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本部からホストタウン自治体はマニュアル作成を要請される

 東京2020オリンピック聖火リレーについて13日(木)は、公道での聖火リレーの実施を取り止めることが明らかになっています。
 14日(金)の聖火リレーについて、下関市が参加しないこと発表しました。
 このことについてNHK山口放送局は次のように報じました。
 「山口県と下関市は、東京オリンピックの聖火リレーで、2日目の14日に下関市で予定していた公道でのリレーを中止しています。県は当初、県西部と北部をめぐる2日目は計画通りに行う予定でしたが、県と下関市は12日、下関市でも新型コロナウイルスの感染が広がっているとして、下関市の公道でのリレー中止を決めました。中止は11日下関市が県に要請し、県が大会組織委員会と協議した上で12日正式に決めたということです。また、宇部市や萩市など、2日目にリレーが行われるほかの自治体については、計画通り実施することにしています。中止について山口県の村岡知事は、『新型コロナウイルスの感染が広がっていることや、聖火リレーを行えば緊急事態宣言が出た隣の福岡県からの人の流れを作りかねないことを理由に中止要請を受けた。下関市の判断は適切だったと思う』と述べました。また、下関市の前田市長は、『感染が広がり下関市でも病床がひっ迫してくるなど、予断を許さない状況になっている。感染拡大のリスクを総合的に考え中止をお願いした。大変残念で申し訳ないがご理解をいただきたい』と述べ、理解を求めました。」
 昨日は、県内で61名の陽性患者が発生しました。宇部市で聖火リレーを走る予定だったタレントの西村知美さんが辞退されました。宇部市でも昨日3名の陽性者が生まれています。私は、下関市が公道でのリレーを中止したことを受けて、聖火リレー二日目も公道でのリレーを全面的に中止すべきだと考えます。
 先日のブログで、東京2020オリンピックのキャンプ地について報告しましたが、県と8市が9ヶ国のオリンピック参加国のホストタウンであることが分かりました。ホストタウンの状況は次の通りです。
 スペインのホストタウンは、山口県と山口市と宇部市です。
 マダガスカルのホストタウンは、宇部市です。
 トルコのホストタウンは、下関市です。
 イギリスのホストタウンは、萩市です。
 セルビアのホストタウンは、防府市です。
 ベトナムのホストタウンは、下松市です。
 アメリカのホストタウンは、岩国市です。
 トンガのホストタウンは、長門市です。
 ブラジルのホストタウンは、長門市です。
 ホストタウンとして、選手受入に対する医療従事者の派遣要請が、現時点で山口県には来ていないとのことでした。
 東京2020オリンピックのキャンプ地とホストタウンに名乗りを上げた自治体に選手受入に対する医療従事者の派遣が想定されます。
私は、内閣官房東京オリンピック・パラリンピック推進本部事務局の担当者に、ホストタウンに対して、感染対策等の取組について電話で質問を行いました。
 内閣官房の担当者は、「ホストタウン等における新型コロナウイルス感染症対策については、『ホストタウン等における選手等受入れマニュアル作成の手引き(第2版)(2021年4月28日)」を関係自治体に示し、受け入れ自治体でマニュアルを策定していただくようお願いしている。検査は、原則毎日実施するようにしている。『検査の実施主体等は別途定める』としており、その内容を現在精査中であり、近く関係自治体に周知したい。尚、ホストタウン等の自治体は、都道府県や保健所、医療機関等との連携体制を構築するようマニュアルで示している。」と答えました。
 山口県もスペインのホストタウンとして内閣官房のマニュアルを元に独自のマニュアルを作成しているものだと思います。そのマニュアルと、近く内閣官房が示す検査の実施方法を示す指示文書を私に明示するよう県担当者に本日資料請求しました。
 今朝のしんぶん赤旗日刊紙は、米国陸連が千葉県での事前合宿を中止することを発表したとして次のように報じました。
