今朝のしんぶん赤旗日刊紙は、広島県と山口県で浄土真宗本願寺派の僧侶らの平和への取組みについて次のように報じています。
「ロシアによるウクライナ侵略に乗じ、岸田文雄首相や安倍元首相が旗振り役となって9条改憲を狙い、『核共有』の議論まで進めようとしていることに、強い怒りの声があがっています。岸田、安倍両氏の地元でも『武力で平和はつくれない』と訴える人たちがいます。広島県北部の三次市では、ウクライナへの進行が始まって以降、4回にわたり市民有志が街頭宣伝などに取り組んできました。行動を呼びかけている一人で、浄土真宗本願寺派・西善寺の住職、小武正教さん(64)は、マイクを握り宣伝で訴えています。『力づくで自らの論理を押し通しているプーチン大統領を私は仏教徒の立場から人間性を失った鬼の顔をしているという言い方をします。改憲論者は、日本も攻められたらどうするのかと言って軍事力を強化し、武力で対抗するというけれど、それでは自分も鬼の顔になってしまう』小武さんは、ウクライナ危機を利用するかのように9条改憲に前のめりの安倍元首相らについて、『その顔が鬼に見えないのかと問いかけたい』と厳しく批判。『私たちの中にも力を頼みとする鬼の心がある。改憲の論理に立ち向かうには、その鬼を退治する必要がある。人間の心を失っていいのかと伝え、人間らしく生きることの大切さを子どもや孫たちにも広げていかなければ』と語りました。県内のある自民党県議も、核保有を議論すべきだとする安倍元首相の主張に、『こんなバカげた話はない』と憤ります。日本政府は、核兵器禁止条約に参加せず、その理由について核兵器を持っていない国と核保有国の間を繋げる役割を果たすためとしています。この県議は『そうであるならば、今回も日本がロシアとウクライナの間に立って、核を使わせないための仲介をすべきです』と指摘します。その上で、日本が果たすべき役割は、軍事力競争を助長するような活動ではなく、外交努力に徹し、平和に向けて『各国と徹底的に対話することだ』と強調。対話に逆行する核共有など許されないと語ります。日本海に面した山口県北西部の長門市油谷。安倍晋三元総理の祖父・寛(かん)氏(1894~1946年)、父で元外相の晋太郎氏(元自民党幹事長、1924~91年)の墓がある場所です。この油谷の一角にある浄土真宗本願寺派の常正寺では、仏教の教えを伝えるブッダの『法句経』(ダンマパダ)の一節が掲示板に張られています。『すべての者は暴力におびえ、すべての者は死を恐れる。わが身にひき比べて、殺してはならない。殺させてはならない』住職の高橋見性(けんしょう)さん(72)は、安倍元首相がウクライナ問題を好機として、9条改憲をあおってはばからないことを憂慮する一人です。『安倍さんは戦時中に非戦を貫いた寛さんのことを全く語りませんが、当時を知る門徒の方たちは一様に、すばらしい人だったと言います。病床に臥せっていた時でさえ、とにかく村長をやってくれと要望されるほど慕われていたそうです。現長門市の一部だった旧日置村の村長を務め、帝国議会の衆議院議員でもあった寛氏。没後数十年たっても尊敬を集める理由は、人望だけではありません。日本が侵略戦争を始め、戦争反対を訴える者の多くが弾圧された時代に、反戦平和を貫いた数少ない政治家としての生きざまが知られているからです。『国会にあっては(大政翼賛会)非推薦議員団の一員として軍事政権に厳しく対立した』(油谷町史)祖父の反戦思想に背き、戦争する国への道をひた進む安倍元首相の姿勢に、高橋さんは異論を申し立ててきました。安倍政権が安保法制の国会審議を強行していた2015年6月。油谷・日置地区の浄土真宗本願寺派19ヶ寺で構成する山口教区大津西組(おおつにしそ)は、安倍晋三事務所に『安全保障関連法案に反対し、廃案を求める要望書』を提出しました。当時、高橋さんは組長でした。安倍元首相の地元中の地元での動きに、注目が集まる一方、僧侶の一部から『あんなことをしたらダメやないか』と言われるなど、逆風もありました。しかし高橋さんは訴えます。『親鸞聖人(浄土真宗の宗祖)は権力者の横暴で流刑になった際、厳しく反論し、明治政府の政策で起きた廃仏毀釈(きしゃく=仏教排斥運動)に抵抗したのも山口出身の僧侶、島地黙雷でした。