しんぶん赤旗日刊紙に、「中小企業と賃上げ」と題する小澤薫新潟県立大学准教授の小論文が掲載されてきました。11月9日の最終回は、自治体が独自に支援を行っているという次のような内容でした。
「事業場内の最低賃金の引き上げと、設備投資による生産性向上を一体で実施した中小企業を支援する業務改善助成金について、厚生労働省はホームページなどでモデル事例を紹介しています。ある食品製造業では、手作業でやっていたときは製品の出来ぐあいにばらつきが生じていたが、新たな調理器具を導入したことでばらつきがなくなったうえ、人員も他の業務に回すことが可能となり作業効率が向上したといいます。また、施術ベットや医療ベッドを導入したある通所介護事業所では、導入前は利用者の移乗や起き上がり補助を複数名で行う場合が多く、効率的で作業を進めることが困難だったが、導入後はベッドの高さ調節機能などによって一人えスムーズに作業を行うことが可能となり、作業効率が向上したとしています。しかし、設備投資による省力化や作業効率の向上が、本質的な経営の向上につながるのかは疑問が残ります。むしろ人件費の削減につながり、最賃境界での労働を生み出すことになるのではないかと危惧します。連載7回目で紹介したように、業務改善助成金は最賃引き上げと設備投資をセットで実施しなければならないため、多くの中小企業にとって使い勝手が悪い問題もあります。こうしたなか、都道府県ごとに支援策を設けたり、補助金を上乗せしたりする動きが出ています。石川県には、業務改善補助金ではカバーされない会社負担の半分を県が負担する仕組みがあります。岩手県には、物価高騰対策賃上げ支援金として、50円以上(1時間あたり)の賃上げを行った企業を対象に、従業員一人あたり5万円(最大20人分)を支給する仕組みがあります。国の重点支援地方創生交付金を活用した「もので、予算規模も業務改善助成金をはるかに上回ります。私たちはが中小企業経営者を対象に2023年2月に実施した調査(経営者調査)には、物価高騰などを価格転嫁することのむつかしさが示されています。石川県や岩手県のような具体的、直接的な対策は中小企業経営にとって重要です。公正取引を実現するうえで公的部門は大きな役割を担っています。中小企業が物価などの高騰部分を価格に転嫁できる仕組みづくりに向けた行政指導が不可欠です。ところが、経営者調査の自由記述には、行政自身が入札で暗に価格引き下げを求めてくるなど、公正取引を阻害する存在になっているとの指摘が多く上がっています。中小企業の抜本的な賃上げを実現するには、国や地方自治体が行う公契約の在り方を見直すことも重要な課題になっています。」
今年の4月時点で、山口県が実施してきた県の賃上げ対策について、産業労働部から次のような説明を受けています。
山口県は、2023年度には、賃金環境整備応援事業を創設しました。県が指定する働きやすい環境づくりの制度等を新たに導入した場合に、一つの取組に10万円、最大4つの取組に40万円の奨励金を支給するものです。更に、1時間あたり30円以上の賃上げを実施した事業者に一人あたり6万円(上限60万円)合計最大で100万円支給するものです。交付決定件数は444件となりました。
今年度は、賃金見直しによる人材確保・定着支援事業(初任給等引上げ応援奨励金)を行っています。34歳以下の正社員について、定期昇給相当分を除き3%以上の賃金引上げを実施した中小企業等に一人あたり10万円、1社あたり100万円を上限に支給しています。
制度融資として2022年12月から賃金引上げ・価格転嫁支援資金をスタートさせています。この資金は、雇い入れ後6月を経過した労働者の最も低い時間当たりの賃金を3%以上引き上げることなどを融資対象としています。2022年度の融資実績はなく、2023年度(2024年2月末時点)で6件に融資を行っており、2024年度も融資制度が継続されています。
