ブログ

希少動植物種アブサンショウウオが生息する場所に風力発電所をつくるなと知事へ申し入れ

 昨日、阿武風力発電所建設計画を考える会(浅野容子会長)、阿武・萩の未来を考える会(中村光則会長)、阿武風力発電所ちゃあなんか考える会(宮内欣二会長)は、村岡知事に、1011筆(紙署名914筆、オンライン署名97筆)の署名を提出しました。


 阿武風力発電所計画の中止を求め、署名と要望書を提出する浅野さん

 上記3団体は、2020年12月から、阿武町長、萩市長、山口県知事、経済産業大臣、事業者であるHSE株式会社に対し「北長門国定公園が一望できる山頂に高さ約150㍍の巨大風車を13基も建てるという阿武風力発電事業に同意および賛同できません。計画の中止を求めます!」とする署名を集めていました。
 署名は、山口県知事には「山口県には優れた景観条例があります。県北の景勝地である北長門国定公園および一連の山・川・海を守り、後世に残すために今こそ条例を活用してください。そして阿武風力発電事業に係る許認可を事業主に与えないでください。また事業実施想定区域内とその周辺には絶滅危惧種に指定されている動植物が生息しています。県北の自然遺産を後世に残すためにも当計画そのものに同意しないでください。」を求めています。
 署名を受け取った環境生活部の担当者は、「知事に署名の内容を伝える」と答えました。
 阿武風力発電所建設を考える会(浅野容子代表)、阿武・萩の未来を良くする会(中村光則代表)、阿武風力発電所ちゃなんか考える会(宮内欣二代表)、山里フォーラムのんたの会(あったか村)(白松博之代表)は、同日、村岡嗣政知事に「山口県阿武町に生息する『阿武サンショウウオ』の保護・保全に関する要望書」を提出しました。
 要望書は以下の通りです。
・・・
山口県知事 村岡 嗣政様
2023 年1月30 日

阿武風力発電所建設を考える会代表 浅野容子
阿武・萩の未来を良くする会代表 中村光則
阿武風力発電所ちゃあなんか考える会代表 宮内欣二
                   山里フォーラム のんたの会(あったか村)白松博之

山口県阿武町に生息する「アブサンショウウオ」の保護・保全に関する要望書

 日頃の県民のためのお働きに感謝いたします。
 私たちは、現在、HSE社が阿武町内で計画している(仮称)阿武風力発電事業が、阿武町や萩
市の豊かな自然環境と生態系に大きな影響を及ぼすのではないかと危惧しています。
 昨年6月にも事業予定地内に生息する絶滅危惧種アブサンショウウオの保護並びに生息地の保全
について要望いたしましたが、その後、阿武町内で新たな土木工事も行われるなどアブサンショ
ウオの生息状況がますます厳しくなっていると思われますので、再度、要望いたします。

                   記

 アブサンショウウオが絶滅危惧種として保護され、生息に不可欠な湿原が保全されるよう必要な
施策を早急に実施してください。環境影響評価知事意見においても触れておられているところですが、生息地で事業が計画されている(仮称)阿武風力発電事業に対して、より一層慎重な対応をお願いいたします。

 昨年1月に事業予定地内2カ所で住民がアブサンショウウオと思われるサンショウウオを見
つけ、京都大学研究チームにより「ほぼアブサンショウウオに間違いないと思う」という回答を得たことは、前回の要望書で述べたところですが、その後、今月にはいって事業予定地内10カ所で住民がアブサンショウウオの卵を見つけました(添付写真1)。

 現在、阿武町内の木与から宇田にかけて延長5・1㎞にわたる木与防災道路の建設工事が国土交通省によりすすめられています。この工事の様子は、工事を担当している建設会社の動画サイトの8本のアーカイブ映像で確認できます。時系列でみていくと、この地域の自然が大きく損なわれてきたことが確認できます。
 工事に伴う残土処理は通過地の自治体対応とされており、阿武町は耕作放棄地(休耕田)に着目し町内2カ所(山ノ口、惣郷)で残土処理場を建設中です。このうち山ノ口処理場は県道114号線沿いの休耕田で水田脇の溝が舗装されつつあり、これは「道路土工指針」に基づいたものだと町は説明しています。(添付写真2)木与防災道路については環境影響評価が行われたそうですが、公開されているかどうか確認できませんでした。町内2カ所の残土処理場については行われていません。
 アブサンショウウオが生息し、産卵する水田の溝や水たまり、山中の湿地、山際の湧水地が、このような形で狭められてゆくことに、私たちは危機感を覚えます。2019年に京都大学研究チームが発表した論文(注1)によれば、(仮称)阿武風力発電事業が計画されている地域はアブサンショウウオの生息地内に含まれています(注2)。(仮称)阿武風力発電事業計画が実施されることになれば、「環境の改変により簡単に絶滅する」(レッドデータブックやまぐち2019)とされているアブサンショウウオは絶滅の危機に瀕してしまいます。
 生物多様性基本法第3条の基本原則には、「生物の多様性の保全及び持続可能な利用は、生物の多様性が微妙な均衡を保つことによって成り立っており、科学的に解明されていない事象が多いこと及び一 度損なわれた生物の多様性を再生することが困難であることにかんがみ、科学的知見の充実に努めつつ生物の多様性を保全する予防的な取組方法及び事業等の着手後においても生物の多様性の状況を監視し、その監視の結果に科学的な評価を加え、これを当該事業等に反映させる順応的な取組方法により対応することを旨として行われなければならない。」とあります。
 県知事におかれましては、この基本原則に則り、同事業によるアブサンショウウオをはじめとする希少野生動植物への影響が回避されるよう、慎重な判断に基づき適切な指導を下されますよう再度お願いいたします。 
・・・
 要望書を受け取った環境生活部の担当者は「希少野生動植物を保護することは重要。要望内容を持ち帰る」と答えました。
 また、阿武風力発電所計画地の近くにアブサンウオが確認されたことについて環境生活部の担当者は、「事実を事業者に伝える」と答えました。
 上記4団体は、昨年6月2日に、同趣旨の要望書を県知事に提出しています。
 その中で、2022年1月アブサンショウウオが国が指定する「国内希少野生動植物種」になったことを指摘しました。
 山口県は、県希少野生動植物保護条例を2005年に制定し、これまで4種の希少野生動植物種を指定しました。
 知事は、希少動植物種の管理区域を指定し、管理区域で工作物を新築する等の場合は、知事の許可を受けることになっています。
 私は、「国の希少野生動植物種であるアブサンショウウオを県の希少野生動植物種にすべきだ」と質しました。
 環境生活部の担当者は「専門家に、本日提供いただいたオブサンショウウオに関する情報を伝えたい」と答えました。
 この問題に関する皆さんのご意見をお聞かせください。

トラックバック

コメントはまだありません

No comments yet.

コメント

コメント公開は承認制になっています。公開までに時間がかかることがあります。
内容によっては公開されないこともあります。

メールアドレスなどの個人情報は、お問い合せへの返信や、臨時のお知らせ・ご案内などにのみ使用いたします。また、ご意見・ご相談の内容は、HPや宣伝物において匿名でご紹介することがあります。あらかじめご了承ください。