そういう歴史があるのに、全く無関心ではおれない』大津西組の現組長で龍雲寺住職の長岡裕之さん(66)も、『声をあげにくい面は当然あるが、黙るということはありません』と語ります。長岡さんが反戦平和を希求する根底には、仏教に通じる戦力不保持をうたった9条の精神があります。『親鸞聖人は『歎異抄』という書物で『さるべき業縁のもよおさば、いかなるふるまいもすべし』と書かれています。人間は、良い縁にふれれば良いことをするし、悪い縁にふれれば悪いことをするということです』軍隊や核兵器を持つことが悪縁をつくることにつながると長岡さん。『ロシアの侵攻を見て、安倍さんは9条を変え、軍隊を持たなけければならないと言いますが、逆なのです。軍隊がある以上、悪縁によって紛争、戦争が起こる。軍隊を持たないことが平和への一番の近道だと、みなが気づかなければならない』と強調します。改憲勢力の『戦力不保持は現実に合わない、理想だ』とする攻撃についても歴史を踏まえ、こう反論します。日中全面戦争、アジア太平洋戦争に続くきっかけとなった『満州事変』(1931年)は、軍部(関東軍)が武力による中国東北部の領土拡大を狙って起こした謀略事件です。当時こそ関東軍が暴走し戦線を拡大しますが、結局は日本史エフも『負拡大方針』を転じ関東軍の行動を容認しました。長岡さんは『現実を追認した結果、もう少しで日本を滅ぼすところまでいった。だからこそ政治家は理想を掲げ、それに近づいていくという努力をしなくてはいけないし、国民一人ひとりもそうでしょう。9条のすばらしい理想を伝えていきたい』と力を込めます。」
記事にある三次市の小武住職は、念仏者9条の会の全国の事務局長です。高橋住職・長岡住職は、念仏者9条の会・山口の中心メンバーです。私は、念仏者9条の会の一員として、これら3人の住職から、様々なことを学んできました。
そして、今日も、この記事の中で、3人の住職から多くのことを学びました。
念仏者9条の会のスローガンの一つは、仏説無量寿経にある一節「兵戈無用」です。
兵隊も武器もない世の中を作ろうというものです。
「兵戈無用」はまさに憲法9条が求める社会に通じます。
核兵器の拡大競争をやめ、核兵器廃絶の世の中をつくるためには、9条を無くすべきではなく、9条を世界に広げるときだと、この記事を読み、3人の住職のコメントから感じました。
小武住職、高橋住職、長岡住職、これからも様々なことをお教えください。これからもよろしくお願いいたします。
憲法9条に対する皆さんのご意見をお聞かせください。
昨年10月から申請受付が開始された「中小事業者デルタ株集中対策支援金」は、1事業者当たり法人40万円、個人20万円でしたが、今3月7日から開始された「中小事業者オミクロン株集中対策支援金」は、1事業者当たり法人20万円、個人10万円です。
3月8日に行った一般質問で私は、「中小企業の経営は悪化の一途だ。中小業者への支援金は増額すべきだ。」と質しました。
小関商工労働部長は「昨年のデルタ株集中対策支援金は、8月の売上減少を要件として、法人20万円、個人10万円を支給する予定だったが、集中対策が9月まで延長されたことから、金額を法人40万円、個人20万円に引き上げ実施したものだ。今回の集中対策に伴う支援金については、1月の売上減少を要件として緊急対策支援金を、それぞれ法人20万円、個人10万円を、前回と同様の水準で支給するのもであり、これを増額することは考えていない。」と答えました。
国は、1月31日から、個人は50万円、法人は年間売上高1億円以下の場合、100万円を上限とする事業復活支援金の受付を開始しました。
県内の多くの商工会・商工会議所は、同支援金の事前確認の受付を会員に限定しています。商工会・商工会議所は「地区内における商工業の総合的な改善発展」「社会一般の福祉増進」に役立つことを目的に設立された団体です。
私は、「県は、県内の商工会・商工会議所に事業復活支援金の事前確認は会員に限定せず、全ての事業者を対象とするよう指導すべき」と質しました。