山口県がこのような賃金引上げを行う中小企業に奨励金を支出し融資制度を創設していることを評価した上で、今年度の両制度の実績はどうなのか産業労働部に照会したいと思います。
更に、県内の中小企業で国の業務改善補助金の支給を受けている事業所の数などについても産業労働部に照会したと思います。
新年度予算においても、県が、中小企業の賃上げを支援する制度を拡充させて継続するよう求めていきたいと思います。
更に、小沢准教授の論文にあるように①公正取引を実現する上で、中小企業が物価などの高騰部分を価格に転嫁できる仕組みづくりに向けた行政指導をどのように行うのか②地方自治体が行う公契約で、中小企業が物価などの高騰部分を価格に転嫁できるものにするーことなども重要です。この当たりの対策についても県の姿勢を質していきたいと思います。
しんぶん赤旗が自民党裏金非公認候補への政党助成金2000万円提供というスクープが、なぜ生まれたのか、1日のしんぶん赤旗で、社会部長の三浦誠さんは、次のように書きました。
「『しんぶん赤旗』が放った自民党裏金非公認候補への政党助成金2000万円提供というスクープ(10月23日付)は、衆議院選に大きな影響を与え自公過半数割れという結果につながりました。赤旗記者たちはこのスクープをどうやって追いかけたのかー。このスクープには、ふたつの『きっかけ』が合わさっています。ひとつは、非公認候補が自民党支部長のままであるということをつかんだ取材。もうひとつは、公認候補の支部に政党助成金2000万円を各支部に支給するという文書を入手し、非公認候補側への振り込みを確認する取材です。支部長のままだということに気づいたきっかけは、衆院埼玉6区に立候補してた秋山もえさん(日本共産党)のX(旧ツイッター)でした。秋山さんは、中根一幸前議員のポスターに『自民党非公認なのに(自民党)って入っていたわ』と10月15日に投稿。中根氏は裏金づくりで公認を得られず、無所属で埼玉6区に出馬していました。これを読んで私は、同選挙区に住んでいた赤旗広報部の小山田汐帆記者に、『ポスターの写真を撮ってきてもらえませんか』と依頼。小山田記者は写真を渡す際に『自民党と小さく書いてあるだけでなく、(自民党支部長)と大きく書いていますよ』と。これを聞いて『おや?』と思い埼玉県選挙管理委員会に電話。すると、中根氏は自民党埼玉県第6選挙区代表(支部長)のままだという回答が返ってきました。『もしかして』と、非公認になった候補者11人全員について各都県の選管に電話で確認。自民党の処分で党員資格がなかった下村博文元文科相、西村康稔元経産相を除いた8人が支部長のままでした。自民党非公認で無所属立候補なのに、公営掲示板に張り出したポスターに『自民党』と表記するー。これは有権者をだまし、選挙の公平性を害する行為です。自民党の選挙区支部長である(利点)もあります。政党支部は企業・団体献金を受け取ることができます。税金が原資の政党助成金も党本部から支給されます。非公認なのに、党支部がため込んだ企業・団体献金、これが自由に使えます。あたかも『非公認偽装』といえる状況でした。取材で得た情報をもとに10月19日付1面で、『自民党組織的犯罪反省なし非公認8候補党支部代表のまま』という特報を掲載しました。ただメディアの反応は鈍く後追いすることはありませんでした。もうひとつのきっかけは、社会部の矢野昌弘副部長がつかんでいた情報です。矢野副部長は、自民党の森山裕幹事長が10月9日付で公認候補の支部会計責任者あてにだした『支部政党交付金支給通知書』を入手していました。この文書には衆議院公認料500万円と活動費1500万円の計20000万円を、同10日付で政党助成金専用口座に振り込むと記載してありました。非公認候補が党支部長のままだったという記事をうけ、矢野副部長は『非公認候補の支部にも政党助成金2000万円が配られたのではないか』と調査を開始します。