14日のしんぶん赤旗「日刊紙」は、日本学術会議が推薦した会員候補のうち6人を推薦しなかった問題について次のように報じました。
「日本学術会議が推薦した会員候補のうち6人を菅義偉首相が任命拒否してから6カ月余り。全国に52ある単位弁護士会のうち48弁護士会の会長が菅首相の任命拒否に抗議し、速やかな任命を求める声明を発表していることが13日までに本紙の集計でわかりました。昨年10月1日付の本紙スクープで、任命拒否が発覚。同月内に22弁護士会が会長声明をだし、翌11月には14弁護士会、12月には8弁護士会が出しました。今年に入っても『学問の自由に対する脅威となるものであるから、(中略)これを看過することはできない』(三重弁護士会)と、これまでに4弁護士会が声明を出しています。(中略)日本弁護士連合会の荒中会長も昨年10月に声明を出しています。」
山口県弁護士会は、昨年11月30日付で上田和義山口県弁護士会会長が「任命を拒否された日本学術会議会員候補者の速やかな任命を求める会長声明」を発表しています。
山口県弁護士会の会長声明は以下の通りです。
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任命を拒否された日本学術会議会員候補者の速やかな任命を求める会長声明
2020年(令和2年)11月30日
山口県弁護士会会長 上田 和義
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菅義偉内閣総理大臣は、令和2年10月1日から任期が開始される日本学術会議(以下「会議」という。)の会員について、会議が推薦した候補者(以下「候補者」という。)のうち6名を会員に任命しなかった。
今回、会員に任命されなかった候補者はいずれも、社会科学系ないしは人文科学系の学識者であり、特定秘密保護法や安保法制や共謀罪創設などに反対を表明してきた人々であり、政府の政策に対して批判的な意見を表明したことが会員に任命されなかった理由ではないかとの疑念を生じさせている。
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このような疑念を生じさせていることは、それ自体が表現の自由及び学問の自由に対する重大な脅威となる。
すなわち、表現の自由は個人の人格形成及び国民の政治参加にとって不可欠の人権であるとともに、表現行為によって不利益な決定がなされるときは、そのおそれがあるというだけでも表現行為を差し控えさせてしまうような萎縮しやすい人権である。
また、学問の自由は、思想の自由及び表現の自由に包摂され保障されると理解される国が多い中で、明治憲法下において、滝川事件(刑法学説が自由主義的であるという理由で教授が休職を命じられた事件)や天皇機関説事件(天皇が国家機関であるとする学説が国体に反する異説とされて著書の発禁処分等がされた事件)などのように、直接に国家権力によって侵害された歴史を踏まえて、とくに現行の憲法に明文で規定されたという歴史がある。
そして、会員の任命が学問の自由の問題として位置付けられることは、日本学術会議法(以下「法」という。)第3条に会議が「独立して」職務を行うとの規定があること、昭和58年5月12日参議院文教委員会において、中曽根康弘総理大臣(当時)も「学問の自由ということは憲法でも保障しているところでございまして、特に日本学術会議法にはそういう独立性を保障しておる条文もある」と説明し、また「学会やらあるいは学術集団から推薦に基づいて行われるので、政府が行うのは形式的任命にすぎません」と回答していることから明らかである。
このように、政府の政策に対する批判的な意見又は研究発表を行ったために候補者を会員に任命しなかったとの疑念を生じさせるだけでも、表現の自由及び学問の自由に対する重大な脅威となる。
現在までのところ、候補者を会員に任命しなかった理由について、政府は、はじめ、「総合的、俯瞰的」と説明し、次いで、憲法第15条第1項を指摘するが、前者の説明では抽象的にすぎるし、後者は後に見るように内閣総理大臣の自由裁量による任免を認める規定ではない。また、菅総理大臣は参議院本会議代表質問に対して「旧帝国大学といわれる7つの国立大学に所属する会員が45パーセントを占めている」等と会議の偏りを問題視する答弁をしているが、法にない基準を政府が独自に定立する問題の他、任命されなかった候補者のなかには私立大学所属の者、60歳未満の者、女性も含まれているため、この問題意識とも整合せず、明確に理由が説明されたとはいえない。
