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岸惠子著「岸惠子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べれない」

岸惠子著「岸惠子自伝 卵を割らなければ、オムレツは食べられない」を読了しました。
 本の帯に社会学者の上野千鶴子さんが「自伝でありながら、上質な連作エッセイを読んだような読後感に満たされる」と書いていますが、まずは、岸さんの文章の上手さに魅了され続けた作品でした。
 自伝の中で、高校時代、国語が最も得意だったとあり納得しました。
 「君の名は」の大ヒットでトップ女優となった岸さんは、女優だけのプロダクション「にんじんくらぶ」に参加します。岸さんはプロダクション設立の意義について「出たくない作品には『ノー』と言う権利が欲しかった。」と書いています。
 1954年という時代に、女優の権利向上の旗を掲げた意義は大きかったと思います。
 そして、医師・映画監督のイヴ・シャンピさんとの結婚は、岸さんが、国際ジャーナリストとして活躍する基盤となったと思います。
 テレビ朝日の番組で、イスラエル国内で取材中、撮影隊が襲撃され、命からがら脱出したくだりは、私が持つ岸惠子さんのイメージを根底から崩すものでした。
 岸さんは女優として数々の作品に出演しながら、作家として数々の作品を世に送り、国際ジャーナリストとして世界を飛び回ってきた人だったのです。
 この自伝を読んで、時代を切り開く知識人としての岸惠子さんの全体像を理解することが出来ました。
 岸さんは私の母と同世代です。そんな岸さんの時代を見る慧眼に学ぶ点が多くありました。岸さんが出演された映画や執筆された小説や随筆に少しづつ触れていきたいと思います。
 米寿の岸さんの成熟した知性から紡がれる文章は、これからも触れることが出来ます。岸さんの新しい作品に期待したいと思います。
 岸惠子自伝は、一人でも多くの皆さんに読んでいただきたい作品です。
 岸ファンの皆さん、お勧めの映画や著作をお教え下さい。

今日から、山口宇部空港などで帰省客等を対象とした無料のPCR検査がスタート

 昨日、村岡知事は、記者会見を開き、帰省客等を対象としたPCR検査の実施について次のような内容を明らかにしました。
 知事は、人の往来が増加するお盆の期間から8月末まで、急増する新型コロナウイルスの県内への感染拡大を防止するため、県内4カ所にて無料のPCR検査を実施することを明らかにしました。
 検査対象者は、県外から帰省・来訪された方や県外から帰ってきた方でPCR検査を希望する方です。
 実施期間は、今日から今月31日までの21日間です。
 実施場所・時間は次の通りです。
 〇山口宇部空港 国際ターミナルビル1階ロビー 9:00~17:00
 〇岩国錦帯橋空港 ターミナルビル南館1階会議室1 8:00~14:30
 〇JR新山口駅 南北自由通路 9:00~17:00
 〇JR徳山駅 南北自由通路 9:17:00
 事前予約は不要です。
 検査方法は次の通りです。
 ①受付で必要事項(滞在住所、居住住所、連絡先等)を記入
 ②検査キットが交付され、ブースにて検体(唾液)を採取し、提出する
  ※検査に要する時間は20~30分であるが、希望者の状況によっては待つ場合がある
 ③原則、翌日の21時移行に検査結果が判明する
  ※受検者が、検査機関が指定するホームページにログインし、検査結果を確認
  ※検査結果が判明するまで、なるべく他人と接触しないこと

 検査費用は無料です。

 事業の内容については、県観光スポーツ文化部交通政策課 ℡083―933―2522にお問い合わせください。
 日本共産党県委員会と同県議団は、8月5日、新型コロナ第5波の感染拡大防止に向けた緊急申し入れ(第7次)を村岡知事に行いました。
 申し入れ事項の第一は、県内での感染拡大を防ぐで、「若い世代に感染が広がっている状況を踏まえ、新山口、下関、徳山、岩国など主要駅や繁華街で12歳以上の若者を対象にPCR検査キットの無料配布に取り組むこと。」を求めました。
 申し入れ事項の第二は、県外からの感染者の流入を防止するで、「県内外からの帰省者や観光客を対象に、県内主要駅や山口宇部、岩国錦帯橋空港、高速道の県内サービスエリアなどでPCR検査キットの無料配布、もしくは、抗原検査キットを用いた簡易検査を実施すること。」を求めました。
 以上の点を求めた立場から、今回の県の対応を評価したいと思います。
 その上で、引き続き、県内でコロナ5波を収束させるため、更に、必要な要請を県など関係機関に働きかけていきたいと思います。
 コロナ対策や県政全般に対するご意見を引き続き、藤本にお寄せ下さい。

