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「公共」の大切さ再認識

 今日のしんぶん赤旗日刊紙に、私が敬愛する自治体問題研究所理事長である京都橘大学教授の岡田知弘さんがインタビューで登場しています。

 岡田さんは、コロナ後の地方自治のあり方について「行財政改革」問題から紐解いています。

 「国は国境措置とともに本来、地方自治体の施策を行財政面から支える役割をもっています。ところが、市町村合併や『行財政改革』の結果、自治体はその役割を十分に果たせない状況です。これも対応が遅れた一因です。コロナ禍に際して、安倍政権は、緊急事態宣言発動にこだわり、『封鎖と隔離』政策をとりました。しかし、これでは対応できないことがはっきりしました。対照的なのは、韓国です。新型コロナ対応では詳細な感染マップをつくり、徹底した情報公開と市民参加で、人命を救うことを最優先しました。ドライブスルーでの大規模なPCR検査も早期に行いました。新自由主義の『元祖』の英国で、新型コロナに感染したジョンソン首相が退院後に『社会は存在する』と発言したことが印象的でした。彼の師匠ともいえるサッチャー首相が『社会は存在しない』と市場原理に任せ公的医療サービスなどを切り捨ててきたからです。コロナ禍のなかで、『公共』の大事さ、役割が国際的に再認識されたと思います。日本でも必要なのは『新しい生活様式』ではなく『新しい政治・経済・社会のあり方』です。何よりも住民の感染防止と命を守るために公共の責任を全うすることです。行き過ぎた行財政改革を根本的に見直し、公立・公的病院の再編計画を即時に中止し、地域の公衆衛生・医療体制を整えなければなりません。」

 岡田さんが触れたイギリスの例は、志位委員長が行った記念講演にも出てきます。新自由主義の元祖サッチャー首相は当時このように述べていたのです。

 志位委員長は、英国・ジョンソン首相が「コロナウイルスは『社会というものがまさに存在することを証明した」「われわれの国民保健サービスを守れ」と発言したことをサッチャー元首相の発言と比較してこう述べています。

 「新自由主義『小さな政府』と自己責任押し付けの元祖-同じ保守党党首だったサッチャー元首相の『社会なんていうものは存在しない』『自分の面倒は自分で見てくいれなければ困るのです』と言い放った言明を、真っ向から否定したのであります。コロナ危機を経験して、新自由主義の居場所は、もはや世界のどこにも残されていない-このことを、ジョンソン首相の発言は、象徴的に語っているのではないでしょうか。」

 岡田さんが触れた「行き過ぎた行財政改革を根本的に見直」す作業は、山口県で実際に行われています。

 今年6月11日に行われた山口県行財政改革統括本部会議で、「新型コロナウイルスに係る今後のさらなる感染拡大の防止や、県内経済のV字回復のための反転攻勢等に人的資源・財源を集中投資するため、現在進めている行財政構造改革の取り組みを一時凍結する」ことを確認しました。

 具体的には、本部会議は、「保健所の体制強化など、新型コロナウイルス対策に最優先の職員配置を行う」としました。

 この点で、私は、6月県議会で職員の増員計画を質しました。

 総務部長は「職員の増員等につきましては、感染症対策にあたる現場の状況等を踏まえて、健康増進課及び保健所等において、業務継続に必要となる人員配置や応援派遣を行っており、引き続き、適切に対応していく」と答えました。

 本部会議は、公の施設の見直しについて「『現行の見直しの方向性』に基づいた市町との移管等に関する協議は中止する』としました。

 私は、この点を6月県議会で質し、総務部長は、市町に譲渡及び廃止を検討していた県有施設について「来年度も指定管理を継続する」と答えました。

 コロナ禍の中で、山口県で「公共」の大切さが再認識されています。

 県内で、更に、「公共」の流れを加速させ、岡田さんが指摘する「地域の公衆衛生・医療体制を整える」山口県を実現していきたいと思います。

 岡田さんの主張は、いつも、私に進むべき道を指示してくれるものです。

 これからも岡田先生からしっかり学んで、県政の改革に生かしていきたいと思います。

 

