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憲法違反の敵基地攻撃能力の保有は認めない

 昨日のしんぶん赤旗日刊紙「シリーズ 日本共産党国会議員団(苦難に寄り添い国政を動かす)」⑨は、「『敵基地攻撃』対峙」として次のように報じました。
 「安倍前首相は、通常国会閉会後の6月、陸上配備型迎撃ミサイルシステム『イージス・アショア』の計画破綻を口実に敵基地攻撃能力保有について徹底的に議論し、速やかに実行に移す考えを表明。退任直前の9月には首相談話を公表し、後継政権に対し年内に『あるべき方向』をとりまとめるよう求めました。退任する首相が憲法に反する安全保障政策の大転換を方向付けようとするなど前代未聞のことです。『敵基地攻撃能力保有は戦後日本のあり方を根本的に変える危険な動きだ』。赤嶺氏は語ります。歴代政権は『専守防衛』を強調し、『平時から他国に攻撃的な脅威を与えるような兵器を持つことは憲法の趣旨ではない』との見解を示してきました。どさくさまぎれの憲法破壊の動きに党国会議員団は正面から反対の論陣を張ってきました。赤嶺氏は7月8日の衆院安全保障委員会で『憲法9条をなきものにする危険な動きは断じて容認できない』と指摘。また井上哲士参院議員の追及で、河野太郎防衛相(当時)は敵基地攻撃の対象として防空用レーダーや対空ミサイル、移動式ミサイル発射機、ミサイル地下施設など広範囲の施設が含まれると認めました(同9日、外交防衛委員会)。安保法制強行から5年の国会前集会で、志位氏は河野答弁を紹介し、敵基地攻撃は『相手国の領域に乗り込んでミサイル基地をしらみつぶしに攻撃して、焼け野原にしてしまうもの。憲法9条のもとで認められるわけはない』と告発しました。『安倍政権の継承』を掲げて発足した菅政権は、12月18日の閣議決定で『抑止力の強化について引き続き検討を行う』として、結論を先送りすることを決めました。世論の批判を恐れたものですが、その一方で敵基地攻撃能力につながる新たな長距離誘導弾の開発を決定。憲法9条をめぐるせめぎあいが続いています。」
 20日、「イージス・アショア配備断念と敵基地攻撃能力」をテーマに「YU学び舎」が開かれ参加しました。
 この中で、山口大学教育学部の松原幸恵先生が「敵基地攻撃能力の保有は憲法違反」と題して講演を行いました。

 


YU学び舎で「敵基地攻撃能力保有論の問題性」について講演する山口大学教育学部の松原先生 

松原先生は、「敵基地攻撃能力保有論(以下、保有論)の問題性」として5点を取り上げました。
 第一は、「憲法の範囲内」「国際法遵守」という論理の問題性です。
 松原先生は、この保有論は、憲法9条2項に違反する疑いがあると指摘しました。
 また、国連憲章51条に「自衛権の発動の要件は『武力攻撃が発生した場合』」とあり、国際法違反の疑いがあると指摘しました。
 更に松原先生は、自衛隊法76条1項1号に「我が国に対する外部からの武力攻撃が発生した事態又は我が国に対する外部からの武力攻撃が発生する明白な危険が切迫していると認められるに至った事態」とあり、保有論は、自衛隊法に違反する疑いがあると指摘しました。
 第二は、「専守防衛の考え方に変更はない」という論理の問題性です。
 松原先生は専守防衛について「相手から攻撃を受けたときに初めて防衛力を行使し、その防衛力行使の態様も自衛のための必要最小限にとどめ、また保持する防衛力も自衛のための必要最小限度のものに限るといった受動的な防衛戦略」と説明しました。
 その上で、松原先生は、「敵基地攻撃能力の保有は、『矛』としての米軍・『盾』に徹する日本という役割分担の関係を変えるもの」と指摘しました。
 第三は、「相手領域内」の『相手』とはどこの国かという問題性です。
 松原先生は、「仮に北朝鮮を「相手」とした場合、朝鮮有事であり、朝鮮国連軍(韓国を含む18カ国)の了解なしに攻撃は不可能であるし、どうやってミサイル基地(移動式・地下式)の場所を把握するのか」と指摘しました。
 第四は、「国民を守るため」「抑止力の強化」という理論の問題性です。
 松原先生は「周辺国への影響を考えると、むしろ軍拡競争に拍車がかかるのでないか。」と指摘しました。
 第五は、巨額の費用がかかるという問題性です。
 松原先生は、「敵基地攻撃能力の保有は、巨額の費用がかかる問題性がある。」と指摘しました。
 冒頭引用した赤旗報道にあるように、菅政権は、12月18日の閣議決定に安倍前首相が談話で示した年内に敵基地攻撃能力保有について「あるべき方策」を示す結論は先送りしました。
 志位委員長が指摘するように敵基地攻撃能力の保有は「憲法9条のもとで認められるわけはない」ものです。
 松原先生の講演を聞いて、志位氏の指摘の意味を深く学ぶことができました。
 赤嶺氏が指摘するように「敵基地攻撃能力の保有は、戦後の日本のあり方を根本的に変える危険な動き」そのものです。
 敵基地攻撃能力の保有は許されません。憲法9条をめぐるせめぎあいが続いています。憲法9条を守り、日本と北東アジアの平和を守っていきましょう。
 菅政権は、敵基地攻撃能力の保有の検討を継続しています。この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

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