 「千葉県などは12日、今夏の東京五輪直前に同県印西市の順天堂大学などを拠点に、米国陸上競技連盟が予定していた合宿の中止が決まったと発表しました。新型コロナウイルス感染症の収束の見通しが立たず、選手の安全面に懸念があるとして、同陸連が4月中旬に合宿中止を申し入れていました。」
 事前合宿などを行う海外の国が、日本の蔓延が収束できない状況を見て、中止を選択するケースが今後増えてくることが予想されます。
 いずれにしても、オリンピックに関わり、地域の医療従事者の力がどれだけ割かれるのか、第一義的に国の責任において国民に分かりやすく説明すべきです。また、ホストタウンとなった自治体は、その辺りを住民にきちんと説明すべきです。
 聖火リレーやホストタウンなど県内でのオリンピックの取り組みに関する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

すべての高校生と教職員(約4万人)対象にPCR検査実施へ

 昨日、NHK山口放送局は、村岡知事が記者会見で、すべての高校生と教職員対象にPCR検査を行うことを明らかにしたと次のように報じました。
 「山口県は、高校生が安心して学校生活を送られる環境を整えようと、全国で初めて、県内すべての高校の生徒と教職員を対象にした新型コロナウイルスの無料検査制度を設けることになりました。これは、11日、山口県の村岡知事が発表しました。新たに設ける新型コロナウイルス検査制度は、県内すべての高校の生徒と教職員が対象で、希望する人は無料でPCR検査を受けられます。検査は、各高校に配布した検査キットで採取して民間の検査業者に送る仕組みで、県内の高校生と教職員合わせておよそ4万人のうち、希望する人は来月上旬までに検査を行う予定です。また、検査を受けたあとでも、必要に応じて検査を受けることができるということで、県は、学校行事や部活動の大会への参加など、生徒たちが安心して学校生活を送れる環境を整えたいとしています。県によりますと、すべての高校を対象にした無料の検査制度は、全国で初めてだということで、山口県の村岡知事は、『高校時代にしか得られない学びや経験があると思う。生徒たちが安心できる環境を確保していきたい』と話しています。」
 日本共産党県委員会と県議団は、昨年8月7日に村岡知事への「新型コロナ対策の抜本的強化を求める緊急申し入れ(第4次)で「医療機関、介護施設、福祉施設、保育園、幼稚園、学校など、集団感染によるリスクが高い施設に勤務する職員、出入り業者への定期的なPCR検査等を実施する」ことを求めました。
 今回、県内の高等学校において、生徒・職員約4万人へ一斉検査などが行われることは、妥当なものだと思います。
 その上で、県内では、6月までを目途に、6市で、高齢者施設等の従業者への一斉検査が行われていますが、この規模を全域にし、回数を増やすことや、一斉検査の対象を福祉施設、保育園、幼稚園、小中学校などにも拡大することを引き続き知事に求めていきたいと思います。
 昨日、知事が記者会見で明らかにした高校生等へのPCR検査の概要は次の通りです。
 ①一斉検査
 期間=2021年5月中旬~6月上旬
 対象=県内高等学校等 生徒・教職員 約4万人
    (県立62校、市立高校1校、私立23校)
 方法=唾液採取PCR検査キット
    ※本人・保護者の同意を得て実施(任意)
 ②随時検査
 期間=一斉検査終了後~2022年3月
 対象=〇県外との往来を伴う学校行事・大会 等
    〇県外出身寮生の帰省
     →帰県後にPCR検査
    〇県内での校外行事・大会 等
     →事前にPCR検査
 県教委は、これらを実施するために、学校管理職や養護教諭や体育・文化団体の関係者などを対象に、感染症に係る最新情報等の提供を行う臨時研修会を開催するとしています。
 山口県で、高校生と教職員約4万人を対象に、一斉検査などが行われることになりました。
