月別アーカイブ:2017年5月

「改正憲法 20年施行」発言

 安倍首相は憲法記念日の3日付読売新聞のインタビューと、同日の改憲派集会へのビデオメッセージを通じ、憲法を改正して2020年の施行を目指すと表明しました。

 このことについて、12日付の毎日新聞は、特集記事を掲載しました。

 この中で、鈴木秀美・慶応大学教授(憲法・メディア法)は「重要な問題であるにもかかわらず、首相が一方的に意思を表明しているだけだ。批判的な質問を受けずに済む方法を選んでおり、メディアを選別した非民主的な手法だ。自民党総裁として党本部などで記者会見し、質疑応答の中で真意を明らかにすべきで、首相の発言とともに各メディアの分析や批判も報じられるのがあるべき姿だ」「読売新聞も首相のメディア戦略に呼応し、利用されている。報道機関として期待される権力監視の役割を果たすどころか、政権に協力し一体化していると言われても仕方がない」と指摘しています。

 今朝の読売新聞では東京本社編集局の溝口烈氏が「首相は単独インタビューではなく、記者会見の場で語るべきだという意見も一部にあるようだが、新聞記者としては違和感を抱く。取材は単独で行うことが原則である。問題意識を持って独材を追いかける熱意が、さまざまな事実を掘り起こし、報道の質と信頼を高めていく。」と述べています。

 しかし、読売新聞の溝口氏の反論は、鈴木教授の「批判的な質問を受けずに済む方法を選らんでおり、メディアを選別した非民主的な手法だ」「権力に協力し一体化していると言われても仕方がない」との指摘への十分な答えとは言えないと感じました。

 毎日新聞は昨日の社説で「首相は現行憲法を『占領期の押しつけ』と批判してきた。しかし、党内外の議論を後回しにして9条改正をせかす首相の姿勢こそ、押しつけではないか。首相は自らの発言が冷静な議論の基盤を壊していると認識すべきだ。」と書いています。

 憲法はこの国の背骨。拙速な議論はこの国を歪めてしまいます。

 安倍首相の改憲の議論の進め方を皆さんはどうお考えですか。

 

「建国記念の日宇部奉祝大会」等への助成金交付問題

 昨日、憲法9条の会うべなど5団体が4月10日に提出した「建国記念の日宇部奉祝大会」並びに「天皇誕生に宇部奉祝大会」への助成金交付に関する要望と質問についての久保田市長名での回答が文書で行われ、その後、床本総務管理部長ら参加の元、交渉が行われました。

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  助成金問題で交渉を行う市民団体役員

 宇部市日の丸會主催の「建国記念の日宇部奉祝大会」ならびに「天皇誕生日宇部奉祝大会」に宇部市は長年、平和運動団体助成金を交付してきました。

 宇部市の決算付属書上では、2002年度から「平和運動団体等助成金」が支出されています。2011年度からは、「宇部市平和運動団体等活動費助成金交付要綱」が設けられて、日の丸會主催の行事に助成金が支払われています。

 2002年度以前にも日の丸會主催行事に宇部市の助成金が支払われていた可能性が否定できませんが、宇部市の財政資料上確認が取れません。

 2002年度以降の「平和運動団体助成金」が日の丸會主催行事以外にも支払われた可能性は否定できませんが、「助成金」の存在は市民に公開されておらず、他の団体へ助成金が支出された可能性は低く、日の丸會主催行事にのみ本助成金が支出された可能性は大です。

 宇部市の財政資料上明ららかな、2002年度以降の「平和運動団体助成金」の支出合計は538万4千円です。

 2011年度以降の「平和運動団体等活動費助成金」の支出合計は130万4千円です。

 回答では、日の丸會が2016年度に行った事業について「要綱の趣旨に沿った、直接的に平和運動と判断される行事であるか、改めて調査をしましたが、主催者から市が求める内容が確認できなかったことから支出を見送ることとしたものです。」とあります。

