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「金子みすゞがうたう心のふるさと」読書ノート②

 昨日に続いて、元龍谷大学学長の上山大峻著「金子みすゞがうたう心のふるさと」の感想を書きたいと思います。

 金子みすゞの代表作の一つに「私と小鳥と鈴と」があります。

 「私が両手をひろげても、

  お空はちっとも飛べないが、

  飛べる小鳥は私のように、

  地面を早くは走れない。

 

  私がからだをゆすっても、

  きれいな音は出ないけど、

  あの鳴る鈴は私のように、たくさんな唄は知らないよ。

 

  鈴と、小鳥と、それから私、

  みんなちがって、みんないい。」

  「仏説阿弥陀経」に「青色青光、黄色黄光、赤色赤光、白色白光、微妙香潔」(青い色のものは青い光を放ち、黄色い色のものは黄色の光を放ち、赤い色のものは赤い色を放ち、白い色のものは白い光を放っている。それがまことに美しい)という言葉があります。

 上山さんは、「仏説阿弥陀経」を引用した後で「私たちは、自分と違った姿・形をしたものや違った考え方をするものを嫌います。嫌うだけでなく排除しようとします。そして同じものに作り変えようとします。しかし、違っていても、皆それぞれに大切な命とかけがえのない個性をもっているのです。私の存在が許されているように、違った人の存在も大切なものなのです。世界にはいろいろの人々がいて、いろいろの違った文化をつくっています。そのなかには私の好みに反するものがあるかもしれません。しかし、その人びとの立場に立てば、それぞれがすばらしく、大切なものなのです。」と述べています。

 上山さんは、その上で、「戦争中、日本は自らを『大和民族』と称して他の民族を蔑視しました。ナチスドイツがユダヤ民族を抹殺しようとしたのもその民族差別からでした。みすゞさんの『私と小鳥と鈴と』が詠まれたころは、日本がすでに戦時体制に入り、全体主義が支配していたころです。国民の皆が『お国のため』に統一されなければならなかった時代です。『それぞれが違っていいのだ」などととても言えないころです。そんな時、みすゞさんは『みんなちがって、みんないい』と言ったのです。驚くべき勇気です。みすゞさんの詩集が世間に出ず、埋もれていたことが幸いしました。もし、そうでなければ軍部によって抹殺されていたでしょう。みすゞさん自身、はたしてそんな危険性を意識していたかどうかはわかりませんが、彼女の詩には時の権力におもねらない強さを感じます。そしてその強さを支えていたのは仏教の思想であったと思うのです。」と書いています。

 治安維持法によって虐殺された小林多喜二と金子みすゞは、1903年(明治36年)の同い年です。

 みすゞが雑誌に投稿を始めたのが、1922年(大正12年)の20才の頃です。

 多喜二が小樽高等商業学校に入学して「小樽高商校友会雑誌の編集委員になったのが、20才の頃です。

 みすゞが亡くなったのが1930年(昭和5年)。この年に小林多喜二は「蟹工船」で不敬罪の追起訴を受けます。

 みすゞが亡くなって3年後の1933年(昭和8年)に小林多喜二は築地署特高警察に逮捕あれ、拷問の末亡くなります。

 私の歴史と重ねると、私の父の母(私の祖母)は、1904年(明治37年)生まれでした。金子みすゞらと同じ世代です。

 父は、1931年(昭和6年)生まれ。まさに戦時体制に入り、全体主義が支配していた頃です。

 こう考えると、全体主義が跋扈していた時代はそんなに昔ではないのです。

 戦争法が強行され、共謀罪が強行されようとしていますが、全体主義を復活させてはなりません。

 「みんなちがって、みんないい」と言えない社会を繰り返してはなりません。

 安倍首相に、今日は、郷土の詩人・金子みすゞの「私と小鳥と鈴と」を読み直していただきたいと思います。

 そして、安倍首相には、当面、共謀罪の強行はしないよう切にお願いしたいと思います。

 上山さんの本を読んで心から金子みすゞの詩が好きになりました。

 あなたは、金子みすゞのどの詩がお好きですか。お教え下さい。

金子みすゞがうたう心のふるさと

 上山大峻さんの「金子みすゞがうたう心のふるさと」を読みました。

 上山さんは、龍谷大学学長を経て、現在、長門市・乗泉寺の住職をされています。

 上山さんは、本書の意図を「僧侶(浄土真宗)として、また、同じ地域に育ったものとして、できるだけ彼女の心に近づいてみたいと思うのです。」と書いています。

 金子みすゞの有名な詩に「大漁」があります。

 「大漁

  朝焼小焼だ

  大漁だ

  大羽鰮の大漁だ。

 

