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阿武風力発電事業の変電所は環境アセスの対象にすべき

 私は、9月15日、一般質問で登壇しました。一般質問では、項目の一つとしてメガ発電施設問題を取り上げ、   

 その中で、阿武風力発電事業について質問しました。
 阿武風力発電事業に関し、今議会の一般質問で、いくつかの問題を解明しましたので報告します。
 第一は、保安林の解除についてです。阿武風力発電事業の計画地内には、保安林があり、発電所を建設するためには、事業者は、保安林の解除申請を県知事に行う必要があります。
 私は、「現時点で、業者から保安林の解除申請が出されているのか」質しました。
 松岡農林水産部長は「保安林解除の申請は、現時点なされていない」と答えました。
 また、保安林の一部が、土石流危険渓流のエリアであることも明らかになりました。
 千葉県商工労働部が作成した「新エネルギー等施設設置に関する手続き情報」に、保安林解除が可能な「公益的理由」がある二つの例示があります。一つは、送電施設に関するもので、もう一つは、発電用施設周辺地域整備法に基づくものです。
 私は、発電用施設周辺地域整備法の解釈を質しました。三浦商工労働部理事は「発電用施設周辺地域整備法に規定する発電用施設は、原子力発電施設、水力発電施設、地熱発電施設、火力発電施設の4種類の発電施設。風力発電施設は含まれていない。」と答えました。
 私は、「千葉県では風力発電施設は、保安林解除をする公益上の理由にあたらないとしているが、県の保安林解除における風力発電の取扱いをどう解釈しているのか」質しました。
 松岡農林水産部長は「実際に、風力発電事業に係る保安林解除申請がなされた段階で、申請内容を確認の上、公益上の理由に該当するか否かを含め、解除要件を満たすかどうか、所定の審査をしていくこととなる」と答えました。
 保安林には傾斜地25度以上のものは一級地とみなし、原則、保安林の解除は不可と規定されています。私は「阿武風力発電事業の計画地内の山林は傾斜地25度以上のものがあるとの指摘がある。保安林解除申請が業者から出されたときに、山林が傾斜地25度以上あるかどうかチェックするのか」と質しました。
 松岡部長は「県に対して風力発電施設の建設に係る解除申請がなされ、解除を要する区域が明らかになった時点で、現地調査等を行いながら、傾斜度を含め、第一級地の条件に該当するかどうか等の審査を進める」と答えました。
 次に環境影響評価法に関する問題です。
環境影響評価法では「事業用電気工作物であって発電用のものの設置」の事業で一定規模以上を環境アセスメントの対象としています。事業者は、変電所を対象事業実施区域に含めていません。私は、「変電所を対象事業実施区域に含め、環境アセスメントの手続きを最初からやり直すべきだ」と質しました。神杉環境生活部長は「変電所を『発電用のもの』と捉えて、対象事業実施区域に含めるかどうかは、事業者が判断するものであり、従って、環境アセスメントの手続きをやり直すかどうかも、事業者が判断するもの」と答えました。
 変電所が計画されている山林の面積は1600㎡です。環境影響評価法第28条に、環境影響評価書を修正する場合と軽微で修正しなくていい場合が規定されています。
 環境影響評価法の政令で修正をしなくてもいい軽微な場合が規定されています。 
軽微なものの第一は、発電所の出力が10%以上増加しないもの。二つ目は、対象事業実施区域から300メートル以上離れていないものです。
 私は、「変電所は、対象事業区域から数キロ離れている。軽微な修正とは言えない。変電所周辺の1600㎡の山林の環境影響評価は行われるべきであると思うがいかがか」と質しました。
 神杉環境生活部長は「環境影響評価法において、県は事業者を指導する権限を有していない。しかし、住民等から県に対し、環境アセスメントに関する意見が寄せられれば、必要に応じて、事業者など関係者に伝えている。」と答えました。
 私は、「阿武風力発電事業に関して環境アセスに関する住民からの意見は県に寄せられているのか」と質しました。
 神杉環境生活部長は「この件に関しては、まだ要望を受けていない」と答えました。
 今後、県民から変電所を環境アセスの対象にすべきとの意見が県に届けられたら、県は、事業者にその声を届けるべきです。