 具体的には、宇部市が日の丸會に「神事に関わる支出がないか」問い合わせたところ、明確な回答がなかったとのことでした。

 今年2月7日の宇部日報に掲載された日の丸會主催の「建国記念日奉祝大会」の行事案内をみると、9時半から奉祝祭が琴崎八幡宮拝殿で行われています。日の丸會が、奉祝祭に関わる費用を必要経費として市に申請していたのであれば、要綱違反だけではなく、憲法20条に抵触する恐れのある問題です。

 宇部市は、2016年度に日の丸會が行った行事に対し、神事に対する必要経費を市に申請していたのか、明確な回答を求めるべきです。

 更に、過去にさかのぼって、二の丸会が行った行事に対し、神事に関する必要経費を市に申請していたのか、その経費も市が支出していたのか明確にすべきです。

 日の丸會が神事に関わる経費を申請し、宇部市が支出していたのであれば、日の丸會は、少なくともその経緯を宇部市に返還すべきです。

 そして、宇部市は、憲法20条に抵触していた支出があったのならば、その事実を市民に明らかにすべきです。

 この点に対する明確な答弁が宇部市からなかったことはまことに残念でした。

 引き続き、この問題は再度、宇部市と交渉することにしています。

 皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

自民党憲法改正草案の9条とは

 9日の参院予算委員会で、日本共産党の小池晃書記局長は、「自民党改憲草案」が掲げる9条2項の削除=「国防軍」創設について取り上げました。小池書記局長は、「国際社会の平和と安全を確保」などの国防軍の活動を自衛隊の活動として書き込めば、海外での武力行使を含め活動が無制限になると指摘しました。

 これに対し、安倍首相は「草案は公式文書だ」と明言し、小池書記局長の指摘を否定しませんでした。

 今日は、改めて、「自民党改憲草案」の9条をそのまま引用したいと思います。

第二章 安全保障

(平和主義)

 第9条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及ぶ武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては用いない。

 2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。

(国防軍)

 第9条の2 我が国の平和と独立並びに国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。

 2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。

 3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律に定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に強調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の声明もしくは自由を守るための活動を行うことができる。

 4 前2項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。

 5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を侵した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。

(領土等の保全等)

 第9条の3 国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を保持しなければならない。

 伊藤真著「増補版 赤ペンチェック自民党改憲草案」からこの部分の解説を引用します。

 「現行憲法9条がかかげる平和主義の三要素は『戦争の放棄』『戦力の不保持』『交戦権の否認』です。これらが草案では、すべて骨抜きにされています。戦力の不保持と交戦権の否認は完全に削除されました。草案9条1項は『戦争の放棄』に言及してはいますが、前文で平和的生存権が削除されていること、2項で自衛権の発動を無制限に認めていることと相まって、戦争への歯止めはもちろん、国際社会で積極的に軍縮・軍備撤廃を推進する我が国の責務も放棄したに等しいと言えます。」

 現行憲法9条が掲げる平和主義を骨抜きにしようとする安倍首相の改憲策動をストップさせる運動を高めていくときです。

 自民党憲法改正草案を皆さんはどうお考えですか。ご意見をお聞かせ下さい。

  

いわき市での朝鮮人強制動員

 昨日と今日のしんぶん「赤旗」日刊紙に、福島県いわき市での朝鮮人強制動員の実態がレポートされています。

 いわき市内の元高校教師、龍田光司さんが10年に及んで「労働動員」を韓国で聞き取り調査し、実態が明らかになってきました。

 しんぶん「赤旗」日刊紙の記事を引用しましょう。

 「第二次世界大戦中の1939年から毎年3000~4000人、6年間で約2万人の朝鮮人が、いわき市に『戦時労働動員』として送り込まれました。(全国では約70万人)龍田氏は2005年、いわき市の炭鉱の落盤事故や病気などによる296人の死亡者名簿を持ち、調査員として韓国を訪問しました。」