小関部長は「事業復活支援金は、国の制度設計に基づいて実施されており、商工会・商工会議所のほか、金融機関や税理士などが事前確認の登録確認期間の対象となることや、各機関の実情に応じて事前確認の受付対象を判断できることが定められている。県としては、様々な機関による支援を想定している国の制度設計や、商工会・商工会議所の実情を踏まえた主体的な判断を尊重することとし、全ての事業者を受付対象とするよう商工会等を指導することは考えていない。」と答えました。
第6波で3月7日までに死亡した人は、47人となり、第3波の41人を超えました。47人中43人が70歳以上の高齢者でした。
第6波で2月末までに発生したクラスターは、92件で、第5波の33件を大幅に上回りました。92件の内、33件が高齢者施設でのクラスターでした。
私は、3月8日の一般質問で「県民の命を守るために、高齢者施設での感染を抑制していくことが重要だ。」と指摘した上で次の質問を行いました。
まず、3回目のワクチン接種についてです。質問した項目は次の通りです。
①高齢者施設入所者のワクチン接種は終了したのか。
②65歳以上のワクチン接種の到達と完了の見通しはどうか。
③介護従事者への接種の到達と完了の見通しはどうか。
①について、弘田健康福祉部長は「2月中旬までに概ね接種が完了している。」と答えました。
②について、弘田部長は「2月までの接種対象者のうち、約7割の方が接種を終えており、ワクチンの種類に関わらず、早期に接種を希望される方への接種は、概ね完了したものと考えている。」と答えました。
③について、弘田部長は「介護従業者へのワクチン接種については、入所者と一体的に接種を行っており、2月中旬までに概ね完了している。」と答えました。
次に、検査体制についてです。
私は、「社会福祉施設への約1万5千人分の抗原検査キットの配布と活用状況について」質しました。
弘田部長は「社会福祉施設への定期的検査の実施状況については、1054施設で58837件の検査を実施した。」と答えました。
3月2日0時時点、山口県の自宅療養者数は、1853人でした。宿泊施設は、830室確保されていますが、療養者は160人に留まっていました。
村岡知事は、1月13日の記者会見で、「医師の判断の下、治療等が必要ない軽症・無症状の方に対しては、緊急対応として、自宅療養を導入している」と方針転換を表明しました。
私は、「緊急対応を解除し、軽症者を宿泊施設で療養させる方針に戻すべきだ。」と質しました。
弘田部長は「自宅療養については、軽症・無症状者が大多数を占めるオミクロン株の特性を踏まえ導入している。症状や家庭の状況等から、宿泊療養が必要な方には、全て宿泊施設を利用いただいており、一律に入所とする方針に戻すことは考えていない。」と答えました。
私は、再質問で、次の3点を質しました。
①2月末までにクラスターが発生した高齢者施設で、コロナ陽性で死亡した方は何人いるのか。
弘田部長は「クラスターが発生した高齢者施設の入所者で亡くなれた方は、3月7日までで15名である。」と答えました。
②高齢者施設の陽性者が入院できずに施設に留め置かれたケースはあったのか。
弘田部長は「高齢者施設で療養されている方のうち、医師が入院が必要と判断した方については、全て入院の措置を講じている。従って、入院が必要にも関わらず、入院できない事例はない。」と答えました。
③社会福祉施設向けのPCR検査は、(まん延防止等重点措置が解除された)2月20日で終わっていないか。
弘田部長は「社会福祉施設での定期検査について、まん延防止等重点措置の指定に伴う現在の検査は、指定解除とともに終了している。しかしながら、県はこれまでも、感染が拡大している地域については、積極的に検査を実施している。今後も感染状況等に応じて、必要があれば、社会福祉施設の定期的検査を実施していく。」と答えました。
3月8日、下関市の陽性者は、242人、死者は4人、陽性者も死者も、これまでの最多人数でした。
私は、「下関市をまん延防止等重点措置の指定地域になるよう県として国に申請すべきだ。」と質しました。
