今朝のしんぶん赤旗日刊紙に、ジャーナリストの河野慎二さんの「自民全敗 取材もっと」と題する次の小論が掲載されています。
「自民党の裏金事件など『政治とカネ』が問われた衆議院3補欠選挙の投開票が4月28日に行われた。東京15区では市民と野党の共同候補が、島根1区と長崎3区では共産党が自主支援した立憲民主党の候補が勝利し、岸田政権は全敗した。岸田首相には特に『保守王国』島根で2万5千票もの大差で敗れた衝撃は深刻だ。岸田首相はこの補選を足がかりに会期末解散をもくろんでいたとされるが、有権者の不信任にも等しい惨敗で首相の求心力は急降下。永田町では『6月解散は消えた』の声が広がる。連休明けには、国会で政治資金規正法改正の審議が始まる。争点の一つは『会計責任者が法律違反で処罰を受けた場合、議員本人にも当選無効等を生じさせる』連座制を導入する改正だ。野党各党と与党の公明党も賛成しているが、自民党は議員本人が作成する『確認書』を提出し『確認が不十分な場合には公民権停止にする』という『連座制に近いもの』(鈴木馨祐自民党作業チーム座長)を示しているだけだ。もう一つは、企業・団体の政治献金禁止の問題だ。これについては、野党各党は『禁止すべき』としているが、自民党は一切言及していない。3補選投開票5日前の24日、テレビ朝日『羽鳥モーニングショー』がこの問題を特集した。番組は政治資金規正法改正に関する争点を図示し、問題点を検証する。ジャーナリストの浜田敬子氏は『自民党は企業団体から献金をもらって企業優遇措置をしている。そういう関係を断ち切るつもりはないから、自民党に改革を任せるのは無理だ』と述べ『岸田さんには(衆議院を)解散して自民党案と野党案のどっちを支持するか。国民の信を問うてほしい』とコメントした。玉川徹コメンテーターは『連座制の問題も重要だが、企業・団体の献金禁止は、一番源流のところにある問題だ。それができるのか、どうか。メディアも国民も重視すべきだ』と強調した。今回の補選では島根1区と東京15区双方で70%を超える有権者が『裏金事件を意識した』と答えている。テレビは有権者の怒りを肝に銘じ、政治とカネの取材を強化すべきだ。」
日本共産党書記局長の小池晃参議院議員が、4月24日の参院予算委員会で、企業献金問題を取り上げました。
2022年度の法人税減税は約2兆3000億円で、最大のものが「研究開発減税」(総額763億円)。この「研究開発減税」は、資本金100億円超の企業が65%を占める、文字通りの大企業減税です。
研究開発減税の22年度分の減税額トップ企業は、トヨタ自動車で、802億円に及びます。
トヨタ自動車は、13年から22年に、自民党に6億1520万円の献金を行っていますが、同時期のトヨタの研究開発減税総額は8700億円です。
小池参院議員は「研究開発減税は企業献金の見返りだったのではないか。1400倍超のキックバック(還元)だ」「献金は自民党の懐に入るが、減税は国民の血税から出ている。きわめて悪質だ」と批判しました。
小池議員から企業・団体献金の禁止を求められた岸田首相は「公共性上の必要性があるかを見極める必要がある」などと答え、企業・団体献金禁止に踏み出す意思は皆無との姿勢を示しました。
冒頭の記事の玉川コメンテーターの言葉通り、政治資金規正法改正の議論で、「連座制の問題も重要だが、企業・団体献金禁止は、一番源流のところにある問題」だと私も感じます。
連休明けから国会では政治資金規正法改正の議論が再開されます。この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
今日付のしんぶん赤旗日刊紙は、「3補選の野党完勝」と題して「主張」で次のように報じました。
