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知事へ「新型コロナウイルス対策緊急申し入れ(第4次)」行う

 昨日、日本共産党山口県委員会と同県議団が村岡知事に対して「新型コロナウイルス対策の抜本的強化を求める緊急申し入れ(第4次)」を行いました。
 武田防災危機管理管理課副課長が申し入れ書を受け取りました。

コロナ申し入れ第4回

手前が武田防災危機管理課副課長、その右奥が私

 申し入れ項目は後日、文書での回答を求めました。
 武田副課長は「申し入れがあった内容は、担当課に伝える。後日、文書回答を行う。」と答えました。
 申し入れの内容は、以下の通りです。
・・・
山口県知事
村岡嗣政様

2020年8月7日

日本共産党山口県委員会
委員長 佐藤 文明
日本共産党山口県議会議員団
団 長 木佐木大助
幹事長 藤本 一規

新型コロナ対策の抜本的強化を求める緊急申し入れ(第4次)

 新型コロナウイルスの感染急拡大は、きわめて憂慮すべき事態となっています。
県内でも5月5日以降、陽性者ゼロが続いていましたが、7月16日に38人目の陽性者が確認されて以降、20日余の間に、26人の陽性者が発見されるなど、拡大傾向が表れています。
感染の急激な拡大が、医療の逼迫(ひっぱく)、さらに医療崩壊を引き起こし、救える命が失われることが、強く懸念されます。
 にもかかわらず政府が、感染拡大抑止のための実効ある方策を打ち出さず、反対に感染拡大を加速させる危険をもつ「Go To トラベル」の実施を強行するなどの姿勢をとっていることは、重大です。
 現在の感染急拡大を抑止するには、PCR等検査を文字通り大規模に実施し、陽性者を隔離・保護するとりくみを行うとともに、感染の危険にさらされつつ、業務を継続している医療、介護、教育、保育等の関係職員や売上減などで経営困難に陥っている中小零細業者へ手厚い支援を届けることが求められています。
 よって、改めて下記の対策を緊急に実施するよう申し入れるものです。
*要請項目については、文書回答を要請します

1、PCR検査体制をさらに拡充し、防疫目的の検査を実施する
①県内のPCR検査可能件数については、現在の310件から早急に1000件以上に拡充する。必要な人員増は正規職員を原則とする
②検査については、無症状者を含めて「感染力」のある人を見つけ出して隔離・保護し、感染拡大を抑止し、安全・安心の社会基盤をつくるための「防疫目的の検査」に転換する
③そのため、地域外来・検査センターの開設を急ぎ、箇所数については、現在の8カ所から全ての市町に広げる
④市町ごとの感染者数、PCR検査数、陽性率等の情報を住民に開示する

2、リスクの高い施設で働く職員等への支援を強める
①医療機関、介護施設、福祉施設、保育園・幼稚園、学校など、集団感染によるリスクが高い施設に勤務する職員、出入り業者への定期的なPCR検査等を実施する
②在日米軍岩国基地で働く日本人従業員についても、国・県の責任において定期的なPCR検査等を実施する
③保育園・幼稚園、児童福祉施設等で勤務する職員等に対する県独自の「応援給付金」については、国及び県からの要請の有無、認可・認可外等を問わず、事業を継続した施設で働き、対象期間内に10日以上の勤務実績があるすべての職員を支給対象にする
3、医療崩壊を防ぐため医療機関、医療従事者への財政支援を強める
①中等症・重症のコロナ患者を受け入れる病床の確保を行い、協力した医療機関に対しては十分な補償を行う
②無症状・軽症の陽性者を隔離・保護するための宿泊療養施設の確保を行うとともに、協力した宿泊施設に対しては十分な補償を行う
③新型コロナの影響による受診抑制が広がり、山口県保険医協会の実態調査では、医科、歯科とも9割が「患者減」(医科88%、歯科96%)と回答しており、「減少率3割」が医科、歯科とも8割(医科76%、歯科85%)となっている(今年4月分)。減収による施設閉鎖や医療従事者の待遇悪化を防ぐため、国に対し、十二分な減収補償が行われるよう要請する。
④新型コロナ感染症患者等に対応した医療関係者に対する「特殊勤務手当」(1人1日4000円)等を支給する医療機関に対する補助制度をつくる(広島県、島根県では実施済み)
4、子どもたちの学習環境を改善する
①「3密」を回避し、安心して授業を受けることができるよう小中高校すべての学級を30人以下にするため、国に定数法の改正を要請する
②当面、県が独自に加配教諭を確保し、小中高校での30人以下学級の実現に踏み出す
③県立学校の特別教室、体育館などへの空調設備の設置率を早急に100%にする
④その財源の一部として、県立学校における1人1台のタブレット端末導入(所要経費約50億円)は延期する
5、感染リスクを高める施策を見直す
①政府に対し、感染拡大を加速させる危険をもつ「Go To トラベル」の中止を要請する
②9月以降に予定している「プレミアム宿泊券」(15万枚)の全国販売は、感染拡大が終息するまで延期する
・・・
 県内でもコロナ陽性患者数が急増しています。