防衛省は、ただちに宇宙監視レーダーの地元説明会を開催せよ

 防衛省は、山陽小野田市埴生地域に、2023年度の運用開始を目指して宇宙監視レーダー基地の建設を進めています。

 8月6日、宇宙監視レーダー基地建設に反する会は、増山博行元山口大学教授を講師に、宇宙監視レーダー学習会を開催し、60名が集いました。

 山陽小野田市で建設が進む「宇宙監視レーダー」学習会で講師を務めた増山博行元山口大学教授

 増山元教授は「萩市に建設されようとしていたイージス・アショアのレーダーの視界は2000キロだった。宇宙監視レーダーの視界は40000キロであり、出力は、イージスレーダーの400倍となる。」と説明しました。また、増山元教授は「宇宙監視レーダーが静止衛星だけでなく、準天頂衛星をも監視の対象にするはずであり、最低仰角は数度となる。その場合、宇宙監視レーダーから24キロ先の北九州空港の航空機の飛行やドクターヘリの飛行に影響が及ぶ可能性がある。」と指摘しました。更に、増山元教授は、「宇宙監視レーダーのメインビームに対する飛行制限区域の設定が必要となる。また、近隣住民に対し、サイドローブの出力を示すモニタリングポストの設置も必要となるのではないか。」と説明しました。

 防衛省は、レーダーの詳細設計が終了したので、7月中に山陽小野田市議会で説明を行い、8月中に、地元説明会を開催するとしていました。しかし、防衛省は、7月下旬にこれら説明会の延期を地元に示してきました。

 参加者から「防衛省は、直ちに地元説明会を行うべきだ」との声が相次いで出されました。

厚労省、軽症患者を「自宅療養を基本」にする方針へ転換

 8月3日、厚生労働省新型コロナウイルス感染症対策推進本部は、都道府県などに「現下の感染拡大を踏まえた患者療養の考え方について(要請)」とする文書を発出しました。
 厚生労働省の要請文は、次のように現状について書いています。
 「東京を中心に医療の現場は大変さを増しつつあります。40代50代の重症者は、都内では増加傾向にあります。熱中症などの救急搬送も増加しており、一般医療への負荷も増える中で、感染者数も急増し、すぐに入院できずに自宅で療養する人が増えています。こうしたことを踏まえ、ワクチン接種の進展に伴う患者像の変化等の中で、患者が急増している地域における対応として、以下のような患者療養の考え方をとることも可能である旨、お示しする」
 厚労省の要請文は、次の4点を示しています。
 ①入院治療は、重症患者や、中等症以下の患者の中で特に重症化リスクの高い者に重点化することも可能であること。その際、宿泊・自宅療養の患者等の症状悪化に備え、空床を確保すること。
 ②入院させる必要がある患者以外は、自宅療養を基本とし、家庭内感染の恐れや自宅療養ができない事情等がある場合に宿泊療養を活用すること。
 ③健康管理体制を強化した宿泊療養施設を増強すること。
 ④地域の医師会等との連携や外部委託を含め、自宅療養者への健康観察を更に強化し、症状悪化の際は速やかに入院できる体制を確保すること。その際、HER-SYSを改善し導入した、スマートフォンでの健康管理・IVR(自動音声応答システム)を活用した自動電話等の機能も活用しつつ健康管理を推進すること。」
 7日付、しんぶん赤旗日刊紙は、「菅政権の新型コロナウイルス感染者の入院制限方針に厳しい批判が出たことを受け、厚生労働省は5日、3日付で自治体向けに出した通知の説明資料を修正しました。入院治療の対象に酸素投与が必要な患者らを加えたものの、中等症を含め入院を制限する方針は変わっていません。3日付通知は、感染が急拡大している地域では入院治療を重傷者や『特に重症化リスクの高い者』に重点化することが可能とし、それ以外の患者は『自宅療養を基本』と明記しました。田村憲久厚労相は同日の会見で、在宅での酸素投与も可能だと発言。軽症・無症状者や、酸素投与に至っていない中等症Ⅱの患者も、在宅で対応することがあり得るとの考えを示しました。田村氏は厳しい批判を受け、4日の国会審議で『呼吸管理されている方が入院しないことはあり得ない』と修正しました。厚労省の修正後の説明資料は、入院の対象に『中等症患者、投与が必要な者、投与が必要でなくても重症化リスクがある者』を追加。『最終的には医師の判断』との記述も盛り込みました。ただ、肺炎の所見があり中等症Ⅰと診断されても、基礎疾患など重症化リスクがないと判断されれば在宅対応となる恐れがあります。中等症患者と重症化リスクがある軽症・無症状者を原則入院としていた従来の方針からの大幅な後退は変わりません。入院制限方針の撤回しかありません。また、入院患者以外は自宅療養が基本としての記述に変更はありません。従来は軽症・無症状者も宿泊療養施設での対応を原則としており、ここでも大幅に後退したままです。」
 菅首相は、3日付の通知は、東京など一部の地域に限られるなどと釈明しましたが、3日付通知は、山口県を含めた全国の都道府県に出されたものです。
 通知では、感染が急拡大している地域との前提がありますが、山口県でも感染が急拡大し、ステージ3になりました。厚労省は、山口県に対しても新方針の対象としていると理解されてもしかたがない状況です。
 赤旗の報道通り、5日に一部修正はしたものの、重症化リスクがある軽症・無症状者を原則入院としていた従来方針からの大幅な後退が放置されたままになっていることは許されません。
 日本共産党県委員会と県議団は、5日、知事に申し入れを行い、この問題では、①新方針の再考を国に求めること②重症化リスクがある軽症・無症状者を原則入院していた従来方針の継続などを要請しました。
 県からは近く文書回答が寄せられる予定です。
 山口県では、重症化リスクがある軽症・無症状者を原則入院との対応が継続されることを強く求めていきたいと思います。
 国が、重症化リスクがある軽症・無症状者を原則入院との従来方針を後退させ、入院制限方針を都道府県に示しました