  浜はまつりの

  ようだけど

  海のなかでは

  何万の

  鰮のとむらい

  するだろう。」

  上山さんは、「どんなものの命でも、同じ重さだ」ということをこの詩は教えているとしています。

  その上で、上山さんは、「ブッダのことば」の次の言葉を引用します。

 「すべての者は暴力におびえ、すべての者は死をおそれる。己が身をひきくらべて、殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。」

 上山さんは、「この教えは、単に命の重さ(価値)が同じだということだけでなく、他のものも自分と同じように命を大切に思っているという自他の共感から、だから『他を害してはならない』と、もう一歩進められたものです。」と解説しています。

 そして、上山さんは、「鰮の命と人間の命が同じだとうこと、鰮も仲間の死を悲しんでいるだろうという思いが起きるのは、あたり前のことだったのです。でも、人間だけが偉いのだ、他の命は人間に奉仕して当然なのだと驕ってきた私たちにとっては、このことが忘れられてしまって、いつのまにか大きな驚きになっていたのです。」と語っています。

 上山さんは、金子みすゞさんの詩が産まれた背景には、お寺の多い仙崎の育まれたブッダの思想があったのではないかと語ります。

 ブッダの「殺してはならぬ。殺さしめてはならぬ。」は念仏者9条の会を支える大きな柱となる言葉です。

 国政を私物化して暴走を加速させている安倍総理に、故郷が生んだ詩人「金子みすゞ」の「大漁」の詩を今、送りたいと思います。

 自分や自分の周りの者のためいは、他は奉仕して当然なのだと安倍首相は驕っています。

 安倍首相に今、「大漁」を読んで感じていただきたいと思います。

 金子みすゞについて、皆さんの感想をお聞かせ下さい。

岩国基地を世界への『殴り込み』の一大拠点地にしていいのか

 日本共産党の志位和夫委員長が4月23日に行った民主青年同盟主催の「世界と日本を どうとらえ どう変えるか-日本共産党綱領セミナー」のパンフレットを読んでいます。

 日本社会は、憲法のとおり「国民主権」の国とは言えない、二つの大きな問題を抱えています。

 第一は、「国民主権」ではなく「アメリカ主権」となっていることです。

 第二は、「国民主権」ではなく「財界主権」になっているということです。

 日本共産党の綱領では、いま日本が必要としているのはこの二つの問題を変革していくことだと指摘しています。

 志位委員長は、「アメリカ主権」の具体的な表れとして、在日米軍基地の異常を指摘します。

 志位委員長の講演パンフレットから引用します。

 海外に駐留する米兵約15万人の内、3分の1の約5万人が在日米軍基地に駐留しています。

 日本に配備されている米軍は、どれも日本防衛とは無縁の海外の戦争への介入と干渉を専門とする部隊「殴り込み」部隊です。

 一つは、沖縄県と山口県・岩国を根城にする海兵遠征軍。

 海兵隊に基地を提供しているのは、世界でも日本だけです。

 二つ目は、神奈川県・横須賀を母港にした空母打撃群。

 空母に母港を提供している国も世界の中で日本だけです。

 三つ目は、長崎県・佐世保を母港にした強襲揚陸艦を中心にした遠征打撃群。

 強襲揚陸艦に母港を提供しているのも日本だけです。

 四つ目は、青森県・三沢、東京都・横田、沖縄県・嘉手納などの基地を拠点にした航空宇宙遠征軍。

 戦闘機、爆撃機、輸送機などと空中給油機が一体となって、地球の果てまで展開することが可能です。

 志位委員長は、「どれも『遠征』とか『打撃』とか物騒な名前がついているでしょう。その名前が示すとおり、海外への『殴り込み』専門の舞台です。ベトナム戦争でも、イラク戦争でも、これらの部隊が出撃しました。日本は米軍が海外の戦争に出ていく出撃拠点とされました。

 山口県・岩国基地は、現在でも海兵遠征軍の拠点ですが、来月から空母打撃群の拠点にもなろうとしています。

 日本共産党の第27回大会決定で岩国基地について「空母艦載機約60機も2017年をめどに移駐し、所属機は約130機と東アジア最大の航空基地となる。」と指摘しています。

 その上で、大会決定は「在日米軍基地は、海兵隊と空母打撃群の両面で、世界への『殴り込み』の一大拠点地として強化されようとしている。」と指摘しています。

 米軍岩国基地を「世界への『殴り込み』の一大拠点地」にこのまましていいのか。

 志位委員長の講演パンフレットを読みながらこのことを痛感しました。

 福田岩国市長や村岡山口県知事は、基地問題でこれまで取ってきた姿勢に真摯に立ち返って、空母艦載機の受け入れ姿勢を再考すべきです。

 空母艦載機の岩国基地への移駐問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

 

