東京外国語大学大学院教授の伊勢崎賢治さんの「新国防論」を読んでいます。
戦争が起こるメカニズムとして「湾岸戦争のヒロイン」=「ナライの証言」が出ています。
ナライは、おさげ髪の15歳の少女。湾岸戦争前夜のアメリカ連邦議会下院の人権議員集会でナライが証言します。
「私が働いていた病院にイラク兵たしは突然乱入してきました。生まれたばかりの赤ちゃんが並ぶ保育器をみつけると、一人ずつ床に放り出して、保育器を奪っていったのです。赤ちゃんは冷たい床の上に次々と・・・」
ブッシュ大統領は、フセインを「ベビーキラー」と呼び、イラクへの空爆を開始し湾岸戦争が始まりました。
伊勢崎教授は「ところが終戦後のクウェートにメディアが入り始めると、証言は全くの嘘だったことがわかります。ナライには別の本名があり、実はクウェート在米大使の娘でした。このクウェート大使館は、『クウェートの自由のための市民運動』というNGOを立ち上げていました。アメリカのPRコンサルタント会社がこのNGOと契約して、台本を担当。フセインの蛮行をアピールするNGOの広報キャンペーンの戦略づくりをしていたことも明らかになったのです。」と指摘します。
更に、湾岸戦争の今日的状況について伊勢崎教授は「開戦の正義となった、フセインとアルカイダのつながりも、大量破壊兵器の保有も、その後、アメリカ自身によって否定されています。開戦の正義は全否定されたのです。」
あの湾岸戦争は、アメリカがつくった戦争であったことが明らかになりました。
伊勢崎教授は、戦後の日本は、「アメリカがくしゃみをすると風邪を引く」状態であるし「アメリカの軍事的な『国際貢献』に協力しないと見放される」トラウマを自分自身に課すまでになっていると指摘します。
IS掃討の名でアメリカが日本へ何らかの要請をする日も近いでしょう。
湾岸戦争を作ったアメリカの姿勢を冷静に見つめ直すことが、今の日本に求められていることを伊勢崎教授の本で学びました。
引き続き、伊勢崎教授から多くの事を学んで行きたいと思います。
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