 新型コロナウイルス感染症に対する皆さんのご要望を引き続き、藤本にお寄せ下さい。

全国知事会などが、少人数学級を国に要望

 7月2日、全国知事会、全国市長会会長、全国町村長会会長は、国に対して「新しい時代の学びの環境整備に向けた緊急提言」を提出しました。

 緊急提言は、「去る5月25日、新型インフルエンザ等対策特別措置法に基づく緊急事態宣言が全面的に解除され、学校においては概ね授業が再開されているところである。一方、公立小・中学校の普通教室の平均面積は64㎡であり、現在の40人学級では、感染症予防のために児童・生徒間の十分な距離を確保することが困難であることから、その対応が学校現場において大きな課題となっている。こうした実情を踏まえて、今後予想される感染症の再拡大時にあっても必要な教育活動を継続して、子どもたちの学びを保障するためには、少人数学級により児童・生徒の十分な距離を保つことができるよう教員の確保が是非とも必要である。」と指摘しています。

 その上で、緊急提言は「少人数編成を可能とする教員の確保」を国に求めています。

 全国都道府県教育長協議会と全国都道府県教育委員協議会は、7月、「令和3年度国の施策並びに予算に関する要望」を国に提出しました。

 要望は「義務標準法の改正による35人以下学級の早期拡充」を明記しています。

 具体的には、「教職員体制を整備し、子供たちの学習・生活の両面の成長を図る観点から、現行の小学校第1学年の35人学級の堅持はもとより、35人以下学級を義務標準法の改正により早期に拡充すること。また、児童生徒の実態や地域の実情に応じた柔軟な学級編成や教職員配置ができるよう、定数の更なる確保・充実に努めること。」を要望しています。

 7月17日に発表された政府の「経済財政運営と改革の基本方針2020~危機の克服、そして新しい未来へ~」(骨太方針)には、初等中等教育の改革等として「全ての子供たちの学びを保障するため、少人数によるきめ細かな指導体制の計画的な整備」が明記されています。

 コロナ危機の中で、少人数学級が求められています。

 教員定数の基本である標準法を改正し、35人以下学級が新年度から実施できる体制をつくっていくことが今こそ求められています。

 三密の中、学習している子どもちへ新年度から少人数学級をプレゼントしようではありませんか。

 少人数学級に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

映画「ドキュメンタリー 沖縄戦」

 萩市にある「萩ツインシネマ」で、太田隆文監督の映画「ドキュメンタリー 沖縄戦」を観ました。

 観客は私一人。映画を満喫することが出来ました。

 映画のチラシから沖縄戦の実態を紹介します。

 「戦死者20万656人、県民だけを計算すると、当時の人口の3人に一人が死亡したことになる。そんな戦闘はどのようにして始まったのか?住民がみつめたものとは何だったのか?その歴史の記憶を克明に描く。沖縄戦体験者12人の証言と専門家8人による解説。そして米軍が撮影した記録映像を駆使して紹介。」

