議員日誌

一八

 今年に入ってから刊行が始まった「落語 昭和の名人 極めつき(CDつきマガジン)」を聴き続けています。

 最新号が18号で三遊亭可楽師匠の特集です。

 今日は、一八のことを書こうと思います。

 本シリーズで、「一八」を初めて知ったのが、橘家圓蔵師匠の特集です。

 TBSラジオ「ビアホール名人会」で収録された落語が音源で、噺の後の鈴木治彦アナウンサーとのトークも収録されています。

 このトークの中で、圓蔵師匠が、「一八企画」というプロダクションを始めたことを語っています。

 その時に、「一八」という言葉が頭に残り、シリーズ17号で古今亭志ん朝師匠の「愛宕山」を聴いてなるほどと思いました。

 「愛宕山」の主人公は幇間の「一八」です。ウイキペディアによりますと幇間とは「宴席やお座敷などの酒席において主や客の機嫌をとり、自らの芸を見せ、さらに芸者・芸妓を助けて場を盛り上げる職業」とあります。

 一八は、小判に目がくらんで大騒動を繰り広げます。

 志ん朝師匠が軽妙に幇間の一八を演じます。粋な芸とはこのような語りを言うのでしょう。

 もう一つ、幇間の一八が登場するのがシリーズ14号、三代目春風亭柳好師匠の「鰻の幇間」です。

 「鰻の幇間」の幇間は「野だいこ」だとあります。

 マガジンに「野だいこ」とは、特定の花柳界に属さないで商売をする人たちのこととあります。

 三代目柳好師匠は、主人公の幇間の名前を「半八」と名乗っていますが、「一八」と名乗り演じる師匠も多かったようです。

 三代目柳好師匠の軽妙さは群を抜いているという感じです。

 三代目柳好師匠は、1956年に67歳で急逝しておられますので、戦中・戦後活躍した落語家です。

 マガジンによると柳好師匠は、戦前、一時は落語家をやめて幇間になったりしたこともあったとあります。

 音源は、柳好師匠亡くなる前年1955年の寄席の噺ですが、戦前に実際に幇間を経験した師匠の演じる軽妙さを出せる落語家は今後出ないでしょう。

 落語を聴く私たちの生活環境も激変している訳でもありますから。

 一八が登場する落語は、軽妙さと同時に「悲哀」も感じる噺になっています。

 落語はつくづく人間を深く洞察した作品が多いことを痛感します。

 しかし、落語の底抜けの明るさを象徴しているのが「一八」が登場する落語でしょう。

 不寛容な時代と言われる今だからこそ、「一八」が登場する落語で笑いたいと思います。

 落語とQEENを聴きながら、9月県議会を乗り越えたいと思います。

 落語好きの皆さん、好きな演目をお教え下さい。

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