映画「ハリエット」

 先日、映画「ハリエット」を観ました。

 映画のパンフレットからイントロダクションを引用します。

 「アフリカ系アメリカ人として、史上初めて新しい米ドル紙幣に肖像が採用され、アメリカでは誰もが知る、実在の奴隷解放家、ハリエット・ダブマンの激動の人生を描いた話題の『ハリエット』がいよいよ日本に上陸した。奴隷として生まれた女性が、たった一人で自由を目指して逃亡し、家族や仲間を助けたい-心から地下組織の一員として活躍するようになる。そして、彼女はいつしか奴隷制度そのものを撤廃するために命をかけ、南北戦争では黒人兵士を率いて戦う『英雄』になっていた。」

 映画のパンフレットの中で、映画ジャーナリストの猿渡由紀さんのこの映画の数奇性についての論証は興味深いものです。

 「ハリエット・タブマンは普通の人ではない。彼女は、尋常ならぬ正義感と勇気、強い精神力と他人への労りをもった、真のヒーローなのである。彼女の話は小説やオペラなどで語られてきたし、アメリカのいくつかの街には、彼女の銅像もある。実現していないが、近年では、20ドル札に彼女の肖像を使うという案も出た。だが、彼女の映画が作られたのはこの『ハリエット』が初めてだ。理由はもちろん、これが黒人の、しかも女性の話だからである。白人男性が牛耳るハリウッドでは、昔から主人公は白人の男で、女性はその恋人役、黒人は出すとしても悪役と決まっていた。恋愛映画などで女性が主役のことはあっても、当然彼女は白人で、しかも若く、美しいのが絶対条件。昔から女性層にアピールするよう映画を宣伝してきた日本と違い、アメリカでは『女性についての映画は儲からない』『女優を出すぐらいならモデル並みのルックスが必須』という、男には都合のいい『常識』が根強く存在してきたのだ。さらに、奴隷の映画である。アメリカの白人は、自分たちに都合の悪いこの部分の歴史について、積極的に語りたがらないもの。(中略)長い年月を経た2019年、彼女の話はこうやって、黒人の女性監督ケイシー・レモンズの手で、正しい形でスクリーンに登場することになった」

 志位和夫委員長は党創立記念講演の中で、6月19日、国連の人権理事会が緊急会合を開き、「警察官の過剰な力の行使やその他の人権侵害から、アフリカ人及びアフリカ系住民の人権と基本的自由を促進し、保護する」とする決議が採択されたことに触れています。

 志位委員長は、この決議が2001年に南アフリカのダーバンで開かれた「人種主義、人種差別、排外主義および関連する不寛容に反対する世界会議」で採択された「ダーバン宣言」の実施をうたっていることに注目します。

 「ダーバン宣言」は、「大西洋越え奴隷取引などの奴隷制度と奴隷取引」を「人類史のすさまじい悲劇」「人道に対する罪」と糾弾するとともに「植民地支配が起きたところはどこであれ、いつであれ、非難され、その再発は防止されなければならない」とされています。

 新型コロナ・パンデミックの最中に、国連の人権理事会が、植民地支配は過去にさかのぼって非難されなければならないと宣言した「ダーバン宣言」の実施を決議したことは重大です。

 私はこのような歴史的背景の中で、映画「ハリエット」がハリウッド映画として堂々と上映され、アカデミー賞にノミネートされたのだと思います。

 圧巻は、ハリエットを演じるシンシア・エリヴォです。

 演技は当然ですが、劇中に歌う彼女の声、そして、エンドロールで流れる「Stand Up」は圧巻の一言でした。

 この辺りを映画のパンフレットの中で映画評論家の渡辺亨さんは次のように書いています。

 「ハリエット役を演じているシンシア・エリヴォは、もともとミュージカルの世界で名を馳せていたスター。しかも彼女のブロードウエィ・デビュー作『カラーパープル』(2015年)は、20世紀初頭の米南部が舞台だけあって、音楽的にはゴスペルやブルースなどに根差している作品だ。シンシアはこの『カラーパープル』でセリー役を演じ、ドニー賞の主演女優賞をはじめ、数々の賞をそうなめにした。『カラーパープル』と『ハリエット』の舞台は異なっているものの、黒人差別が色濃い地域で、奴隷の立ち場に置かれていた女性が自我に目覚め、立ち上がる(Stand Up)過程が描かれている点では共通している。そして、まさにアフリカ・アメリカンの魂(Soul)が込められたシンシアのゴスペル的歌唱が、聴き手の心の奥深いところまで届き、激しく訴えかけてくるといった点でも、そのシンシアが歌う主題歌「Stand Up」は第92回アカデミー賞の優秀歌曲賞にノミネートされた」

