心が乾いてくると、重松清さんの作品が読みたくなります。
本屋で重松清の「青い鳥」を手に取り、読んでいます。
主人公は、中学校の国語の非常勤講師の村内先生。
村内先生は、吃音で言葉がつっかえてうまく話せません。
村内先生が教壇に立つクラスには、様々な問題を抱えた生徒がいます。
第一話は、場面緘黙症で苦しむ真澄美と村内先生との話です。
卒業式で自分の名前を読まれた時、真澄美は、返事をする自身がありません。
しかし、真澄美は、村内先生に励まされて、卒業式に出席します。
ついに、村内先生が名前を読み上げた時、返事をすることが出来ました。
第二話は、担任の真田先生を刺してしまった義男と村内先生との話です。
義男に、草野心平の詩を紹介する村内先生。
草野心平の詩を胸に、義男は、真田先生が帰ってきた教室で、「すみませんでした」が言えました。
こう書いてみると、村内先生のマジックが上手く子どもたちに届いた話ばかりなのですが、その届く過程が泣かせます。
子どもたちの心の闇に、村内先生だからこそ寄り添える。だからマジックが起こる物語です。
あとがきで、重松清さんが、「初めてヒーローの登場する物語を書きました。」と書いています。
重松さんが「村内先生も、僕とは違う人生を生きている僕なのかもしれない」と、こう告白しています。
「教員免許を取得しながら、じつを言うと吃音のコンプレックスに押しつぶされた格好で教員になることをあきらめた僕の、ありえたかもしれないもう一つの人生を、村内先生に託したかった。」
重松さんが書く村内先生だからリアルで暖かいのだとあとがきを読んで分かりました。
重松さんは、あとがきで、こうも書いています。「僕は村内先生に憧れてはいない。けれど、少年時代の自分が村内先生に出会ったらどうなっていただろうとなと想像すると、自然と頬がゆるんでくる。」
この小説は、全部で8編。残りの6編で村内先生はどんなマジックを起こすのか読み進めることにします。
また、自分の子どもたちやPTA会長をしている西宇部小学校の子どもたちにとって、少しでも村内先生のようになれるよう、村内マジックを勉強したいと思いました。
一人一人の子どもたちの心にそっと寄り添う大切さを学び、すこしづつ実践したいと思える作品です。
重松さんが描いた吃音の子どもが主人公の「きよしこ」を次は読んでみようかな。
心が乾きそうになったら、やっぱり重松清さんの作品は効果てき面です。
重松清ファンの皆さん、感想をお聞かせください。
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