自民党支部の関係者は選挙期間中に『赤旗』の取材に応じないのではー。そう思ってしまうと取材は進みません。矢野副部長は最初からあきらめるようなことはせず、候補に質問状を送り、関係者にあたるという(突破力)をみせます。すると、ある支部の会計責任者が『他の支部のことはわからないが、党本部から党勢拡大のための活動費ということで2000万円が振り込まれた』と認めました。さらに矢野副部長は、非公認候補の支部には公認候補の支部とは別の文書が送られていたことを把握。非公認候補の支部には『公認料』という文言はなく、『党勢拡大のための活動費』として2000万円を、公示後の10月16日付で振り込む、という内容でした。支出名目は違っても支給は同額ーまさに『裏公認』でした。この会計責任者は『党勢拡大の活動費ということで、選挙には直接使っていない。事務所の費用など間接的に選挙使っているといわれれば、そうかもしれないが…』とも説明。2000万円が選挙活動と切り分けられないことを認めます。十分な確認が取れ、大慌てで記事を仕上げ10月23日付の一面で掲載。ふたつの『きっかけ』と記者のあきらめない努力が化学反応を起こし、大スクープに発展しました。記事が出ると、自民党はすぐ大混乱に陥りました。スクープ当日の午前中には、『自民党の森山裕幹事長が釈明コメントを出す』との情報が流れてきます。森山氏は『党勢拡大のための活動費として支給したものです。候補者に支給したものではありません』と、支給の事実を認めました。大手メディアは新内閣が誕生した直後に『政治とカネ』の記事を出すことを避ける傾向があります。一般的に新政権との『ハネムーン期間』と呼ばれる時期です。加えて選挙期間中となれば、批判的な記事は出にくくなります。しかし今回は、各メディアがいっせいに後追いを始めました。翌日24日には、石破茂首相が広島市内で『政党支部に出しているのであって非公認候補に出しておるのではございません』と釈明。『そのような報道に負けるわけにはいかない。そのような偏った見方に負けるわけにもいかない』と強がってみせました。自民党の選挙区支部は、支部長の議員が使途を決めることができる財布そのものです。こえは同党内の常識です。石破首相は、きわめて苦しい言い訳をせざるをえない状況に追い込まれました。選挙後、『読売』世論調査(10月30日付)では、石破内閣の支持率が51%から34%に急落。同紙は2000万円提供への『批判が根強いことが調査で裏付けられた』と評しています。いま大手メディアの記者たちから、私にこんなメッセージが続々と届いています。『赤旗さんの勝利ですね』『世の中を大きく揺さぶり、政治の世界を変えた』『自公過半数割れの最大の功労者はまぐれもなく赤旗です』『素晴らしい。世の中を動かした』『まさに歴史的な結果を導きましたね』ある雑誌の編集長はいいます。『全国紙には何百人も記者がいるのに、今回の選挙で『赤旗』のようなスクープが出せなかった。こういうのは追及しようという問題意識を記者がもっていないとスクープできない。一般紙の記者たちにも(赤旗)を読んだほうがいいと薦めたい』」
10月28日、TYSテレビ山口は、自民党山口県連友田幹事長のコメントを次のように報じました。
「27日に投開票が行われた衆議院議員選挙は、自民党が議席を256から191まで大幅に減らし、与党が過半数割れする惨敗となりました。自民党山口県連の友田有幹事長は28日、『2000万円を配ったことが要因だ。石破総裁は、進退を含めてしっかり考えるべきで、総裁の責任だった』と痛烈に批判しました。山口県内の小選挙区は、3議席を自民党の前職が死守したものの、山口2区の岸信千世氏は、立憲民主党の平岡秀夫氏を相手に、わずか1700票差の激戦となりました。これらの結果については『ほっとしているものの、全国的には大変厳しい判断をいただいた』とし、後半になって大きく伸び悩んだと振り返りました。『不記載の問題等で、皆さん方からご指摘を受けた中での選挙だった。それで、260ぐらいあった議席が減ったんだろうと思う』と分析。非公認とした候補者側に2000万円の活動費を支給したことが原因とし、『(非公認の)大変厳しい判断を下した結果が、敗因となった。石破総裁が責任を取るべきだ』と批判しました。」
