程で人事データが使われていることを確認していた。ただ、その後にまとめた報告書には記載せず、公表もしてこなかった。村岡知事は『報告書は公選法違反の根っこの組織的な勧誘の構造を明らかにすることと再発防止に主眼を置いている。手法に焦点を当てたわけではない』と弁明した。山口地検が開示した刑事確定記録によると、副知事は林氏のリーフレットと後援会の入会申込書を配る目的で部下に山口3区内に住所、出身校、本籍がある職員リストの作成を指示した。リストは人事データを基に作られた。」
 26日の記者会見録が県ホームページに公開されました。また、私が、この間、2度にわたって閲覧した刑事確定調書から問題点を指摘したいと思います。
 第一は、人事データが業務外に使われた問題です。
 知事は、記者会見で、「指示を受けて作った職員がいるわけですけれども、これは業務上使用するためと受け止めて対応しているということでして、そのこと自体は上司からの命令で業務上のものとして受け止めて対応しているということで、それ自体について問題ということではないのだろうと思います。」
 人事データから山口3区の選挙に使う名簿を作成した職員は、2021年11月12日、山口警察署での取り調べに、「■から『山口3区で』と言われていたので、選挙に関して何らかの形で活用されることはなんとなく想像していました。元々人事データは円滑な業務、組織運営をするためにあるものです。県庁職員が勤務時間中に勧誘活動をすることは問題があると思います。今後、県庁内でこうしたことが行われないようになればと思います。」と供述しています。
 山口3区の名簿を作成した職員は、「選挙に関して何等かの形で活用されることはなんとなく想像していた」「県庁職員が勤務時間中に勧誘活動をすることは問題がある」と供述しています。
 2022年3月に公職選挙法事案に係る調査チームの報告書に、「検察庁から開示を受けた本件事件についての刑事確定記録(写し)も調査の参考に供している」としています。
 県は、検察庁の刑事確定記録(黒塗りなし)のものを見ているのですから、人事データから選挙勧誘のための名簿を作った職員と、それを部下に指示した職員の名前が分かるわけですから、知事は、調査し、全容を県民に説明すべきです。
 知事の「業務命令で問題なし」との説明に納得できません。
 地方公務員法第34条は、「職員は、職務上知り得た秘密を漏らしてはならない。」とあります。
 山口県個人情報保護条例第8条は、「実施機関の職員又は実施期間の職員であった者は、職務上知りえた個人情報の内容をみだりに他人に知らせ、又は不当な目的に使用してはならない」とあります。
 人事データを基に、名簿を作成し、選挙の勧誘に使う行為は、地方公務員法違反、県個人情報保護条例違反の疑いがある重大事案です。
 知事は、この問題を解明すべきです。
 二つ目は、副知事に依頼した人物の特定についてです。
 知事は、記者会見で「組織を使って勧誘を行ったというところが問題です」「外部の方が、誰がそれを言ったかというところが、われわれの方が明らかにすることは、目的としているものではありませんので、それはそれぞれの方が考えられることだと、当事者の方で考えることだと思います。」と述べました。
 2021年12月16日、山口地検で、小松元副知事に後援会勧誘を要請した者(仮にA)の供述調書があります。
 調書に「私が小松副知事にこの依頼をした時期については、はっきりした記憶はありませんが、小松副知事が令和3年4月頃であったと言うのであれば、私のおおよその記憶とも齟齬しませんので、その頃で間違いありません。」とあり、小松前副知事の調書にもある依頼をした人物が検察庁で供述しているのです。
 「自民党山口県連では、平成24年の衆議院選挙の頃から一貫して林芳正議員を応援しており、林芳正議員には衆議院議員選挙に出馬してほしいと考えていたので、令和3年4月頃も、当然、林芳正議員に次の衆議院選挙に出馬して欲しいと考えていました。」とA氏は、小松前副知事に依頼した根拠を語っています。
 「私が、このような依頼を小松副知事にした理由は、代々山口県副知事に対し、このようなことを頼んでいたことに加え、副知事は、議会との調整等を行うなど実務的な役割を担う役職であり、私や自民党県連と接触する機会も多いことから、知事ではなく、副知事に依頼し」たとA氏は供述しています。
 A氏は、自民党山口県連の重鎮であり、副知事とも何度も面会できる立場にある人物で、小松前副知事だけでなく、代々の副知事にも選挙の勧誘の依頼をしていた人物であることがこの供述調書からうかがえます。
 日本共産党県議団は、23日の予算要望の中で、「前副知事ら県幹部に自民党候補の後援会入会を勧誘するよう依頼した団体、人物を告発し、公平な裁きを求めること」を知事に要請しました。
 先述したように、県は、検察庁の刑事確定記録(写し)を見ているわけです。つまり、県は、A氏の氏名と職業を承知しているわけです。
 知事は、再発防止が目的の調査に限定せず、小松前副知事に選挙のための勧誘を行った人物を特定し、検察庁に告発すべきです。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