 様々な証言が出てきましたが、印象的な証言の一つが、対馬丸の沈没事故でした。

 本土への疎開のため多くの子どもたちが乗った対馬丸がアメリカの潜水艦によって沈没され1482人が死亡しました。

 平良啓子さんは、海に投げ出され、九死に一生を得た経験を語ります。

 二つ目は、渡嘉敷島で起こった集団強制死(集団自決)事件です。

 吉川嘉勝さんは、渡された手りゅう弾が二つとも不発になり、母から「いつでも死ねるんだから、今は逃げなさい」と言われ、一命を取り留めた経験を語ります。

 今日は、8月6日、広島に原爆が投下された日です。被爆75年目の今年であるということは、沖縄戦から75年目の今年であるということです。

 地上戦を沖縄で経験したご本人の証言を記録に残すことは極めて重要だと感じました。

 この映画は、国民必見の作品だと思います。

 最近、映画評論家の春日太一さんの「日本の戦争映画」を読んでいます。

 この中で、「激動の昭和史 沖縄決戦」(1971年、監督・岡本喜八、脚本・新藤兼人)が紹介されています。

 春日さんは、この映画をこう評しています。

 「沖縄島民たちが避難している南部に日本軍も逃げてきたために、米軍によって島民も容赦なく殺されます。その一方で、島民を守るべきはずの軍人たちは全く役立たず、一方的に解散。司令官たちは自決してしまう。そして、島は米軍に蹂躙され続けます。つまり沖縄側からすると、アメリカ軍だけではなく日本軍もまた、自分たちに悲劇をもたらす存在になっているわけです」

 「ドキュメンタリー 沖縄戦」の中で、日本軍は島民を守らなかったという事実が何度も出てきます。

 島民に対する皇民化教育の中で、米軍の捕虜になるよりは自決が強制されたとの証言が出てきます。

 ハワイで暮らしていた島民がいたガマでは、米軍と対話をして、米軍から「島民の命は奪わない」との約束を確かめ、全ての島民の命が守られたとの証言もこの映画で紹介されていました。

 沖縄戦で沖縄出身の戦死者は12万2228人、内住民は9万4000人だったと映画の中で報告されています。

 住民の死の一つの要因は、集団自決です。母親が子どもを殺した例が多々あったことが紹介されています。

 映画の中で、島民は自ら命や家族の命を絶ったのではないことが証言されています。

 沖縄では今日、集団自決ではなく、日本軍から強制された「集団強制死」だった事実が専門家から語られます。

 この映画の中でも紹介されていました元沖縄知事の太田昌秀さんが書かれた「沖縄鉄血勤皇隊」が私の本棚にあります。

 10代の太田少年も沖縄鉄血勤皇隊」の一員でした。

 沖縄戦を闘い、九死に一生を得た太田さんはこう書いています。

 「同じ戦場から奇しくも九死に一生を得て生き延びた私は、何よりも二度と取り返すことができない若い学友たちの死を悼み、同じ戦場から生き延びた者としてひたすらに生きる意味について考えざるを得なかった。そして生きる意味があるとすれば、それは、絶対に二度と同じ悲劇を繰り返させてはならないと固く決意し、日常生活の場で独自に世界平和創出に努めることだと決意した次第である。そのためには、戦火に巻き込まれて非業な死を遂げた鉄血勤皇隊らの戦場における悲惨な実態を、可能な限り正確に後世に伝えなければならないことも一つの課題に他ならない。」

 この映画の製作は、浄土真宗本願寺(西本願寺)でした。

 私が役員をしている宗派です。

 私の車に、富山県本願寺高岡教区若神組門徒推進協議会が作成された「兵戈無用」のステッカーを貼っています。

 仏説無量寿経に「兵戈無用」という言葉が出てきます。意味は「武器をとって争うことがなくなる」という意味です。

 私が、念仏者9条の会の活動を行う中で、この言葉に出会い、この言葉を私の信条としています。

 「武器をとって争うことがなくなる」社会を、75年前に広島に原爆が投下された日に、私が、映画「ドキュメンタリー 沖縄戦」を観た日に、皆さんとともに実現したいと思います。

 日本政府が核兵器禁止条約にサインする日を皆さんとともに実現していきたいと思います。

 萩ツインシネマで、今月14日まで、「ドキュメンタリー 沖縄戦」が上映されています。

 ※萩ツインシネマ 萩市東田町18-4 ヤングプラザビル3階 電話0838-21-5510

 一人でも多くの皆さん、ご覧いただければと思います。観られた方は感想をお聞かせ下さい。

 

愛と感謝

 ネットでの誹謗中傷が原因で、若い女性プロレスラーが亡くなった事件を受けて、自らもネットで誹謗中傷を受けた経験のあるお笑い芸人・スマイリーキクチさんが、最近、テレビやラジオによく登場します。

 先日、NHKラジオで、スマイリーキクチが、被害者にならないことは当然だが加害者にならないようするための話をしていました。

 その番組で、スマイリーキクチさんが、自らのリクエスト曲としてスーパーフライの「愛と感謝」を選曲しました。

 私は、スーパーフライのデビュー当時からのファンですが、「愛と感謝」は初めて聞く曲でした。

 調べてみると、2008年にリリースされた4番目のシングル曲「愛を込めて花束を」のCDに収録されていた楽曲のようです。

 先日、CDショップで、20番目のシングル曲「黒い雫」のCDを購入し、その中にある「愛と感謝」を今、移動中の車の中で聴いています。

 「愛と感謝」の中にこのようなフレーズがあります。

 「その場しのぎの満足感や悦びが、知らず知らずのうちに 自分の首を締め付けた あぁだこうだ悩んじゃって なんて貧弱な生き物だろう 平凡でいい 毎日に多くは望まない 君といたい」