 映画を観てサントラ盤がほしいと思った私にとって、稀有な「映画」でした。それほど、彼女の歌唱が私の魂をふるわせました。

 ハリエット・タブマンの生き方を更に学びたいとも思いました。

 様々な意味で、私の人生に大いに刺激を与える映画が「ハリエット」でした。

 是非、皆さんも御覧いただきたいと思います。

 皆さんがご覧になった映画の感想をお聞かせ下さい。

医療・福祉施設、保育所等職員への慰労金・給付金申請受付開始

 医療機関、社会福祉施設等に勤務する医療従事者や職員に対する慰労金について、21日から申請受付が開始しました。

 支給対象は、今年3月3日(本県における感染者第1例目の発生日)~6月30日までの期間に、医療機関、社会福祉施設等で、通算10日以上勤務し、利用者に接する業務に従事した職員(資格や職種、雇用形態による制限なし)です。

 申請受付期間は、今年7月21日(火)から来年2月23日(日)までです。

 申請方法は、原則、現に勤務する医療機関、社会福祉施設等が対象者を特定し、申請を取りまとめ、必要書類を作成の上、山口県国民健康保険団体連合会にオンラインにより提出します。

 7月末までの申請受付分を、8月末までに医療機関、社会福祉施設等へ払い込み医療機関、社会福祉施設等から職員へ支給されます。

 以下、毎月末締めで、翌月末払い込みです。

 県から役割を設定された医療機関の内、新型コロナ患者受入医療機関等は、対象者一人につき20万円給付されます。

 上記以外の医療機関等は、対象者一人につき、10万円給付されます。

 その他の医療機関等は5万円です。

 介護・障害福祉・救護施設等の内、利用者に新型コロナが発生又は濃厚接触者である利用者に対応した施設等は20万円給付されます。

 上記以外の施設等は5万円給付されます。

 私立保育所、児童養護施設等に勤務する保育従業者等に対する給付金について、21日から申請受付が開始しました。

 対象施設で、対象期間内に通算10日以上勤務し、利用者に接する業務に従事した職員(資格や職種、雇用形態による制限なし)に給付されます。

 私立保育所、私立幼保連携型認定こども園、放課後児童クラブの対象期間は、3月2日(学校の臨時休業開始日)から5月24日(県立学校の一斉臨時休業終了日)までです。担当課は県こども政策課(℡083-933-2747)です。

 乳児院、母子生活支援施設、児童養護施設、児童心理治療施設、自立援助ホーム、ファミリーホームは、今年3月3日(本県における感染者第1例目の発生日)から今年6月30日までです。担当課は、県こども家庭課(℡083-933-2731)です。

 支給金額は、一人につき5万円です。

 申請受付期間は、今年7月21日(火)から9月30日(水)までです。

 原則、現に勤務する施設等が対象者を特定し、申請を取りまとめ、必要書類を作成の上、県に提出します。退職者等は、県に直接提出します。

 1週間毎に申請を取りまとめ、3週間後を目途に施設等に払い込み、施設等から職員へ支給します。

 1回目は、8月7日(金)までの申請について、8月28日(金)までに施設等に払い込み予定です。

 申請書類の入手先・問い合わせ先は、山口県こども政策課・こども家庭課のホームページに掲載しています。

 私の所に、複数の相談が寄せられています。

 慰労金や給付金について問い合わせがございましたら、直接、担当部署か、藤本にご一報ください。

米軍岩国基地におけるコロナ感染拡大防止で知事へ申し入れ

 昨日、日本共産党山口県委員会と日本共産党県議団は、村岡知事に対して「米軍基地における新型コロナ感染拡大防止対策の強化を求める申し入れ」を行いました。
 申し入れには、河合県副委員長、木佐木県議、松田衆院山口2区予定候補と私が参加し、執行部は、藤田総務部理事が対応しました。

基地対策室申し入れ

藤田総務部理事に申し入れ(右から二人目が私)