映画「異端の鳥」

 ワイカムシネマで、映画「異端の鳥」を観ました。169分のこの長編映画は、最初から最後まで衝撃的でした。
 映画のパンフレットから簡単なストーリーを紹介します。
 「東欧のどこか、ホロコーストを逃れて疎開した少年は、預かり先である一人暮らしの老婆が病死した上に火事で家を消失したことで、身寄りをなくし一人で旅に出ることになってしまう。行く先々で彼を異物とみなす周辺の人たちの酷い仕打ちに遭いながらも、彼はなんとか生き延びようと必死でもがき続ける。」
 「行く先々で彼を異物とみなす周辺の人たちの酷い仕打ち」の数々の描写が衝撃的なのです。
 小説家の深野野分さんは、この作品について次のように書いています。
 「(野蛮)という言葉を、現代社会に生きる我々は意識の片隅に追いやっている。『人間には理性がある、(野蛮)などという概念は時代遅れであるし、そもそも人を野蛮などと言うのは差別的だ』と思う。そして『自分は絶対に(野蛮)ではない』と考える。そんな我々が『異端の鳥』を観たら、目を背けたくなるだろう。あるいは『残酷さをひけらかすのは悪趣味』と怒るか、『古い、飽きた』と否定して平静を保とうとするかもしれない。だがそれは我々が本能的に知っているからだ―人間はいとも簡単に(野蛮)になれることを、理由をこじつけてでも虐めたという熱望を、今もすぐそばに感じている。(中略)『戦争が人を変えてしまう』のではない。人間が元々残忍だから迫害も虐殺も起き、戦争も勃発するのである。戦争は、突然地球外からやってきた宇宙人が仕掛けるものじゃなく、私たちが今この手で起こす仕業だ。」
 私は、この深野さんの文章を読んで、「歎異抄」の第13条を想起しました。現代語訳を引用します。
 「思い通りに殺す縁がないから、一人も殺さないだけなのである。自分の心が善いから殺さないわけではない。また、殺すつもりがなくても、百人あるいは千人のひとを殺すこともあるだろう」
 相愛大学教授の釈徹宗さんは、「『この身があるかぎり、状況によっては何をしでかすかわからない。それがわれわれの実存なのだ』という教えです。(中略)『望まなくても悪を侵すのが我々の実相である。そもそも我々は他の生命を奪って生きている身ではないのか』と、うわべだけの偽善に肉迫します。」とこの章を「100分で名著『歎異抄』」で解説しています。
 深野野分さんは、この映画の解説の最後にこう書いています。
 「この作品に対して感じる苛立ちは正しい。正義や愛、優しさ、善性を求めたくなる気持ちこそが、人間の中に同居する残忍さを押さえる唯一のものだと思う。そして相反する両輪がバランスを取ってやっと、自立した意思と言葉、名前を持つ人になるのかもしれない。」
 私が、深野さんのこの文章を読んで、志位委員長が先日行った党創立99周年の記念講演の中で、植民地支配の過去を問う世界的流れについて触れた部分を想起しました。
 志位委員長は、こう指摘しました。
 「ドイツ政府は、今年5月28日、20世紀の初頭に、ドイツの植民地だったナミビアで犯した大虐殺について、公式に『民族大量虐殺(ジェノサイド)』と認めて謝罪し、11億ユーロを拠出すると表明しました。(中略)メキシコのロペスオブラドール大統領は、5月3日、19世紀に、マヤ族を中心とする先住民に対し、その『絶滅』を目的にした残虐行為を行ったことを謝罪しました。(中略)オランダ・アムステルダムのハルセマ市長は、7月1日、過去にアムステルダム市が行ってきた奴隷貿易に対する謝罪を発表しました。」
 その上で、志位委員長は、日本政府の姿勢を次のように批判しました。
 「一国の首相が植民地支配を美化する発言を公然と行い、植民地支配と一体に進められた戦時性暴力=日本軍『慰安婦』問題そのものを捏造だという論議を、政府が公然とふりまいています。これはあまりにも恥ずべきことではないでしょうか。」
 私は、映画「異端の鳥」を観て苛立ちました。苛立ちを感じさせることこそが、この映画を作成した監督の意図だったのかも知れません。この映画を観て、人間の残忍さを抑えるために、正義を求めていこうと決意を新たにしました。
 その意味で、目を背けたくなる場面の多い映画でしたが、観終わった後に、力が湧いてくるような作品でした。
 この映画を作成したヴァーツラフ・マルホウル監督に感謝したいと思います。
 やはり、映画はいいですね。私の命の洗濯の一番の方法は映画を観ることだなと再認識しました。
 皆さんが最近、ご覧になった映画の感想をお聞かせください。