 スマイリーキクチさんが、加害者にならないために、この楽曲をリクエストした理由がこの歌詞にあるのではないかと思いました。

 ネットの中で周りを見失い、相手を誹謗中傷する行為は、「その場しのぎの満足感や悦び」に満ちた行為と言えるのだと思います。

 この楽曲に、このようなフレーズがあります。

 「今日も 明日も 愛と感謝に生きよう 大切なものは忘れがちだけど 愛と感謝に生きよう 大切なものは忘れがちだけど 愛しい人よ 最高の笑顔をありがとう 大地を踏みしめて 共に歩こう」

 NHKEテレ 8月の「100分de名著」はミヒャエル・エンデの「モモ」です。

 講師は京都大学教授の心理学者の河合俊雄さんです。

 第一回を録画で昨日視聴しました。

 崩れかけた円形劇場に住むモモ。モモは人の話をじっくり聞くことができます。

 彼女の周りに町のみんながやってきます。

 友達がみんな帰ってしまった夜、モモが一人で円形劇場跡の一画に座って長い時間を過ごすシーンにこのような場面があります。

 「こうしてすわっていると、まるで星の世界の声を聞いている大きな耳たぶの底にいるようです。そして、ひそかな、けれどもとても壮大な、ふしぎと心にしみいる音楽が聞こえてくるように思えるのです。」

 講師の河合さんは、この場面を解説しています。

 「モモの心はこのように満ち足りていたのです。それこそが、モモが人々にパワーを与えることができた理由ではないでしょうか。つまり、空っぽの心で相手に話を合わせているわけではなく、自分の中に星々や音楽が満ちているからこそ、相手の話をいつまでも聞くことができたのです。」

 私は、大学の卒業アルバムに「自立は連帯を生み、孤立は分散を生む」と書きました。

 背伸びした当時の自分を思い起こしています。

 コロナ禍の中の今こそ、自分を見つめ、心を豊かにしたいと思います。

 そして、相手の声にじっくり耳を傾けることができる自分になりたいと願います。

 コロナ危機を乗り越えた先に人々が「大地を踏みしめて 共に歩こう」と思えるような社会の到来を希望します。

 100分de名著「モモ」からもしっかり学んでいきたいと思います。

県民の願いを県政に届けました。

 この間の県民からお聞きした要望で、その後の状況について報告します。

 一つ目は、山口市阿知須の国道190号線阿知須中学校前交差点の停止線に改善についてです。

 山口方面から宇部方面に向かって停止した場合、信号と停止線の距離が短く、信号が見えにくいとの指摘を県民から受けました。

 山口県警本部に要望を伝え、先日、回答が帰ってきました。

 県警の担当者は「国道190号線阿知須中学校前交差点山口方面から宇部方面に向かう左折車線から信号が見えにくいことは現認した。年度内に、左折レーンの停止線を下げる工事を実施したい。」と答えました。

阿知須国道

交差点の左折停止線を下げると回答がありました。

 第二は、県道美祢小郡線の災害復旧工事の見通しについてです。

 先日の豪雨で、宇部市上小野の県道美祢小郡線横の法面が崩壊し、現在、通行停止となっています。

 県宇部土木建築事務所の担当者に、復旧の見通しを訪ねました。

 宇部土木建築事務所の担当者は、「現在、崩壊した法面周辺の木の伐採が終わった。今後、土砂の撤去を行う。仮設防護柵が必要な場合は、防護壁設置後に、通行再開する運びとなる。その後、恒久的な防護柵を設置し、仮設防護柵を撤去し、道路面を整備し、復旧完了となる見通しである。現時点で、通行再開の時期は不明である。」と答えました。

小野県道崩落

県道美祢小郡線の法面崩落の様子。早期復旧を要望。

 私は、説明を受けた上で、早急な現場の復旧完了を要望しました。

 引き続き、県民の皆さんの要望を県政に届けていきたいと思います。

 皆さんの要望を藤本にお寄せ下さい。

 