「野党候補の完勝となった28日投開票の衆院3補欠選挙(東京15区、島根1区、長崎3区)は、岸田政権とその補完勢力への明確な不信任となりました。末期的状況の岸田政権はさらに追い詰められています。『自民党政治を一刻も早く終わらせよう』-補選で市民と野党の共闘再構築への一歩が築かれました。派閥の裏金事件の逆風にさらされた自民党は東京15区と長崎3区では候補者を立てられない不戦敗を強いられました。唯一擁立した島根1区で1996年の小選挙区制導入以来、自民党の野党時代にも確保してきた議席を失いました。東京15区では市民と野党の共同候補で立憲民主党の酒井なつみ氏が日本維新の会や都民ファーストの候補に大差で勝利しました。日本共産党が自主支援した島根1区は立民前職の亀井亜紀子氏が一騎打ちで自民候補に約2万5千票の大差、長崎3区では社民党推薦で日本共産党も自主支援した立民前職の山田勝彦氏が同じく一騎打ちで維新の候補に約2万8千票の大差でそれぞれ圧勝しました。対決構図は異なっても野党候補は共通して『金権腐敗政治の一掃』『大軍拡反対、暮らしを守ろう』など岸田政権と対決姿勢を明確にし支持を広げました。東京15区では酒井氏と江東市民連合が『金で動く自民党の古い政治ときっぱり決別し、国民の声で動く政治を。企業・団体献金は禁止』など8項目での確認書を交わし共闘の行動を加速させました。岸田文雄首相は補選について『私の政治に対する姿勢も評価の対象に入っている』(24日の参院予算委員会)と述べました。そうであるなら、補選結果が自民党政治に明確な不信任を突きつけた重みを知るべきです。日本共産党は自民党政治退場の流れをつくるため『例外的な対応』として3補選での党公認候補擁立の取り下げ、市民と野党のき共闘再構築に向けて奮闘しました。裏金問題を暴き、岸田政権の大軍拡や経済無策を追求する論戦を展開し、『自民党ノー』の流れをつくる貢献を果たしました。そのうえで勝ち取った野党完勝にメディアは『立民3勝に共産寄与』(『日経』30日付)と指摘しています。東京15区で共闘した野党議員も『これは(立憲民主党の勝利)ではありません。(市民と野党の共闘)で得た勝利です』(立民・山岸一生衆議院議員のX)と発言しています。腐敗政治、経済無策、『戦争国家づくり』、人権後進国ーどの分野でも、岸田政権に一刻たりとも日本のかじ取りを任せられないことを補選結果はあらためて示しました。日本共産党は今後の国会で『岸田政権の政治姿勢を追求し、解散・総選挙に追い込んでいく』(小池晃書記局長)構えです。自民党政治を終わらせ希望ある政治をつくるためにあらゆる分野で自民党を追い詰めていく国民的大運動を大きく発展させましょう。日本共産党はその運動の発展に奮闘します。対等・平等、相互尊重に基づく市民と野党の共闘の再構築に向けて力を尽くし、総選挙での党躍進に全力をあげましょう。」
私は、この連休、「3補選と政治資金規正法改正」をテーマにある雑誌社からレポートを求められています。
今日のしんぶん赤旗の主張を参考に、しっかり勉強してレポートを書き上げたいと思います。
いずれにしても、3補選の野党完勝は、自民党政治の終わりを感じさせ、野党共闘の前進を期待させる結果だったと思います。皆さんのご意見をお聞かせください。
今日のしんぶん赤旗日刊紙は、日本共産党の中国ブロックが「希望とどける真ん中世代春風キャラバン」に取り組んだと次のように報じました。
「日本共産党の中国ブロック『希望とどける真ん中世代春風キャラバン』が28日から2日間、中国5県最後の山口県でありました。28日は、大平よしのぶ衆院中国比例候補、藤本一規山口県議、時田洋輔宇部市議の真ん中世代も参加して、宇部市の公園でシールアンケートをしました。子どもと来園した人たちを中心に約70人と対話。『子どもの遊び場がほしい』や『仕事と家庭の両立が心配』、『子育てにどれくらいお金がかかるのか不安』など、切実な悩みが寄せられました。」
記事の通り、私もこのキャラバンに参加し、40組以上の親子と対話しました。
