ワイカムシネマで福永壮志監督の映画「アイヌ モシㇼ」を観ました。
アイヌモシㇼとは人間の国の意味です。カムイモシㇼとは神の国の意味で、この二つの言葉は対をなしています。
映画のパンフレットに「究極すれば、アイヌ以外の存在は全てカムイだと言えます。」とあります。
映画のクライマックスは、イオマンテです。イオマンテとは熊送りの儀式です。
イオマンテの世界観について映画のパンフレットで次のように説明されています。
「アイヌモシㇼに遊びにやって来る熊の神さまは、熊の毛皮を纏ってやって来ます。だからアイヌからは熊に見えるのです。肉や毛皮はカムイからアイヌに対するお土産です。これを貰ったお礼に、アイヌは、熊のカムイの魂をたくさんのお酒やご馳走、歌、踊りなどでもてなして、丁寧にカムイモシㇼへ送り返します。カムイモシㇼに送り返されたカムイは、アイヌから貰ったお土産のお酒やご馳走を他のカムイたちに振る舞いながら、アイヌモシㇼでは、いかに厚遇されて楽しかったか、という自慢話をします。その話を聞いた他のカムイたちは『そんなに楽しいなら、俺たちも行ってみるか』ということになり、動物の姿に変わり、肉や毛皮のおみやげを持参して自らの意思で、アイヌの客となるべくアイヌモシㇼにやってきます。」
映画の舞台は、阿寒アイヌコタン。阿寒湖温泉の一角をなし、アイヌ民芸品店などを経営しながら、アイヌ文化を発信している地域です。
阿寒アイヌでは1975年以降、イオマンテは行われていないようです。
映画では、45年ぶりにイオマンテが行われたという設定ですが、熊を殺す行為に現在では抵抗があることがリアルに描き出されていました。
イオマンテとは、私の感覚では、五穀豊穣を願う神事のようなものだと感じました。
主人公の少年カントの演技は秀逸でした。高校入試を控え、彼は、「とにかく阿寒を出たい」と訴えます。
私は、中山間地域で生まれ育ちましたが、10代の頃、とにかく外の世界に出たいと思っていました。ですからカントの気持ちがよく分かります。
しかし、今の私は、地元を選挙区として議員を務め、農業を営み、地元のお寺の総代を務め、中山間地域の文化にどっぷりつかる生活をしています。
何百年続いた農村文化を私たちの世代で失っていいのかとの気持ちを抱くことがしばしばあります。
アイヌにも共通する農山村の文化が今、存立の危機を迎えていることをこの映画を観て実感しました。
先日、NHKラジオに理学療法士の三好春樹さんが、「介護職こそインドに行こう」と話をされていました。三好さんがインドに行った際、目の前で牛がおしっこをしたそうです。地元女性の方が、牛のおしっこを手で救って、観光客にかけようとしたそうです。インドでは聖なる牛のおしっこは縁起のいい物とされているそうです。
三好さんは、「文化が全く違うインドでの経験が、介護現場で生きる」と話をされていました。
私は、この映画を観て、三好さんのこの言葉を思い起こしました。
世界は多様性に満ちています。多様性を認めることで平和が構築されると思います。
日本国内も多様性に満ちています。日本国内の多様性を認めることで、国内の平和が構築されると思います。
3月31日の中国新聞が、札幌地裁が先日「同性婚を認めないのは法の下の平等を定めた憲法14条に違反する」とした判決を下したことを取り上げ、川上高志共同編集委員が「社会の意識の変化に国会はどう対応するのか。議員一人一人の感性と社会観が問われることとなる。」と書いていました。
今こそ、多様性を認め合う社会の構築が求められていることを実感しています。
国内での多様性を認める国こそ、世界の多様性を認める国だと思います。
県議の一人として社会の意識の変化に敏感になれる「感性と世界観」を構築していく上で、映画「アイヌ モシㇼ」はとても刺激的な作品でした。
私は、西宇部校区人権教育推進委員協議会会長を務めています。この立場からも、この映画は、とても参考になる映画でした。
一人一人の人権を尊重する社会の実現のために、引き続き、学んでいこうとこの映画を観て決意を新たにしました。
ワイカムシネマでの映画「アイヌ モシㇼ」の上映は3月31日に終わりでしたが、是非、この映画を一人でも多くの方に観ていただきたいと思います。