内海総務部長は「現時点において、県全体で医療提供体制がひっ迫しているという状況にはなく、国に対してまん延防止等重点措置の適用を要請する段階ではない。いずにしても、下関市を含めて、今後の感染状況等はよく注視をし、必要な対応を検討している。」と答えました。
今議会に「山口県保健所条例の一部を改正する条例」が提案されました。内容は、4月1日から防府保健所を新設するものです。
支所を保健所に復活させよと訴えてきたものとして評価します。
私は、「防府保健所の体制を含め、新年度の保健所の体制をどう拡充するのか。」質しました。
内海部長は「新型コロナの感染拡大に伴い、保健所に大きな負担が生じていることから、保健師の増員や全庁を挙げた職員の応援派遣、相談業務の外部委託などにより、業務執行体制の強化や職員の負担軽減を図ってきたところだ。新年度においては、県内で最も規模の大きな山口健康福祉センターについて、防府支所を防府保健所として改組するほか、県内保健所で更に保健師を増員するなど、感染状況や現場のニーズ等に柔軟かつ機動的に対応できる体制を確保することとしている。」と答えました。
ここ数日、陽性患者数が減少から増加に転じているようです。
引き続き、新型コロナ感染症対策の強化に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
米海兵隊岩国基地所属のKC130空中給油機が山梨県上空で空中給油訓練を行っていたことが分かったと今日のしんぶん赤旗日刊紙が報じました。
「米海兵隊岩国基地(山口県岩国市)所属のKC130空中給油機が山梨県甲府市上空で空中給油を強行していたことが、市民が撮影した写真で明らかになりました。空中給油は難度が高く、墜落・衝突事故が頻発しており、陸地上空での給油は住民の命を脅かす極めて危険な行為です。写真は、甲府市在住の福田良二さん(64)が23日に撮影したもの。福田さんは同市を流れる荒川にかかる千秋橋付近でカワセミの撮影中、頭上を軍用機が飛行しているのに気づきました。尾翼には『MARINS』(海兵隊)と記されており、機体番号は『109』となっています。同機は甲府市上空を東から西へ飛行し、左旋回。戦闘機2機が接近し、ホースを接続して空中給油を開始しました。福田さんは9日にも、ホースを伸ばしている軍用機と戦闘機を確認しており、甲府市上空での給油が常態化している可能性もあります。米軍横田基地(東京都)の監視を続けている羽村平和委員会によると、24日に機体番号109のKC130が離陸。KC130は近年、横田への飛来を繰り返しています。岩国基地所属の同型機は2018年12月にも高知県沖で空中給油中に戦闘機と接触し、両機とも墜落。乗組員6人死亡という大惨事を引き起こしました。16年12月には、沖縄県名護市の海岸の浅瀬にMV22オスプレイが墜落。空中給油中、給油ホースがプロペラに接触したことが原因でした。翌年1月5日、空中給油訓練が再開されましたが、稲田朋美防衛相(当時)は同日の記者会見で『今後とも空中給油訓練は陸地から離れた海域の上空でしか実施ないと、陸地の上空では実施しないということも確認をした』と明言。稲田氏は同年2月22日の衆院予算委員会分科会でも『(陸地上空での給油制限は)オスプレイだけでなく、全ての米軍機にあてはまる』と答弁しており、今回の甲府市上空での給油との矛盾は明らかです。第一海兵航空団は本紙の取材に、甲府市上空での給油の有無について回答を避けましたが、『われわれの運用は2国間の合意に基づいて行われている』と回答。陸地上空での給油自体は問題ないとの見解です。」
今回の訓練が、岩国基地所属のKC130空中給油機であったことが重大です。
2018年12月にも墜落事故を起こした同型機が、今度は、陸地上空で危険な給油訓練を実施していたことは重大です。
米軍は、陸地での給油訓練の実態を明らかにすべきです。政府は、そのことを米側に求めるべきです。
そして、政府は、危険極まりない陸地上空での給油訓練の即時中止を米側に求める時です。その約束を日米合同委員会合意などの形で明確にすべきです。