宇部市内の公園で行った、日本共産党中国ブロック「希望とどける真ん中世代キャラバン」
左から二人目が私、その隣が大平衆院候補
後半には、「お金のことが心配」の欄が、シールでいっぱいになる状況でした。
日本共産党中国ブロック事務所は、キャラバンで寄せられた声や独自のアンケート活動などで寄せられた声を要望書としてまとめ、近く、国の機関に提出し懇談を行うことを計画しています。
子育て世代の皆さんの声を引き続きお聞かせください。
4月26日付宇部日報は、宇部市が奨学金返済を支援する制度をスタートさせると次のように報じました。
「宇部市は、若者の移住・定住促進と市内中小企業などの人材確保を支援するため、大学などに進学し在学中に奨学金の貸与を受けた人を対象とした『奨学金返還支援制度』を創設する。今年度に制度の周知を図り、来年度から交付を始める。支援対象となるのは、今年4月以降に市内に就業し、▽毎年10月1日を基準日として市内に居住し、正規雇用で市内中小企業に就業、または1次産業に従事、市内で起業▽10年以上継続して市内に定住する意思を持つ▽申請初年度の4月1日時点で満30歳未満▽日本学生機構の第1種または第2種奨学金の貸与を受けていたーなどの要件を満たす人。補助期間は支援開始から最大10年。毎年10月1日の基準日時点で市内在住と市内就業の継続が条件となる。補助額は最大100万円で、実返済額または限度額のいずれか低い方の額を補助。1~5年目までは年間最大12万円、6~9年目は年間最大8万4000円 10年目は最大6万4000円を補助する。市によると、他の導入自治体の先行事例から、年間30人程度の支援を想定している。篠崎圭二市長は『昨今の社会状況の変化に伴い、奨学金の返済に困っている若者がたくさんいる上、市内の中小企業は人材確保が困難な状況が続いているので、制度を構築した。市内の企業に活用してもらえれば』と述べた。」
県がまとめた、「県内の奨学金制度・奨学金返還補助制度等のご案内」によると、県内では、下関市、萩市、周南市、長門市で、奨学金返還補助制度が実施されており、これに宇部市が加わったことになります。
また、県制度として、昨年度から大学等へ進学し、県内へ就職する大学生等に対し、その奨学金の返還を支援する「やまぐち若者育成・県内定着促進事業奨学金返還補助制度」が実施されています。
年最大20万円、5年間で100万円です。詳しくは、山口県総合企画部政策企画課のホームページをご覧ください。
また、県制度として、「高度産業人材確保事業奨学金返還補助制度」があります。理系の大学院に在籍する者や、薬学部に在籍する学生が対象です。詳しくは、山口県産業労働部産業人材課ホームページをご覧ください。
また、県制度として「地域医療を担う若手薬剤師確保・育成奨学金返還補助制度」があります。薬学生及び既卒者が、県内の対象施設に薬剤師として就職した場合などが対象です。詳しくは、山口県健康福祉部薬務課ホームページをご覧ください。
また、県制度として「山口県県外看護学生Uターン応募事業奨学金返還補助制度」があります。県外の看護学生及び既卒者(40歳未満)が、県内の対象施設において就職後5年間継続して看護師等の業務に従事した場などが対象となります。詳しくは、山口県健康福祉部医療政策課ホームページをご覧ください。
さらに、県制度として奨学金返済支援制度を新たに創設した企業に対し、支援金を支給する県制度があります。対象は、奨学金返済支援制度を創設した県内中小企業等が対象で、支援額は年間60万円です。
4月30日を期限に、「令和6年度山口県奨学金返還支援制度創設奨励金支給業務」に関する委託業者選定のための参加表明書の提出が行われています。5月中旬に委託者が決定され、業務委託が開始される見込みです。この制度に関する詳しい問い合わせは、山口県産業労働部労働政策課にお願いいたします。