11月8日付、しんぶん赤旗日刊紙は、日刊スポーツが赤旗の調査報道に敬意を表すとする記事を掲載したと次のように報じました。
「総選挙(10月27日投開票)で自民、公明両党を『過半数割れ』に追い込む決定的な役割を果たした『しんぶん赤旗』が、引き続きメディアの注目を集めています。日刊スポーツの『政界地獄耳』は『選挙前から自民党裏金問題のスクープを連発した(しんぶん赤旗日曜版)11月10日号が政治とカネでまたかっ飛ばした』との書き出しで日曜版の記事を紹介しました。自民党が裏金非公認議員に政党助成金から2000万円を支給していたと暴いた『赤旗』日刊紙の報道に対し、石破茂首相は『党勢拡大』のため党の選挙区支部に出したもので、選挙の公認・非公認とは無関係だと文書で反論しました。しかし今回の日曜版記事は、公認・非公認を含め候補者がいない選挙区支部には2000万円を支給していなかったことを暴露しました。『政界地獄耳』は、『つまり党勢拡大とは、うそということになる』と指摘。『時期ではほかの選挙区にも丁寧に取材しており、幾つもの証言も取られている』として、『どうやら反論として書かれていることも大きくつじつまが合わない。お粗末な話だ』と喝破しています。また、今回の選挙では、自民党の裏金づくりが長年まかり通ってきたことが問われたとしたうえで、共産党が大嫌いな政党や連合は『共産党などとは組めない』と言いながら、『赤旗』の記事に乗っかって自公を攻め、労せずして議席を稼いだようなものだと指摘。『赤旗の調査報道に敬意を表す』と締めくくっています。」
選挙後、お会いした自民党の関係者の方から「赤旗は何人記者がいるのかね」と聞かれました。
しんぶん赤旗三浦社会部長へのメッセージにあったように「自公過半数割れの最大の功労者はまぐれもなく赤旗」であったことは、自民党の関係者の実感となっていることを私も実感しました。
このことに確信をもって、11月県議会に向けて力を尽くしていきたいと思います。
皆さんの身の回りの疑問に思う問題などありましたら藤本まで(携帯090-3747-2855)ご連絡ください。
3日、毎日新聞に、わが母校である日本福祉大学の斎藤雅茂健康社会研究センター長が「尊厳ある孤立死」へと題して、インタビューに次のように応じました。
「死んでもだれにも気づかれない、孤立死はなにが問題なのか。無知からくる、悲惨なものだという決めつけも強くあるが、高齢化が進み、単身世帯も増えるなかでは、すでに当たり前のことになっている。防止策ばかりに偏るべきではない、と言う日本福祉大学教授で、同大健康社会研究センター長の斎藤雅茂さんに聞いた。Q何が問題なのでしょう。A誰にもみとられることなく亡くなり、腐敗したり、白骨化したりしてから発見されるしは孤立死や孤独死と呼ばれます。孤立死が起きると、遺体の埋葬・火葬の手続き、遺品・残余財産の処理、起きた住宅や近隣の資産価値への悪影響といった社会的なコストはかかります。このため対策が必要だという意見も分かります。一方で、最期を迎えたい場所を尋ねると『自宅』と言う人が最も多いのです。住み慣れた場所で最期を迎えること自体は問題とは言えません。問題なのは、死後長期にわたって放置され、人としての尊厳が保たれた最期とは言いがたい形で発見されるに至る、生前の社会的な孤立状態です。Qセンセーショナルに報じられることもありました。A悪臭で発見された人は、平均死後15日程度経過しているという報告があります。センサーなどを使えばそれより早く、場合によっては死後すぐに発見することも可能でしょう。