岩国基地所属のKC130空中給油機が山梨県上空で給油訓練を行っていました。この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
新型コロナウイルスに係る今後のさらなる感染拡大の防止や県内経済のV字回復のための反転攻勢等に人的資源・財政を集中投資するためとして、2020年4月、県は『行財政構造改革の一時凍結』を発表しました。県が示した改革期間は、今年度で終わりますが、新年度も新型コロナウイルスの収束は見通せません。
私は、8日に行った一般質問で「新年度も一時凍結は継続されるものと思うが尋ねる」と質しました。
内海総務部長は「県では、令和2年4月、新型コロナの感染拡大の防止や経済活性化等に人的資源・財政を集中投資するため、行財政構造改革を一時凍結したところだ。当初の改革期間は今年度末に終期を迎えますが、感染症の収束が未だ見通せない中、その対策に係る集中投資は継続する必要があり、引き続き、改革は凍結することとしている。」と答えました。
本ブログ、2020年6月21日で書いているとおり、2020年6月17日、山口県は、「行財政改革統括本部会議」を開催し、「行財政構造改革の一時凍結について」とする文書を確認しました。
具体的には、①総人件費の縮減②事務事業の見直し③公共投資等の平準化④公債費の平準化⑤公の施設の見直しという、現行の改革に掲げる取組を一時凍結することを明らかにしました。
総人件費の縮減では、期間内に657人の定員を削減する計画でしたが、「保健所の体制強化など、新型コロナ対策に最優先の職員配置を行う」とされました。
公の施設の見直しでは、移管・統廃合・運営手法の見直し対象施設を14施設示して検討が続けられていましたが、「『現行の見直しの方向性』に基づいた市町との移管等に関する協議は中止する。」とされました。
私は、「行財政構造改革の一時凍結」を延長するとの県の判断を評価したいと思います。
その上で、長時間労働が常態化している新型コロナ対策に従事している職員や教職員を大幅に増員すべきだということを県に改めて求めたいと思います。
また、移管等の検討が凍結されている県有施設について、維持管理経費を十分確保し、適切な管理運営が行われる体制の強化を求めたいと思います。
行財政構造改革の一時凍結が新年度も延長されることになりました。この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。
2011年に徳山下松港・宇部港が国際バルク戦略港湾に選定された際の「国際バルク戦略港湾計画書」では、2008年に1910万トンあった石炭取扱量が2020年に2420万トンに拡大するとしています。しかし、2020年の石炭取扱量は1714万トンであり、2008年の取扱量より減少しています。
脱炭素社会の進展の中で、徳山下松港・宇部港での石炭取扱量は、今後減少することが予測されますが、相変わらず、国際バルク戦略港湾を前提にした港湾整備が進められています。
一方、昨年3月、徳山下松港は、「カーボンニュートラルポート形成に向けた方向性」が示されました。
私は、8日に行った一般質問で、①国際バルク戦略港湾からカーボンニュートラルポートへ移行する経過について県民に説明すべき②国際バルク戦略港湾からカーボンニュートラルポートに移行した徳山下松港・宇部港の新しい港湾計画を県民に示す必要があるーとの二つの質問を行いました。
和田土木建築部長は①について「県では、国際バルク戦略港湾について、石炭の継続的な利用が見込まれることから、バイオマスの輸入拡大を踏まえた当面のベースエネルギーの輸入拠点港としての整備を進めることとしている。また、徳山下松港がカーボンニュートラルポートの形成について先行的に検討する港の一つとして選定されたことを受け、国等と連携して検討会を開催し、将来的には、水素・アンモニア等次世代エネルギーの供給拠点港への進化を目指すとの方向性などをとりまとめ、公表してきたところだ。」と答えました。