総がかり行動やまぐち県民大集会

 戦争させない・9条壊すな!総がかり行動やまぐち実行委員会は4日、安保法制強行を忘れず廃止まで行動し続けようと、県民大集会を山口市で開き、約700名が参加しました。

 那須正幹共同代表(児童文学者)は「安倍政権の出す法案は国民を不自由にするものばかりだ。鋭い目を向け批判し、広範な反対運7道を盛り上げよう」と挨拶しました。

 ゲストトークでは、前山口大学副学長の纐纈厚さんと安保法制違憲訴訟弁護団長の内山慎吾弁護士が、安保法制の違憲性や安倍首相の改憲発言の狙いを指摘し会場から大きな拍手送られました。

 纐纈厚さんは、「安倍改憲を徹底的につぶし、私たちが求めてやまない憲法9条の精神をいかす運動をすすめよう」と訴えました。

 内山弁護士は、「訴訟は安保法制発動の歯止めと廃止実現のエネルギーとなり、明文改憲を許さない力にもなる」と訴えました。

 各地区の活動報告の内、岩国地区からは、米海兵隊岩国基地(岩国市)への空母艦載機部隊移駐容認に前のめりの岩国市長への怒りが訴えられました。

 日本共産党、民進党、社民党の代表が連帯あいさつをしました。

 集会の最後に、参加者一同で、「安倍政治を許さない」の紙を掲げました。

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参加者で「アベ政治を許さない」の紙を掲げる

「安保法制廃止、『共謀罪』阻止、『戦争する国づくり』を進める安倍暴走政治を許さないの声を県下全域から上げよう」との集会宣言を採択しました。

 「安保法制廃止」「私たちはあきらめなぞ」と声を上げ、参加者は市内をデモ行進しました。

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 デモの先頭に立つ内山氏、纐纈氏、西嶋県議

 私は、総がかり行動うべ実行委員会の事務局長として、宇部市での運動を高めるために力を尽くす決意を新たなにた集会でした。

 安倍政治に対するみなさんのご意見をお聞かせ下さい。

 

妙好人に学ぶ

 本願寺派勧学の梯實圓さんと広島大学名誉教授の松田正典さんの共著「妙好人に学ぶ」を読みました。

 「妙好人」の意味を梯先生の文章から引用します。

 「観無量寿経」に「もし念仏するものは、まさに知るべし、この人はこれ人中の分陀利華なり」とあります。

 この分陀利華とは、インドの「プンダリーカ」を中国語に音訳したもので、本来の意味は「白蓮華」です。

 仏教では「白連華」とは「菩提心」を意味し、親鸞聖人は「信心」と呼んでおられます。

 善導大師が、「観経疏」の中で、白蓮華を「好華」「希有華」「上上華」「妙好華」「最勝華」と表現し、「菩提心」のある人を「好人」「妙好人」「上上人」「希有人」「最勝人」と表現しました。

 善導大師が表現した「妙好人」が「心の底から喜んで念仏する人」として現代に伝えられています。

 妙好人のなかの一人に、「因幡の源左」という人がいました。江戸の終わりに生まれ、昭和の初めに往生を遂げた人です。

 民藝運動を展開した柳宗悦さんが、「因幡の源左」という本にされました。

 ある日、源左さんが、田の草取りに行っていたら、突然、夕立がやってきて、雨具を用意してなかったから、ずぶぬれになってとぼとぼと帰ってきた。その帰る途中で、近くのお寺のご住職と出会います。

 ご住職が、「爺さん、よう濡れたのう」と言うと、源左さんは、「ありがとうござんす、御院家さん。鼻が下に向いとるで有難いぞなあ」と言って、「なんまんだぶ、なんまんだぶ」と称えながら雨の中を帰ってゆきました。

 梯さんは、こう書いています。

 「源左さんは、そお時、気がついたのでしょう。鼻が下向きについていてくれることがどんなに有難いことかということを。大雨のなか、ふっと気がついてみると、鼻に雨水が入らない。これは有難いとだ。これがもし鼻が上向きについていたら、全部、雨が鼻のなかに入ってしまって、息ができなくなるところだった。鼻が下向きについてくださったお陰で、こうして歩いて帰れる。」

 親鸞聖人の「一念多念文意」の中に次の文章があります。

 「『凡夫』といふは、無明煩悩のわれが身にみちみちて、欲もおほく、いかり、ほらだち、そねみ、ねたむこころおほくひまなくして、臨終の一念にいたるまで、とどまらず、きえず、たえず、水火二河のたとへにあらわれたり。」