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会議が推薦した候補者を内閣総理大臣が任命しなかったことは法第7条第2項に反して違法であり、6名の候補者は速やかに会員に任命されなければならない。理由は次のとおりである。
第1に、法は上述のとおり会議の独立性を定め、その独立性を前提として、政府からの諮問(法第4条)、政府への勧告(法第5条)、資料提出等を求めること(法第6条)ができるというのだから、法律上、会議の政府からの独立性が求められており、総理大臣が会員の任命を拒否できるとすればその独立性が害される。
第2に、会議の職務は、科学に関する重要事項の審議等であって(法第3条)、科学は客観的真理を探求するものだから、多数決原理に立脚する民主主義的統制に馴染まない。だからこそ、上記のように法は会議の独立性を定め、会議が「優れた研究又は業績がある科学者のうちから」候補者を選考し(法第17条)、その推薦に基づいて内閣総理大臣が任命するとされている(法第7条第2項)。「基づいて」という法文上も、また上述した会議の独立性に照らしても、推薦された候補者を内閣総理大臣が任命を拒否することは許されない。
第3に、政府による従来の説明をみても、上述のとおり中曽根康弘総理大臣(当時)により「政府が行うのは形式的任命にすぎません」等と説明されたほか、昭和58年5月10日参議院文教委員会においても「そのまま総理大臣が任命するということ」「全くの形式的任命」「法令上もしたがってこれは形式的ですよというような規定」との政府答弁がなされ、平成16年1月に総務省が作成した資料にも「学術会議から推薦された候補者につき、内閣総理大臣が任命を拒否することは想定されていない」と記されている。
第4に、憲法第15条第1項は任命拒否の根拠とならない。すなわち、同条項は「公務員を選定し、及びこれを罷免すること」が主権者である国民の意思に基づくよう法律で手続きが定められなければならないことを求める規定であり、上記のとおり法はすでに会員を任命する手続きを定めているのだから、内閣総理大臣は法第7条第2項に従って会員を任命しなければならないのである。
このように、6名の候補者らを会員に任命しなかったことは違法である。
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以上から当会は、任命を拒否された日本学術会議会員候補者6名の速やかな任命を求める。
以 上
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以上のように山口県弁護士会会長声明は、「6名の候補者らを全員に任命しなかったことは違法」と断じ「任命を拒否された日本学術会議会員候補者6名の速やかな任命を求める」としています。
日本弁護士連合会と全国52ある単位弁護士会のうち山口県弁護士会を含む48弁護士会の会長が菅首相の任命拒否に抗議し、速やかな任命を求める声明を発表していることが分かりました。
菅首相は、全国の弁護士会の会長声明を受けて、任命を拒否している日本学術会議会員候補者6名を速やかに任命すべきです。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
県労働政策課は、昨年末に「令和2年度働き方改革推進実態調査報告書」をまとめました。
調査期日は、昨年6月30日で、県内に従業員5人以上の事業所から、従業員規模別に2000事業所を抽出し、調査を実施しました。
まず、年次有給休暇の状況です。2017年と2019年を比較し、年次有給休暇の平均付与日数は、男性が17.1日から18.2日に増えているのに対し、女性は、15.9日から15.8日に減っている状況です。次に平均取得日数は、男性が、9.8日から11.5日に増え、女性は、9.4日から10.0日に増えています。
次に、育児休業取得率の状況です。2017年と2019年を比較し、育児休業取得率は、男性が、4.86%から10.9%に増え、女性は96.9%から98.5%に増えています。
全国では、2019年、男性が7.48%、女性が83.0%ですから、男性・女性とも全国平均を上回っています。
次に介護休業取得率です。2017年と2019年を比較し、介護休業取得率は、男性が、0.03%から0.03%と横ばい、女性は、0.13%から0.16%に増えています。