ただ、社会的コストを最小化するために、1日でも早く遺体を発見・通報さえできればいいというわけでもないと思います。生前に人付き合いがとぼしくなっていて、死んだ時ですら誰にも見つからず、しばらく放置されていることが問題の本質です。孤立死に伴う社会的コストだけではなく、孤立死につながる生前の孤立の問題を考えるべきです。Q防止策ばかりに偏っても、ということですね。A早期に発見・通報するシステムそのものは悪くありません。それによって助かる命もあります。高齢者向け住宅などでは、トイレの水が一定時間流れないと通報する仕組みもあります。しかし、社会的なコストの高さを理由とした一部のリスクの高い人たちの早期発見という発想は、ともすると社会的な排除につながりかねません。『見守りか監視か』という議論もあります。本人の尊厳や意向を第一にした慎重な議論が必要です。Q今年初めて、孤立死についての警察庁調査がありましたが、まだ全体像ははっきりしたわけではありません。A孤立死はデリケートな数値であることは確かですが、まず、実態を把握することは、政策を作るうえでも、国民の共通認識を作るうえでも必要です。まだ社会問題としては十分認識されていないのかもしれません。Q行政の対策は防止策になりがちです。A孤立死に至る人がとても少なければ、一部のリスクの高い人たちを重点的にサポートして発生を防ぐ方法も成り立ちます。しかし、孤立死はそれほどまれなケースではなさそうだということも分かってきています。ハイリスクな人はいますが、孤立死はハイリスクではない人にも起こります。孤立死を減らすためには、生前に孤立しにくい社会にすることが大切です。Q個別の対策以外ではどうすべきでしょうか。A難しい人たちをどう支えるかが大切ですが、私はそれだけでは孤立死の数は減らないと思っています。やはり環境を変えることが必要です。近年の日本は人とつながりにくい社会になっています。いろんな人がいろんな場所でいろいろ人と付き合える社会になるべきです。Qよく地域社会のつながりが失われたと言われます。Aたしかに、自治会の加入率などは低下しています。一方で、ボランティア活動やスポーツクラブなどに参加する高齢者、働いている高齢者は増えています。かつての地域社会に戻すことは難しいでしょうが、つながりが失われたかというと、必ずしもそうではありません。地縁でなくとも、みんなが孤立しにくい社会はありえます。そうした社会が、結果として孤立死の減少にもつながるのではないでしょうか。Q専門家の役割はどうでしょう。A政府の政策もそうですが、ともすると孤立対策は一部の深刻なケースに焦点があたりがちです。それはそれで大切なのですが、孤立死のように発生の規模が大きい場合は、個別のケースに対応するだけでは不十分です。政策がリスクの高い人だけ把握すればいい、という方向に傾かないように注意喚起するのが専門家の役割かもしれません。」
警察庁捜査第一課が今年8月に発表した「警察取扱死体のうち、自宅において死亡した一人暮らしの者~令和6年上半期(1~6月)~暫定値」によると、警察取扱死対数が、10万2965人で、その内、自宅において死亡した一人暮らしの者が3万7227人、その内、65歳以上が2万8330人でした。
山口県は、警察取扱死対数が1253人で、その内、自宅において死亡した一人暮らしの者が、618人、うち65歳以上が485人でした。
県内で、これほどの数の一人暮らしの方々が自宅において死亡しておられる事実を初めて知りました。
斉藤教授が指摘するように「尊厳ある孤立死」が実現する社会にするためには、リスクが高い人だけの対策ではなくリスクの低い人に対する対策も同時に行っていく必要があると感じました。
県警に対して、これだけの数の一人暮らしの人が自宅で亡くなっておられることにどう対応していこうとしているのか質していきたいと思います。
孤立死に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
