議員日誌

県立病院の独立行政法人化は再考を

 先ほど、自治体問題研究所主催の自治体政策セミナーIN姫路から帰ってきました。1日だけの参加でしたがとても有意義な学習会でした。

 私が、参加したのは、「自治体病院、地域医療と医療制度構造改革」の専科でした。

 最初に基調報告をされたのは、津市三重短期大学の長友准教授。長友先生は、最近の頻出用語は、「効率性」と「持続可能性」だと言われました。この用語を頻出させて、医療費抑制策を中心とする社会保障抑制策を国や自治体が進めていると言われました。

 山口県が発表した「県立病院改革プラン(骨子案)」の21ページには、「将来にわたる良質な医療の提供」と「効率的な病院経営」とあります。山口県も、この二つの事を頻出させて、県民の医療を抑制しようとしていることが見えてきました。

 次に基調報告をされたのは、自治労連青森県本部の金川さんです。金川さんは、最近、「地域医療をまもる自治体病院経営分析」という本を執筆された方です。自治体病院廃止問題などで、マスコミにも度々登場されています。直接お話しが聞けてとてもよかったです。

 金川さんは、財政健全化法と自治体病院の経営形態の見直し問題を論じました。財政健全化法は、自治体の財政健全化を判断するために、①実質赤字比率②連結実質赤字比率③実質公債費比率④将来負担比率の4つの健全化判断比率の公表を義務付けています。金川さんは、「独立行政法人や指定管理者といった経営形態に切り替えると、関連してくる指標は④将来負担比率のみとなる。そのため、自治体病院で多額の赤字(累積債務)を抱えている開設自治体は健全化法の影響を軽減するために、地方独立行政法人化、指定管理者制度導入、民間移譲など経営形態の見直しによる自治体本体からの切り離しを加速することが想像される。」と話されました。

 その上で、「病院を経営形態から議論するのは誤りである。安定して安心して地域に医療が提供できるために、どのような経営が必要かを議論することが重要である。」と話されました。

 山口県は、前述した「改革プラン(骨子案)」で独立行政法人化が望ましいとしましたが、「良質な医療の提供」よりも「効率的な病院経営」を最優先させた選択だと私は思います。

 この事を私に確信させたのは、全国の経験です。

 午後からの発言で、全国の自治体病院の廃止や経営形態の見直しの状況が報告されました。

 廃止されようとしている自治体病院の報告も多かったですが、総務省の「公立病院改革ガイドライン」を受けて、経営形態を見直す自治体病院が全国で広がっていることが分かりました。

 その中で、独立行政法人を選択する自治体病院が広がっていることも最近の特徴です。それに対する住民の運動も活発であることも分かりました。

 その点で、京都市の事例は、山口県にとってとても教訓的でした。京都市は、今年、1月に、「病院改革プラン」を発表し、2011年度から市立病院を地方独立行政法人化する内容を発表しました。この動きに対して、組合が中心となって、「公的医療の充実を。市立病院を直営のままで存続させることを求める要請署名」が取り組まれています。

 現在までに、1万筆を超える署名が集まっているそうです。近く、市立病院の独立行政法人化に反対する市民の会が発足する運びのようです。

 京都市の署名簿の裏に書かれているビラの内容を紹介します。

 「地方独立行政法人化」に移行した病院では、個室料アップ。診断料アップ。駐車場代アップ。患者負担ワイド。人手不足で安全ダウン。」とあります。

 報告された方にお話を聞いてみると、この事例は、府立病院を独立行政法人化させた大阪府の例だと言われていました。

 山口県は、実際に独立行政法人化した病院が以前よりも「良質の医療の提供」が出来ているのかどうか検証して県立病院の経営形態の見直しを行うべきです。

 長野県でも県立病院を独立行政法人化にする県の改革プランが発表されたそうです。報告された県議さんは、「県立病院の経営形態の見直しに関して県民ぐるみの議論が不十分。」と話しをされていました。

 山口県も全く同様です。独立行政法人化ありきではなく、地域医療の中核として県立病院を維持・充実させていくために、なぜ経営形態の見直しが必要なのが、そもそもの説明を、県は、県民にすべきだと学習会に参加して痛感しました。

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 基調講演をする長友准教授

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 基調講演をする金川さん 

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