もし、ご覧になった方は、この映画の感想をお聞かせ下さい。
新型コロナウイルス対策の緊急事態宣言の全面解除から9日が経過しました。
厚生労働省が公表している「各都道府県の新規発生者の状況」(2021年3月31日12時現在)によると、直近1週間(3月22日から3月28日)の新規発生者数とその前の1週間(3月15日~3月21日)を比較すると前の週が直近1週間が上回っている都道府県が30自治体となりました。
明らかにリバウンド(感染再拡大)が表面化しつつあり、第4波の封じ込めへの対策が急がれます。
山口県でも、直近1週間(9名)がその前の1週間(7名)を上回っています。
30日は、県内で感染症患者が6名発生しました。29日が、3名ですので、今週は早くも9名となり、3月22日~3月28日までの9名と同数となりました。今週の感染症患者数が、その前の1週間の数を上回ることは必至の状況です。
山口県は、3月16日に、「感染者の散発的発生及び医療供給体制に特段の支障がない段階」のステージ1の状況にあるとしました。
30日、3名の変異株への感染が明らかになるなど、ステージ2へは予断が許されない状況と言えます。
29日、県は、新たに県内医療機関に5床(小児対応病床3床、精神疾患・認知症対応病床2床)を確保し、明日以降の確保病床数は34医療機関、480床になることを発表しました。
厚労省は、3月24日、「今後の感染拡大に備えた新型コロナウイルス感染症の医療供給体制の整備について」とする事務連絡を都道府県などに行いました。
これは、4月30日までに、都道府県において「感染者急増時の緊急的な患者対応方針」の策定を求める事務連絡です。
山口県が方針を策定した段階で、担当者から説明を受けることにしています。
明日から年度が変わります。山口県においても、様々な方々が移動を余儀なくされる時期です。
山口県内において、第4波を想定した万全の準備が求められている状況だと思います。
新型コロナウイルス感染症第4波封じ込めへ皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
28日、村岡知事は、新型コロナウイルス感染症対策で緊急記者会見を行いました。
私が、2月県議会で求めた二つ問題について村岡知事が前向きの発言を行ったので、中国新聞の記事を紹介します。
第一は、新型コロナ陽性患者の検体の全数を変異株かどうかの検査を行う問題です。
この点について、中国新聞は、次のように報じました。
「県は2月中旬、変異株の検査を開始。国は自治体に感染者の4割を検査するよう求めているが、県は今月に入り県内の感染状況が落ち着いてきたこともあり、全ての検体を調べている。さらに、県は変異株の感染者を医療機関の個室に入院させ、退院前にPCR検査を2回受けさせる措置もとるとし、今回の感染者から適用すると説明した。」
第二は、高齢者施設などでの社会的検査の実施です。
この点について、中国新聞は、次のように報じました。
「高齢者施設などでの新型コロナの感染拡大を防ぐため、従業員を対象にした一斉のPCR検査を来月から順次実施すると発表した。岩国、周南など感染者の多い6市を中心に、検査を希望する施設を募り費用を全額負担する。感染者が発生した場合の対応を学ぶ研修会を県内3エリアで開くことも明らかにした。」
朝日新聞は、この問題について次のように報じました。
「検査は岩国、周南、山口、宇部、山陽小野田、下関の6市約460施設が対象。職員約2万2千人の1回分の検査費用を県が負担するほか、感染管理認定看護師による研修や実地指導を行う。」
私は、2月県議会で、新年度も変異株の全数調査を求め、高齢者施設での社会的検査の実施を求めました。
この二つの問題で、村岡知事が、前向きの発言を行ったことを率直に評価したいと思います。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
私は、3月3日に行った一般質問で、変異株について次のように質問しました。
