議員日誌

「イージス・アショアを追う」読書ノート①

 日本共産党第28回党大会の会場で、秋田県委員会書記長さんにお会いして、秋田魁新報取材班編「イージス・アショアを追う」という本が出版されていることを知りました。

 早速、注文して、昨日、私の手に届きました。

 秋田魁新報社長・佐川博之さんの「はじめに」は圧巻です。

 「そもそも、なぜ配備候補地が秋田と山口なのか。だれもが感じる率直な疑問に対する防衛省側の説明は『日本全土を守ることができるから』など歯切れが悪いものでした。『首相と官房長官の出身地ならば、配備計画が安易に進むとみたのではないか』。そんな憶測も飛び交う始末です。そのころ講演のため秋田市を訪ねたある元防衛官僚がこんな指摘をしました。『北朝鮮の標的はあくまでも米国。位置関係からして、秋田はハワイの、山口はグアムのそれぞれの米軍基地を守るための最適候補地なのでしょう』。すとんと腑に落ちる指摘でした。」

 「だがそれば事実だとして、取材活動の拠点を秋田に置く自分たちが、日米安全保障の下、国家間で取り決めた事項の真相にどこまで迫れるだろうか。記者たちが言い知れぬ戸惑いや不安を覚えていたのは事実です。そんな記者たちを後押ししたのが、学校や福祉施設が立ち並ぶ住宅街に隣接している土地が、配備候補地の適地であるわけがない、というゆるぎない信念でありました。」

 「秋田魁新報社はことし2月に創刊145年を迎えました。明治7年創刊の遐邇新聞が前身ですが、その後、『秋田日報』『秋田新報』『秋田民報』など題字を次々に変えた歴史があります。それは官権力による発行停止処分、すなわち言論弾圧との闘いの歴史でもありました。社是は『正を蹈んで懼るる勿れ』。自ら正しいと信じるものであれば、何も恐れず果敢に挑めという、戒めでもあります。編集現場に限らず全社員が胸に刻んでいます。」

 「イージス・アショア配備をめぐる『適地調査、データずさん』のスクープと一連の報道』は、昨年9月、2019年度新聞協会賞に選ばれました。

 新聞協会の選考理由は次の通りです。

 「秋田魁新報社は、ミサイル迎撃システム『イージス・アショア』の配備候補地選定を巡る防衛省の調査報告書に事実と異なるデータが記載されていることを、2019年6月5日付1面で特報した。調査書を丹念に読み込む中で浮かんだ地形断面図への疑問から、独自調査を重ねて事実を明らかにし、防衛省の配備計画のずさんさを暴いた。この特報により、防衛省が調査の誤りを認め大臣が謝罪するとともに配備候補地の再調査にもつながった。地元新聞社が国家の安全保障問題に真正面から向き合い、1年余りの多角的な取材・報道の蓄積をもとに、政府のずさんな計画を明るみに出した特報は、優れた調査報道として高く評価され、新聞協会賞に値する」

 「自らが正しいと信じるのであれば、何も恐れず果敢に挑め」の社是が、今回の新聞協会賞受賞に結びついたのでした。

 佐川社長の「はじめに」は、「だれもが情報を自在に受発信できるSNS隆盛の時代にあって、新聞など紙媒体の衰退が叫ばれています。しかしながら、新聞情報の正確さは何ものにも負けないという自負があります。新聞記事は憶測や根拠なき伝聞を徹底排除し、自らが見聞きし、掘り起こした事実の積み重ねで成り立っています。本書から、そんな仕事に打ち込んでいる記者たちの息遣いとともに、地方新聞記者の情熱や気概といったものを、少しでも感じていただければ幸いです。」

 本書には、記者の部署や実名が明記され、情報を整理する息遣いが伝わる記述となっています。

 2017年にアメリカで製作された「記者たち 衝撃と畏怖の真実」という映画を思い出しました。

 この映画は、「ナイト・リッター」という決して大きくない新聞社が、イラク戦争の真実を暴露していく物語です。

 この映画は、真実を追う記者の息遣いが伝わる作品です。

 映画での「ナイト・リッター」の記者たちの姿は、「イージス・アショアを追う」秋田魁新聞の記者たちの姿そのものです。

 「イージス・アショアを追う」は、優れたドキュメンタリー小説とも言えます。

 引き続き、秋田魁新報取材班編「イージス・アショアを追う」から学んでいきたいと思います。

 

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