 この点に関する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

聖火リレー1日目の公道でのリレーは中止に

 私は、3月3日、2月県議会の一般質問で、「新年度予算には『東京2020オリンピック聖火リレー開催事業』として7327万円計上されており、島根県知事同様、中止を検討すべき」と質しました。
 三坂観光スポーツ文化部長は「先般、組織委員会が公表した、聖火リレーの実施に係る感染症対策のガイドラインの中で、聖火リレーについては、コロナ禍においても、万全の対策を講じた上で、日本全国の人々に希望と勇気を与えるものとして実施することとされている。これを受けて、全国知事会として組織委員会に対し、安心・安全な聖火リレーの実現が図られるよう要請を行ったところであり、県においても、組織委員会のガイドラインに沿って、市町・関係機関と連携し、諸準備を進めているところだ。」と答えました。
 昨日、村岡知事は、13日から二日間の日程で県内で予定されていた聖火リレーについて次のように記者会見で発言したと昨夜のNHK山口放送局は報じました。
 「山口県は今月13日から2日間の日程で県内で予定されている東京オリンピックの聖火リレーについて、県内でも新型コロナウイルス感染が急速に広がっているとして、1日目の公道でのリレーを中止すると発表しました。これは、10日、山口県の村岡知事が記者会見で明らかにしました。山口県での東京オリンピックの聖火リレーは、今月13日から2日間の日程で県内13の市をめぐる予定です。このうち岩国市や防府市などをめぐる1日目のリレーについて村岡知事は、『1日目のエリアはクラスターや経路不明の感染が相次いでいる。感染状況を踏まえ今朝中止を判断した』と述べ、1日目の公道のリレーを中止することを明らかにしました。一方、県は下関市や萩市などをめぐる二日目の聖火リレーについては、今のところ予定どおり行う方針で、山口県の村岡知事は、『実施の直前にこのような形になったことを本当に申し訳なく思う。命と健康を守ることを最優先した決定なので、理解してほしい』と述べました。
 県民の命を守るため聖火リレーを中止すべきと2月県議会で指摘をした者として、村岡知事が13日の公道での聖火リレーを中止すると判断したことは妥当なものだと考えます。
 東京2020オリンピック・パラリンピック聖火リレー山口県実行委員会事務局と同宇部市実行委員会事務局が作成したチラシには「みんなで聖火リレーを応援しよう!」と書かれてあります。
 14日の聖火リレーは、宇部市→山陽小野田市→下関市→美祢市→長門市→萩市です。宇部市、山陽小野田市、下関市は、県内で感染者が多い地域です。私は、県民の命を守る立場から、14日の聖火リレーの中止についても村岡知事は判断すべきだと思います。
 昨日、参議院の予算委員会で、日本共産党の山添拓議員が東京五輪に関する質疑の中で、「ホストタウンに登録している全国525自治体では事前合宿や地域交流が予定されており、検査体制の確保や陽性者への対応が負担となっている。ホストタウンを辞退した自治体は約20に上り、コロナ対応、ワクチン対応に懸命な自治体にさらなる負担をもたらす」と指摘しました。
 山口県内での東京五輪のキャンプ地は7市8競技に及んでいます。
 下関市(柔道・トルコ)、山口市(水泳・スペイン)、防府市(バレーボール・セルビア)、下松市(バトミントン・ベトナム)、岩国市(女子ソフトボール・フェンシング・アメリカ)、長門市(ラグビー女子・ブラジル)、山陽小野田市(パラサイクリング・日本)
 私は、県内7市のキャンプ地の準備状況と特に医療従事者がそれぞれ何人派遣されようとしているのか県当局に説明を求めています。
 県から説明があれば、その内容を本ブログで報告します。
 東京五輪大会組織委員会は日本看護協会に500人の看護師の派遣を要請したことが昨日の国会でも議論されました。オリンピック競技の開催に関して、最低でも1万人もの医療従事者の確保が必要と言われています。
 山口県を含む、全国で東京五輪開催のためのホストタウン・キャンプ地で多くの医療従事者が派遣されようとしています。
