岩国基地に新たに配備されたF35Bについて、3日、NHK山口放送局は次のように報じました。
「アメリカ軍岩国基地にステルス戦闘機部隊が新たに配備されたことについて、岩国市と県はこれまでの説明に疑問があるとして、国に対して基地で運用される機体の数や運用期間などについて改めて情報照会を行いました。アメリカ軍は先月10日、ステルス戦闘機F35Bの飛行部隊を新たに岩国基地に配備したと発表し、海兵隊の戦闘機部隊は3から4に増えたとしています。部隊の配備について国はこれまでに岩国市や県に対してアメリカ軍の一時的な運用で、基地で運用する機体の数に大きな変化はないとして、追加配備にあたらず、地域への影響が生じないようにという説明を行っていました。しかし、これまでの説明に疑問があるとして、岩国市と県は3日改めて中国四国防衛局に対して情報照会を行いました。この中では部隊が増えたことで通常であれば機数が増加すると考えられるのに運用する機体の数に大きな変化はないとする根拠は何かや、部隊の一時的運用がいつまで続くのか、それに今回の部隊配備が自治体への情報提供前に公表され、地方自治体の照会に対する国の回答まで長期間を要したことを踏まえて情報提供に関する見解など8項目について問い合わせています。岩国市は国から詳細な回答が返ってきた場合はそれをもとに周辺住民への影響を分析し、市として見解をまとめる方針です。」
県と岩国市が国に照会した内容は次の通りです。
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VMFA-211部隊の岩国基地への展開について(再照会)
令和7年(2025 年)6月3日
山口県総務部岩国基地対策室
岩国市総合政策部基地政策課
5月 27 日に回答・説明を受けた標題の件で、その内容に関して、再度下記のとおり照会します。
記
(1) このたび、岩国飛行場での運用機数に大きな変更はないとの説明を受けたが、一方で、昨年、「岩国基地における機種更新等について(回答)」(令和6年8月 20 日付け中防企地第 4547・4548 号)においては、米海兵隊の配備機数について説明を受けている。
「配備機数」と「運用機数」について、それぞれ用語の定義を示されたい。
(2) 2部隊でのローテーション展開(UDP)により、通常であれば、岩国基地で運用される航空機の機数も増加すると考えられる。
岩国飛行場での運用機数に大きな変更はないとする国の説明について、(1)を踏まえ、米海兵隊岩国航空基地のF-35B部隊がどのように運用されるのかを含め、その根拠を示されたい。
(3) (1)及び(2)を踏まえ、このたびの回答・説明は、「岩国基地における機種更新等について(回答)」における「機数全体としては10機程度減少すると認識している」旨の回答と齟齬はないのか、これまでの説明との整合性について示されたい。
(4) 岩国基地に配備・展開される米海兵隊のF-35Bの基本的な部隊数は、常駐部隊の配備が2部隊、UDPの展開部隊が基本的に1部隊と認識しているが、国の見解を示されたい。
(5) 2部隊でのUDPは、あくまで一時的な運用であるとの説明であるが、一時的な運用はいつまで続くのか、示されたい。
(6) 「(UDPの)プログラム自体に変更はない」との説明について、このたびの2部隊でのUDPのプログラム上の位置付けを含め、どのような意味なのか、示されたい。
(7) このたびの一時的な運用により、防音工事の第1種区域等見直し作業への影響があるのか、示されたい。
(8) このたびのVMFA-211の岩国基地への展開について、国から地元自治体へ情報提供される前に米側から公表され、その後、地元自治体の照会に対する国の回答も長期間を要した。
米軍の運用に関する情報は、国の責任において迅速かつ適切に提供されるべきと考えており、国と米側との間の情報伝達・共有が円滑に行われているか懸念するところであるが、地元自治体への情報提供に関する国の見解を示されたい。
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日本共産党県委員会は、6月16日、中国四国防衛局に対し、F35Bの追加配備問題で、申し入れを行うことを計画しています。
県と市の国への照会文書に国は、早急に誠実に回答すべきです。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
3日、しんぶん赤旗日刊紙は、米軍横田基地でPCBが不適切に処理されていたと次のように報じました。