年次有給休暇の取得は男女とも増えていますが、女性が少ない状況です。育児休業取得率は男女とも増えていますが、圧倒的に女性が多い状況です。介護休業取得は、男性が伸びず、女性が増えています。総じて、働き方の男女格差の解消に向けて引き続き努力が必要な状況といえます。
昨年度末に2025年度までの5年間を計画期間として改定された「第5次山口県男女共同参画基本計画」では、男性の育児休業取得率の目標値を17%としています。男性の育児休業取得率を上げる取り組みの強化が求められています。
次に女性の活躍についてです。2017年と2019年を比較し、役員は、15.4%から15.6%に増えていますが、部長相当職にしめる女性の割合は、13.0%から12.1%と減り、課長相当職では、17.1%から16.4%と減っています。係長相当職では、24.5%から25.0%と増えています。
「第五次山口県男女共同参画基本計画」は、事業所の課長相当職に占める女性の割合の目標値を20%にしています。私は、この目標を更に上げるよう環境福祉委員会の審議で求めました。この目標の達成は山口県が取り組むべき重要な課題の一つだと思います。この点での取り組みの強化を引き続き求めていきたいと思います。
「令和2年度働き方改革推進実態調査結果報告書」は県のホームページから労働政策課を選んでいただくと、どなたでもご覧になることができます。
この報告書に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
政府が今日にも東電福島第1原発の汚染水海洋放出の意向を決定しようとしています。
この問題に関し、4月11日、原子力市民委員会が次のような緊急声明を発出したので紹介します。
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2021年4月11日
福島第一原発のALPS(多核種除去設備)処理汚染水
海洋放出問題についての緊急声明
原子力市民委員会
座 長: 大島 堅一
座長代理: 満田 夏花
原子力規制部会長:後藤 政志
福島第一原発のALPS(多核種除去設備)処理汚染水について、政府は4月13日にも、海洋放出による処分を決定すると報道されている。
原子力市民委員会は、以前より汚染水は海洋放出すべきではなく、堅牢な大型タンクによる陸上保管の継続か、モルタル固化による処分を選択すべきであると提言してきた。その後、政府および東京電力は、私たちが指摘してきた問題点を考慮することもなく、また、私たちが提案してきた有効な代替案を具体的に検討することもなく、海洋放出を決定しようとしている。このことについて、原子力市民委員会は強く抗議する。
今回、汚染水海洋放出を決定しようとしていることには、さしあたって次の5つの問題を指摘する。
1.社会的な合意形成の手続きが踏まれていない
ALPS小委員会の「海洋放出が現実的」とする報告書が公開されて以降、一般市民が意見を言えるような公聴会は開催されておらず、政府が「関係団体」として指定した団体の代表42人の意見が聴取されたのみである(しかも42人中、41人が男性である)。パブリック・コメントは集められたものの、きわめて形式的な手続きにとどまり、一般から提起された懸念や提案された代替案については、何ら議論されていない。
2.トリチウムは放射性物質であり、環境への放出は厳に避けるべきである
政府は、トリチウムの環境や生体への影響を軽視しているが、トリチウムの有害性を指摘する研究報告は少なからずある。各国でのトリチウムの規制値にも幅があるが、その規制値は、原子力施設の稼働を前提としたものであり、それ以下であれば安全性が確認された値と理解するべきではない。
政府は、トリチウムの年間放出量を22兆ベクレル以下にするとしている。しかし、これは、福島第一原発における事故前の放出管理目標値(上限)であり、実際の放出実績は、年間約2兆ベクレルであった。つまり、福島原発事故前に、発電にともなって放出していたトリチウムの10倍の量を、放出し続けようとしているのである。
政府および東京電力には、福島原発事故によって、大量の放射能を環境に放出した責任がある。その上で、現状はタンクで保管されている放射性物質を環境中に意図的に追加放出し、再汚染をもたらすこと自体、断じて許されない。
なお、東京電力は、処理水を海水で薄めて、トリチウムの濃度を1,500ベクレル/L以下にするとしている。これは、地下水バイパスからの排水の運用基準と同様である。これをあたかも、トリチウムの排出基準である6万ベクレル/Lの40分の1であるというような言説が流布されている。しかし、これは完全にミスリーディングである。
