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奨学金返済補助制度 宇部市で実施 県は中小企業へ奨励金を支給

 4月26日付宇部日報は、宇部市が奨学金返済を支援する制度をスタートさせると次のように報じました。
 「宇部市は、若者の移住・定住促進と市内中小企業などの人材確保を支援するため、大学などに進学し在学中に奨学金の貸与を受けた人を対象とした『奨学金返還支援制度』を創設する。今年度に制度の周知を図り、来年度から交付を始める。支援対象となるのは、今年4月以降に市内に就業し、▽毎年10月1日を基準日として市内に居住し、正規雇用で市内中小企業に就業、または1次産業に従事、市内で起業▽10年以上継続して市内に定住する意思を持つ▽申請初年度の4月1日時点で満30歳未満▽日本学生機構の第1種または第2種奨学金の貸与を受けていたーなどの要件を満たす人。補助期間は支援開始から最大10年。毎年10月1日の基準日時点で市内在住と市内就業の継続が条件となる。補助額は最大100万円で、実返済額または限度額のいずれか低い方の額を補助。1~5年目までは年間最大12万円、6~9年目は年間最大8万4000円 10年目は最大6万4000円を補助する。市によると、他の導入自治体の先行事例から、年間30人程度の支援を想定している。篠崎圭二市長は『昨今の社会状況の変化に伴い、奨学金の返済に困っている若者がたくさんいる上、市内の中小企業は人材確保が困難な状況が続いているので、制度を構築した。市内の企業に活用してもらえれば』と述べた。」
 県がまとめた、「県内の奨学金制度・奨学金返還補助制度等のご案内」によると、県内では、下関市、萩市、周南市、長門市で、奨学金返還補助制度が実施されており、これに宇部市が加わったことになります。
 また、県制度として、昨年度から大学等へ進学し、県内へ就職する大学生等に対し、その奨学金の返還を支援する「やまぐち若者育成・県内定着促進事業奨学金返還補助制度」が実施されています。
 年最大20万円、5年間で100万円です。詳しくは、山口県総合企画部政策企画課のホームページをご覧ください。
 また、県制度として、「高度産業人材確保事業奨学金返還補助制度」があります。理系の大学院に在籍する者や、薬学部に在籍する学生が対象です。詳しくは、山口県産業労働部産業人材課ホームページをご覧ください。
 また、県制度として「地域医療を担う若手薬剤師確保・育成奨学金返還補助制度」があります。薬学生及び既卒者が、県内の対象施設に薬剤師として就職した場合などが対象です。詳しくは、山口県健康福祉部薬務課ホームページをご覧ください。
 また、県制度として「山口県県外看護学生Uターン応募事業奨学金返還補助制度」があります。県外の看護学生及び既卒者(40歳未満)が、県内の対象施設において就職後5年間継続して看護師等の業務に従事した場などが対象となります。詳しくは、山口県健康福祉部医療政策課ホームページをご覧ください。
 さらに、県制度として奨学金返済支援制度を新たに創設した企業に対し、支援金を支給する県制度があります。対象は、奨学金返済支援制度を創設した県内中小企業等が対象で、支援額は年間60万円です。
 4月30日を期限に、「令和6年度山口県奨学金返還支援制度創設奨励金支給業務」に関する委託業者選定のための参加表明書の提出が行われています。5月中旬に委託者が決定され、業務委託が開始される見込みです。この制度に関する詳しい問い合わせは、山口県産業労働部労働政策課にお願いいたします。
 奨学金返済に困窮している学生やご家族、また、県内中小企業の経営者の皆さん、以上、紹介した制度をご活用いただければと思います。
 そもそも、返還の必要のない奨学金にすべきです。国にそのことを働きかけるとともに、県制度がさらに拡充されるよう引き続き、働きかけていきたいと思います。
 奨学金返還支援制度に関する皆さんのご意見をお聞かせください。