「米空軍横田基地(東京都福生市など)で、在日米軍が定めた規定に違反し、猛毒のポリ塩化ビフェニール(PCB)を含む変圧器2基が日本国内の業者に引き渡されていたことが分かりました。米国防総省監察官が2023年4月、複数の在日米軍基地を調査し、有害廃棄物の管理の管理・処分状況をまとめた報告書で明らかになりました。同報告書は今年4月30日付で公表。PCBの不適切な処理について、『日米関係に悪影響を及ぼす可能性があり、健康や環境を損うおそれがある』と指摘しました。在日米軍の『日本環境基準(JEGS)』は、PCB製品の廃棄は原則として米国防兵站局(DLA)を通じて行うこととし、業者への引き渡しを禁じています。一方、在日米軍司令官が承認した場合、この原則は除外されるという例外規定を設けています。報告書によれば、横田基地の第374空輸航空団が、必要な承認手続きを経ずに変圧器を業者に引き渡し、解体・処分しました。変圧器は1基あたり36トンで、解体に伴い発生したPCB由来の油は103バレル(約1万6480㍑)にのぼります。PCBが米ぬか油に混入し、深刻な被害をもたらしたカネミ油症事件(1968年)を契機に、日本政府は72年、PCB製造を禁止。PCB保有者は自治体への届け出と速やかな処理がPCB特措法で定められていますが、JEGSにこうした規定はありません。在日米軍も2002年、『米本土に持ち帰る』と約束しました。しかし、日本共産党の田村貴昭議員の質問に、防衛省が法的根拠もなく米軍のPCBを処理していたことが判明(24年2月28日、衆院予算委)。さらに今回、米軍が日本の国内法を無視し、勝手に処理を行っていた実態も明るみにでました。共産党の山添拓参院議員と東京都議団は5月29日、横田基地からの有機フッ素化合物(PFAS)流出を含め、PCBのずさんな処理について政府の対応をただしました。」
私は、昨年9月県議会(9月30日)で、岩国地内のPCB問題を取り上げました。
私の質問を紹介します。
(藤本質問)
沖縄タイムズは、岩国基地において「『PCB漏れ』と記された2015年5月20日付の写真もあった。これは、大型変圧機がトラックから落下し、汚染液が漏れた事故処理の記録だ」と書いている。防衛省は、2003年度から22年度までのPCB廃棄物を岩国基地は8トンと発表した。PCB廃棄物量と処理状況を県は、基地に照会し、結果を公表すべきだ。国や県は、岩国基地のPCB廃棄物について、米側に対しどのような要望を行っているのか。
(田中総務部理事回答)
PCB廃棄物に関する報道等を踏まえ、岩国基地内のPCB廃棄物について、国を通じて照会しているところであり、その回答を待って、適切に対応してまいる。国からは、PCB等の環境に関する問題については、日米で様々なレベルでの協議を行っているとの説明を受けている。県では、渉外知事会を通じて、国や米側に対し、基地内のPCB廃棄物の適正な保管と処理、国外への搬出に当たっては、その安全確保に努めること等を要望している。
私の質問以降、岩国基地のPCB廃棄物に関する県が行った照会の結果内容の報告を受けていません。
私は、6月3日付で、県に対し、「岩国基地のPCB廃棄物についての国への照会照会を示してほしい」と再度紹介を行いました。
また、記事にある米国防総省の報告書に、米軍岩国基地に関する指摘はなかったのかについても県へ照会を行いました。
県からの回答が寄せられ次第、本ブログで報告します。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
昨日、「上関原発」建設計画に反対する2市4町議会議員連盟が村岡知事に「上関中間貯蔵施設建設計画の中止を求める申し入れを行いました。このことについて、NHK山口放送局は、次のように報じました。
「上関町で調査が続く使用済み核燃料の中間貯蔵施設の建設計画について上関町を含む2市4町の議員などでつくる団体は、山口県が中国電力に対し、建設の中止を求めるよう申し入れを行いました。申し入れを行ったのは、上関町と周辺の市町、2市4町の議員などでつくる団体で、メンバー17人が県庁を訪れ、県産業労働部の椛谷和男理事に申し入れ書を手渡しました。この中では、上関町の中間貯蔵施設の建設計画について事故が発生した場合、大惨事になるとして県が建設計画に反対を表明することや、田布施町議会で建設に反対する決議が可決されたことなどから県が中国電力に対して建設中止を求めることなどが盛り込まれています。これに対して県の担当者は『現在、計画が立地可能なのかどうか調査が実施されていて、県としての対応を申し上げる状況にない』と回答しました。柳井市の市議会議員で『上関原発』建設計画に反対する2市4町議会議員連盟の中川隆志会長は『県は調査の結果が出るまでは申し上げることはないという回答に終始し、県民が求める安心安全に対する回答は一切なかった。県には地域住民の反対の声を何度も伝え、誠意ある回答を引き出したい』と話しています。」