「神戸市では、市内の新型コロナウイルス陽性者の検体を調べた結果、変異株の割合が直近ではだいたい半数だったというデータを昨日発表した。神戸市は陽性者の6割に対し変異株かどうか検査している。国は2月22日、陽性者の5%から10%の変異株のPCR検査の実施を徹底するように通知した。山口県として、神戸市のように国の指導以上に上乗せをして変異株調査を行うべきだ。県は国の通知も受けて、陽性患者の何割の変異株調査をしようとしているのか。」
弘田健康福祉部長は「本県では、既に環境保健センターにおいて、陽性が確認された検体の全数を検査している。」と答えました。
厚生労働省が24日に発表した資料によると、変異株の累計感染者は649人のうち、549人は26都道府県で、100人は空港検疫で確認されたものです。
この26都道府県に山口県は含まれませんでしたが、昨日、山口県は、山口県内で変異株の感染が確認されたと発表しました。
昨日、NHK山口放送局は、この問題を次のように報じました。
「山口県は、県内で初めて変異した新型コロナウイルスの感染が確認されたと発表しました。変異ウイルスの感染が確認されたのは県内に住む1人で、すでに感染が確認された人の検体を詳しく調べた結果、明らかになったということです。海外への滞在歴はなく、接触者への調査で、ほかに感染が確認された人はいなかったということです。山口県は検体を国立感染症研究所に送り、変異ウイルスのタイプを確定させるとしています。」
引き続き、新型コロナ陽性者の検体の全数が変異株検査され、県内の変異株の状況を把握できる体制の維持を県に求めていきたいと思います。
山口県内でも変異株への感染が確認されました。この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
3月24日、長生炭鉱水非常を歴史に刻む会は県庁記者クラブで記者会見を開き、以下のことを発表しました。
私は、運営委員として同席しました。
記者会見で報告する手前奥から三人目が井上共同代表、その手前が内岡顧問、その手前が私
・・・
2021年3月24日
報道各社 御中
長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会
共同代表 井上洋子・木村道江
事務局 宇部市常盤町1-1-9 宇部緑橋教会内
電話 0836-21-8003
事務局長代行 小畑太作
携帯 080-5029-5599
新たな日本人遺族の判明とDNA情報の取得について
1941年2月3日、旧長生炭鉱第一坑で起きた水没事故において事故死した183名についてわたし達は、その遺骨の収集と返還を目標の一つに掲げて活動してきました。
2004年12月の日韓首脳会談において民間徴用者の遺骨返還に向けて日本は、取り組みを開始することを約束したものの、その後の実行は乏しく、更に日韓関係の悪化も加わり事態は難航しています。海底坑道に置き去りにされたままの長生炭鉱水没事故犠牲者の遺骨については、未だ日本国の取り組みの対象にすらされていないのが実状です。
そこでわたし達は、時の経過に鑑みて、判明している遺族のDNA鑑定を進め、2019年末までに韓国朝鮮人24名(在日含。関係犠牲者24名=全体の約17%)、日本人3名(関係犠牲者2名=全体の約4%)のDNA情報を取得保管するに至っていました。
そうした中、昨年2020年1月に、山口市在住の一人の日本人が、ご自身の祖父が追悼碑の犠牲者名にあることを名乗り出て下さいました。そして同年12月、当人と、当人の母で被害者の娘に当たる方の計2名のDNA情報を取得出来た次第です。
もとより、わたし達としては、遺骨は、先ずは遺族の元への返還を目指すべきだとしています。そこで将来のために、現時点で為すべきこととして、現存する遺族のDNA検体を採取及び鑑定し保存及び保管しているところです。しかしながら、犠牲者者183名には未だ遠いのが実状です。しかし、行政の協力が得られれば、このDNA情報の取得事業は飛躍的に進展するはずなのです。勿論、立法化も強く望まれるところです。
しかし、わたし達の度重ねての要請をよそに、山口県からも宇部市からも未だ協力が得られていません。また国会においても、未だ立法化の動きは見られません。