 「最初に会った強制労働の被害者は江原道(カンウォンド)横城(フェンソ)郡の男性(当時82歳)。炭車の事故で無残に変形した右手首を龍田氏に見せました。義城(ウィソン)郡では、いわき市の内郷炭鉱に伯父が行ったという男性が『日本に行って8カ月で亡くなり、補償がなかった』と聞きました。」

 「民族差別で朝鮮人はより厳しい労働現場に配置され、坑内事故による死亡率も高くなりました。入山採炭や磐城炭鉱でも朝鮮人の8割は死亡率の高い切羽(きりは=坑内の採掘現場)の採炭夫など坑内夫でした。賃金も『貯金』も強制され、受け取ったのは小遣い銭程度。終戦時、未払い賃金もろくに生産しないまま帰国しました。」

 「龍田氏は言います。『朝鮮人の『戦時労働動員』の実態を知り、伝えていくことが日韓友好の手だてになります。日本が起こした侵略戦争と国民の悲惨な体験をもとにできた今の憲法を誇りにし、守ることをもっと広げる必要があります』」

 私は、「長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会」の運営委員として活動しています。

 大韓民国政府・国務総理所属 対日抗争期強制動員被害調査及び国外強制動員犠牲者支援委員会が、2007年にまとめた「日本の長生炭鉱ス勃事故に関する真相調査」から事件の概要を引用します。

 「長生炭鉱水没事故は、日本が太平洋戦争を開始した翌年の1942年2月3日午前10時、採炭作業に投入されていた炭鉱夫183名が突然の坑内浸水によって死亡するという大型炭鉱事故として記録に残る事件である。183名の中には朝鮮南部地域で『募集』という名の下に動員された朝鮮人130余名が含まれていた。」

 宇部市の長生炭鉱だけで、朝鮮人の動員者が1258名に達していました。

 いわき市同様に長生炭鉱においても、朝鮮人動員者の多くは、最も危険な切羽作業に従事させられていたことが水没事故の様子からも伺えます。

 長生炭鉱の水非常を記録する会の追悼文に「私たちは、このような悲劇を生んだ日本の歴史を反省し、再び他民族を踏みつけにするような暴虐な権力の出現を許さないために、力の限り尽くすことを誓う」とあります。

 韓国では、新しい文大統領の当選を確実にしています。

 昨日の国会では、日本共産党の小池書記局長の質問で、安倍首相が自衛隊を憲法に明記し、憲法9条を形骸化しようとしていることが明らかになりました。

 「国際紛争を解決する手段として武力の行使は永久に放棄する」という憲法9条の立場で、安倍首相は、韓国新大統領ととともに、東アジアの安定のために力を尽くす時です。

 その事が、「再び他民族を踏みつけにするような暴虐な権力の出現を許さない」ことにつながります。

 国民の声を無視して、憲法9条を形骸化させ、自衛隊を憲法に位置付けることを安倍政権が急ぐ事は、安倍政権が「再び他民族を踏みつけにするような暴虐な権力」との誹りをアジアの他国から受けることになるのではないでしょうか。

 5月20日(土)は、午後2時から宇部緑橋教会で、長生炭鉱の水非常を歴史に刻む会の定期総会が行われ、その後、呉充功監督の「払い下げられた朝鮮人」を視聴します。

 関東大震災の際、朝鮮人の大量虐殺が行われました。この映画はその実態を明らかにした作品です。

 私も戦前、日本で朝鮮人の方々がそのように虐げられていたのかしっかり学ぼうと思います。

 映画上映は15時~です。多数の皆さんのご参加をお待ちしています。

巡航ミサイル導入検討

 4日の中国新聞は、「政府は北朝鮮による相次ぐ弾道ミサイル発射や核開発継続を受け、日米同盟の対処能力を強化するため、巡航ミサイルの将来的な導入に向けた本格的検討に入った。北朝鮮の脅威は新たな段階になったとして、発射拠点や巡航ミサイルなどにより破壊する『敵基地攻撃能力』の保有を目指す。早ければ、来年度予算案に調査費などを計上したい意向だ。政府関係者が5日、明らかにした。」と報じました。