昨日と本日、市内4か所で市政県政報告会行う

 4月の県議選宇部市議選勝利のために、昨日、琴芝ふれあいセンターと上宇部隣保館で県政・市政報告会を行いました。

  上宇部隣保館で行われた県政・市政報告会で県政について報告する私

 今日は、10時から恩田ふれあいセンターで、14時から西宇部ふれあいセンターで県政・市政報告会を行います。

 昨日、私がお話しした要旨は以下の通りです。

・・・

 集いにお集まりの皆さん、紹介を受けました県議会議員の藤本です。
 最初は、県庁ぐるみで自民党議員の後援会活動を行った問題です。
 21年10月の衆議院選で自民党の林よしまさ外相の後援会に入るよう小松一彦前山口県副知事が県職員を勧誘し、公職選挙法違反の罪で罰金30万円の略式命令を受けた事件の刑事確定記録の閲覧申請を私は、昨年4月に行い、この程、閲覧が許可され、山口地検に二度、閲覧に行きました。
 資料1は、私が、閲覧したメモをしんぶん赤旗に送り、1月19日に掲載された記事です。
 林よしまさ後援会に勧誘する名簿が県の人事データを基に作成されていたことが分かりました。刑事確定記録を閲覧した、中国新聞、NHK、読売新聞が同様の記事を掲載しました。
 名簿を作った職員は、上司から山口3区に縁がある職員の名簿を所属ごとに分けて作成するよう指示され、職員は県の人事データをコピーして別のファイルとして保存して名簿を作成しました。
 25日の定例記者会見で、村岡知事は「県の人事データが使われていたのは事実。目的外使用は当然起きてはいけない」と答えました。
 この問題は、地方公務員法34条が定める守秘義務に違反であり、県個人情報保護条例8条が定める不当な目的に使用してはならないとする職員の義務に違反するものです。23日、日本共産党県議団は、全容解明と再発防止策を知事に求めました。
 昨日までに、新型コロナで、今月だけで139人の方がお亡くなりになりました。月あたり最多死者数は、昨年8月の137名を超え、今月が最多の死者数となりました。
 私は、これまでの議会で、クラスターが多発している高齢者施設で働く職員への定期的な検査の実施を求め、昨年の秋から実施されました。
 今後とも死者を生まない新型コロナ対策の強化を求めていきます。
 このような中、岸田政権は、新型コロナを季節性インフルエンザ並みの「5類」に引き下げる方針を示しました。犠牲者が最悪という深刻な事態のもとで、医療への公的責任を放棄することは許されません。
 東京都が子育て支援策を次々示しています。一つは、子どもの医療費を18歳まで無料にすること。二つは、18歳まで子ども一人あたり年6万円給付すること。三つは、第2子以降の0~2歳の保育料を無料にすることです。
 資料3は、全国の子どもの医療費無料化の対象年齢を示したものです。全国12都府県が中学校卒業以上を対象にしています。山口県市長会も毎年、県に、子どもの医療費助成制度の拡充を要望しています。
 私は、東京並に子どもの医療費助成は高校卒業までゼロ、給食費ゼロ、子どもの均等割りを無くし、子どもへの国保料ゼロの子育て3つのゼロを求めます。
 年末の徹子の部屋でゲストのタモリさんは、「2023年は新しい戦前になる」と発言したことが話題になっています。
 岸田政権は、安全保障3文書を昨年改訂しました。資料4は、その一つ、「国家安全保障戦略について」の引用です。
 「飛来するミサイルを防ぎつつ」との部分が「専守防衛」です。
 「我が国から有効な反撃を相手に加える能力」との部分が反撃能力=敵基地攻撃能力です。 これまで、日米同盟では、自衛隊が「盾」で、米軍が「矛」でしたが、これからは、自衛隊も米軍も「矛」になり敵国に攻めていくことになります。
 アメリカのシンクタンク「戦略国際問題研究所」が台湾有事の際、米軍と自衛隊の戦死者は3200人と試算する報告書を9日付けで公表しました。沖縄県の米軍基地の影響が最大ですが、岩国基地などの在日米軍基地や自衛隊基地も攻撃の対象になると指摘しています。また、自衛隊の基地の標的になると指摘しています。
 日本共産党は、特定の国の「排除」ではなく、「包摂」的な平和外交を進め、東アジアに平和の枠組みを作る平和ビジョンを提唱しています。
 私は、これまで市議2期、県議5期20年務めてきました。
 今、宇部市の弁護士の方々から、法務省が進める「宇部拘置支所の廃止」を中止させる取り組みへの協力を求められています。
 県民の願いを届けるため藤本を県議会に送ってください。

