午前中、日本蜻蛉学会会員の原さんにヒヌマイトトンボの生息についてお話をお聞きしました。
原さんは、1995年に、宇部湾岸道路の建設用地周辺で、ヒヌマイトトンボを発見されました。同時にこの地域のヒヌマイトトンボの一部は、雌が雄と同じ緑色であることも判明しました。本州で、雌が雄と同色のヒヌマイトトンボの生息が初めて確認されたのがこの場所です。さらに、この地域には、ヒヌマイトトンボよりも稀少なベッコウトンボも生息している地域です。ヒヌマイトトンボは、環境省のレッドデーターブックでは絶滅危惧種Ⅰ類ですが、ベッコウトンボは、絶滅危惧種Ⅰ類に指定されていると同時に、希少野生動植物種(種の保存法)にも指定されており、捕獲が原則として禁止されたトンボです。原さんは、ヒヌマイトトンボとベッコウトンボが同時に生息しているのは全国でここだけではないかと話されていました。
原さんの指摘を受けて1998年から「厚南地区ヒヌマイトトンボ等対策検討委員会」が設置され検討が行われた結果、工事による影響を回避するために、代替地を確保し、トンボの生息を維持することになりました。ヒヌマイトトンボは、代替地で順調に生息が確認されてきたのですが、今年7月の調査で、急激に個体数が減ってきたことが明らかになりました。06年に代替地で1958匹確認されたヒヌマイトトンボが今年の調査では、466匹に激減しているのです。
原さんは、「地球温暖化の影響もあるだろうが、深刻な状況」と話されます。そして、原さんは、「この地域をきらら浜自然観察公園のように整備して、トンボなどを保護できる環境を保護・維持していくことが大切だ」と話されました。
私は、地元に住んでいながらあまりの勉強不足を恥じました。そして、ここまでトンボが減っている現状を共通認識とし、打開策を専門家を交えて協議していくために「ヒヌマイトトンボ等対策検討委員会」を再開する必要があることを現地に立って痛感しました。
その上で、原さんが提案される、公園としてこの地域を守っていく手法も検討していくべきだと感じました。
原さんが撮影されたオスと同色のメス
県が確保したヒヌマイトトンボの代替地(本日撮影)
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