議員日誌

「ときを紡ぐー昔話をもとめて」読書ノート①

 口承文芸学者の小澤俊夫さんのインタビューが16日の中国新聞に掲載されていました。

 小澤俊夫さんは、小澤征爾さんのお兄さん、歌手の小澤健二さんのお父さんです。

 私が、宇部市PTA連合会総務委員長をしていた時、読み聞かせをされている団体の方から、小澤俊夫さんを講師とした学習会を合同でやらないかとの申し出がありました。

 私は、その時まで、小澤俊夫さんの事を知りませんでしたが、宇部市民会館での学習会で先生のお話しをお聞きして以来、傍観者の域を出ませんが、小澤俊夫さんに注目してきました。

 その後、宇部市で行われた「昔ばなし大学」を聴講し、小澤先生の昔話の講義を何度か聞かせていただきました。

 その当時、雑誌「子どもと昔話」を購読しており、小澤先生の平和主義のお考えを拝察し、本ブログで紹介したこともありました。

 この程、小澤さんの自叙伝とも言える「ときを紡ぐ-昔話をもとめて」を読み、改めて、先生の平和主義の考え方に幾度となく共感しました。

 今日から数回にわたって、先生の言葉を引用しながら感想を述べていきたいと思います。

 小澤さんが小学生の頃、北京に暮らしておられました。

 ある日、人力車から日本兵が降りのを目撃します。

 その日本兵は、代金を払いません。中国人の車引きが料金をせがむと軍人は、軍刀を途中まで抜いてどなりつけます。

 その姿を見て小澤さんは次のように語っています。

 「この日本兵にも家族があるだろう。家族はこの人がこんな横暴な、野蛮な人だということを知っているだろうか、とぼくは思った。知っているはずはない。日本人はみんな、自分の夫は、父は、息子は、恋人は、天皇陛下のために聖戦に身を投じている勇者なのだと思っているだろう。そう思うと、ぼくは心の底から悲しかった。なぜだかわからなかったが、ものすごく悲しかった。」

 小澤さんが北京で病院に作業に行き傷痍軍人の人からこんな話を聞きます。

 「軍隊が進軍していって、村に近づき、畑でおばあさんが働いていると、必ず射殺した。なぜなら、日本軍が近づいてきたことを中国軍に知らせるからだ、スパイをするからだと、当然のようにいっていた。村に入ると、にわとりや豚を食料として調達した。軍票(軍隊が発行するお金)で買うこともあったが、ほとんどの場合は奪ったということだった。それらのことを、日本の傷痍軍人たちが、ぼくら子どもに得意になって話していた。南京攻略に参戦した兵隊がいて、てこずったときには毒ガスを使ったと、これも得意になって話してくれた。」

 戦中に中国に滞在した経験を受けて小澤さんは、現在の政治の問題点を次のように指摘します。

 「今にして思うと、このギャップが、戦後後になっても、日本人全体の、あの戦争に対する認識の誤りとして、いつまでも尾を引くことになったのである。つまり、日本の建前としては、日本が大東亜共栄圏の盟主として、アジアの国々を欧米の支配から解放してやることが戦争の目的だった。しかし実際には、アジア人に対して悪鬼のような振る舞いをしていたのである。中国、韓国をはじめアジアの人たちは、今もってこの悪鬼のような日本人を責めているのである。ところが、日本国内では、建前としての戦争しか知らない。しかも、戦争で心ならずも命を失った日本軍人ばかりを神として崇拝している。そればかりか、あの戦争を指導した軍や政治の指導者たちをも神として祀って、そこに首相が参拝しているのである。アジアの人たちが怒るのは当然と言わざるを得ない。」

 不破哲三社研所長は、日本共産党95周年記念講演会で、「安倍政治」について「戦前の態勢に戻りたい、『戦前回帰』という『日本会議』系のウルトラ右翼の怨念を大きな特徴としたものです。」と指摘しました。

 安倍内閣の閣僚が靖国神社参拝を繰り返し、首相自身も玉ぐし料・真榊の奉納を続けていることは、侵略戦争を美化する行為です。

 在日韓国・朝鮮人や中国人を罵倒するヘイトスピーチが根絶されません。

 安倍政権は過去の侵略戦争を反省しない政権だから、安保法制=戦争法を成立させ、憲法9条を改定して日本を戦争する国にしようとしているのではないかと思います。

 小澤俊夫さんの「ときを紡ぐ」を読みながら、今日の政治に対峙していきたいと思います。

 明日以降も、この本の読書ノートを続けていきたいと思います。

 小澤さんは、中国新聞でのインタビューで「平和ってさ、そんなに軽いもんじゃない。やっとの思いで手に入れたんだぜ。その重みを少しでも考えてもらえるような材料を残したかった」と語っています。

 小澤さんの本を座右に置いて、この夏、日本と世界の平和を考えていきたと思います。

 

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