奨学金返済に困窮している学生やご家族、また、県内中小企業の経営者の皆さん、以上、紹介した制度をご活用いただければと思います。
そもそも、返還の必要のない奨学金にすべきです。国にそのことを働きかけるとともに、県制度がさらに拡充されるよう引き続き、働きかけていきたいと思います。
奨学金返還支援制度に関する皆さんのご意見をお聞かせください。
4月28日・5月5日合併号のしんぶん赤旗日曜版は、自然災害を機にしたローカル鉄道廃止が広がるなか、元旦の能登半島地震で大きな被害を受けた「のと鉄道」が4月初め、全線で運転を再開したと報じました。
一方、災害を理由に地方ローカル線の廃線や運休が続いている状況について、次のように報じました。
「北海道から九州まで地方を走る鉄道路線は、台風、豪雨、地震・津波等の被災を機に、一部区間が廃線されたり、長期にわたり不通となったりする事例が相次いでいます。現在も7路線(区間)が運休したままです。2016年の台風で東鹿越~新得間が不通となった北海道の根室線は今年3月、運転再開することなく富良野~新得間が廃線となりました。15年に高波被害を受けたJR飛鷹線も21年、一部区間が廃止されました。米坂線、津軽線、美祢線など、復旧の見通しが立っていない路線も数多くあります。一方、11年の豪雨災害に見舞われたJR只見線の一部区間は一昨年、11年ぶりに復旧し、全線復旧。20年の豪雨災害でほとんどの区間が不通となっているJR九州が、八代~人吉間の再開に向け合意しました。観光路線でもある地域の足が守られます。一方、上下分離方式(列車運行=上とインフラ=下の管理主体を分離)で下の部分を沿線自治体が持つことになり、地元に負担がのしかかります。」
この記事で、7路線が運休したままとされている路線の中に、23年豪雨災害で運休しているJR美祢線、JR山陰線が含まれています。美祢線は「全線復旧の見通し立たず」とされていますが、JR山陰線は「不通区間復旧へ」とされています。
安藤陽埼玉大学名誉教授は次のコメントを寄せています。
「のと鉄道は上下分離方式で、インフラ部分(下)はJR西日本の保有です。復旧はJR次第でした。のと鉄道とつながっているJR七尾線は和倉温泉まで通じ、輸送密度はそれほど低くなく、始発は新幹線の通る金沢です。復旧させる意思が動いたと思います。ローカル線は1980年の特定交通地方線廃線のときにばっさりと切られました。国鉄民営化のときは一応、維持するといわれましたが、なぜか少しずつ廃止されていったのです。自然災害で路盤が流出したところはだいたい復旧されず、そのままになっています。JRはいろいろと理由をつけて、言い方は悪いですが、『これ幸い』とばかりに復旧させない。やり方として、ちょっとひどい。被災した路線は本来、JR東日本、西日本など事業者が自分の責任で復旧すべきです。なぜしないのか。お金をかけて復旧しても、それに見合うだけのものが戻ってこないから。『採算ベースで』ということです。鉄道をどうするか、これはやはり国の政策です。そのなかで地元が関与するならば、道府県が一定のイニシアチブをとる。具体的にどう利用していくのかは市町村レベルで協議をして運営する。そういうあり方が必要です。そこに財政問題が加わるので、自治体だけに負担させるのは無理だという話になります。只見線は復旧して評価されていますが、JRに運営を任せると依然として列車本数が少ない。第三セクター化は地方への財政負担はありますが、沿線住民の要望にこたえ可能な限り本数を増やすことが可能となります。JRに任せっきりにすればサービスが変わらない。『最低、何本走らせれば地元が利用しやすくなるのか』の協議が必要です。鉄道を残すのであれば利便性向上の方策をみんなで考えることが必要です。日本の場合は人口も多く、世界的に珍しく民間企業が鉄道を運営しています。