 村岡知事は、昨日の記者会見で「医療提供体制にかなりの負荷がかかっている」として、県内の感染状況を国が示した4つのステージのうち、医療提供体制に大きな支障が出るおそれがあるステージ3に引き上げたことを明らかにしました。
 県内でのキャンプ地で医療従事者の派遣が想定されますが、今は、新型コロナ患者さんへの医療、検査の拡充、迅速なワクチン接種という県民の命を守ることに県内の医療の力を集中させるときだと思います。
 日本共産党山口県委員会と同県議団は、6日、「新型コロナウイルス感染症の対応に係る申し入れ(第6次)」を行いました。この中に、「東京オリンピック・パラリンピックの見直し」の項目を入れました。具体的に次のように村岡知事に求めました。
 「新型コロナ感染拡大の第4波の終息見通しが立たない中で、感染拡大、医療体制のひっ迫を防ぐため、東京オリンピック・パラリンピックは中止するよう国に求めること」
 山口県でも全国でも新型コロナウイルス感染症第四波の大波な国民の命を危機的な状況に追い込んでいます。
 今こそ、村岡知事を始め全国知事さんたちが、住民の命を守る立場から、東京オリンピック・パラリンピックの中止を国に求めるときだと思います。
 村岡知事が聖火リレーの一日目の公道でのリレー中止を判断しました。聖火リレーや東京五輪に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

 

県の「避難所運営マニュアル指針」に新型コロナ対策加わる

 私は、昨年6月県議会の一般質問で、県が市町に向け策定している「避難所運営マニュアル策定のための基本指針」に新型コロナ対策を盛り込むことを求める次の質問を行いました。
 「内閣府などは、6月8日、都道府県等に対し、新型コロナウイルス感染症対策に配慮した避難所開設・運営訓練ガイドラインを発出した。県が、2018年3月に策定した避難所運営マニュアル策定のための基本指針は、国のガイドラインを受けて改定すべきだ。」
 この質問に内海総務部長が次のように答えました。
 「国から示された留意事項等も踏まえながら、避難所のレイアウトの見直しや避難者を受け入れる際の対応など、各市町の対応例を、今後、県の基本指針に反映する。」
 私の質問を受け、県は、昨年10月に「避難所運営マニュアル策定のための基本指針」を改定し、新型コロナウイルス感染症などへの対応を追加しました。
 具体的には、「避難者の健康管理」の章に、「感染症対策(新型コロナウイルス等)のため避難所で対応すべき対策例」を明記し、「資料」を示しています。 
 資料は、「避難所における感染症対策(例)」として、①基本的な考え方②段階別の対策③対策例と事例④避難所担当職員への周知⑤参考(主な検討事項例)について明記し、①事前周知用チラシ(例)②避難所掲示用チラシ(例)を示しています。
 私が一般質問で指摘をした結果、県の「避難所運営マニュアル策定のための基本指針」に感染症対策への対応例が明記されました。担当する防災危機管理課の皆さんに感謝したいと思います。
 改定された「避難所運営マニュアル策定のための基本指針」は、県のホームページから防災危機管理課を検索していただければ、見ることができます。
 山口県も近く梅雨入りします。コロナ禍と災害が同時に襲う可能性もあります。これから県内で避難所開設という場面も出てくる可能性があります。改定された基本指針が生きることを願っています。
 災害が発生しやすい時期を迎えました。避難所の運営について、皆さんのご意見をお聞かせ下さい。

(仮称)室津吉母風力発電事業に反対する請願が12月下関市議会で採択

 4月21日、日立サスティナブルエナジー(株)(以下、日立)は阿武町奈古の阿武町民センターで「(仮称)阿武風力発電事業環境影響評価方法書住民説明会」を行いました。
 住民説明会で、私は、日立が下関市豊浦町で進める(仮称)室津吉母風力発電事業の見通しについて質しました。
 日立の担当者は、「現在、社内で検討中だ。」と答えました。