JR美祢線の早期全面復旧を求めます。

 4月28日・5月5日合併号のしんぶん赤旗日曜版は、自然災害を機にしたローカル鉄道廃止が広がるなか、元旦の能登半島地震で大きな被害を受けた「のと鉄道」が4月初め、全線で運転を再開したと報じました。
 一方、災害を理由に地方ローカル線の廃線や運休が続いている状況について、次のように報じました。
 「北海道から九州まで地方を走る鉄道路線は、台風、豪雨、地震・津波等の被災を機に、一部区間が廃線されたり、長期にわたり不通となったりする事例が相次いでいます。現在も7路線(区間)が運休したままです。2016年の台風で東鹿越~新得間が不通となった北海道の根室線は今年3月、運転再開することなく富良野~新得間が廃線となりました。15年に高波被害を受けたJR飛鷹線も21年、一部区間が廃止されました。米坂線、津軽線、美祢線など、復旧の見通しが立っていない路線も数多くあります。一方、11年の豪雨災害に見舞われたJR只見線の一部区間は一昨年、11年ぶりに復旧し、全線復旧。20年の豪雨災害でほとんどの区間が不通となっているJR九州が、八代~人吉間の再開に向け合意しました。観光路線でもある地域の足が守られます。一方、上下分離方式(列車運行=上とインフラ=下の管理主体を分離)で下の部分を沿線自治体が持つことになり、地元に負担がのしかかります。」
 この記事で、7路線が運休したままとされている路線の中に、23年豪雨災害で運休しているJR美祢線、JR山陰線が含まれています。美祢線は「全線復旧の見通し立たず」とされていますが、JR山陰線は「不通区間復旧へ」とされています。
 安藤陽埼玉大学名誉教授は次のコメントを寄せています。
 「のと鉄道は上下分離方式で、インフラ部分(下)はJR西日本の保有です。復旧はJR次第でした。のと鉄道とつながっているJR七尾線は和倉温泉まで通じ、輸送密度はそれほど低くなく、始発は新幹線の通る金沢です。復旧させる意思が動いたと思います。ローカル線は1980年の特定交通地方線廃線のときにばっさりと切られました。国鉄民営化のときは一応、維持するといわれましたが、なぜか少しずつ廃止されていったのです。自然災害で路盤が流出したところはだいたい復旧されず、そのままになっています。JRはいろいろと理由をつけて、言い方は悪いですが、『これ幸い』とばかりに復旧させない。やり方として、ちょっとひどい。被災した路線は本来、JR東日本、西日本など事業者が自分の責任で復旧すべきです。なぜしないのか。お金をかけて復旧しても、それに見合うだけのものが戻ってこないから。『採算ベースで』ということです。鉄道をどうするか、これはやはり国の政策です。そのなかで地元が関与するならば、道府県が一定のイニシアチブをとる。具体的にどう利用していくのかは市町村レベルで協議をして運営する。そういうあり方が必要です。そこに財政問題が加わるので、自治体だけに負担させるのは無理だという話になります。只見線は復旧して評価されていますが、JRに運営を任せると依然として列車本数が少ない。第三セクター化は地方への財政負担はありますが、沿線住民の要望にこたえ可能な限り本数を増やすことが可能となります。JRに任せっきりにすればサービスが変わらない。『最低、何本走らせれば地元が利用しやすくなるのか』の協議が必要です。鉄道を残すのであれば利便性向上の方策をみんなで考えることが必要です。日本の場合は人口も多く、世界的に珍しく民間企業が鉄道を運営しています。欧州あたりではそれは無理だということで公費を出しているわけです。日本では道路への投資額の5%でも鉄道に回せば、必要な基盤整備ができます。国土を、幅広く人が住めるような形で配置していく必要があるのではないでしょうか。今、まがりなりにも鉄道ネットワークがあるわけですから、それを使わない手はない。幹線部分だけでなくい、残っているローカル線も含め積極的に使う。収支の問題ではなく社会資本、インフラとして考えていくことです。今ある鉄道を維持する場面で、『廃止されたローカル線を復活させてください』となかなか言いにくい。しかし能登半島の復興ということならば、穴水から輪島まで廃線跡地が残っていれば、そこを復活させることは選択肢かもしれません。鉄道は開発の役割も果たしています。能登の場合、開発というより復興の一つの起爆剤として位置づければ、外国人もかなり来ると思うので、事業者にとっても決してマイナスではないと考えます。」

 私は、昨年6月30日からの大雨で崩壊した2カ所のJR美祢線の橋脚被害を7月14日に、大平よしのぶ衆議院議員と三好むつこ美祢市議とともに視察をして、9月県議会で、JR美祢線の早期復旧を求めました。

 JR美祢線被災地を視察(2023年7月14日)

 左から三好美祢市議、私、大平よしのぶ比例候補

 京牟礼観光スポーツ文化部長が、美祢線利用促進協議会に「新たな検討チーム」を作るとこたえ、昨年10月13日に、JR美祢線利用促進協議会に、作業部会が設置されました。

