議員日誌

沖縄と地位協定

 11日付の中国新聞に「沖縄と地位協定」と題する東京外国語大学大学院の伊勢崎賢治教授の文章が掲載されていました。

 この文章を読むと、日米地位協定の後進性をよく理解することができます。

 伊勢脇教授は、まず、日米地位協定のそもそも状況について述べています。

 「公務内」であれば、米国に1次裁判権があり、軍人であれば米軍法で、今回のように軍属であれば軍事域外管轄権法で裁かれます。

 「公務外」では、軍人も軍属も日本に1次裁判権があるとされているが、米軍が容疑者を差きに確保したら、身柄は日本側に渡さなくてもよいしくみです。

 次に伊勢崎教授は、アフガニスタンでの状況について述べています。

 1次裁判権は、米国・NATO側にある。とした上で「軍法廷を含む全ての裁判権行使にアフガン政府関係者を立ち会わせるなど、アフガン側に非常に気を使った内容となっている。民間軍事会社については全てにおいて1次裁判権をアフガン側に与えている。」と述べています。

 その上で、アフガンの状況と日本の状況を比較してこう述べています。

 「1960年以来、一字一句変わらない日米地位協定には民間軍事会社の記述はないが、イラクで人権侵害の国際問題を起こした民間軍事会社の一つが、日本で軍属として地位協定の特権を得ていた。米軍と契約関係にあるのはあくまで、その会社であり、そこで働く個人は米軍の直接的な管理下にはないにもかかわらずだ。この点で、裁判権を巡る日本の地位はアフガンのそれより低いと言える。」

 更に伊勢崎教授は、NATOや韓国・フィリピンの地位協定に互恵性があることを指摘し、最後にこう指摘しています。

 「日本は『基地を置く側』としての地位協定を持つ。自衛隊が駐留するジブチだ。日本とジブチ間の地位協定では『公務内』『公務外』とも1次裁判権は日本にある。これを日本外交の成果を誇るかのように閣僚がいったのは民主党政権の時代だった。全ては日本人の『無関心』ゆえだ。」

 伊勢崎教授が冒頭で指摘した「日米地位協定は互恵的ではない。特権を受けるのは、基地を置く米国側のみであり、日本側にはない。」ことに対する怒りが込み上げてきました。

 伊勢崎教授がこれまた冒頭で指摘した「国内に国内法が及ばない世界をつくることをどう考えるか」。

 この小論を読んで、日本人が「無関心」になるのではなく、自らの問題として「沖縄と地位協定」の問題を捉えていく時だと感じました。

 皆さんは、互恵的ではない日米地位協定をどうお考えですか。

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