こうした中、上記のように日本人遺族自身が、しかも地元で名乗り出て下さったことは大きな喜びでもあり励みでもありました。
わたし達は今後も、戦後問題の解決のために、今為すべきことを見出し、一つ一つ誠実に取り組んでいく所存です。
報道各社におかれましては、このことを報じて下さると共に、存命の日本人遺族が問題解決のために名乗り出て下さるよう、その呼び掛けにもご協力下されば、幸い至極に存じます。
以上
・・・
記者会見は、KRY、YAB、山口新聞などで大きく報道されました。
長生炭鉱での落盤事故でお亡くなりになられた犠牲者のご遺族の皆さん、お声をかけて下さい。
私のブログのトップページの問い合わせのバナーからからもお待ちしています。
会の運営委員の一人して対応いたします。
先日のしんぶん赤旗日刊紙に神奈川県川崎市で中学に入ると不登校が激増している状況が次のように報じられていました。
「2月12日、一刻も早い中学校の少人数学級化を求める請願が、川崎市文教委員会で不採択となりました。請願者はゆきとどいた教育を進める川崎市民の会。国への要望とともに市にも独自の対策をとるよう、約1万2800人から署名を集め昨年末に提出していました。『少人数学級の大切さは市教委もわかっているはずなのに・・・』と言うのは同会の中学校教員、大前博さんです。不登校との関係で『中学校でこそ急がれる』と指摘。市教委の調査では、不登校の子どもの数が小学6年から中学1年になると急増しています。『勉強が難しくなり丁寧な対応が必要です。少人数なら、子どものつぶやきを拾って皆に返すキャッチボールもできる』。」
この記事には、川崎市内の不登校数の推移が掲載されています。
2015年度小学6年90人、中学1年265人。2016年度小学6年124人、中学1年273人。2017年度小学6年119人、中学1年347人。2018年度小学6年171人、中学1年329人。2019年度小学6年219人、中学1年364人。
川崎市では、小学校6年生も中学1年生も不登校者が増加傾向にあり、どの年も小学校6年より中学1年が大きく上回っています。
私は、宇部市立厚南中学校の教育後援会長を務めています。先日、卒業式に参加させていただきました。昨年までは、PTA役員として参加して来ましたので、ここ数年中学校の卒業式に参加してきましたが、卒業式に参加できなかった子どもさんが毎年いることに先生方とともに心を痛めてきました。
その経験もあり、山口県の過去5年間の不登校児童生徒数の調査を県教委に要請し、この程、回答が届きました。
文科省の調査は、小学校と中学校をまとめての結果報告となっており、山口県が公表できる数は、小学校、中学校全体の数であるとの回答でした。
その上で結果を紹介します。
2015年度小学校259人、中学校925人、2016年度小学校268人、中学校939人。2017年度小学校320人、中学校998人。2018年度小学校413人、中学校1092人。2019年度小学校500人、中学校1322人。
山口県では、この5年間、小学校でも中学校でも不登校児童生徒数が増加しています。2019年の結果を単純に1学年あたりで割ってみます。
小学校1学年あたり約83人、中学校1学年あたり約440人となります。
小学校1学年あたりの数と中学校1学年あたりの数を比較すると、中学校は小学校の約5.3倍の不登校生徒が存在するということになります。
国は、新年度から小学校全学年を35人学級にする計画を決定しました。
2月15日の衆院予算委員会で、日本共産党の畑野君枝議員の「中学校でも少人数学級を」との質問に、菅首相が中学校でも少人数学級の実施を検討したいと答弁しました。
国の責任において一日も早く中学校でも35人学級化への予算を措置すべきです。
35人学級を維持している山口県において不登校児童生徒数が増加傾向にあり、とりわけ中学校で不登校生徒の割合が高いことに鑑み、山口県教委は、小中学校での30人学級化へ更なる少人数学級化を実施すべきです。
2019年度、県内の不登校児童生徒は1822人でした。この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。