数日前、玄侑宗久さんがラジオのインタビューで発言されていました。
玄侑さんは、福島県三春町在住です。
震災当時、長編小説を書き始めたところだったそうです。
その後は、この作品を書き進めてはいないと玄侑さん。
「原発問題を中心に震災と向き合い、多くの情報を発信している」と公式サイトのプロフィールにあります。
「原子力村の大罪」という本にも名を連ねている玄侑さん。少し作品が読んでみたくなり、「龍の棲む家」を読んでいます。
父が痴呆症となり、次男の幹夫が介護する日々を綴った物語です。
散歩中に知り合った介護のプロの佳代子が良い役割を果たしています。
「自分がいつでも負担をかける加害者で、相手が被害者であることに、あるとき耐えられなくなって、その必死な心の表現として、きっと妄想は発動するんです」と佳代子。
佳代子は、この関係を逆転させるために、父から書道を習いはじめます。
「お習字を習うことで、父さんもお世話する側にまわれるから、お世話される一方じゃなくなるし、それでバランスがとれるってこと?」と幹夫が佳代子に問い直します。
大切な視点だと納得しました。
玄侑さんは、現役の僧侶でもあります。
「誰でも無限の道に通じる過剰があるかもれないと思った」など難解な表現が出てきます。
この難解を難解として心に留めておくことができるのも玄侑さんの小説の特徴なのかも知れません。
被災地からの玄侑さんの情報。芥川賞作家としての玄侑さんの作品。
これから玄侑さんの文章に注目していきたいと思います。玄侑ファンの皆さん。どの作品がお薦めですか。
それにしても玄侑さんの文章は、読むだけで心が穏やかになるような気持ちになるのは私だけでしょうか。
大切な作家と出会えた嬉しい一日でした。
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