 4月23日には、JR西日本や国、県、市町の関係者が集まり、ローカル線活性化連絡会議が県庁で開催されました。

 私は、安藤埼玉大学名誉教授が指摘するように、「被災した路線は本来JR東日本、西日本など事業者が自分の責任で復旧」すべきと考えます。

 また、安藤教授が指摘するように、鉄道をどうするかは「国の政策」で行うべきで「自治体だけに負担させるのは無理」です。

 JR西日本と国がしっかり役割を発揮し、JR美祢線が地元の県と市町の願い通り、早期全面復旧されるよう、私も力を尽くしていきたいと思います。

 JR路線に関する皆さんのご意見をお聞かせください。

「2010年千葉国体での山口選手35人に参加資格違反」を教訓に、山口から「国スポ」存廃議論を大いに

 今日の毎日新聞の社説は、「『国スポ』の存廃議論」が取り上げられ次のように報じています。
 「国を挙げて国民の体力向上を図るという歴史的役割は、果たし終えたのではないだろうか。国民体育大会から名称変更した『国民スポーツ大会(国スポ)』の存廃が議論を呼んでいる。全国知事会の会長を務める宮城県の村井嘉浩知事が『廃止も一つの考え方ではないか。非常に財政的な負担は大きい』などと述べたのが発端だ。開催に伴う巨額の経費や運営のための人手不足は長年の課題となってきた。知事の間からは見直しを求める意見が相次ぐ。負担軽減策として、複数県にまたがる開催や隔年実施も案も挙がっている。国体は戦後間もない1946年に始まり、『国民の健康増進や体力向上、地方のスポーツ振興や文化の発展』を旗印にしてきた。日本スポーツ協会、文部科学省、開催都道府県の3者共催で行われ、開催後は全国障碍者スポーツ大会も開かれる。47都道府県の持ち回り開催によって、全国各地にスポーツ施設が整備され、地方にも協議組織が巡らされた意味は大きい。しかし、2035年から開催地が3巡目に入るのを前に、大会のあり方を問う声が強まっている。人口減少で地方自治体の財政が厳しさを増し、公共施設整備などの負担は重くなるばかりだ。競技の面でも、いびつさを指摘する意見がある。開催地は、都道府県対抗で総合優勝するのが当然との重圧を受け、県外からの有力選手集めに追われる。だが、必ずしも地元のスポーツの底上げにつながっているとは限らない。日本スポ協は全国知事会とも協議し、検討部会を設けて大会の新たな方向性を示す方針だ。スポーツに対する国民の意識は変化している。行政や学校が主催する従来のスタイルだけでなく、個人が自発的に「取り組む活動が広がっている。今年から大会名が教育的な意味を含む『体育』ではなく、『スポーツ』に変更されたのも、その表れといえる。持続可能な大会とするには、時代に合った改革が欠かせない。成長に陰りが見え、価値観が多様化する中、巨大イベントを開催する意義を改めて問い直さなければならない。」
 25日、NHK山口放送局は、村岡知事が、定例記者会見で、国スポについて次のようにコメントしたと報じました。
 「国体=国民体育大会から名称を変えた国民スポーツ大会の開催をめぐり、一部の知事から見直しの声が出ていることについて、村岡知事は、財政的な負担は大きいとしたうえで、『どうすれば持続的に開催できるのかを考えていく時期だ』と述べ、見直しの議論が必要との認識を示しました。」
