議員日誌

映画「顔のないヒトラーたち」

 村瀬広著「映画は戦争を凝視する」で紹介されている作品の内、宇部市内最大のレンタルビデオ店に在庫のある映画をこの間、観ています。

 「在庫なし」が多い中で、いくつかの作品を観ることができました。その一つ一つが貴重な作品ばかりでした。

 この中で、今日は、2014年にドイツで製作されたジュリオ・リチャレッリ監督の「顔のないヒトラーたち」という作品を紹介したいと思います。

 この映画は、ドイツ人がドイツ人を裁いたアウシュヴィッツ裁判(1963年12月20日~1965年8月10日)に至るまでを描いた作品です。

 主人公は、検察官のヨハン。検察総長フリッツ・バウアーは、検察組織の大半の反対を押し切ってヨハンに調査を命じます。

 村瀬さんは、アウシュビッツ裁判までの経過とこの映画の意義について次のように書いています。

 「紆余曲折の5年余の準備期間を経て、1963年から1965年にかけて、西ドイツ・フランクフルトで裁判が開かれ、ホロコーストに関わった22人がドイツ人自身によって裁かれたのである。これがいわゆるアウシュヴィッツ裁判であるが、戦後70年の今日、アウシュビッツ裁判自体を知らない人が多くなり、この映画を製作する意味があった。」

 村瀬さんは、西ドイツと日本の戦争犯罪の裁判での向き合い方の違いについてこう書いています。

 「西ドイツは1979年に悪質で計画的な殺人については時効を廃止し、現在も毎年のように90歳以上の元親衛隊員が逮捕され、裁判が行われている。法律解釈を厳しくし、ナチスの収容所で働いていたことが立証されると、殺人幇助と断定される。対して日本の場合はどうか。日本の司法当局が日本人を訴追したことはなく、戦争犯罪の追及は東京裁判だけで終わっている。自国の戦争犯罪と真摯に向き合わない日本は、戦後70年を経ても、中国や韓国との真の和解が得られず、相互の歴史認識の溝を深めている。ドイツに学ぶところは大きい。」

 2012年にアメリカで製作されたピーター・ウェーバー監督の映画「終戦のエンペラー」を観ました。

 この映画は、終戦直後にマッカーサーGHQ最高司令官から、フェラーズ准将が、天皇の戦争責任を10日間で調査するよう極秘命令を受けて、どのような調査を行ったのかを描いた作品です。

 村瀬さんは、この映画が触れていないことがあると次のように書いています。

 「天皇が『あと(一撃)の戦果にこだわり、降伏受諾が原爆投下以後になったことも触れられていない。」

 村瀬さんの「自国の戦争犯罪と真摯に向き合わない日本」との指摘を肝に銘じて、これまで歩んできたこの国の道を振り返り、未来を創造したいとこの二つの映画を観て考えさせられました。

 この本に紹介されている映画の数々を観ているとまさに「映画は戦争を凝視する」のだということを痛感しました。

 見逃した作品についても、別の方法で、観ていきたいと思います。

 映画は、時代を写す鏡なのでしょう。これからも多くの映画から学びたいと思います。

 さて、昨日から、30日に行われる新型コロナ対策の補正予算を審議する議会で行う質疑の原稿を書き始めました。

 今、3分の2あたりを書いているところです。

 全国の状況を調査しながら、県民の命と暮らしを守る論戦を引き続き準備したいと思います。

 引き続き、新型コロナウイルス感染症対策に対する皆さんのご意見やご要望をお聞かせ下さい。

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