 説明会に参加された県民の方から、改めて、日立が進める室津吉母風力発電事業の現状を知りたいとの問い合わせをいただきましたので、私が、これまでに承知している状況について報告したいと思います。
 日立は、下関市豊浦町で(仮称)室津吉母風力発電事業を行うとして、昨年7月16日、計画段階配慮書を経済産業省・山口県・下関市・長門市に提出しました。
 昨年11月13日に、室津自治会連合会他より、下関市長に保有する土地の売却若しくは貸付を行わない旨の陳情書及び事業への反対署名(室津地区853筆、他地区709筆、計1562筆)並びに室津地区団体(21団体)より反対表明書が提出されました。
 同日、室津自治会連合会と室津在生産森林組合は、下関市議会議長に、「(仮称)室津吉母風力発電事業の実施に関して、下関市が保有する土地の売却等を行わないことを求める請願」を提出しました。
 請願には、「令和2年7月に提出された計画段階配慮書では事業実施想定区域から約500mから約2㎞の範囲に住宅や学校等が所在することから。地域住民は不安と隣り合わせの生活を強いられていることになります。どこに住んでいても、安心して暮らすことができる環境を将来世代に引き継ぐことが私たちの責任と考えますので、私たちはこの事業には反対せざるを得ません。この事業の実施想定区域内に下関市が保有する土地があると聞き及んでおりますので、当該事業の実施に反対する私たちの声を重く受けとめていただきたく、以下の事項を請願いたします。」とあります。
 請願事項は「(仮称)室津吉母風力発電事業の実施に関して、下関市が保有する土地の売却若しくは貸し付けを行わないこと。」です。
 この請願は、昨年の12月定例下関市議会において、付託された経済委員会で全会一致で採択され、最終本会議でも採択されました。
 昨年の9月下関市議会において、日本共産党の片山房一議員が、地元で、風力発電事業に対して下関市が土地を売却若しくは貸すことに反対の声が上がっていることを受けて、前田市長に「周辺住民の反対が明確であれば貸すことはないと明言してほしい。」と質しました。
 前田市長は「ご理解がない場合は難しくなるんでしょう。私はそう思っています。」と答えました。
 いずれにしても、12月下関市議会で、土地の売却若しくは貸付を行うなとの請願が採択されたことは、今後、日立が本事業を進めていく上で大きな障害となることは明らかだと思います。
 私は、2月県議会の環境福祉委員会で、3月2日、(仮称)室津吉母風力発電事業に関し下関市議会で請願の採択が行われたことを指摘し「本事業に関し、事業を実施していくことは困難と思われる、対象事業の廃止などの公告が示されているか。」と質しました。小田環境政策課長は「対象事業の廃止公告などは届いていない。」と答えました。
 室津吉母風力発電事業同様、阿武風力発電事業においても風車から2キロ圏内に、540戸が存在しています。
 下関市議会で採択された請願にある「安心して暮らすことができる環境を将来世代に引き継ぐことが私たちの責任と考えますので、私たちはこの事業には反対せざるを得ません。」との言葉は、阿武風力発電事業にも当てはまります。
 下関市の取り組みが阿武風力発電事業の反対運動に生きることを願い私も引き続き、阿武風力発電所反対運動へ協力していくことをお約束し私からの報告といたします。
 尚、関係する文書は、私が持っていますのでお問い合わせください。

4年間で県内の入院ベッドが1112床も削減

 山口生活と健康を守る会の社会保障資料5月号は、山口県の地域医療構想に基づく病床機能報告結果(2019年7月現在)の公表を受けて、次のような記事を掲載しました。(表は割愛しその部分の文章をカットしています)
・・・
去る3月31日、山口県は地域医療構想(構想)に基づく病床機能報告結果(2019年7月現在)をやっと公表しました。例年は調査時点の1年後に公表していましたが、今回は9ヶ月遅れの公表(しかも4月28日には一部数値を訂正)です。県の担当者に聞くと「厚生労働省との調整に手間取った」と語っていますが、厚生労働省が2019年9