1,500ベクレル/Lとするのは、規制基準の40分の1にするのではなく、規制上満たさなければならない要求である。地下水バイパス・サブドレンからの排水の運用を決める際、福島第一原発の敷地内には、排水以外に考慮すべき放射線源があり、敷地境界線上1mSv/年という法令を遵守するためには、排水に割り当てられるのはその約2割とされた。その上、排水中に含まれるストロンチウム90などの放射性物質の存在を考慮すると、トリチウムに割り当てられるのは1,500Bq/Lとされた。これが1,500ベクレル/Lとする経緯である。こうした経緯について、経産省、原子力規制庁、東京電力は国民に正しく説明すべきである。
3.海洋放出を決定しても、数十年におよぶ長期間のタンク保管は避けられない
大量の汚染水タンクの存在が風評被害の要因であるとの指摘や、タンク保管の長期化にともなう老朽化や災害時の漏洩リスクなどが、早期の海洋放出決定への口実とされている。しかし、政府の計画に基づいて海洋放出をするとしても、汚染水(現時点でのトリチウム総量856兆ベクレル)の全量を放出するまでに40年の期間を要する。その間、タンクによる長期保管は不可避であり、汚染水タンクの耐久性、耐震設計、維持管理等の問題が、海洋放出によっては解消されない。
4.汚染水対策を含む「廃炉」方針および工程の技術的な見直しが不可欠である
汚染水が増え続け、タンクを増設する敷地が足りないことが海洋放出の理由とされている。しかしそれは事実ではない。私たちは次のように、現実に実行可能な技術的代替策について、これまで繰り返し提言してきた。
・汚染水については、堅牢な大型タンクによる保管継続か、モルタル固化処分が現実的かつ合理的である。政府は大型タンクからの漏洩リスクについて指摘しているものの、石油備蓄タンクなどの設置・運用実績から、十分な信頼性がある。
・デブリの取出しを前提として、そのための敷地を確保することが、タンクを増設できない理由とされている。しかし、デブリの取出しは技術的にも費用的にまったく見通しが立っておらず、無理にすすめるべきではない。
・汚染水の増加を防ぐためには、デブリの空冷化を早期に実現すべきである。
・デブリを含む事故炉を「外構シールド」で覆い、放射能の拡散を防ぐ「長期遮蔽管理」に移行すべきである。
一方、2月13日に発生した福島県沖を震源とする地震により、汚染水タンクが横ずれし、配管が損傷した事故から、そもそも汚染水タンクを基礎に固定していなかったことが発覚した。これは、この規模のタンクの施工事例からは考えられない設計・施工ミスであり、これを正当化している東京電力や、問題視していない政府、原子力規制委員会の基本的な技術力を疑わざるを得ない。
福島第一原発の後始末が長期にわたることは間違いない。現存する汚染水を、堅牢かつ十分な耐震設計の施された大型タンクに移送するような対策は、当面の応急措置としても不可欠である。
5.復興を妨げている最大の要因は、政府および東京電力への不信である
本来は別の問題である「復興」と「廃炉」の「両立」を強調する政府の主張は、廃炉の困難さを指摘する主張を、「復興を妨害する」ものとして切り捨て、自らの責任を他者に転嫁している。
関係者との意見交換、パブリック・コメントでの多数の反対・慎重意見を無視して、海洋放出を正当化する根拠として「復興」を掲げることは、現場で日々復興のために従事してきた漁業関係者、関連事業者を含む市民の地道な営みに対する暴挙であると言わざるを得ない。
政府・東京電力は、問題を「風評」に矮小化し、魚介類や農産物の安全PRや、販路拡大の支援などで対処しようとしている。根本的な問題は、これまでの政府や東京電力の情報公開や説明が不正確かつ不誠実であったことにある。
信頼の回復には、現実的かつ技術的な裏付けのある政策を、十分な情報とともに示し、理解を得る努力が不可欠である。しかしながら、政府および東京電力のこの間の対応には、その全てが欠けている。
このような状況での海洋放出決定は誤りである。誤った政策であっても、いったん決定されれば変更しない/できないのが日本の原子力政策の特徴である。ALPS処理汚染水海洋放出は行うべきではないし、国民からも到底受け入れられないであろう。
以上
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韓国や中国からも懸念の声が出されています。福島第一原発の汚染水の海洋放出を国民の運動でストップさせましょう。
