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ピエール・ルメートル著「監禁面接」を読む

 今日と明日、大雪で、予定が全てキャンセルとなりました。
 11日から日常が戻るといいのですが。
 困るのは、生活と仕事に欠かせないものが枯渇することですね。
 例えば、灯油。仕事では、プリンターのインクと紙がなくなりました。
 車での移動は出来そうにありませんので、バスで買い物に出ようと思います。
 さて、今日は、フランスのミステリー作家・ピエール・ルメートルの「監禁面接」について書きたいと思います。
 日本では、「その女アレックス」が「本屋大賞」翻訳小説部門で第1位となり、日本での多くのファンを持つのが、ピエール・ルメートルさんです。
 本ブログでも度々紹介しているように、私も彼の作品のいくつかを読んでいます。
 まず、文庫の裏表紙さら本作品の概要を紹介しましょう。
 「リストラにあい失業4年目のアラン、57歳。再就職も出来ずアルバイトで糊口を凌いでいたところ、一流企業の最終試験に残ったという朗報が届く。しかしそれは『就職先企業の重役会議を襲撃し、重役たちを監禁、尋問せよ』なるものだったー。予測不能、驚天動地。知的企みに満ちたノンストップ・サスペンス!」
 ピエール・ルメートルらしい驚天動地の小説ですが、この作品は、彼の作品の中でも社会性の強い作品だと思います。格差と貧困が拡大する資本主義社会へのアンチテーゼ一杯の作品です。
 文中に次のようなくだりがあります。
 「『汚いのは社会だ』と言ってみた。『失業者じゃない』」
 「今日では、従業員は企業試算の保全に対する『最大の脅威』と見なされている」
 「入ろうとする人間が出ていく人間を選ぶという究極の押し出し方式。資本主義がついに生み出した永久機関。」
 「おれにこんなことをさせる社会システムをけっして許すまい。」
 本書の解説で諸田玲子さんが次のように書いています。
 「今、世界は、危機的状況にある。本書でも描かれているように、手段をえらばず暴利をむさぼる大企業がある一方で、人格さえ認められずに首を切られる失業者や低賃金にあえぐ非正規雇用者が数多いる。しかもコロナ禍で、失業者は増加の一途をたどっている。格差や差別がこれ以上蔓延すれば、社会への恨みがところかまわず爆発するにちがいない。第二第三のアランが生まれる土壌は、日々、醸成されているのだ。本書はまさに時流の正鵠を射ている。フランスで発売されたのは2010年だそうだが、今こそ必読の書といえるのではないか。」
 「仕事を奪うな。失業者を増やすな。だれもが働ける社会をつくれ。アランの怒りを通して、ルメートルの声が聞こえてくる。怒涛のサスペンス巨編は、私たちに生きる意味を問いかける真摯な一冊でもあった。」
 日本共産党は、総選挙に向けて「新しい日本をつくる5つの提案」を行っています。
 第一は、「新自由主義から転換し、格差をただし、暮らし・家計応援第一の政治をつくる」です。
 この中に次の項目があります。
 「人間らしい雇用のルールをつくります。コロナ危機で最も深刻な打撃を受けているのは、非正規労働者、フリーランスの人々、とりわけ女性と若者です。労働法制の規制緩和路線を抜本的に転換し、最低賃金を時給1500円に引き上げ、8時間働けばふつうに暮らせる社会をつくります。」
 これまでの選挙政策は野党として政府に実行を迫っていくものでしたが、今回の提案は、野党連合政権が実行する「政権公約」に向けた日本共産党の提案です。
 第二第三のアランを生まないために、今こそ政権交代が必要です。
 「監禁面接」を読んで、政治の転換の必要性を感じました。
 この作品は、フランスでドラマ化され、ネットフリックスで視聴することができます。
 ドラマ作品もとても良く出来ています。小説とドラマに多くの方に触れていただきたいと思います。
 大雪での巣ごもり生活も悪くはないと思う日々です。
 皆さんは、いかがお過ごしでしょうか。
 

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