 その上で、親鸞聖人は、「入出二門偈」で次のように述べておられます。

 「煩悩を具足せる凡夫人、仏願力によりて信を獲得する。この人はすなはち凡数の摂にあらず、これはジン中の分陀利華なり。この信は最勝希有人なり、この信は妙好上上人なり。」

 梯さんは、このように表現しています。

 「相変わらず煩悩は沸き起こってくるけれども、そのことを、あさましく、恥ずべきことだと反省するようになってきた。」

 「『腹を立てて何が悪いか、自分の好きなものを欲しがって何が悪いか』と言っている人と、『自分の我欲が突っ張っていたら、人にも迷惑をかけるし、自分自身も苦しい羽目に落ちる。危ないことだ』と歯止めがかかる人。後者は『少しでも人々のお役に立ちたいものだ』という新しい方向性が出てきます。」

 私も、日々、様々な場で悩む自分と格闘しています。少しでも妙好人に近づくことが出来ればとこの本を読んで感じました。

 因幡の源左さんが繰り返された言葉は「ようこそようこそ。」でした。

 なんと素晴らしい言葉でしょう。この言葉に出会えただけでも、この本に出合えてよかったと感じています。

 煩悩具足の身である自分と理解しつつ、より良い自分になるよう努力していきたいと思う今日この頃です。

 「ようこそようこそ。」

 

 

スノーデン氏が共同通信と単独会見

 米国家安全保障局(NSA)による大規模な個人情報収集を告発し、ロシアに亡命中の米中央情報局(CIA)のエドワード・スノーデン元職員が共同通信の単独インタビューに応じました。

 その単独インタビューが昨日、山口新聞や中国新聞に掲載されました。

 スノーデン氏は、NSAは「XKEYSCORE(エックススキースコア)」と呼ばれるメールや通話などの大規模監視システムを日本側に提供したと証言しています。

 米ネットメディア「インターセプト」は4月、スノーデン氏の暴露文書として、日本に提供した「エックススキースコア」を使って、NSA要因が日本での訓練実施を上層部に求めた2013年4月8日付の文書を公開しました。

 今年5月29日の参院本会議で、安倍首相は、「出所不明」としてコメントを拒否しました。

 以下は、スノーデン氏への単独インタビューの内容です。

 まず、エックススキースコアについてスノーデン氏は次のように答えています。

「私も使っていた。あらゆる人物の私生活の完璧な記録を作ることができる。通話もメールもクレジットカード情報でも、監視対象の過去の記録まで引き出すことができる「タイムマシン」のようなものだ。エックススコアをNSAと日本は共有した。(供与を示す)機密文書は本物だ。米政府も(漏えい文書は)本物と認めている。日本政府だけが認めないのは、ばかげている。」

 スノーデン氏は、日本の共謀罪について次のように述べています。

 「(法案)に懸念を表明した国連特別報告者に同意する。法案がなぜ必要なのか明確な根拠が示されていない。新たな監視方法を公認することになる。大量監視の始まりであり、日本にこれまで存在していなかった監視文化が日常のものになる。」

 スノーデン氏が「国連特別報告者に同意する」としたのは、5月18日、国連プライバシー権に関する特別報告者のジョセフ・ケナタッチが、安倍首相に提出した「共謀罪」法案に対する懸念を示す書簡です。

 国連の特別報告者は「『共謀罪』法案が法律として採択された場合、法律の後半な適用範囲によって、プライバシーに関する権利と表現の自由への過度の制限につながる可能性がある」「法案を押し通すために立法が急がれることで、この重要な問題についての広範な国民的議論を不当に制限することになる。」などの指摘をしています。

 この書簡について日本政府は抗議の見解を発表しています。

 この日本政府の抗議に対して、国連の特別報告者は反論を発表しています。

 「私が、日本政府から受け取った『強い抗議』は、ただ怒りの言葉が並べられているだけで、全く中身はなかった。その抗議は、私の書簡の実質的内容について、一つの点においても反論するものでもなかった。」

 「共謀罪」法案の成立を急ぐ安倍政権の驕りと焦りは頂点に達しています。

 安倍政権の暴走の先は、スノーデン氏が指摘する大量監視社会の本格的なスタートなのです。

 日経(電子版)の世論調査では、安倍内閣の支持率が前回の52.1%から25.4ポイント激減し、26.7%となりました。

 憲法9条を骨抜きにし、「共謀罪」法案を強行しようとする安倍政権を退陣に追い込んでいきましょう。

 ジャーナリスト小笠原みどりさんの「スノーデン、監視社会の恐怖を語る」後半部分を読んでいます。