申し入れに参加したのは、中川隆志柳井市議、長友光子柳井市議、田辺学光市議、落合祥二田布施町議、小中進田布施町議、守田達也田布施町議、高見英夫田布施町議、藤田枝里香田布施町議、占部智子周防大島町議、赤松義生平生町議、原真紀平生町議(順不同)
同席した県議会議員は、私と、木佐木県議、河合県議、中嶋県議、井原県議の5名でした。
中間貯蔵施設建設中止を県知事に求める申し入れ 左側が、2市4町の議員連盟とオブザーバー参加の県議会議員
柳井市民約4000人のアンケートで約7割の市民が中間貯蔵施設の建設に反対する結果が出ています。また、田布施町では、反対派の候補が上位当選し、新しい町議会で建設に反対する決議が可決しました。
県は、これら県民の声に耳を傾け、中間貯蔵施設建設反対を表明すべきです。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
毎日新聞は、27日、国民民主党が昨年の衆院選の公約に「イージス・アショア」の配備の再検討を掲げていたことで、「イージス・アショア配備計画の撤回を求める住民の会」が申し入れ書を提出したと次のように報じました。
「2020年に計画取りやめとなった陸上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』について、国民民主党が『配備を再検討する』と政策に掲げていることに対し、市民団体『イージス・アショア配備計画の撤回を求める住民の会』は26日、国民民主党県連に政策の撤回を申し入れた。陸上自衛隊むつみ演習場(萩市、阿武町)への配備計画に反対してきた住民の会の森上雅昭代表ら5人が、県連代表の大内一也県議と県庁内で面談した。党安全保障調査会が22年にまとめた安全保障政策と24年衆院選の政策パンフレットには『中止が決定されたイージス・アショアの配備についても再検討する』と記載されている。住民の会は『どのような経緯と理由で(政策が)決まったのか明らかにする』『萩市で住民説明会を開く』『党の公約から配備の再検討を撤回し謝罪する』の3点を求め、大内代表は『党本部から文書で回答してもらう』と応じた。森上代表は『計画取りやめに大変なエネルギーが費やされた経緯を考えると、あまりに軽々しい。党本部には、同じ計画に連携して反対した秋田県の住民らと連名で申し入れしたい』と話した。」
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2025年5月26日
国民民主党山口県連代表 大内一也 様
イージス・アショア配備計画の撤回を求める住民の会
代表 森上雅昭
国民民主党の『公約』に関する申し入れ
国民民主党が『衆議院選挙2024の公約』で、「中止が決定されたイージス・アショアの配備を再検討する」としている件について、以下申し入れます。
国民民主党安全保障調査会は、2022年12月7日、『国民民主党の安全
保障政策』の中の「イージス・アショアの再検討とミサイル防衛の強化」の項目において、「現在進めている『イージス・システム搭載艦』の有効性を検証するとともに、中止が決定された『イージス・アショア』の配備についても再検討します」と記述しています。
2020年のイージス・アショア配備計画の撤回は、国・防衛省の調査・説明等に対して、住民の水環境・電磁波・ブースター落下・まちづくり等の生活権・生存権をかけた闘いを重視し、専門家(電磁波・物理学・水文学・地盤工学・地質学・憲法学・経済学・軍事学)や、労働組合、議員等との学習会を重ね、防衛省への申し入れ・地域懇談会・講演会・パレード・フィールドワークを重ね、個別訪問署名では「撤回賛成」が多数を示すなどの行動、秋田と山口の連帯した闘いによるものでした。
しかも重要なのは、2021年12月、国・防衛省が山口県・萩市・阿武町を訪れ、議会や地域住民への説明会を開催し、イージス・アショア配備計画の停止について説明・謝罪するという、民主主義の手続きを行って終結させたということです。
① 国民民主党は、いかなる経緯と理由で、「中止が決定されたイージス・アショアの配備を再検討する」としたのか、説明を求めます。
② 国民民主党による、萩市での住民説明会を求めます。
③ 国民民主党の『公約』から、「中止が決定されたイージス・アショアの配備を再検討する」ことを撤回し、謝罪するよう求めます。
以上について、文書での回答を求めます。
以上
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イージス・アショア配備計画の撤回を求める住民の会は、2020年にイージス・アショアの配備が撤回された後も、イージス・システム搭載艦の萩沖配備撤回などを求めて、防衛省との交渉を続けています。
私は、可能な限り、防衛省との交渉に参加してきました。