 米軍岩国基地に居住する家族3人が新型コロナウイルスに感染していたことが分かりました。
 申し入れ項目の第一は、「米軍岩国基地及び防衛省に対し、再発防止策の徹底と、虚偽申告した米軍関係者の厳格な処分を求めること」です。
 藤田総務部理事は、「今回の行為は、感染拡大につながる重大なルール違反であり、再発防止の徹底と厳格な処分を行うよう岩国市とともに、防衛省に要請した。基地側からは、守るべき規則を基地内で再徹底すると同時に、虚偽申告を行った兵士は、処罰の対象となりえるとの回答を得ている」と答えました。
 第二は、「今回の事態を許した背景に『人、動物及び植物の検疫に関する合意』A、人の検疫(6)項が関係していないか」です。
 指摘した合意(6)には、「民間の船舶又は航空機により日本国に入国する合衆国軍隊の構成員及び軍属並びにそれら家族が、命令により移動中であるときは、その者の要請により、日本国の検疫当局による許可において優先的な取扱いを受けることができる。」とあります。
 藤田総務部理事は、「ご指摘の合意(6)の解釈について外務省に照会したところ『優先的とは、検疫場所が混雑している場合の対応等であり、検疫への対応を変えるものではない。』との回答が寄せられたことろである。よって、この合意(6)がこの問題の背景にあるとは考えていない。」と答えました。
 第三は、「日米地位協定9条1項により、民間の航空機及び船舶により日本に入国する岩国基地に関係する米軍人及び軍属並びにそれら家族の人数及びPCR検査結果の公表を求める」です。
 藤田総務部理事は、「米軍関係者のPCR検査の結果、陽性の場合は、厚生労働省が公開している。県としては、陰性を含めたPCR検査結果の公表を基地側に求める考えはない。」と答えました。
 第四は、「ローテーション配備等で、岩国基地に移動してくる米軍人及び軍属並びにそれら家族の人数及びPCR検査結果の公表を求める。」です。
 藤田総務部理事は、「最近、ローテーション配備そのものの情報が開示されていない。開示されるよう引き続き、米側に求めたい。米軍の感染者が明らかになれば、岩国基地から県保健所に情報が伝えられている。陰性を含めたPCR検査結果の公表を基地側に求める考えはない」と答えました。
 第五は、「岩国基地内に居住している米軍人及び軍属並びにそれらの家族を対象に海軍横須賀病院において実施したPCR検査件数と、その結果について公表を求める」です。
 藤田総務部理事は「米軍関係者の山口県内で実施したPCR検査結果は、県が公表している検査件数に含まれている。」と答えました。
 第六は「米軍人及び軍属並びにそれら家族が米国から入国する際の検疫については、国内法を適用するよう緊急に改定を求める。」です。
 藤田総務部理事は、「渉外知事会は、検疫などに関する国内法の適用を地位協定に明記する9条の改定を行うよう要請している。」と答えました。
 岩国市在住の松田衆院2区予定候補は、「日本人従業員が希望する場合には、PCR検査が実施できるようしてほしい」と発言しました。
 藤田総務部理事は、「基地を所管する総務部から検査を所管する健康福祉部へ要望の主旨を伝えたい」と答えました。
 松田氏は「基地外居住の実態がここ数年明らかになっていない状況の改善が必要だ」と発言しました。藤田総務部理事は、「県としても公開を求めていきたい。」と発言しました。

 今月末に、日本共産党県委員会として、中国四国防衛局に、同趣旨の申し入れを行う予定です。

 米軍におけるコロナ感染拡大防止に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

反イージス 見えた覚悟

 私は、6月県議会で、イージス・アショア問題に対する花田阿武町長と村岡知事の違いについて次のように指摘しました。

 「6月12日、なんとあの河野大臣のイージス・アショアプロセス停止の見解が出される3日前、私は知事への申し入れに同席したわけですが、極めて違和感を感じたのが、花田阿武町長への評価です。県は、「現在まだ国による説明の途中段階であり、阿武町長の発言はそうした中で、現時点での思いを述べられたものだと考えている」と。阿武町長は、雑誌『世界』の中で、「国防という大義があるのは分かるが、一方で私の大義は阿武町の住民の安全・安心をいかに守るかということです。」ということで、イージス・アショアはいらない。こういう立場を花田町長は貫かれました。私は、振り返ってみて、村岡知事と花田町長の違い、やっぱり、河野大臣のプロセス停止発言前に、知事は、イージス・アショアの認否について判断をされなかった。このことについて、今日的にどう考えておられるのかお尋ねします。」