10日付、山口民報は、県立大学と自衛隊について次のように報じました。
「前号詳報のように、10月13日、山口市上宇野令の山口駐屯地の自衛隊創設69周年記念行事で第17普通科連隊と山口県立大学が共催した『VRによる戦車、ヘリコプター試乗体験ブース』は、リアルによる戦車試乗にかわって子どもたちをターゲットに、武器の接触を深める新たな方法として登場したもの。県立大学当局としては、本紙が取材(10月28日)で確認を求めるまで、具体的内容を把握していませんでした(田原直幸法人経営部事業管理・経営企画部門部門長)。田原氏は、国際文化学部文化創造学科のVR・動画関係のゼミが、自衛隊と協力して今回の戦車・ヘリ試乗VRを作ったと説明。自衛隊戦車やヘリへの試乗となったことについては、『大学側が求めたのではない。相手(自衛隊)からの話があって協力したものだ』と繰り返しました。なぜその際拒否し、災害救援活動など別のテーマに、と言わなかったのか』との問いには、田原氏は『細かいやりとりは分からない』とのべるにとどまりました。VR試乗体験はリアルにかかわる武器への接触であり、『好ましくない・あるいは問題ないなどどのような見解なのか』『今後も続けていくのか・やめるのか』-と県立大学としての公式見解を求めた事にも、田原氏は即答をさけました。田原氏は県立大学と自衛隊がVRや動画による自衛隊の公報づくりを中心に共同研究を行っていると発言。その後の取材で、『2020年から共同研究しており、テーマは広報映像の作成』(1日、山口県総務部学事文書課大学班・前田伸一郎調整監)とわかりました。共同研究に対し自衛隊が資金提供しているのか、県立大学側の費用負担はどうなっているのかについては、現時点では把握していないと答えました。前田氏は、県立大学は、独立行政法人であり、県は大学の設置者だが、個別の教育内容については立ち入れないと指摘。『個々の案件は法人が適切な判断をされたものと思う』と述べました。(解説)県立大のVRや動画技術を自衛隊の公報映像づくに生かす共同研究を続け、自衛隊記念行事には共同で子どもをターゲットにした新たな宣伝手段として『VRによる試乗体験会』を開くーこれが今回分かった一連の出来事の構図です。実際、自衛隊の子どもを中心とする市民への浸透活動は目に余り、夏祭りでの迷彩服での行進、大型店前での自衛隊車両の展示など毎月どこかで何かやっている状況です。しかし、県立大学と自衛隊が共催した今回の『VRによる戦車・ヘリ試乗体験』は一般的PRとは異質です。(県立大は共催ではなく協力と弁明するが、立看板は共催そのもの)。子どもを武器に触れさせたり、戦争賛美につながってはならないーという山口県教育委員会の公式見解とその原則を真っ向から踏みにじるものだからです。県教委は『武器に触れることや戦争賛美となることなど自他の生命や人格を尊重する精神を損なうことがあってはならない』(1985年1月28日)と明快。小中高であろうが大学であろうが、教育の最大の原点です。県と県立大の対応が問われます。」
先日のブログで報告しましたが、現在、私は、県学事文書課に、山口県立大学におけるVR動画作成に係る自衛隊との経費を含めた内容、共同研究に係る自衛隊との経費を含めた内容について照会を行っています。
しっかり調査を行いながら、来る議会でこの問題を取り上げる準備を進めています。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
3日のしんぶん赤旗日刊紙「本と話題」のコーナーで川柳が取り上げられてました。
この中で、黒川孤遊著「流花 女性川柳家伝」が次のように取り上げられていました。