欧州あたりではそれは無理だということで公費を出しているわけです。日本では道路への投資額の5%でも鉄道に回せば、必要な基盤整備ができます。国土を、幅広く人が住めるような形で配置していく必要があるのではないでしょうか。今、まがりなりにも鉄道ネットワークがあるわけですから、それを使わない手はない。幹線部分だけでなくい、残っているローカル線も含め積極的に使う。収支の問題ではなく社会資本、インフラとして考えていくことです。今ある鉄道を維持する場面で、『廃止されたローカル線を復活させてください』となかなか言いにくい。しかし能登半島の復興ということならば、穴水から輪島まで廃線跡地が残っていれば、そこを復活させることは選択肢かもしれません。鉄道は開発の役割も果たしています。能登の場合、開発というより復興の一つの起爆剤として位置づければ、外国人もかなり来ると思うので、事業者にとっても決してマイナスではないと考えます。」
私は、昨年6月30日からの大雨で崩壊した2カ所のJR美祢線の橋脚被害を7月14日に、大平よしのぶ衆議院議員と三好むつこ美祢市議とともに視察をして、9月県議会で、JR美祢線の早期復旧を求めました。
JR美祢線被災地を視察(2023年7月14日)
左から三好美祢市議、私、大平よしのぶ比例候補
京牟礼観光スポーツ文化部長が、美祢線利用促進協議会に「新たな検討チーム」を作るとこたえ、昨年10月13日に、JR美祢線利用促進協議会に、作業部会が設置されました。
4月23日には、JR西日本や国、県、市町の関係者が集まり、ローカル線活性化連絡会議が県庁で開催されました。
私は、安藤埼玉大学名誉教授が指摘するように、「被災した路線は本来JR東日本、西日本など事業者が自分の責任で復旧」すべきと考えます。
また、安藤教授が指摘するように、鉄道をどうするかは「国の政策」で行うべきで「自治体だけに負担させるのは無理」です。
JR西日本と国がしっかり役割を発揮し、JR美祢線が地元の県と市町の願い通り、早期全面復旧されるよう、私も力を尽くしていきたいと思います。
JR路線に関する皆さんのご意見をお聞かせください。
今日の毎日新聞の社説は、「『国スポ』の存廃議論」が取り上げられ次のように報じています。
「国を挙げて国民の体力向上を図るという歴史的役割は、果たし終えたのではないだろうか。国民体育大会から名称変更した『国民スポーツ大会(国スポ)』の存廃が議論を呼んでいる。全国知事会の会長を務める宮城県の村井嘉浩知事が『廃止も一つの考え方ではないか。非常に財政的な負担は大きい』などと述べたのが発端だ。開催に伴う巨額の経費や運営のための人手不足は長年の課題となってきた。知事の間からは見直しを求める意見が相次ぐ。負担軽減策として、複数県にまたがる開催や隔年実施も案も挙がっている。国体は戦後間もない1946年に始まり、『国民の健康増進や体力向上、地方のスポーツ振興や文化の発展』を旗印にしてきた。日本スポーツ協会、文部科学省、開催都道府県の3者共催で行われ、開催後は全国障碍者スポーツ大会も開かれる。47都道府県の持ち回り開催によって、全国各地にスポーツ施設が整備され、地方にも協議組織が巡らされた意味は大きい。しかし、2035年から開催地が3巡目に入るのを前に、大会のあり方を問う声が強まっている。人口減少で地方自治体の財政が厳しさを増し、公共施設整備などの負担は重くなるばかりだ。競技の面でも、いびつさを指摘する意見がある。開催地は、都道府県対抗で総合優勝するのが当然との重圧を受け、県外からの有力選手集めに追われる。だが、必ずしも地元のスポーツの底上げにつながっているとは限らない。日本スポ協は全国知事会とも協議し、検討部会を設けて大会の新たな方向性を示す方針だ。スポーツに対する国民の意識は変化している。行政や学校が主催する従来のスタイルだけでなく、個人が自発的に「取り組む活動が広がっている。今年から大会名が教育的な意味を含む『体育』ではなく、『スポーツ』に変更されたのも、その表れといえる。持続可能な大会とするには、時代に合った改革が欠かせない。成長に陰りが見え、価値観が多様化する中、巨大イベントを開催する意義を改めて問い直さなければならない。」