住民の会の申し入れは当然の内容だと思います。国民民主党は誠意を持って回答すべきです。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
5月29日、NHK山口放送局は、米軍岩国基地に新たに配備されたF35B部隊に対する福田岩国市長の認識について次のように報じました。
「アメリカ軍岩国基地にステルス戦闘機の部隊が新たに配備されたことについて、岩国市の福田市長は『国からの情報提供のあり方は遺憾だ』と苦言を呈しました。アメリカ軍は今月10日、ステルス戦闘機F35Bの飛行部隊を新たに岩国基地に配備したことを発表し、海兵隊の戦闘機部隊は3から4に増えたとしています。今回の配備について岩国市には事前の説明はなく、市が国に照会をかけてから18日後の27日になって、中国四国防衛局から説明が行われました。これについて、29日の岩国市の定例記者会見で福田市長は『最初の照会から18日がたっても市には多くの情報の開示がなかった。情報のありかた含めて非常に遺憾だ』と苦言を呈しました。市に対して国は、アメリカ軍の一時的な運用で、基地で運用する機体の数に大きな変化はないと説明したといいますが、新たな部隊の配備がいつまで続くかなどの具体的な説明はなく、福田市長は『回答内容が求めていたものとほど遠い』としています。その上で、県と連携して追加の情報照会を近日中に行いたいとしました。」
5月27日に山口県が国に照会していた事項についても、以下の回答が寄せられました。
・・・
〇今般、米側より、次の情報が得られた。
・現在、岩国飛行場に展開されている第211戦闘攻撃中隊(VMFA-211)と第214戦闘攻撃中隊(VMFA-214)については、米海兵隊航空部隊によるローテーション展開(UDP)の一環である。
・今回の2部隊でのUDPは、あくまで一時的な運用であり、運用機数の大きな変更ではなく、プログラム自体に変更はない。
・岩国飛行場におけるUDPについて、その役割や期間等の詳細について明らかにすることはできないが、日米同盟の抑止力・対処力を強化する目的として行われるものである。
〇当局としては、運用機数の大きな変更もなく、あくまで一時的な措置であることから、今回のUDPにより地域への影響が生じるとは認識していない。
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この回答は、明確に、岩国基地に、常備部隊2部隊、ローテーション部隊1部隊に加え、新たなローテーション部隊が展開していることを認めるものです。
岩国市が、岩国基地に、新たな部隊が飛来していることを現認したのは、4月30日です。10機のローテーション部隊が岩国基地に展開して少なくとも1カ月を越えました。
これは、国の回答にある「一時的な運用であり、運用機数の大きな変更ではない」との概念を超えるものです。
岩国市の「基地政策の基本姿勢」に「基地機能が変更される際には、その影響により、周辺環境が現状より悪化することとなる場合及び十分な安心・安全対策が講じられると認められない場合には、これを容認できないという立場を基本姿勢として堅持する」とあります。
まさに、今は、重大な基地機能が変更される際です。
岩国市と県は、周辺環境が悪化することになるかどうか判断し、国や米側に「容認できない」との立場を鮮明にすべき時です。
NHKの記事に岩国市長が、「県と連携して追加の情報照会を近日中に行いたい」と述べているとあります。
私は、先週、県と岩国市が国に新たな照会を行った場合、その文書を頂きたいと県の担当部局に申し出ていますが、今の時点までに、私の手に届いていません。
週が変わりました。今週早々に、県と岩国市は、基本姿勢に立って、毅然とした態度で、国に、F35Bの新たなローテーション部隊に対する照会を行うべきです。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
上関原発を巡り、中国電力が、「上関原発を建てさせない祝島島民の会」を訴えている裁判の第13回口頭弁論について、5月31日、しんぶん赤旗日刊紙は次のように報じました。
「山口県上関町に上関原発の建設を狙う中国電力が地元住民団体『上関原発を建てさせない祝島島民の会』に海上ボーリング調査を止めないよう求めた裁判の第13回口頭弁論が29日、山口地裁岩国支部で開かれました。中国電力がこの十数年間、新規制基準を踏まえて上関原発の設置許可申請の内容への補正などをしていないため、原子力規制委員会の審査会が開催されていないことが明らかになりました。審査会が十数年の長期にわたり開催されていない理由などに関し、島民の会側の申し立てを受けた裁判所が原子力規制委に審査内容の調査を依頼していました。報告集会で中村覚弁護団長は『中国電力はこの十数年、何もしていなかった。調査の正当性が失われ、権利の乱用がより鮮明に裏付けられた』と強調し、『中国電力が原発計画を進めていないことを示すもので、海上ボーリング調査の目的が、中間貯蔵施設建設に向けた活断層調査である可能性がより高くなった』と指摘しました。回答を受けた岩国支部(小川暁裁判長)はこの日の口頭弁論で、中国電に対し、海上ボーリング調査の手法、場所、上関原発における必要性、埋め立て工事前に実施する必要性を明らかにするよう求めました。」
