三浦しをん著「神去なあなあ日常」を読んでいます。
本の帯にはこう書かれてあります。「高校卒業と同時に平野勇気が放り込まれたのは三重県の山奥にある神去村。林業に従事し、自然を相手に生きてきた人々に出会う」
「林業に『ゆるーく』かける青春」とあります。青春小説という点では、直前に読んでいた百田尚樹の「ボックス!」も同じですが、この小説の特徴は「ゆるーく」の所でしょうか。
題名にある「なあなあ」とは、「ゆっくり行こう」「まあ落ち着け」という意味と書かれてあります。これが、この小説に貫かれているテーマです。
私も父が亡くなってここ数年、以前よりは本気で、母の手伝いをしながら農業に関わってきました。「なあなあ」の大切さがよく分かります。
急いでは自分が怪我をしますし、何より作物が上手く育ちません。
特に、50年、100年を相手にする林業はなおさら「なあなあ」が大切なのでしょう。
実は、我が実家には、荒滝山の中腹に私有林があります。そこには、私の祖父の代が植林した木が大きく育っています。私が子どもの頃は父が少しは山の手入れをしていたような記憶があります。
しかし、この20年、30年は、全く山を管理していません。ですから私も私有林の境界すら知りません。
母が元気な内にせめて境界くらいは聞いておかねばと思いました。
日本の山持ちの8割以上が、20ヘクタール以下だとこの本に書かれていますが、我が家もその部類だと思います。
私の実家の近所の方々も山持ちなのでしょうが、山を管理したり、ましてや木を切り出す風景をもう何年も見たことがありません。
もちろん深刻な林業の現状ですが、その中でも林業の楽しさを「ゆるーく」描きだした作品は胸を打ちました。
「ゆるーく」というのが、現在社会にも必要なのだということも考えさせてくれる作品です。
無気力だった勇気が、山と山で生きてきた人たちの中で成長していきます。その姿にとても励まされます。
「なあなあ」と人生を送りたいと思わせる作品です。
皆さんのこの本の感想とおすすめの三浦しをん作品をお教えください。
とにかく、わが山に一回行ってみることにします。
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