 7日の中国新聞社説は「万一、敵基地を先制攻撃すれば憲法違反の恐れがある。反撃手段と位置付けても、基地をたたけば打ち返されるリスクも否定できない。それが巡航ミサイルの本格導入に向けた検討に入るとすれば、朝鮮半島の緊張がかつてなく高まり、トランプ政権下の米国が態度を硬化させた節がある。しかし、まずは偶発的なものを含めた軍事的衝突を回避すべく、関係国が北朝鮮に圧力をかけ続けることが最も重要ではないのか。巡航ミサイルの導入には防衛費の大幅な増額が必要になり、公民生活とも無縁ではない。憲法に照らして妥当なのかどうかを含めて、国会では今後十分に議論すべきだろう。」と報じています。

 憲法9条1項は、「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」としています。2項には、「国の交戦権は、これを認めない。」としています。

 安倍首相は、今年の憲法記念日に、9条1項2項を残しながら自衛隊を明記する改正憲法の施行を2020年までに行うことを目指すと発言しました。

 この首相の発言と合わせて、「巡航ミサイル導入検討」の報道は、憲法9条1項2項を投げ捨てようとする安倍首相の意向を鮮明にするものです。

 今日の国会では、日本共産党の小池晃参議院議員(書記局長)が安倍首相の憲法「改正」発言問題を取り上げました。

 憲法99条には、国務大臣らには、憲法尊重擁護義務があることが明記されています。

 憲法99条を無視して、国民の声を無視して、憲法9条を投げ捨てようとする安倍首相の憲法「改正」発言は許すことができません。

 巡航ミサイル導入検討や安倍首相の憲法「改正」発言を皆さんはどうお考えですかお教え下さい。

マッドマックスー怒りのデス・ロード

 香山リカ著「半知性主義でいこう」の後半に215年6月に公開されたアクション映画「マッドマックス-怒りのデス・ロード」が引用されていました。

 この連休最後に、この映画をDVDで鑑賞しました。

 香山リカさんの本作の解説を引用します。

 「部隊はこれまでの3作同様、核戦争後、荒廃した近未来。国家も民族も崩壊し、荒野に暮らす部族的な小集団が水や石油を手に入れるためのしのぎを削っている。」

 「本作は、徹底した『マイノリティVS権力者」の物語なのだ。権力者の代表は、暴力とカリスマ性で集団を支配するイモーション・ジョー。それに対抗するマイノリティとは、権力者の『子産み女』たち、左腕が義手の女性戦闘員、故郷を失った高齢女性集団、病のため常に輸血を必要とする若い男性、そして妻子を殺され幻覚に苦しむマックス。」

 「胸に迫るのは、マイノリティ軍団の徹底的な抗戦ぶりだ。強大なジョー軍団に比べればあまりに微力な彼らだが、それぞれが得意なスキルを使い、力を合わせて抵抗と脱走を試み続ける。そして、彼らは敵に対して完全に非寛容でもある。」

 「本当に追い詰められたマイノリティが権力者に立ち向かう道は、『寛容さ無し(=ゼロ・トレランス)の徹底抗戦しかない。『マッドマックス-怒りのデス・ロード』はそのことを教えてくれる映画でもある。」

 香山リカさんは、安保法制をめぐる国内情勢について以下のように述べています。

 「安保法制反対が読売新聞の世論調査でさえ50%に達しているということは、彼らは数としては少数派ではなく、いわゆるサイレント・マジョリティだと言ってもよいであろう。しかし、数としては今や過半数であっても、パワーという意味では反対派は圧倒的に弱い立場つまりマイノリティである。『『マッドマックス』新作に学べ』などと言うつもりはないのだが、マイノリティに残された抵抗の道は徹底抗戦しかないのにもかかわらず、実際にそうしたのは安倍総理をはじめとする政権側のほうだったのである。」

 香山リカさんが指摘する通り「マッドマックス」新作から今日の政治はどうあるべきか学ぶべき点は多々あるようです。

 

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