私のパートナーは、日本福祉大学の二歳後輩です。パートナーとは、大学の同じサークル「ヤジエセツルメント」で知り合いました。
先日、ヤジエセツルメントのパートナーと同期=私の後輩二人が我が家を訪ねてきました。
私は、後輩と金子みすゞ記念館を久しぶりに訪ねました。
記念館で、今年7月に発行された「金子みすゞ童謡全集」を購入しました。
「金子みすゞ童謡全集」の巻末には、金子みすゞ記念館の名誉館長の矢崎節夫さんの文章が寄せられています。
矢崎さんは、大学1年の時、みすゞの「大漁」に出会った時のことをこう綴っています。
「金子みすゞという名前と『大漁』という一遍の作品に出合ったのは、1966(昭和44)年、岩波文庫の『日本童謡集』の中であった。初めて『大漁』を読んだ時、大学1年の私にとって、その本に入っている他の87人の三百数十編が一瞬にして消えてしまうほどの衝撃だった。人間側からだけでなく、鰮側からも見る深い、優しいまなざしに驚いたのだ。」
矢崎さんは、みすゞが遺稿を残した様子を次のように書いています。
「(1926年)11月愛児誕生。しかし、夫は妻であり母であることだけを望み、童謡を書くこと、童謡仲間との文通を禁じた。みすゞは三冊の遺稿手帳を清書、一組を西條八十に送り、一組を弟正祐に『ふたりだけにわかってもらえればいい』と手渡し、筆を絶った。」
矢崎さんは、1982年に、みすゞの実弟・上山正祐さんから、みすゞ直筆の三冊の遺稿童謡集を預かります。
今回の「金子みすゞ童謡全集」は、みすゞ生誕120年、童謡創作100年を記念して、みすゞが遺した三冊の遺稿童謡集を1冊にして刊行したものです。
NHKのラジオ文庫からみすゞの童謡の朗読を聴いています。
「大漁」の鰮の側からも見る深い、優しいまなさしは、他の詩でも感じることができます。
例えば、「土」です。
・・・
土
こっつん、こっつん、
打たれる土は、よい畑になって、
よい麦を生むよ。
朝から晩まで、
踏まれる土は、
よい路になって、
車をとおすすよ。
打たれぬ土は、
踏まれぬ土は、
要らない土か。
いえいえ、それは、
名のない草の、
お宿をするよ。
・・・
「大漁」は漁師の生活を謳った詩ですが、土は、農家の生活を謳った詩でしょう。
私は、農家ですので、「土」に深い愛着を感じます。
みすゞの童謡で「大漁」とともに有名な作品に「私と小鳥と鈴と」があります。
「みんなちがって、みんないい」はあまりにも有名です。
「土」には、打たれない土、踏まれない土に対する優しいまなざしとともに、それ以外の土であっても「みんないい」というより深い優しいまなざしが注がれています。
金子みすゞは、生誕120年。私の祖母と同世代です。
100年以上前の作家である金子みすゞの童謡は、今に生きて、私たちの心を揺さぶります。
「大漁」や「私と小鳥と鈴と」や「土」を感じる気持ちがあれば、戦争は起きないと思います。
戦後77年目の昨日でしたが、新しい戦前を迎えないためにも、郷土の童謡作家・金子みすゞの詩を地元・山口県から発信したいと思います。
私の家にある全集は二冊目です。
反戦川柳作家の「鶴彬全集」、そして、「金子みすゞ童謡全集」です。
二つの全集を座右に置いて、明日を生きていこうと思います。
相手の事を思いやる気持ちが一番大切だと肝に銘じようと思います。
金子みすゞへのあなたの思いをお教え下さい。
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