月に行った“公立・公的病院の統廃合・病床削減の名指し“と関係があるのではないかと疑りたくもなります。
 それはともかくとして公表数値を見てみたいと思います。
 構想の基準年(2015年)と比べて2019年時点の病床数は全体で1,112床の減少。機能別に見ると高度急性期、急性期、慢性期が減少して回復期が増加しています。傾向としては、高度急性期と急性期は回復期に転換され、慢性期は介護医療院への移行と一部は回復期に転換されているようです。
 また、目標年(2025年)に向けては慢性期病床の介護医療院への転換が本格化してさらに1,499床が減少する見込みで、合計の予定削減数は2,611床となります。
  一方、構想では目標年(2025年)の必要病床を15,889床、削減数は6,384床としています。これに対し、今回報告の予定削減数は2,611床ですから、その「達成率」は40.9%に過ぎません。もともと「必要病床数」は、山口県が国の算式を基に機械的に算出したものですが、今回の報告結果は、改めて、この削減目標が地域の実情からも医療現場の実態からも離反した“無謀な数値”であることを明らかにしたと言えます。
 次に医療圏ごとの動向を見てみます。なお、これ以降の表は山口県地域医療構想と2019年病床機能報告結果から作成したものです。
【岩国医療圏】
 高度急性期病床が大幅に削減されています。これは岩国医療センターが高度急性期240床を急性期に転換したことによるものです。また、岩国市医療センター医師会病院は20床、岩国市立美和病院は15床、同錦中央病院は5床をそれぞれ廃止、みどり病院は慢性期60床を介護医療院に移行しています。
【柳井医療圏】
 急性期と慢性期が減、回復期は増加していますが、課題の高度急性期はゼロのままです(表4)。周東総合病院は54床を急性期から回復期に転換、周防大島町立東和病院は54床を、同大島病院は39床を慢性期から回復期にそれぞれ転換しました。同橘病院は17床を廃止して有床診療所(19床)に転換、本年2月にはその19床さえも休床しています。
 さらに本報告時点(2019.7)以降、周東総合病院は39床を急性期から回復期に転換し、東和病院は26床を廃止、光輝病院は慢性期病床668床を介護医療院に移行するとしています。
【周南医療圏】
  急性期と慢性期が減少し、回復期が増加しています。周南記念病院は50床、徳山病院は46床、下松中央病院は28床を急性期から回復期に転換、また、周南リハビリテーション病院は40床、徳山病院は32床を慢性期から回復期に転換しました。
 さらに本報告時点(2019.7)以降、周南市立新南陽市民病院は50床を急性期から回復期に転換、周南高原病院は57床、鹿野博愛病院は36床の慢性期病床を介護医療院にそれぞれ移行するとしています。
【山口・防府医療圏】
 急性期と慢性期病床が減少し、回復期が増加しています(表6)。県立総合医療センターは56床、小郡第一病院は45床、防府胃腸病院は60床を急性期から回復期に転換、また、阿知須共立病院は45床、山口リハビリテーション病院は30床を慢性期から回復期に転換、阿知須同仁病院は60床、山口若宮病院は56床の慢性期病床を介護医療院に移行しました。
 さらに本報告時点(2019.7)以降、山口赤十字病院は病棟建替えに絡めて高度急性期36床と急性期83床を回復期44床と慢性期25床に転換し休棟分48床を含めて98床を廃止します。また、湯田温泉病院は慢性期46床を回復期に、防府リハビリテーション病院は慢性期100床を介護医療院に移行するとしています。
【宇部・小野田医療圏】
 高度急性期と慢性期が減少し、急性期と回復期が増加しています。山口大学医学部附属病院は高度急性期375床を急性期に転換。また、宇部記念病院は急性期66床、山口労災病院と尾中病院は急性期各60床、宇部協立病院は急性期52床、シーサイド病院は慢性期51床、宇部第一病院は32床の慢性期を回復期にそれぞれ転換しました。宇部リハビリテーション病院は120床、宇部西リハビリテーション病院は78床の慢性期病床を介護医療院に移行。綿田内科病院(39床)は廃止、美祢市立病院は急性期7床を減床しています。
