昨日から東京都で開かれている自治体問題研究所が企画した「地方議会議員政策セミナー」に参加しています。
昨日は、「介護保険改定の動向と自治体における課題」と題して大阪社保協介護保険対策委員会の日下部雅喜さんから講演を受けました。
第一は、保険料2割負担の対象拡大についてです。
昨年12月20日、政府は、第9期介護保険事業計画での2割負担対象拡大を見送ることを明らかにしました。
昨年、12月22日の第110回社会保障審議会介護保険部会では、次の方針が示されました。
「利用者負担が2割となる「一定以上所得」の判断基準の見直しについては、以下の内容につき、引き続き早期に、介護サービスと医療サービスと利用実態が異なることを等を考慮しつつ、改めて総合的かつ多角的に検討を行い、第10期介護保険事業計画期間の開始(2027年度~)の前までに結論を得る」
日下部さんは、引き続き、介護保険料の利用者負担2割拡大させない運動を強めていこうと訴えました。
第二は、介護保険料をどう下げるかについてです。
介護保険料は、全国平均で、第1期が2911円だったものが、第8期で6014円と2倍以上に値上がりしています。
一方、この20年で、年金は、約3万2千円、約18%値下がっています。
消費税10%化を受けて、介護保険料の公費軽減が拡大されました。
第一段階は、0.5から0.3へ、第2段階では、0.75を0.50へ、第3段階では、0.75を0.70に改定されています。
しかし、昨年12月の政府の介護保険部会で、第一段階の公費軽減分を0.2から1.17に、第2段階を0.25から0.2へ、第3段階を0.05から0.005に減少させることが示されました。
その結果、公費負担が382億円減少します。この382億円を標準9段階から13段階へすることで賄うことが示されました。
国は、介護保険の低所得者部分の公費負担を削減する382億円を、高所得者の保険料値上げで賄おうとしているのです。
第三は、介護給付費準備基金についてです。
市町村介護保険事業計画の3年間が経過して黒字となった財源が、介護給付費準備基金として積み上げられています。
この介護給付費準備基金の全国合計は、第5期(2014年度)で、3024億4683万円で歳入額比3.1%だったものが、第7期(2020年度)で、7947億8111万円歳入額比6.9%と2倍以上に積みあがっています。
市町村介護保険事業が赤字の場合、都道府県から借り入れを行います。これが、財政安定化基金です。第1期末(2002年度)全国で735保険者が、403億7千万の借り入れを行っていましたが、第8期1年目の20021年度、2年目の2022年度は、貸付を受ける保険者はゼロでした。
日下部さんは、介護保険料を引き下げるために、国庫負担増を求めることの重要性を述べた上で、保険料の余りをため込んだ基金を保険料引き下げに回すことが大切だと訴えました。
日下部さんは、和歌山県橋本市などでは、基金を取り崩し、保険料の値下げを実現していることを紹介しました。
次に、介護予防・日常活動支援総合事業(以下総合事業)についてです。
2015年度以降、軽度の介護度の方々のサービスを総合事業に移行させました。
日下部さんは、総合事業において、必要なサービスが介護度の低い方々に提供できているのかのチェックが必要だと強調します。
神奈川県では、従前相当サービスでは、(2022年3月末)横須賀市が100%で実施されている一方で川崎市では、0%であったりと市町村で大きな格差が生まれています。
日下部さんは、総合事業のさらなる要介護者への拡大をさせない運動と要支援者への在宅サービスを拡充させ、総合事業を保険給付に戻す運動が重要だと強調しました。
学んだことを山口県政に生かしていきたいと思います。
介護保険に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
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