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「西中国ウインドファーム」事業に反対する署名5248筆が県知事に届けられました。

 電源開発株式会社が、錦川源流の貴重な森に『西中国ウインドファーム」事業として、巨大風車33基の建設を計画しています。
 岩国の自然を未来へ手渡す会は、3月12日、山口県知事へ、5248筆の西中国ウインドファーム事業計画の撤回を求める署名を提出しました。署名提出には、地元の井原県議のほか、中嶋県議と私が同席しました。

  西中国ウインドファーム計画に反対する署名5248筆を県知事に提出する岩国の自然を未来へ手渡す会の吉村共同代表

  署名提出に同席した左から中嶋県議、私、井原県議

 署名には、次の5つの懸念が示されています。
1、二酸化炭素を吸収してくれる森林を、大規模伐採する開発であり、温暖化対策からも本末転倒になること。
2、天然記念物の「八代のナベツル」の渡りルートにもなるので、絶滅危惧類クマタカ等も含めて、バードストライクが懸念されること。
3、開発されれば山が保水力を失い、地滑りや土砂崩れの危険性が増すことや、錦川への流入量が大幅に減り、土砂によって水質が悪化し、岩国市民の飲み水が脅かされること。
4、風車の建設予定地は市民の生活圏からわずか2~3キロの場所であり、風車の騒音や、広範囲に振動として伝わる低周波音による睡眠障害など、全国各地ですでに稼働した巨大風力発電事業では健康への悪影響が多数報告されていること。
5、巨大風車が自衛隊レーダーを妨害する事が予想され、安全保障上大きな問題にもなること。
 署名は、以下のことを求めています。
①電源開発株式会社に対しては本計画の撤回を求めます。
②岩国市長及び山口県知事に対しては「本計画の撤回を電源開発株式会社に対して積極的に働きかける」よう求めます。
 署名提出後の県担当者との懇談の中で、二つの事がわかりました。
 一つは、計画地の中に、環境省の特定植物群落調査による「ブナ原のブナ林」が存在することです。
 二つは、計画地の中に、水源涵養保安林が存在することです。
 西中国ウインドファーム事業は、山口県と島根県の両県にまたがり、2022年に、両県知事が同計画の計画段階環境配慮書に対する知事意見を出しています。
 島根県知事は、「環境影響を回避または十分な低減ができない場合は、事業実施想定区域の再検討を行うなど、当該地域での事業の廃止を含めて事業計画の抜本的な見直しを行うこと」を指摘しています。
 一方、村岡知事は、「環境影響評価を回避または十分に低減できない場合には、風力発電施設の配置等の再検討、対象事業実施区域の見直し及び基数の削減を含む事業計画の見直しを行うこと」との指摘にとどまっています。
 私は、22年3月8日、一般質問で次のように指摘しました。
 「県は、これまで環境影響評価研修会が編集した『逐条解説環境影響評価法』に、環境影響評価は、事業の可否を問うものと位置づけられていない』と書かれていることに固執をして、事業の廃止や取りやめなどに言及していない。県は、島根県知事を含め、今日、多くの知事、そして環境大臣までもが事業の廃止や取りやめに言及していることをどう受け止めているのか、県は、環境アセスメント制度の知事意見において、事業の廃止や取りやめを選択肢に含めるべきだが、尋ねる」
 この質問に平屋副知事が次のように答えました。
 「各県知事や環境大臣は、個別の事業計画ごとに、環境の保全の見地から、それぞれの立場で判断をされ、必要な意見を述べているものと受け止めている。環境影響評価は、事業の可否を問うものとは位置づけられていないことから、本県では、あくまでも環境の保全の見地から、環境への影響の回避または十分に低減するように、事業者等に対し、知事意見を述べている。そうした中で、事業の廃止や取りやめなどの表現は、事業の可否について言及したものと受け取られかねないことから、本県の知事意見には用いていないところであり、今後とも、環境影響評価法の趣旨に沿って、適切に対応していくこととしている」と答えました。
 私は、22年6月17日の一般質問において次のように指摘しました。
 「日本共産党山口県委員会が行った環境省との交渉の中で、森田紗世大臣官房環境影響評価課課長補佐は、環境影響評価法に基づき、事業が環境の保全に適正に配慮していないと判断した場合、県知事が事業の廃止に触れる「ことは可能であると答えた」
 この時の藤田環境生活部長の答弁も平屋副知事と同様のものでした。
 「(仮称)余呉南越前第一・第二ウィンドファーム発電事業」の環境影響評価準備書について23年3月20日に発表した知事意見の中で「あらゆる環境保全措置を講じてもなお、イヌワシ・クマタカのバードストライク等の重大な環境影響を回避または十分に低減できない場合は、事業の取りやめや、事業規模の大幅な縮小など、事業計画の抜本的な見直しを検討すること。」
 22年3月8日の質問で指摘しているように環境大臣が事業の廃止や取りやめに言及しているケースもあります。22年6月17日の質問で指摘しているように、環境省の環境アセスを所管する部署の担当者も知事意見で、事業の廃止や取りやめに言及できるとしているのに、山口県の頑なさは際立っています。
 私が調べた範囲でも、23年以後にも、滋賀県知事が、事業の取りやめに言及しています。
 私は、環境アセスでの知事意見に事業の取りやめや廃止について言及するよう引き続き、指摘を続けていきたいと思います。
 岩国の自然を未来へ手渡す会は、2月28日、5232筆の西中国ウインドファーム計画の撤回を求める署名を福田岩国市長に提出しました。
 2月28日、中国新聞は、「福田市長は、同市錦町の計画区域の一部が再生可能エネルギー発電事業に関する市条例で定める事業の抑制区域に当たるとの認識を示し『皆さんの思いを誠意を持って受け止めたい』とした」と報じました。
 岩国市は昨年12月「岩国市自然環境等と再生可能エネルギー発電事業との調和に関する条例」を定めました。同条例では、事業者に対し事業の抑制を求める区域を指定することができるとしています。
 具体的には、①砂防指定地②急傾斜地崩壊危険区域③地すべり防止区域④土砂災害警戒区域・土砂災害特別警戒区域⑤土砂災害危険個所・山地災害危険地区ーなど、17の抑制区域を設けています。
 私は、今日までに、所管の環境生活部へ県内市町での再生可能エネルギー発電事業に関する条例の制定状況について照会しました。結果は、後日報告します。
 地方自治研究機構によると、「太陽光発電施設の規制に関する条例」を制定している自治体は、今年1月10日現在、都道府県で8条例制定されています。制定している自治体は、兵庫県、和歌山県、岡山県、山梨県、山形県、宮城県、および長野県です。山形県は、再生可能エネルギーと規定し、太陽光発電施設だけではなく、風力発電施設なども対象としています。
 私は、過去の議会で、繰り返し、土砂災害警戒区域などでの再生可能エネルギー発電施設の立地を抑制する制限を設ける条例の制定を求めてきました。
 山口県で条例化が実現できように引き続き、発言を続けていきたいと思います。
 西中国ウインドファーム事業をはじめ、県内各地で、風力発電施設の計画が進められ、その計画に反対する住民運動も粘り強く続けられています。私は、住民運動に携わる皆さんの意見にさらに耳を傾け、発言を続けていきたいと思います。
 関係者の皆さん、藤本にお声がけください。
 風力発電施設などに関する皆さんの声をお聞かせください。

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