 山口県では、1963年に一巡目国体が、2011年に二巡目国体が、開催されてきました。
 2011年に開催された山口国体を巡っては、2011年2月24日、日本体育協会は、臨時国体委員会を開き、2010年に開催された千葉国体に出場した山口県選手の内35名に参加資格違反があったとする第三者委員会の答申を承認しました。その結果、千葉国体での山口県の順位は総合で13位から16位に下がりました。
 第三者委員会の答申書は、「毎年、国体開催都道府県が総合優勝し続けているという慣行の問題点と是正に関する提言」を行っています。
 提言の「終わりに」こうあります。
 「この問題の背景には、国体が都道府県対抗形式で、実施され、開催都道府県の総合優勝が当然視される中、総合優勝に向けての開催地の地方自治体及び体協関係者に対する有形無形の強い圧力の存在があることは明らか」「本委員会は、今回のような問題の根本的な再発防止のために、このような規格に即して、自己点検と組織運営上の改善を今後進めていかれるよう、日体協に強く要望するものである」
 2011年11月県議会で、私は、国体改革に向けて、都道府県対抗方法を見直すよう国や日本体育協会に提言すべきと質し、当時の二井知事は「これまで、日本体育協会に都道府県対抗方式から競技別対抗方式に変更されるよう発言したことがある。今後も折りを見て発言したい」と答えました。
 その後、国体の特典制度は一部変更されましたが、都道府県対抗方式は、基本的に維持されたままとなっています。この点の改革が急がれます。
 2012年に行われた決算特別委員会の中で、私が質疑を行いました。
 その中で、山口県が体育協会にトップアスリート育成事業費を補助していることが分かりました。
 これらの財源を使って、国体選手が県体育協会の職員として採用されていることも分かりました。
 2010年に33人、2011年に78人、2014年に13人が採用されていることが分かりました。
 2011年に開催された二巡目の山口国体には、施設整備や運営経費や競技力向上対策費などで300億円以上の巨費が投じられたことが明らかになっています。
 国体開催に向けて、県内では、維新公園の陸上競技場やきらら博記念公園のプールなどが整備されました。
 そして、県財政を財源に、国体選手を体育協会の職員として採用するなどを行い、国体選手として参加資格のない選手を大会に35人出場させていたことが、日本体育協会の第三者委員会の調査で明らかになりました。
 この負の歴史を経て開催した二巡目の山口国体を教訓に、今年から「国スポ」に改められる「国民スポーツ大会」の抜本的見直しが必要です。
 村岡知事が言う「持続的に開催するのはどうしたらいいのか」のレベルではなく、村井宮城県知事の発言のように「存廃」を含めた抜本的な見直し議論が必要だと感じます。
 2011年開催の二巡目山口国体の前後に、県議会で大いに問題点を指摘してきた議員として、「国スポ」存廃議論を山口県の中で大いに行っていきたいと思います。
 「国スポ」存廃問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