「近藤十四子は17歳で治安維持法によって逮捕され特高の拷問を受け、<踏ん張った手足が錠の中にある>を詠みました。飢餓に耐え二人の子を育てながら夫の復員を待った河村露村女の<船還れ母子の手足動く間に>。瀬戸内のハンセン病療養所で暮らす全盲の辻村みつ子が聞いた<小島には孤島に似合う浪の音>。日露戦争でロシア軍に捕らえられ処刑された父を悼む戸川幽子の<栄光の断頭台にゆきし父>。<反核の署名簿がある花の寺>と詠んだ島村美津子は女性版鶴彬とも評され、<もう二度と殺してはならぬ鶴彬>の句も。」
私は、この本を先日、書店に注文しました。今から楽しみです。
記事で紹介された女性川柳家の中で、島村美津子さんとは親交を深めました。
私と島村さんは、当時、時実新子さんが主宰する「川柳大学」で同じ同人でした。「川柳大学 2002年7月号に、島村さんは、私が、上梓した句集について次のような文章を寄せておられます。
「藤本一規句集『ぶらんこ』を読む 島村美津子 一規さんのことを、私はずっと、いかめしいじいさまだとばかり思っていた。何故なら県議会議員という肩書と、現在私が川柳を担当している『しんぶん赤旗』で、ずーっと以前からお名前を拝見していたように思うから。手のひらにすっぽりはまるサイズ、萌黄色の草原の広がりのような表紙。藤本一規句集『ぶらんこ』をめくると、微笑ましい写真がとびこんでくる。背負い紐にしっかりと子どもをおんぶした一規さん、ベビーカーにもう一人、さらにその横にも一人、ただいま子育て真っ最中、まさに『看護婦の父ちゃん頑張る』といった風景の、どう見ても三十歳そこそこの童顔の一規さんの姿に、想像とあまりの落差に『あれえ』と思わず声を出してしまった。市議会議員時代に一緒だった詩人の花田克己さんが、『多忙を極める県議会議員の活動の中で、忙しさに負けないで言葉を磨きつづけたものだと感銘した』と温かい序文を寄せられている。さらに一規さんが憧れの時実新子に弟子入りし小躍りして喜んだこと、その師の『伸びる芽』と題する愛情あふれる一文、ネーミングの天才である先生からいきなり『イッキさん』と呼ばれていたこと。エピソードも楽しい。そして、地元の川柳会や、『よーし、おれがやったろう』と、句集の発行を快く引き受けてくださった文芸誌のお仲間に恵まれて『ぶらんこ』は誕生した。自選百句は、十のテーマ別にそれぞれ十句、一気に読んでしまった。読後ほのぼのとした思いに浸れる、何ともホットな句集である。各テーマの中から私の好きな句を挙げさせていただく。家・喧嘩する父の存在ありがたい 私・春夏秋冬冬が最後は寂しいな 子・結び目のほつれを直す子の笑顔 旅・湯気昇る魂だけは引き留める 里・コメ輸入コスモス植える休閑地 悪・政治家の指に集まる蟻の群れ 和・戦争へ大きく舵を切る日本 世・お茶の水博士も未来わからない 技・脇役がよくて舞台が引き締まる 人・大地から離れ花瓶の中に居る『百句見せてもらったが、世にいうところのサラリーマン川柳に毛が生えた程度だ。けれども、その毛がところどころ光っている』時実新子の評にあるように、イッキさんの句は大いなる可能性をはらんだ骨太の芽であるように思える。藤本一規の人間性、正義感、人類愛が内包されている。やがて国会にも進出されて、ますます多忙な日を送られることになるかもしれないけれど、情熱と若いパワーで、川柳を書きつづけられて第二、第三の『ぶらんこ』が生まれることを期待させられる。いまどき、頒価百円というのもありがたい。誰にでも読んでほしい小句集。」
国会議員にはなっていないけれど、未だに、川柳の世界で人生を謳歌できているのは、島村さんらのおかげだと感じています。22年前の島村さんの文章に改めて感謝するばかりです。
私の本棚に、島村美津子さんの句集が二冊あります。
一冊は、2000年に発行された「花ばさみ」。
もう一冊は、2012年に発行された絵手紙川柳集「桜の咲く頃に』(改訂版)です。
1930年生まれの島村美津子さんは、「花ばさみ」の中で「少女時代を戦争という悪夢の中で過ごした私には、平和憲法も犯さない今の世の中が不安でなりません。」と書いています。