・・・ 

 皆さんの周りで私を囲む集いを開いてください。

 トップページの問い合わせから私にアクセスしてください。

宇部西高・高森みどり中 存続へ向け2団体が協力して公開質問状提出へ

 今朝の読売新聞は、宇部西高校と高森みどり中学校の存続を求める会が合同の会議を開いたと次のように報じました。
 「県立高の再編計画に伴う宇部西高(宇部市)と高森みどり中(岩国市)の生徒募集停止を巡り、同高を『存続させる会』と同中の『存続を求める会』は25日夜、岩国市周東町で初めての会合を開いた。2月1日に、それぞれの2回目の公開質問状と撤回を求める署名の追加分を県教育委員会に一緒に提出することを決めた。協力し合うことで、地域のエゴではなく、県内のどの地域でも起こりうる問題だと県民に知ってもらいたいと、存続させる会が呼びかけた。存続させる会の岡本清代表(54)は『こういう(急な募集停止となる)学校が一校でも少なくなるようにしたい』、存続を求める会の篠田正則会長(57)は『思いは共通。今後も一緒にやっていければいい』と話した。」
 先日行われた、藤本かずのりサポーターズ総会の場で宇部西高校の存続を求める署名のお願いをしました。
 2月1日の追加署名提出までに、存続させる会の事務所に署名を届けたいと思います。
 署名したいという方は、私が署名を預かっていますのでご連絡ください。
 私は、存続させる会と存続を求める会の運動を支持し、引き続き、必要な発言を行いたいと思っています。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

