公益社団法人全国自治体病院協議会主催で東京都・全国町村会館で行われた、地方議員を対象にした講座「地域の医療を守るために -地方議会議員への期待-」を昨日、受講しました。
講師は、城西大学経営学部・伊関友伸教授でした。
全国自治体病院協議会主催の学習会での伊関教授
伊関教授は、埼玉県庁出身で、公立病院の経営問題の権威です。現実を捉えた指摘に何度も頷きました。
講演の前半は、厚生労働省が、昨年9月に発表した公的病院424の再編リストについてでした。
リスト発表直後、伊関教授は、NHKなどのインタビューに次のように応えました。
①(対象病院の)数が多すぎる。事前に予告等もないままにやるので各病院で働く人や患者に不安を与える可能性が高い。
②「あの病院は危ない」と風評被害さえも起きかねない。
③病院の統合再編の議論は地域住民を巻き込みながら行う必要がある。
④統合や再編の必要性が高い地域もあるのでそういうところはちゃんと進める。丁寧な議論が必要である。
⑤やらない決断があって良い。地域が主体的に考えるべき。
その上で、伊関教授は次のように述べました。
「現場の現状を反映しない再編統合はかえって地域医療を破壊することにつながり反対する。反対が多くかえって統合再編が進まなくなる。」
更に、伊関教授は、厚生労働省の再検討要請の問題点について以下指摘しました。
①全国一律で急性期病院の診療実績下位33%で線をひいたため、へき地の中小病院が数多く対象とされた
②全国一律で自動車20分の距離が適応され、積雪や山間地などの実情を考慮していない
③病院に予告なく行われたため、病院職員や住民・患者に不安を与えた
④再検証期間が1年間と短い
伊関教授は、「自治体病院の統合再編は地方自治の問題」と結論づけました。
伊関教授は、この点について具体的に「地域医療構想は国の医療政策である。しかし具体的な自治体病院の統合再編の問題になれば地方自治の問題になる。自治体病院の運営は、地方自治体の自治事務である。厚労省医政局はこのことを全く理解していない。中央集権で、一方的な数字一つで地方が動くと考えている。」と指摘しました。
伊関教授は、自治体病院について「医療機関がなくなればその地域の住民は生活できなくなる。医療機関は地域の生命線である。知恵とお金を使って存続させていくことが重要」と指摘しました。
伊関教授は、「高齢化が進む地方において、病院や福祉施設は数少ない将来を見込める産業である。産業振興の観点で病院や福祉施設を考えるべき」だと指摘しました。
地方の自治体病院を数多く見学したという伊関教授の渾身の訴えに頷くことの多い講演でした。
学んだことを今後の議会での論戦に生かしていきたいと思います。
伊関教授、すばらしい講演をありがとうございました。
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