 私は、今日的に考えて、花田町長の住民の安全・安心を第一に考える姿勢は素晴らしかったと思います。

 その一方で、今日的に考えても、村岡知事のこの問題に対する姿勢に曖昧さがあったことを指摘しなければなりません。

 「イージス・アショア」配備撤回後、17日付、中国新聞・渡辺裕明記者の記事は秀逸でした。

 渡辺記者は「反イージス見えた覚悟」と題して、花田町長の政治姿勢についてこう書いています。
 「地上配備型迎撃システム『イージス・アショア』の配備計画に2018年9月に反対を表明。自民党王国の県内首長でただ一人、国策にはっきり異を唱えた。先月の国の言葉も印象的だ。『リーダーとして早い時期に判断を示し、町民が賛成派と反対派に分かれてやり合うのを避けたかった』この2年間、『交付金ほしさにごねている』などとネットや電話で誹謗中傷も受けた。身の危険を感じ、自宅に届く自分宛ての郵便物は開封しないよう家族に伝えた。決断した以上は避けて通れない道。反対運動を続けた『町民の会』の吉岡勝会長も『町長の反対表明が一番の支えだった』という。」

 渡辺記者は、村岡知事の政治姿勢について次のように書いています。

 「地元町長の明確な反対意思を尊重し、国に訴えるのが県の務めではないか。計画中止が決まる前の反対派住民が村岡知事宛てに質問状を出した。県の回答は『まだ、国による説明の途中段階。阿武町長の発言はそうした中で現時点の思いを述べられたものと考えています』と何ともつれなかった。計画の頓挫が決まってから知事や同じく配備候補地の萩市長の発言が一転勇ましくなったのをみても、リーダーの覚悟について考えさせられる。」

 今後とも、このようなジャーナリスティックな記事を期待したいと思います。

 私も、引き続き、村岡県政に対し、PCR検査体制の拡充など評価できることは、評価しつつ、言うべきことは言う姿勢で、日々、励んでいきたいと思います。

 県政に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

ある奴隷少女に起こった出来事

 15日、日本共産党創立98周年記念講演会が行われ、志位和夫委員長が講演を行いました。
 この講演で、私が一番感動したのは、志位委員長が次のように語った部分でした。
 「感染症のパンデミックは、時として、歴史を変える契機となりうる、歴史の進行を加速することがあるとのべましたが、私は、これはいま起こっている新型コロナ・パンデミックでもいえることではないかと思います。」
 志位委員長は、米国で起こった警官によるジョージ・フロイド氏の暴行死事件への抗議行動が、世界に広がったことを取り上げ、その背景に、新型コロナ・パンデミックによる共通体験があったとして、次のように述べました。
 「新型コロナ危機のもと、米国は、人類差別とともに、あらゆる差別・不公正・不正義が一挙に顕在化しました。その深刻さに、黒人以外の多くの人々も『人ごとではない』と感じる状況が広がり、抗議運動には、黒人だけでなく、白人、ヒスパニック、アジア系、先住民なども広く参加し、とくに20代、30代の若者が多数参加しています。同じ流れが欧州でも、世界でも、一挙に広がりました。」
 アメリカで、南北戦争で奴隷制を推進する南部連合軍で司令官を務めたロバート・エドワード・リーの像が撤去されることになったことなどを挙げ、志位委員長は、こう述べています。
 「植民地体制の崩壊という20世紀に起こった世界の構造変化が、今日、生きた力を発揮していることを示すものにほかなりません。そして、世界のこの激動的な姿は、新型コロナ・パンデミックが、歴史を変える大きな契機となり、その進歩を加速していることを明らかにするものではないでしょうか。」
 私は、今、ハリエット・アン・ジェイコブズが書いた「ある奴隷少女に起こった出来事」を読んでいます。
 この本の裏表紙にはこう書かれてあります。
 「好色な医師フリントの奴隷となった美少女、リンダ。卑劣な虐待に苦しむ彼女は決意した。自由を掴むため、他の白人男性の子を身籠ることをー。奴隷制の真実を知的な文章で綴った本書は、小説と誤認され一度は忘れ去られる。しかし126年後、実話と証明されるやいなや米国でベストセラーに。人間の残虐性に不屈の精神で抗い続け、現代を遥かに凌ぐ(格差)の闇を打ち破った究極の魂の物語」
 