山口県弁護士会会長声明「宇部拘置支所の収容業務停止に強く反対する会長声明」発出される

 24日、田中礼司山口県弁護士会会長は、「宇部拘置支所の収容業務停止に強く反対する会長声明」を発表しました。

 会長声明は以下の通りです。

・・・

宇部拘置支所の収容業務停止に強く反対する会長声明

2023年(令和5年)1月24日

山口県弁護士会    
  会長  田 中 礼 司

第1 声明の趣旨

1 当会は、宇部拘置支所の収容業務を停止するという法務省の決定に対して、強く反対する。

2 宇部拘置支所が老朽化しているのであれば、必要に応じて修繕又は建替えを行い、同支所における収容業務を継続するよう求める。

第2 声明の理由

1 はじめに

 拘置支所は主として、犯罪を犯したという疑いをかけられて起訴された者(以下「被告人」という。)を起訴後に収容するために使用される施設である。
 宇部拘置支所は、主として宇部・山陽小野田地区管内の捜査機関により検挙された被告人(その多くは宇部・山陽小野田市在住の被告人である。)を起訴後に収容するために使用されてきた。
 宇部拘置支所においては、令和3年の1年間で、被告人は延べ2284人、これに被疑者、受刑者、労役場留置者を含めると延べ3624人が収容されており、収容人数は全国的に見ても決して少なくない。
 当会は、令和4年9月12日、法務省広島矯正管区担当者、山口刑務所長等から令和4年11月末日をもって宇部拘置支所の収容業務を停止し、停止後は下関拘置支所に収容業務を集約することが決定した旨の説明を受けた。
 しかし、宇部拘置支所の収容業務が停止され、被告人が下関拘置支所に収容されることは、弁護人の弁護活動、特に弁護人との接見交通権が実質的に侵害されることになる。また、生活圏内から遠隔地に収容される被告人の環境調整や社会復帰にも様々な支障をきたすことになるなど、被告人の人権保障の見地から看過出来ない問題がある。
 当会は、このような重大な問題を孕む宇部拘置支所の収容業務停止について、最も利害関係の強い当会と何ら協議することなく、収容業務停止予定日の直前になって一方的に決定した旨通告する法務省及び山口刑務所に対して、強く抗議するとともに、収容業務の停止に対しては断固として反対し、必要に応じて修繕または建替えを行い、同支所における収容業務を継続するよう求めるものである。

2 収容業務停止に伴って生ずる弊害について

⑴ 弁護人と被疑者・被告人との接見交通権(刑事訴訟法39条1項)は、憲法34条前段及び第37条第3項が保障する弁護人依頼権に由来する重要な権利であり、これを実質的に保障するためには、弁護人による接見交通権の行使が容易でなければならない。
 しかし、宇部拘置支所の収容業務が停止され、被告人が下関拘置支所に収容されるようになると、被疑者段階で選任されていた宇部・山陽小野田地区管内の弁護人は、被告人との接見のため下関拘置支所まで赴かなくてはいけなくなる。そして、宇部・山陽小野田地区管内から下関拘置支所までは、自動車で片道約1時間以上かかるので、弁護人による接見が著しく困難になることは明らかである。
 特に、山口県では国選弁護人の登録者数は減少しており、上記宇部・山陽小野田地区管内では、僅か十数名の登録弁護士で、年間100件程の国選事件を担っている。したがって、上記移動の負担は極めて深刻なものであって、国選弁護人の登録者の減少に更なる拍車をかけるおそれすらある。
 以上のように、宇部拘置支所の収容業務停止は、接見交通権の重要性に対する認識と配慮を欠いた決定と言わざるを得ず、僅かな人数で国選弁護制度を支える宇部・山陽小野田地区管内の国選弁護人に過重な負担を強いる点でも到底容認できない。

⑵ また、被告人の社会復帰に向けた支援体制を構築するためには、弁護人以外に、被告人の親族や福祉関係者等(以下「社会資源」という。)と面会することが必要になる場面も多い。特に、障がいが疑われる被告人や高齢で身寄りのない被告人の場合には、社会資源に結びつける環境調整、いわゆる入口支援は再犯防止の観点からも近年重要性を増しつつある。
 しかし、宇部拘置支所の収容業務が停止され、下関拘置支所に被告人が収容されることになれば、社会資源となるべき親族や福祉関係者等も宇部から下関拘置支所まで遠距離の面会を余儀なくされる。そうすると、時間・費用等の面で支援体制の整備や構築に支障を来すことは確実である。
 以上のように、宇部拘置支所の収容業務停止は、弁護活動に重大な支障を生じさせるだけではなく、被告人と社会資源との分断を生じさせ、被告人に対する環境調整等の入口支援、早期の社会復帰を阻害する結果となる。