「花ばさみ」から島村さんの反戦に関する句をセレクトしてみます。
あなたの彼も連れていかれる戦場へ
防空頭巾の少女にもどり戦争展
今なら間に合う殺しはしない殺させぬ
皮膚垂れた八月の手を知っている
私も、島村さんと一緒にこれからも戦争のない日本と世界を願って川柳づくりを続けていこうと決意を新たにしています。
島村さんお元気ですか。また、お会いしたいです。
黒川孤遊著「流花 女性川柳家伝」を楽しみに待つ日々です。
今朝の毎日新聞は、長生炭鉱の問題を一面トップ記事として次のように報じました。
「10月30日、山口県宇部市の海岸付近に約30人の報道関係者や市民らが集まり、海底炭鉱に続く横穴からダイバーが戻る瞬間を待った。第二次世界大戦中の1942年に起きた水没事故で朝鮮人と日本人の労働者計183人が亡くなった海底炭鉱『長生炭鉱』。事故から82年を経て、地元の市民団体『長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会』が29、30両日、残されたままの遺骨収集に向けた潜水調査を実施した。海岸付近には9月下旬の掘削作業の結果、地下約4㍍で見つかった坑口(坑道への出入り口)がある。調査2日目の30日、縦1・6㍍、横2・2㍍の坑口からダイバーの伊佐治佳孝さん(36)が、濁った水がたまった坑道へと初めて入った。約40分後、約180㍍先まで調査して坑口から出てきた伊佐治さんは坑内の様子を語った。『木片や金属片が落ちており、骨かどうかの判断がつかなかった。だが、継続して調査すれば遺骨の収容につながる』長生炭鉱の事故が起きたのは、太平洋戦争開戦から約2カ月後の42年2月3日。坑口から約1㌔沖合で落盤事故が発生して浸水し、朝鮮人136人、日本人47人の労働者計183人が亡くなった。遺体は収容されないまま、坑口は事故後に閉じられた。沖には『ピーヤ』と呼ばれる排気・排水用の円筒2本が海面から突き出した形で残る。『刻む会』は地元の市民らが91年に設立し、韓国からも遺族らを招いて犠牲者の追悼式を催してきた。2013年には追悼碑を建立。その後、日本政府に調査や遺骨収容を進めるよう働きかけてきたが、厚生労働省は『埋没位置や深度などが明らかでなく、現時点で調査は困難』とする立場を変えなかった。16年に成立した戦没者遺骨収集推進法は遺骨収集を『国の責務』とする。長生炭鉱では戦時下、石炭需要が高まる中で労働者たちが危険な環境で働された。だが、国は犠牲者について、『戦没者ではない』とする。事故から82年がたち、犠牲者の子ども世代も高齢となった。『待っている間に遺族がどんどん亡くなる』。刻む会の井上洋子共同代表は語る。会は今年、『自分たちで遺骨を一片でも見つけ、国を動かしたい』と、クラウドファンデングで資金を集め調査に乗り出した。調査開始を前にした10月26日、坑口前では追悼式が催され、日韓の犠牲者遺族約20人を含む約250人が集まった。亡くなった全聖道さんの息子、全錫虎さん(91)は韓国から参加した。全さん一家は、炭鉱の近くで暮らしていた。水没事故の日の朝、錫虎さんが国民学校に通うため家を出た時、聖道さんはすでに家におらず、言葉を交わすことはできなかった。事故後、坑口は塞がれた。幼いころは『毎日ここに来て泣いていました』。報道陣に『今日はここにいらして、お父さんのことを感じましたか?』と聞かれると、目を潤ませながら『はい』と答えた。刻む会では調査結果を踏まえ、25年1月に坑口からの潜水調査を数日間かけて改めて実施する計画だ。戦後80年が近づく中、いまだ戦争犠牲者の遺骨収容が終わっていない。国は戦争の犠牲や、その補償にどう向き合ってきたのだろうか。」
6日には、午後3時半から、衆議院第二議員会館地下1階第二会議室で、坑口開口と潜水調査実施報告と新政府への要望について井上洋子刻む会共同代表が記者会見を行います。
11月6日刻む会、東京記者会見に多くの皆さんのご参加をお待ちしています。