 翻訳者の堀越ゆきさんは、コンサルティング会社に勤める会社員。偶然、この本に出会い、どうしても翻訳しなければならないと決意し、出版に至ります。

 堀越さんは、この本について「正しい思想や、ひょっとしたら真実というものが、普通の人から生まれ、普通の人を介して伝播する社会-これは私のフィクションかもしれないが、そうであったら良いと思っている。そして、そして奴隷少女だったジェイコブスも、そう思っているに違いないと思う。」と書いています。

 ジェイコブスは、この本の91ページでこう訴えています。

 「良識ある読者よ、わたしを憐れみ、許してください!あなたは奴隷がどんなものか、おわかりにならない。法律にも習慣にもまったく守られることなく、法律はあなたを家財のひとつにおとしめ、他人の意思でのみ動かすのだ。あなたは、罠から逃れるため、憎い暴君の魔の手から逃げるために、疲れ果てたことはない。主人の足音におびえ、その声に震えたこともない。わたしは間違ったことをした。そのことをわたし以上に理解しているひとはいない。つらく恥ずかしい記憶は、死を迎えるその日まで、いつまでもわたしから離れないだろう。けれど、人生に起こった出来事を冷静に振り返ってみると、奴隷の女はほかの女と同じ基準で判断されるべきではないかとやはり思うのだ。」

 「奴隷の女もほかの女も同じ基準で判断されるべき」ここに堀越さんのいう正しい思想や真実があると私は感じました。

 堀越さんは、この小説を現代読む意義について次のように書いています。

 「正直、奴隷少女が自分らしく生きるために感じなければならなかった心情が、現代の日本の少女にとってかけ離れたものであると私は思えない。少女たちには、奴隷制ならぬ現代グローバル資本主義的で、稚拙で雑多な情報に翻弄された現実が立ちはだかっている。それはガールズにとってのデフォルト、すなわち現代ガールズが無理矢理課せられた現代の『奴隷制』である。読者の誰にも、そのひと自身の『ドクター・フリント』が存在すると私は思う。それは性的強要で、あるかもしれない。あなたの心に正しいと思うものは、それが社会的にどうであれ、その代償がどうであれ、青春の最も楽しい時期7年間、立つスペースもトイレすらない屋根裏に閉じ込められることになったとしても、貫く価値があると、奴隷少女のジェイコブズは証明してみせたのである。新しい困難な時代を生きる少女たちには、新しい古典が必要なのではないだろうか-そう思ったことが、本作の出版を決意した理由である。」

 私には、高校1年生の娘がいます。彼女を見ていると「稚拙で雑多な情報に翻弄された現実がたちはだかっている」ことを実感します。

 同時に、私たち大人も例外ではないと思います。

 現代グローバル資本主義の中で、現代の少女が現代の「奴隷制」に縛られていると指摘する堀越さん

 この現代の潮流が、米国で起こった警官によるジョージ・ロフイド氏の暴行死事件を生んだ根底にあるのなら、米国で、南北戦争で奴隷制を推進する司令官の像が撤去される動きを歓迎したいと思います。

 堀越さんは、奴隷を鞭打つフリント夫人に触れた後でこう書いています。

 「本書執筆から150年を経ても、それは事実だと思う。でもいつか、人類の大多数が、そうではない勇気ある選択を、ジェイコブズのように選ぶ日が来るかもしれない-そんな夢かもしれない希望を、21世紀の現代人に与えてくれる人生をリアルに生き、書籍として残してくれた、文豪ならぬ奴隷少女ジェイコブズの心を本書でお伝えできればと思う。」

 2012年2月15日現在、この本が、Kindleの世界古典名作のランキングで11位です。

 この事が、奴隷制を推進する司令官の像の撤去の根底となったと思います。

 志位委員長が記念講演で指摘した「新型コロナ・パンデミックが歴史を変える大きな契機となり、その進歩を加速している」ことを、コロナ禍で、この本を読みながら実感しています。

 歴史を変える一人の主体者として、歴史を学び、日々を生きていきたいと思います。

 「ある奴隷少女に起こった出来事」をコロナ禍の今、多くの皆さんに読んでいただきたいと思います。

 お読みになった皆さんの感想をお聞かせください。