この問題に関する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
重松清原作のNHKドラマ「きよしこ」を観ました。
重松清原作のNHKドラマと言えば「とんび」を思い起こします。
重松清=NHK=感涙の流れの中で「きよしこ」を見ました。
原作の文庫版の解説であさのあつこさんがこの作品をこう評しています。
「『きよしこ』は物静かな作品だ。吃音の少年が少年と呼ばれる時期をどう生きたかが、淡々と実に淡々と書き綴られているだけなのだ。凄まじい戦いがあるわけではない、殺人があるわけではない、華やかな恋愛騒動も深まる謎もない。英雄譚でもピカレスク小説でもない。強いて言えば人間の物語なのだと思う。」
この作品を的確に表した名解説です。
3月22日、しんぶん赤旗「日刊紙」の潮流でこの作品が次のように取り上げられました。
「人にやさしいドラマでした。重松清さんの小説を原作にした「きよしこ」。吃音(きつおん)を抱えながら、誰かとつながり合って成長していく少年の姿を温かく描きました。大切なことを伝えるために▼生きづらさに悩む人たちを励ましてきた重松さん。かつて小池晃さんとの対談で国民の生存権を保障する憲法25条の「健康で文化的な」生活の意味を語っていました。自分の居場所や安らげる場所があり、安らげる人間関係がある。そういうのを全部含めて「健康」だと▼コロナ禍で女性の自殺が急増―。去年の自殺者は2万1000人をこえ、リーマン・ショック直後の2009年以来の増加に転じました。とくに女性は前年比で15%増と深刻で、高校生までの子どもの自殺も過去最悪となっています▼ウイルス拡大による経済活動や日常生活へのしわ寄せ。それが女性や若い世代に大きく影響していると専門家は指摘します。非正規で仕事を失い、貧困や孤立、絶望にあえぐ状況はひろがっています▼渦巻く不安のなかで、政府はすべての緊急事態宣言を解きました。これまでの対策を反省し、封じ込めの手だてを打つつもりはあるのか。気のゆるみや自粛といった国民に責任を押しつけることばかりでは…▼うつろな表情で原稿を棒読みするだけの菅首相。「(マスクなんて)いつまでやるの」と記者に食ってかかる麻生副総理。こんな面々に、重松さんの小説のような人を独りぼっちにさせない世をつくることはできません。命を守る政治をともに早く。」
重松清さんの作品に触れて、「命を守る政治をともに早く」の思いを強くしました。
インターネットで重松清さんを検索していると、2022年公開予定で、映画「とんび」が製作されているとの情報に触れました。
阿部寛さんが主演とあります。映画「とんび」で、また泣きたいと思います。
帚木蓬生さんは、私が敬愛する作家の一人です。
今、帚木さんのオウム真理教による一連に事件を追った最新著「沙林 偽りの王国」を読んでいます。
帚木さんは、「後記」でこの作品の意図について次のように書いています。
「事件当時、多くのメディアが事件をつぶさに追い、膨大な裁判でも個々の事件が長期にわたって裁かれた。これによって事件はすべて明るみに出されたような錯覚を与える。事実はそうではなく、メディアにも裁判にも欠けていたのは、犯罪の全体像である。さらに、高学歴の連中が何故いとも簡単に洗脳され、やみくもに殺人兵器を作製したかについては、何ひとつ解明されていない。」
「高学歴の連中が何故いとも簡単に洗脳され、やみくもに殺人兵器を作製したかについて」本文にこのような件があります。
「文系の研究者がそうであるように、理系の研究者たちも、進まなければならない先が長い。頂点にのぼりつめるのには、10年20年、30年とかかる。教団の中では、教祖のいいなりになっている限り、文字どおりトントン拍子に出世する。しかもふんだんに資金があるので、専門分野でやりたいことがあれば、教祖の目論見の範囲内で、何でも思いどおりにやれる。となれば、彼らにとって、教団は別天地であったはずだ。倫理観などはその過程でどんどん薄くなっていく。教団の『敵』のためには力を惜しまなくなる。そうした強力な流れを固定してしまえば、途中で抜け出すのはもはや不可能だ。教祖は抜け出そうとする人物を、配下の別動隊である『武闘派』を使っていつ何どきでも抹消できる。こうなると教祖が定めた道をまい進するしかない。科学者の悲劇だ。」
昨日、毎日新聞に帚木さんが、本著について語るインタビュー記事が掲載されました。
この中で帚木さんは、本著について「自らの経験と知識をフル回転させて完成した」と語っています。帚木さんの精神科医としての知識と作家としての経験が相まって、オウム犯罪の全体像に肉薄したのが本作だと思います。