⑶ さらに、宇部拘置支所から下関拘置支所に収容される被告人の公判は、従前どおり、山口地方裁判所宇部支部で開かれることになるが、被告人は公判期日の度に、往復約2時間もの間、狭い押送車の中で身体拘束を受け続けることになる。
 自己の行為に対する判決が確定するまでは、無罪推定が働く被告人に対して、罪証隠滅・逃亡阻止の目的を超えて、その身体に対する過度な負担を与え自由を拘束することは、被告人の人権に対する重大な侵害に他ならない。

⑷ 以上のとおり、当会としては、宇部拘置支所の収容業務停止によって弁護活動や被告人の社会復帰活動等に重大な弊害が生じ、本来、宇部拘置支所に収容される被告人の権利が侵害される結果となることから、この度の決定には強く反対する。

3 収容停止の理由・決定に至るまでの手続き等について

⑴ 宇部拘置支所の収容業務停止の理由として、①宇部拘置支所の老朽化、②建て替えた上で収容を継続することのコスト面の問題を挙げるが、いずれも収容業務停止の理由として十分な合理性はない。
 まず、①②を根拠とするのであれば、修繕や建替えを行った場合と収容業務を下関拘置支所に移した場合でどの程度コストに差が生じるか算定するのが通常であるが、そのようなコストの比較がされた形跡はない。
 次に、法務省及び山口刑務所の説明によれば、宇部拘置支所の収容定員は1日平均約7名で、職員は11名とのことであるが、収容定員に対して職員が多いことがコスト面で問題になっているとすれば、一部の職員を山口刑務所管内に振り分けるなど、収容業務を停止する以外にコストを削減するための方策が検討されてしかるべきであるが、そのような形跡もない(なお、宇部拘置支所の収容業務停止後は、同所の職員11名は下関拘置支所又は山口刑務所管内に振り分けられるとのことであるから、上記の方策に何ら支障はないと思われる。)。
 そして、宇部拘置支所は、山口地方検察庁宇部支部と同じ建物内に存在するところ、山口地方検察庁によれば今後も同宇部支部は存続し、建物を利用し続ける予定であり、老朽化による支障もないとのことであった。そうだとすれば、そもそも老朽化は収容業務停止の正当な理由とはなり得ない。
 以上のように、収容業務停止の理由に合理性はなく、建て替えについて十分な検討がされないまま収容業務停止が決定されたと考えざるを得ない。

⑵ また、収容業務停止を決定するまでの手続きにも重大な問題がある。
 すなわち、当会が、今回の決定について法務省や山口刑務所から説明を受けたのは、令和4年9月12日であり、収容業務停止が予定されていた同年11月末の僅か1か月半前であった。さらに、同日の説明によれば、決定にあたり当会を含め関係機関に対する意見照会やヒアリング等は一切行われておらず、令和3年12月末頃から令和4年3月末頃までの僅か3か月程度の検討期間で収容業務停止の決定に至っている。その後、収容業務停止時期が延期されたものの、収容業務停止以外の方法が検討されたことは窺われず、当会を含め関係機関に対して十分な説明が尽くされたとはいえない。
 前述のように、宇部拘置支所の収容業務停止によって弁護活動や被告人の人権に重大な弊害が生じることを踏まえれば、以上の法務省や山口刑務所の対応は、そのような弊害について何ら配慮せず、検討もされていなかったと考えざるを得ず、この度の決定には看過できない手続上の問題がある。

4 結論

 以上のとおり、宇部拘置支所の収容業務を停止するという法務省の決定には、弁護活動や被告人の人権保障の観点から重大な問題があり、またその理由や決定に至るまでの手続上の観点からも極めて問題であり、到底容認することはできない。
 当会としては、このような決定に対して強く反対するとともに、宇部拘置支所については必要に応じて修繕または建替えを行い、同支所における収容業務を継続するよう求める。