私は、昨日までに、原子力規制委員会が山口地方裁判所岩国支部の調査委託書への回答文を入手しました。
回答内容は、以下の通りです。
・・・
(質問1)
原子力規制委員会において、本件設置申請の審査会合が開催された事実はあるか。開催された事実がある場合は、その年月日及び審査内容。また開催された事実がない場合は、その理由は。
(回答)
上関原子力発電所に係る設置許可の申請(本件設置許可申請。平成21年12月18日付け)は、新規制基準の施行前(新規制基準の施行は生成25年7月8日)になされたものであり、新規制基準に係る規制要求を前提とするものではないことから、原子力規制委員会は、本件設置許可申請につき、新規制基準を踏まえた内容となるよう補正等がなされた後に具体的な審査を開始する取扱いとしているところ、現時点までに、申請者から所要の補正等はなされていないことから、本件設置許可申請に係る審査会合は開始されていない。
(質問2)
今後原子力規制委員会に置いて、本件設置申請の審査会が開催される予定、見通しはあるか。
(回答)
前記(1)のとおり、本件設置許可申請に係る審査会合の開催は、申請者より、当該申請が新規制基準を踏まえた内容となるよう補正等がなされることが前提となるところ、原子力規制委員会は、その時期等について承知しておらず、審査会合の予定ないし見通しについて述べることはできない。
(質問3)
現在制定されている新規制基準のもとで、既存原子力発電所の再稼働ではなく原子力発電所の新設である上関原子力発電所について、新規制基準への適合性の審査は可能なのか。
(回答)
本件設置許可申請に対し、原子力規制委員会が新規制基準への適合性審査を実施することは可能である。
・・・
原子力規制委員会が、中国電が行っている上関原発について「所要の補正等はなされていないことから、本件設置許可申請に係る審査会合は開催されていない。」と回答したことは重要です。
中国電は、毎年度末に、山口県に、「埋め立てに関する工事の進ちょく状況」を報告しています。2024年3月末の工事進ちょく率は0%でした。
私は、現在、2025年3月末の進ちょく状況報告書について情報公開請求を行っています。現在、延長通知書が届き、6月16日までには公開される見通しです。
村岡知事が、「発電所本体の着工時期の見通しがつくまでは、埋め立て工事を施行しないこと」と中国電に要請していることも中国電が、埋立工事を進められない背景にあることは明らかです。
記事にあるように、中国電力は、上関原発について、新規制基準に基づく、原子力規制委員会との対応を何ら行っていないにも拘わらず、海上ボーリング調査を行うのはなぜでしょうか。
記事の中で、中村弁護士が発言しているように、「中間貯蔵施設建設のため」であるなら重大です。
弁護団は、着工のめどが立たない中で海の埋め立て権を基に中電が調査の正当性を主張するのは「権利の乱用」だと指摘してきました。今回の原子力規制委員会の回答は、中国電力の権利の乱用を裏付けるものとなりました。
一方、原子力規制委員会が、原子力発電所の新設である上関原発について、「新規制基準への適合性審査を実施することは可能」としてことも重要です。
昨年12月17日の中国新聞は、資源エネルギー庁の担当者が、同じ電力事業者の別の原発敷地内での建て替えを認めるが、建替え先に「上関は該当しない」と発言したと報じました。
この背景には、新しいエネルギー基本計画に、「廃炉を決定した原子力発電所を有する事業者の原子力サイト内での次世代革新炉への建替えを対象」とあります。その後に「その他の開発などは、各地域における再稼働状況や理解確保等の進展等、今後の状況を踏まえて検討していく」とあります。
上関は、引用した前段部分の対象ではないが、後段部分に関して、検討していくこともあり得るということなのでしょうか。
原子力を最大限活用とした新しいエネルギー基本計画の問題点は、引き続き、大いに指摘していくべきだと再認識しました。
その上においても、中国電が、上関原発に関し、新規制基準が施行されて以降、12年間、審査会合が開催されていないことを原子力規制委員会が明らかにしたことの重要性は繰り返し指摘しておきたいと思います。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。