小瀬川第二期工水事業の過大な需要見込みのつけにより県財政163億超支出

 小瀬川第二期工水事業は、当初、計画水量が3万7千トンでした。2012年に、未利用水3万2千トンを一般会計に移管し、その際、ダム分担金7億6600万円、企業債元利償還金を147億7700万円、合計155億4300万円の債務放棄分を一般会計で負担しました。
 2013年以降も一般会計で、小瀬川第二期工水の未事業化分の負債を一般会計で負担し続けています。2013年から2020年までのダム分担金は、3億1800万円、企業債元利償還金(2016年で終了)4億5400万円、合計7億7200万円です。
 小瀬川第二期工水の未事業化に対する一般会計の負担は、2012年時点で、155億4300万円、2013年から2020年までで、7億7200万円、合計、163億1500万円となっています。
 県が、水利権のある小瀬川第二期工水の3万2000トンを放棄しない限り、今後とも年間、4000万円程度のダム分担金を払い続けることになります。
 現在、小瀬川第二期工水の給水能力は、5600トン、契約水量は、3600トン、未契約水量が2000トンあります。
 ここ数年、利用企業は、中国電力(2000トン)、柳井化学工業(1300トン)、カワノ工業(300トン)、合計3600トンに変化はありません。
 小瀬川第二期工水の維持管理費は毎年6千万円程度です。
 私は、昨日、小瀬川第二期工水の取水塔を訪ね、企業局の担当者から説明を受けました。


   小瀬川第二期工水の取水塔前で県企業局の担当者から説明を受けました。写真手前が私です。

 弥栄ダム本体と同時に施行した選択取水施設と第1号導水トンネルが1988年度に完成し、第2号トンネルから柳井地域に送水する導水施設及び配水施設は、小瀬川第二期工水事業として、1991年度に着手して、1999年度に完成しました。
 小瀬川第二期工水は、柳井地域広域水道企業団と共同で施工され、日量5万トンの水道が柳井地域広域水道企業団に提供されています。31580㍍は、工水・水道共同施設で、10840㍍が工水専門施設となっています。
 私は、十数年前から県議会で、小瀬川第二期工水事業の未事業化分3万2千トンをどうするのか県当局に質してきました。
 県は、2012年に一般会計に移管するという大胆な改革を実行しましたが、その後、未事業化分3万2千トンの水に変化はありません。
 私は、現地に立って、改めて、県と企業局の過大な事業見込みで、これまでに160億円以上の県財政が投入され、これからも毎年4千万円のダム事業分担金を県財政で払い続ている事実を県と企業局は猛省すべきであることを訴えたいと思います。
 そして、県当局に、県が弥栄ダムに保有している日量3万2千トンの未事業化水の処理を真剣に検討すべきだということを訴えたいと思います。
 また、企業局は、未契約水の2000トンの対処を真剣に検討すべきだと訴えたいと思います。
 小瀬川第二期工水事業の多大な需要見込みによるつけにより県財政160億円超がつぎ込まれています。
 改めて、小瀬川第二期工水事業に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。