以 上

・・・

 私は、宇部市選出の県議会議員として、山口県弁護士会の会長声明を支持し、宇部拘置支所の収容業務の継続を要望します。

 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

香田洋二著「防衛省に告ぐ 元自衛隊現場トップが明かす防衛行政の失態」を読む

 元海上自衛隊自衛艦隊司令官(海将)の香田洋二さんの「防衛省に告ぐ 元自衛隊現場トップが明かす防衛行政の失態」の内、第二章の「イージスアショア問題が浮き彫りにした防衛省の独善」を読みました。例えば第7章「憲法改正は自衛隊の悲願」など本書の主張とは意見が違う点はありますが、イージスアショア計画が浮上して、可能な限り、現場に立ち、防衛省の説明を聴いてきたものとして、この本の第二章は、興味深いものでした。
 香田さんは、本書のはじめにこう書いています。
 「日本の防衛が抱える構造的欠陥が暴露したのは、2020年、政府が地上配備型弾道ミサイル迎撃システム『イージスアショア』の配備を断念し、イージスシステムを船舶(海上プラットホーム)に搭載する案に乗り換えたときだった。一連の過程では、国民に十分な説明を行わず、そして、防衛省内でも十分な検討もせず、行き当たりばったりで判断を下す体質が改めて明らかになったという現実だ。」
 イージスアショアに関し迎撃ミサイルSM3発射直後に切り離される加速用ロケットであるブースターが、市街地に落下するのではないかという疑問に、防衛省が「ブースターは演習場内か海上に落下させられる」と住民に当初説明しました。
 この説明に、香田さんは「防衛省がこんなとんでもない説明をしたのは、善意に解釈すれば『その時点での窮地を切り抜けるために根拠なく拙嗟に答えてしまった」のであり、悪く言えば『後先を考えずに現地の方を欺いた』ということになる。」と厳しく批判しています。
 防衛省は結局、「ブースターを制御するためには2000億円の追加費用が必要」などの理由で、2020年6月にイージスアショア断念を明らかにしました。
 同年12月には菅首相が、「イージスシステム搭載艦」2隻の運用という大胆案を示しました。
 イージスアショア断念からイージスシステム搭載艦へのプロセスについて香田さんは「驚くのはこの結論を出すまでの短さである。(中略)その根底にあるのが、国民に対する防衛省の責任感の欠如と、高価格・高性能装備を国民の前で一点の曇りなく説明し、導入を実現しようという防衛省の決意と覚悟の欠落であるように思えてならない。」とこれまた厳しく批判しています。 
 香田さんは、イージスシステム搭載艦のライフサイクルコストについて「2020年5月の『朝日新聞』によると、防衛省の資産ではイージスシステム搭載艦のライフサイクルコストは9000億円ちかくになったという。これに対し、イージスアショアのライフサイクルコストは2019年時点で約4400億円と見積られていたので、改修費2000億円を上乗せしても6400億円にとどまる。イージスシステム搭載艦のライフサイクルコストは1兆円以上に膨らむ可能性も指摘されている。このまま現在の事業を進める場合、原計画のイージスアショアと今のイージスシステム搭載艦の間で2倍程度の経費差が生じる恐れさえある。」とこれまた厳しく指摘しています。
 香田さんは、この章の最後に「多額の費用が追加で発生しても、要求して当然といわんばかりの態度でイージスシステム搭載艦事業を推進する防衛省。倫理観と責任感のかけらさえ感じられない。いまの防衛省は日本と日本国民を武力で守る自衛隊を監督する省としてふさいわしいのだろうか。問われているのはこの問題だ。」と痛烈に批判しています。
 2018年に防衛省が行ったイージスアショアに関する「第二回説明会資料24ページ」は、「我が国全域を防護する観点から、北と西にバランス良く2基を配置するためには、どのような場所にイージスアショアを配置するのが適当か数理的な分析を実施。結果、多くの地域を防護するためには日本海側に配置するのが適当か数理的な分析を実施。さらに分析を重ね、山口県付近と秋田県付近にイージスアショアを配置した場合、2基で最もバランス良く我が国全域を防護することが見込まれた」としました。
 そうなると、イージスシステム搭載艦の配置も、萩市沖と秋田市沖になるのではないかと、萩市の住民の不安は解消されていません。
 防衛省の有力なOBの香田さんからイージスシステム搭載艦についてこれほどまでの疑問が出されていることに防衛省は真摯に向き合い、計画を最初から見直すべきだと考えます。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。