相模原障害者殺傷事件

 1日付の毎日新聞の書評は朝日新聞取材班著「相模原障害者殺傷事件」を取り扱っていました。
 書評を行うのは、私が敬愛する学者の一人である東京工業大学教授の中島岳志さんです。
 中島さんは、書評で事件を起こした植松聖死刑囚についてこう書いています。
 「植松は切迫感に駆られる。日本の予算は逼迫しており、借金大国になっている。もう時間的にも金銭的にも猶予がない。そんな中、障害者に予算を回すことは、社会全体にとって『不幸』である。『障害者を安楽死させるべきだ』。そんな歪んだ思考が固着していく。」「植松曰く、障害者には『生産性がない』。障害者は『金と時間を奪っている』。施設で働くことは、現実を追認することになる。『有害』とみなした存在を除去することこそ、社会の役に立つことだと思い込むようになる。」
 その上で中島さんの考察はこうです。
 「事件以来、評者が気になってきたのは、植松が一貫して『美醜』という価値観に固執していることである。彼は事件直後に、ツイッターに『beautiful japan!!!!!!』と書き込んでいる。記者の『今やりたいことはあるか』という問いに、『脱毛がしたいですね。毛は邪魔で不愉快です。目から下の毛は必要ないです』と答えている。常に顔のむくみを気にし、美容整形の一手法の『ボトックス注射』をやりたいと述べている。実際、彼は事件前に美容整形手術を受けており、衆議院議長に宛てた手紙では『進化の先にある大きい瞳、小さい顔、宇宙人が代表するイメージ』を実現したいと述べている。社会から異質な存在を除去し、自らが美しいと思えるものだけに包まれたいと考えるのは、安易に優性思想や全体主義につながる。先日ALS患者嘱託殺人事件が発覚し、医師2人が逮捕された。私たちの日常と、植松の思考は地続きである。相模原障害者殺傷事件を問い続けなけらばならない。」
 私は、大学で障害者福祉を学んだものとして、相模原障害者殺傷事件の衝撃を今も忘れることは出来ません。まさに、事件から4年間、この事件を自分の心の中で問い続けた一人です。中島さんの書評を読み、書店で、この本を購入し、先ほど、読み終えました。この二日、空いた時間は、ただただこの本との格闘の時間でした。
 この本は、朝日新聞の記者たちの相模原障害者殺傷事件の裁判の傍聴記であり、植松死刑囚との対話記録です。
 植松死刑囚の発言は、対話記録にも出てきますし、裁判記録の中にも出てきます。今年の判決後の対話記録も掲載されています。
 とても残念なのは、植松死刑囚が、この本の中では、「意思疎通のできない障害者は生きる意味がない」主旨の発言を変えていないことです。
 そのことを知ったことが、この本の意義であるのかも知れません。植松死刑囚の「差別の深層」の一旦を知ることが出来る本だと思います。
 この本には、植松死刑囚によって殺され、傷つけられた障害者の遺族の方がたの発言を知る事ができます。それぞれの遺族にとって「かけがえのない存在」であった一人一人の障害者の方々の姿が浮かび上がってきます。
 この本には、多くの識者のコメントが掲載されています。社会学者の最首悟さんの言葉は、私の脳裏に焼き付いたままです。
 「現代社会には、生産性のない存在を始末するという思想が蔓延している。『重度障害者は不要』という考えはこの社会に生きる者とし到達したものとも言え、被告は全世界の若者に支持されると思っている。(中略)被告の回答には迷いがなかった。考えを曲げないということが良いと思っている。口にした『人間は美しいほうがいい』という言葉にも表れているが、外見が内実を決めると思い込んでいる。被告は人間の尊厳、平等、命の尊さを『タテマエ』として否定する一方で、自らは礼儀正しく振舞うなど、見た目をよくして『タテマエ』を重視している。被告が否定したのは、人間の、頼り頼られて生きるという性質。一人では生きることができないという弱さを失った社会は滅びるしかない。」
 植松被告への死刑判決後、コロナウイルス感染症のパンデミックが世界で、日本で拡大しています。
 人間の尊厳、平等、命の尊さという「タテマエ」の重要性に人類は向き合わざるを得なくなっています。
 人類は、コロナ危機に直面し、頼り頼られて生きざるを得なくなっています。
 私は、コロナ危機が、新しい希望ある日本と世界を拓く契機になることを期待しています。
 期待するだけではなく、これからも「相模原障害者殺傷事件」を問い続けながら、私自身、社会を変える主体として必要な発言を行っていきたいと思います。
 相模原障害者殺傷事件から4年が経過しました。皆さんのご意見をお聞かせ下さい。