25日、NHK山口放送局は、村岡知事が、定例記者会見で、国スポについて次のようにコメントしたと報じました。
「国体=国民体育大会から名称を変えた国民スポーツ大会の開催をめぐり、一部の知事から見直しの声が出ていることについて、村岡知事は、財政的な負担は大きいとしたうえで、『どうすれば持続的に開催できるのかを考えていく時期だ』と述べ、見直しの議論が必要との認識を示しました。」
山口県では、1963年に一巡目国体が、2011年に二巡目国体が、開催されてきました。
2011年に開催された山口国体を巡っては、2011年2月24日、日本体育協会は、臨時国体委員会を開き、2010年に開催された千葉国体に出場した山口県選手の内35名に参加資格違反があったとする第三者委員会の答申を承認しました。その結果、千葉国体での山口県の順位は総合で13位から16位に下がりました。
第三者委員会の答申書は、「毎年、国体開催都道府県が総合優勝し続けているという慣行の問題点と是正に関する提言」を行っています。
提言の「終わりに」こうあります。
「この問題の背景には、国体が都道府県対抗形式で、実施され、開催都道府県の総合優勝が当然視される中、総合優勝に向けての開催地の地方自治体及び体協関係者に対する有形無形の強い圧力の存在があることは明らか」「本委員会は、今回のような問題の根本的な再発防止のために、このような規格に即して、自己点検と組織運営上の改善を今後進めていかれるよう、日体協に強く要望するものである」
2011年11月県議会で、私は、国体改革に向けて、都道府県対抗方法を見直すよう国や日本体育協会に提言すべきと質し、当時の二井知事は「これまで、日本体育協会に都道府県対抗方式から競技別対抗方式に変更されるよう発言したことがある。今後も折りを見て発言したい」と答えました。
その後、国体の特典制度は一部変更されましたが、都道府県対抗方式は、基本的に維持されたままとなっています。この点の改革が急がれます。
2012年に行われた決算特別委員会の中で、私が質疑を行いました。
その中で、山口県が体育協会にトップアスリート育成事業費を補助していることが分かりました。
これらの財源を使って、国体選手が県体育協会の職員として採用されていることも分かりました。
2010年に33人、2011年に78人、2014年に13人が採用されていることが分かりました。
2011年に開催された二巡目の山口国体には、施設整備や運営経費や競技力向上対策費などで300億円以上の巨費が投じられたことが明らかになっています。
国体開催に向けて、県内では、維新公園の陸上競技場やきらら博記念公園のプールなどが整備されました。
そして、県財政を財源に、国体選手を体育協会の職員として採用するなどを行い、国体選手として参加資格のない選手を大会に35人出場させていたことが、日本体育協会の第三者委員会の調査で明らかになりました。
この負の歴史を経て開催した二巡目の山口国体を教訓に、今年から「国スポ」に改められる「国民スポーツ大会」の抜本的見直しが必要です。
村岡知事が言う「持続的に開催するのはどうしたらいいのか」のレベルではなく、村井宮城県知事の発言のように「存廃」を含めた抜本的な見直し議論が必要だと感じます。
2011年開催の二巡目山口国体の前後に、県議会で大いに問題点を指摘してきた議員として、「国スポ」存廃議論を山口県の中で大いに行っていきたいと思います。
「国スポ」存廃問題に対する皆さんのご意見をお聞かせください。