イージス艦「あたご」とマグロはえ縄漁船「清徳丸」の衝突事件は、自衛隊の「軍事優先」体質を露わにしました。1988年に、潜水艦「なだしお」が釣り船と衝突し、乗客乗員30名が死亡する事故が発生しましたが、その教訓が生かされていないことは明らかです。「なだしお」以後も、自衛隊艦船と一般船舶との衝突・接触事故はくりかえされています。
その中に、1999年に発生した海上自衛隊沖縄基地所属「もろしま」(440トン)が近くを航行中の石材運搬船(196トン)に衝突する事故があります。石材運搬船は、宇部港から出港した船であり、その後、掃海艇の機関長が業務上過失往来妨害容疑で山口地裁宇部支部に書類送検された事実があります。
この事故は、宇部沖の周防灘で行われた日米合同掃海訓練中に発生しました。2002年の例では、この掃海訓練には、海上自衛隊から掃海母艦2隻、掃海艦1隻、掃海艇等16隻、P-3C20機、MH-53E4機。米海軍から掃海艦2隻、P-3C1機、水中処分員7名が参加しています。
記録によるとこのような掃海特別訓練は、昭和30年から実施されているようです。最近の訓練の実施状況は、明日、県担当部局に聞くことにしています。
私は、2001年2月県議会で、「合同演習が行われている周防灘は、日常的にフェリーが航行し、漁船が航行している海域です。県として、関係機関に日米掃海訓練の中止を求めるとともに、訓練の内容や規模を県民に公開させるべきだと考えますがいかがですか。」と質問しました。
これに県は、「国は、今回の訓練の実施に当っては、関係漁協との間において、事前に期間や水域について協議・合意を行っており、また、フェリー等船舶の安全確保を図るため、水路情報等による情報提供も行っています。県としては、訓練の実施により、漁船や民間船舶の航行等に支障や危険が生じることはあってはならないと考えているので、従来から渉外知事会を通じて、国に対し、演習・訓練に関する情報の事前提供を求めるとともに、日米合同訓練を含む演習の安全確保については、万全の措置を講じるよう要請している。今後とも、県民生活の安全等を確保する観点から、渉外知事会を通じた要請を行っていきたい。」と答えました。
しかし、海上自衛隊の艦船は、毎年のように民間船舶との衝突事故を繰り返し、そして、今回の事故も発生させたのです。山口県の船舶が関わった衝突事故の教訓も生かされなかったことが明らかです。
自衛隊が「法令順守」「安全確認の徹底」をいくら唱えても「軍事優先」の体質を変えない限り再発防止策にはなりえないことは明らかです。
ならば、当面、船舶が頻繁に航行する近海での訓練を当面自粛するなどの対応が求められているのではないでしょうか。
県は、私の訓練を中止せよの質問には、「地方自治体として、訓練の是非を論ずる立場にはないものと考えている。」と答えましたが、この回答で県民が納得しないとこは今回の事故を受けて明らかではないでしょうか。
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