夏川草介著「スピノザの診察室」を読んでいます。

 医師であり作家の夏川草介さんのインタビュー記事が、22日のしんぶん赤旗日刊紙に掲載されていましたので紹介します。
 「医師として働きながら命や人の生き方を問う小説を発表してきた夏川草介さん。昨年刊行した『スピノザの診察室』が今年の本屋大賞候補10作中第4位になりました。タイトルの『スピノザ』は17世紀オランダの哲学者です。本書には『人間の行動と感情を嘆かず笑わず嘲らず、ひたすら理解しようと努めた』と紹介されています。『治らないままみとることも多い高齢者医療に携わる中、多くの哲学書を読みましたが、一番、自分に必要なことを言ってくれていたのがスピノザでした。人間中心にものを考える哲学者が多い中、人間にできることは限られていた。他方、人間の努力は肯定し、希望もある。とても共感しました。物語の舞台は京都。内科医として地域病院で働く雄町哲郎(通称『マチ先生』)がスピノザの価値観に支えられながら、さまざまな事情を抱えた患者たちの最期の時間に向き合います。これまで作品の大半は、自身も暮らす長野を舞台としていました。『医療の世界にとどまらない、(人の幸せとは何か)という普遍的なテーマを際立たせるためには、舞台から変える必要があると感じたんです』京都府と隣接する大阪府高槻市で生まれ育った夏川さん。長野と同様、京都は身近な場所でした。『景色をベースに人を描くので、自分がよく知っている場所でないと書けない。子どもの頃からなじみがあって、景色にも思い入れがある京都を選びました』夏の鴨川や五山の送り火などの風物に加え、マチ先生の好物である『阿闍梨餅』や『長五郎餅』などの京都銘菓も物語に彩りを添えます。副作用に苦しむ治療をやめた末期のがん患者や、生活保護を拒み十分な治療ができない患者。マチ先生と担当患者との交流は、夏川さん自身の経験がもとになっています。描きたかったのは『すごい患者』との出会いでした。『死に近い現場で働いていると、時々(みんなに均等に回ってくる順番が来ただけ)と、自分が消えていくときの風景をイメージできている人に出会うことがあるんです。そういう患者さんとの出会いが、医師自身や患者との関係を成熟させる。貴重な素晴らしい出会いです』高校1年生で経験した阪神・淡路大震災をきっかけに医師の道を志しました。働きはじめて、数年、心身ともにバランスを崩しかけていたとき、妻に『気分転換に小説を書いてみたら』と提案されました。『執筆は自分のメンタルを維持するためのレクリエーションにすぎませんでしたが、書き終わったとき、自分が何を悩んでいたかがわかり、前を向けるようになっていたんです。それからは、現場で大きな壁にぶつかると書くようになりました』コロナ禍の医療現場を描いた『臨床の砦』『レッド・ゾーン』は『医療現場に戻るために書いた』と言います。『怒りと悲しみの連続でした。でも、過酷な状況だったからこそ、美しく、かっこいい人たちにも出会えた。理想の人間性を持つ人たちの存在を知ることができたことは、間違いなくプラスの経験でした』子どもが幼い頃、中島敦の『山月記』を暗唱して寝かしつけていたほどの文学好き。『よく寝てくれました』ペンネームも、尊敬する夏目漱石や芥川龍之介からつけました。彼らが今生きていたら、一体、何を書くのか、考えます。『彼らから見て恥ずかしくないように人物像を描きたいと思っています。優しさや幸せとは何かを真剣に考えるような人物。そういう人たちを描き続けることで、声が大きく、勝ち続ける人ばかりが幅を利かせる社会を少しでも変えていきたい。困っている人に手を差し伸べやすい社会をつくる支柱でありたいと思っています」
 夏川草介著「スピノザの視察室」を50ページ読みました。
 前半の中にも「人の幸せとは何か」を考えさせる場面があります。
 哲郎は、紆余曲折あり、甥の龍之介と生活しています。
 哲郎は、そのために、東京で大きな大学病院で勤務していた生活の転換を強いられます。
 龍之介は、叔父にそのような選択をさせてしまったことに負い目を感じています。
 そのことを龍之介に言われた哲郎がこう返します。
 「地位も名誉も金銭も、それが単独で人間を幸せにしてくれるわけじゃない。人間はね、一人で幸福になれる生き物ではなんだよ」
 深く心に響くセリフです。
 大学病院では、検討課題は、目の前にある病気をどうやって治療するかだったと振り返る哲郎。
 しかし、今哲郎が見つめる医療は、次のようなものだと語ります。
 「方法を問うているのではない。行動の是非そのものを問いかけてくる。」
 新聞記事にある「スピノザ」の「人間の行動と感情を嘆かず笑わず嘲らず、ひたすら理解しようと努める」姿勢の重要性をこのセリフは言っていると感じました。
 新聞記事の夏川さんのこのセリフが好きです。
 「声が大きく、勝ち続けられる人ばかりが幅を利かせる社会を少しでも変えていきたい。」
 私とは職業も対象としているものも違う夏川さんですが、同じような未来を求めているのだという共感を感じました。
 私は、日々、多くの市民の方から様々な相談を受ける仕事をしています。
 その日々の中で、対象の方の問題にどのように共感できるのか、どのようにお声がけするのか悩む日々です。
 私の苦悩を和らげる、勇気をいただける作品が夏川草介著「スピノザの診察室」だと感じます。
 本書からしっかり学びたいと思います。この連休は、実家の草刈りをしながら、少し時間があるので、夏川草介さんの他の作品にも触れていきたいと思います。
 夏川草介ファンの皆さん、おすすめの作品をお教えください。