帚木さんのインタビューの中で、上村里花記者は、次のように書いています。
「物語の横糸として、毒ガスをはじめた化学兵器の歴史が第一次大戦までさかのぼって語られる。そこでは目的のためにはどこまでも残酷になれる人間の本性があらわとなる。日中戦争での旧日本軍731部隊の毒ガス・生物兵器の開発と人体実験もたびたび言及される。生き残った731部隊員の戦後の華麗な経歴には驚きを禁じ得ない。オウム事件どころか、戦争の総括すらできない日本社会の現状を突きつけられる。」
本文のこのような件があります。
「オウム真理教の『化学班』の連中は、遅かれ早かれ捕縛され、断罪されるだろう。それは間違いない。しかし731部隊はそうではなかった。反対に、敗戦後も華々しい経歴で生き延びた。それを思うと、日本は果たしてこれでよかったのかと、疑念にかられると同時に戦慄を禁じ得ない。」
731部隊員は戦後、学士院会員や日本医師会長を務めた人物までいました。まさに戦慄を禁じえません。
インタビュー記事に副題である「偽りの王国」の意味は当然オウム真理教をさしますが、加えて、帚木さんはこう述べています。
「オウムの犯罪を防げなかった警察組織と、松本サリン事件で被害者を『犯人』にしてしまったマスコミも意味する。」
帚木さんは、現在の日本の姿をも「偽りの王国」と問いかけているのではないかと思います。そのことは、本書「後記」での帚木さんが現代の日本について次のように書いている文書に現れています。
「記録の改竄と廃棄を宗とする国策が続く」
インタビューで、帚木さんは本書を次のように述べています。
「誰かが総合的、ふかん的に総括しなければならないと思った。これが『紙碑』です」
帚木さんの現代社会に向けられた「紙碑」である本書をしっかり読み進めていこうと思います。
これからも帚木さんからしっかり学んでいこうと思います。
帚木蓬生ファンの皆さん、感想をお聞かせください。
4月8日、山口市内の二人の県民の方が、柳居俊学議長に陳情書を提出しました。
陳情項目は以下の通りです。
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1、県議会議員の活動は、県民から付託された公務であり、県議会への登頂は、議長・副議長・議会運営委員長を含めて議員自身の責任で行うべきものです。議長・副議長・議会運営委員長について公用車による自宅送迎はやめ、他の県議と同様の扱いとすべきです。
2、議会に出席した県議会議員には、議長・副議長・議会運営委員長を含めて、「招請旅費」が支給されています。これは、県議会への登庁費用の公平な負担を目的としたものと思われます。
他方で、議長・副議長・議会運営委員長は、公用車による自宅送迎が行われています。従って、登庁費用は発生しません。
このような状況で議長・副議長・議会運営委員長に「招請旅費」を支給することは、公費の二重払いであり、直ちに是正すべきです。
3、山口県議会議員に支給されている「招請旅費」は、算出根拠が明らかでなく、交通費の「実費」と比較して非常に高いものになっています。
税金の適正な支出という観点からも、「招請旅費」の見直しをすべきです。
私たちの招集旅費の見直し案は、「山口県議会議員の議員報酬、費用弁償及び期末手当に関する条例」の第三条(費用弁償)の4項を「議員が招集に応じて議会又は委員会に出席した場合における費用弁償の額は、別表第二『鉄道費』『車賃』『宿泊料』とする」と見直しべきだと考えます。
4、予算書の形式の改善を執行部に求めるべきです。
今回のセンチュリー購入につて、県議会では一切議論にならず、知事さえも昨年8月まで知らなかったと言われてきました。県議会の議員全員が知らなかったとは思いませんが、予算書を見ただけではわからなかった議員も多いと思います。私たちもわかりませんでした。今後の教訓として、予算書を見ただけで内容がわかる予算書の形式の改善を執行部に求めるべきです。
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この陳情内容を私も議員の一人として重く受け止めたいと思います。
柳居議長は、この陳情を議会改革検討協議会などの場での協議議題とするよう関係者に指示すべきだと思います。
県民の方から議会三役の登庁費用などに関する陳情書が県議会議長に提出されました。この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。