 さらに、本報告時点(2019.7)以降、小野田赤十字病院は急性期40床を回復期に、セントヒル病院は43床、宇部記念病院は34床の慢性期病床を回復期に転換。また、尾中病院は慢性期60床を介護医療院に移行するとしています。
【下関医療圏】
 高度急性期・急性期・慢性期が減少し、回復期が増加。病床転換の進捗率は最も高くなっています。下関市立市民病院は高度急性期204床を急性期と回復期に転換する一方、下関医療センターは急性期96床を高度急性期に転換しています。下関市立豊田中央病院は急性期45床と慢性期26床を合わせて回復期60床とし、昭和病院は急性期46床と慢性期120床を回復期106床と介護医療院60床に転換、武久病院は87床、安岡病院は51床、光風園病院は47床、岡病院は46床の慢性期をそれぞれ回復期に転換。また、安岡病院は44床、王司病院は48床の慢性期病床をそれぞれ介護医療院に移行、下関医師会病院(64床)は廃止され、下関市立市民病院17床と光風園病院13床は減床となっています。
 さらに、本報告時点(2019.7)以降、武久病院は95床、森山病院は48床、桃崎病院と岡病院はそれぞれ32床の慢性期病床を介護医療院に移行するとしています。
【長門医療圏】
 急性期と慢性期が減少し、回復期が増加していますが、課題の高度急性期はゼロのままです。長門総合病院は急性期6床と慢性期38床を回復期40床に転換し4床を減床。斎木病院も急性期8床を減床しています。
 さらに本報告時点(2019.7)以降、俵山病院は慢性期50床を介護医療院に移行するとともに10床を減床するとしています。
【萩医療圏】
 急性期が減少し、回復期が増加しています。都志見病院が急性期57床を回復期に転換したことによるものですが、課題の高度急性期はゼロのままです。
 さらに本報告時点(2019.7)以降、全真会病院は54床、萩慈生会病院は40床の慢性期病床を介護医療院に移行、都志見病院は慢性期29床を減床するとしています。
 新型コロナの感染拡大が地域の医療提供体制に深刻な影を落とす中、県内では高度急性期病床の削減・転換が目立っています。具体的には、山口大学医学部附属病院375床、岩国医療センター240床、下関市立市民病院204床、山口赤十字病院36床などです。病状急迫時に医療資源を集中投下して治療に当たる高度急性期病床の削減は、地域医療の大きな機能低下に直結します。
 SARS(重症急性呼吸器症候群・2002年)、MERS(中東呼吸器症候群・2012年)や今回の新型コロナなど新たな感染症が繰り返し発生している歴史的事実は、地域の医療提供体制には平常時から一定の“ゆとり”が必要なことを教えています。
 医療費抑制のために入院ベッドを削減しようとする地域医療構想は一旦中断するとともに、公立・公的病院を名指しして統廃合に追い込むような企ては直ちに撤回すべきと考えます。
・・・
 地域医療構想が提起されてこの4年間で、県内で1112床が削減されたことは重大です。2025年に向けて更に1499床のベットが削減されようとしています。医療構想そのものは、2015年に対し2025年は6384床削減するというとてつもないものです。
 同時に県内で高度急性期病床が大幅に削減されようとしていることは、新型コロナの嵐の中とても心配されることです。
 「地域医療構想は一旦中断するとともに、公立・公的病院を名指しして統廃合に追い込む企ては撤回すべき」とする社会保障資料の指摘に共感します。
 私は、過去の議会と環境福祉委員会の中で、地域医療構想に基づく急激な病床の削減に反対し、コロナ禍の中、構想の中断を県に求めてきました。
 社会保障資料の指摘を受けて、更に、この方向で発言を続けていこうと決意を新たにしました。
 県内で大幅な病床の削減が行なわれ、これから更に行われようとしています。この問題に対する皆さんのご意見をお聞かせ下さい。