警察庁が都道府県警に、犯罪被害者等給付金の支給について「同性のみを理由に支給裁定しないように」通知

 4月10日付のブログで、日本共産党の井上哲士参議院議員が9日、参議院内閣委員会で、3月26日の最高裁判決に関する質問を行ったことを紹介しました。
 最高裁は、同性パートナーが犯罪被害者遺族給付金の対象に含まれるとの判決を下しました。
 井上議員の質問に、松野国家公安委員長は、「都道府県警察に対し、被害者が同性であったことのみを理由に不支給裁定とすることがないよう通知した」と答えました。
 私は、4月10日、山口県警察本部に対して①どのような通知が届いたのか②通知を受けて山口県警はどう対応するのかについて照会しました。
 4月18日、県警本部から、①について、「通知文は公文書なので、開示請求してほしい」との回答がありました。
 4月19日、私は、県警本部に、通知文の開示請求を行いました。
 4月24日、県警本部は、通知文を開示しました。
 開示された文書は下記のような内容です。
 通知文は、事務連絡とされ、今年3月27日、警察庁長官官房犯罪被害者等施策推進課理事官から警視庁総務部企画課長と各都道府県警察警務(総務)部長あてに発出されています。
 表題は「犯罪被害給付制度に係る最高裁判所の判決について」で、内容は次の通りです。
 「犯罪被害給付制度における遺族給付金の支給を受けることができる遺族については、犯罪被害者等給付金の支給等による犯罪被害者等の支援に関する法律(昭和55年法律第36号)第5条第1項において、犯罪被害者の死亡の時において、同項各号のいずれかに該当する者とされており、同項第1号においては『配偶者(婚姻の届出をしていないが、事実上婚姻関係と同様の事情にあった者を含む。)』と規定されているところであるが、昨日、最高裁判所小法廷において、同号括弧書きの規定には、死亡した犯罪被害者と同性の者も含まれる旨の判断が示されたことから、今後死亡した犯罪被害者の同性パートナーからの申請があった場合には、同性であることのみを理由として支給裁定を行うことがないよう留意されたい。」
 私の4月10日の照会に対する4月18日の県警の2番目の回答は以下の通りです。
 「県警察としては、引き続き、高裁での裁判の行方を見守りつつ、警察庁の対応等も踏まえ、法令にのっとり、個別具体的な事案ごと、適正に対応してまいります。」
 山口県警が、警察庁の対応を踏まえれば、犯罪被害者等給付金について、「犯罪被害者の同性パートナーからの申請があった場合には、同性であることのみを理由として不支給裁定を行うことがないよう」な対応になるものと思います。
 この点を来る6月県議会で県警本部に質していきたいと思います。
 この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。

中国電力が、原発予定地に中間貯蔵施設建設に向けた調査を開始しました

 今朝のしんぶん赤旗日刊紙は、中国電力が中間貯蔵施設の建設に向けボーリング調査を開始したと次のように報じました。
 「中国電力は23日、原発から出る使用済み核燃料を一時保管する中間貯蔵施設の建設を巡り、山口県上関町でボーリング調査を始めました。調査は半年間の予定。地下100メートルから300メートルの深さで行います。活断層の分布などを調べ、立地が可能かどうかを見極めます。『適地』と判断すれば、建設に向けた同意を町に求める方針です。建設候補地は、中国電が工事を中断している『上関原発』の用地内。上関町は昨年8月、中間貯蔵施設建設に向けた調査を中国電が関西電力と共同で行うことについて、受け入れを決定しました。これを受け、中国電は過去の巨大地震や津波などの発生状況を調べる文献調査を実施。今年1月下旬から、ボーリング調査を行う11カ所の周辺で、木の伐採などの準備に着手していました。-赤松義生日本共産党平生町議の談話ー中間貯蔵施設に持ち込まれる使用済み核燃料は長期間の管理が必要で、事故が起きれば広範囲に被害が及びかねません。周辺自治体の一つである平生町では、移住・定住対策への影響を懸念する声が出ています。上関町長の同意だけで計画が進むことは大きな問題だと思います。上関町民100人を対象に共同通信社が実施した調査(昨年10~12月)では、施設誘致について『反対』『どちらかというと反対』と回答した人が計59%にのぼりました。安全性についての説明が不十分で、事実上の最終処分場になることを心配する声もあります。中国電力と関西電力は、原発再稼働と一体で中間貯蔵施設の建設を進めようとしています。今回のボーリング調査も住民の意見を聞かずに計画を進める強引な姿勢を感じます。-中間貯蔵施設解説ー使用済み核燃料からプルトニウムを取り出す再処理までの一時的な貯蔵施設と位置づけられています。国内では青森県むつ市に東京電力と日本原子力発電が共同で、両社の原発から出た使用済み核燃料を最終的に5000トン貯蔵する中間貯蔵施設を建設中(貯蔵建屋1棟は完成)。建屋の使用期間は最大50年とされ、使用済み核燃料は金属キャスクと呼ばれる容器に収納して貯蔵されます。搬出先は明示されていません。」
 中間貯蔵施設の搬出先は、青森県六ケ所村の再処理工場だと、政府は説明し、この核燃料サイクルは稼働できると言います。再処理工場の先は、核燃料として再利用するものと、最終処分されるものに分かれるとしています。
 六ケ所村の再処理工場は、27回目の完工目標を延長されようとしています。
 最終処分場の目途は全く立っていません。
 ならば、赤松町議が指摘するように、中間貯蔵施設は、事実上最終処分場になる可能性が否定できない状況です。
 中国電力と関西電力は、中間貯蔵施設の建設をストップすべきす。
 この問題に関する皆さんのご意見をお聞かせください。