和田部長は、②について「県では、徳山下松港について、カーボンニュートラルポート形成計画を今後、策定・公表することとしており、その他の重要港湾についても、形成計画の作成について検討することとしている。港湾計画の変更に必要となる次世代エネルギーの品目や取扱量等については、この形成計画の中で検討することから、現時点では、徳山下松港・宇部港の港湾計画を変更することは考えていない。」と答えました。
やまぐち産業イノベーション戦略に、国際バルク戦略港湾の目標が示されています。目標は、2023年度までの3年間で、石炭の共同実施回数を35回にするというものです。
私は、「石炭の輸送を増やすことを目標にすることは、脱石炭社会の到来に逆行するものだ。次期計画は、バイオマス等の目標を設定するなど、石炭だけの輸送を増やす目標設定を見直す必要があると考えるが尋ねる。」と質しました。
平野産業戦略部長は「石炭については、現状では、継続的な利用が見込まれています。お尋ねの指標は、石炭に係る物流コストの削減により、企業の国際競争力の強化に資するよう、令和5年度までの3年間を目標として設けた指標であり、これを見直すことは考えていない。」と答えました。
私は、2024年度からの次期計画の見直しを求める質問を行いました。この点についての回答がなかったことは残念です。引き続き、この点は注視し、必要な発言を行っていきたいと思います。
徳山下松港・宇部港の国際バルク戦略港湾の当初計画では、2020年には、パナマックス級だけでなくケープサイズ級の船舶も入港可能だとしています。
私は、「ケープサイズ級の入港はあったのか。また、徳山下松港・宇部港のバイオマス取扱量は。」と質しました。
和田部長は「ケープサイズ級の入港実績は、現在、港湾施設を整備中であることから、入港実績はない。徳山下松港・宇部港の2020年のバイオマス取扱量は113万トンである。」と答えました。
国際バルク戦略港湾の当初の計画書に、石炭取扱量が、2008年1910万トンから2020年に2420万トン=510万トン増加するとあります。だから、巨大な港湾計画が必要という理屈です。
2020年の石炭取扱量は、1714万トンであり、バイオマス取扱量は、113万トンで、合計、1827万トンです。
2020年の徳山下松港・宇部港の石炭とバイオマスの取扱量1827万トンは、2008年の石炭取扱量1910万トンより下回っています。
私は、「今後とも巨大な港湾開発を進めていくためには、しっかり県民に対し、根拠をもった説明資料が必要だ。脱炭素社会の到来を受けて、事業費についても再検討し、県民に示す必要があると思うが尋ねる。」と質しました。
和田部長は「バイオマスで石炭と同じ熱量を得るためには、石炭の2倍の体積のバイオマスが必要となる。取り扱う貨物の体積は増加して、入港船舶数が増加することが見込まれる。いずれにしても、石炭を使用する多くの企業は、当面は、石炭とバイオマス等の混焼により二酸化炭素排出量の削減に務めつつ、安定供給性・経済性に優れた石炭の継続的な利用を見込んでいるところである。このため、現時点では、国際バルク戦略港湾施策を見直すことは考えていない。」と答えました。
和田部長のこの点での答弁は一般論に終始した内容です。私は、国際バルク戦略港湾の目標貨物取扱量と実績は乖離していることを指摘し、当初の港湾計画を進める根拠を示すべきだと質したのに、明確な回答がなかったことは残念です。
しかし、和田部長は、私の最初の質問に、カーボンニュートラルポート形成計画作成の中で、「次世代エネルギーの品目や取扱量等について」検討することを明らかにしました。
このカーボンニュートラルポート形成計画を徳山下松港だけでなく、県内「その他の重要港湾についても」「作成することを検討することとしている」と回答しました。
今後、作成される形成計画に示される「次世代エネルギー品目や取扱量等」の具体的内容について注視していきたいと思います。
次世代エネルギーの品目や取扱量が明確になった段階で、徳山下松港や宇部港の港湾計画の変更を求めていきたいと思います。
脱炭素社会における石炭を中心とした国際バルク戦略港湾は見直しを今後とも求めていきたいと思います。
この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。