議員日誌

風に舞いあがるビニールシート

 NHK土曜ドラマ「遥かなる絆」は次回が最終回です。血のつながりのない日本人の子どもを我が子同然に育てた中国人母の心の大きさと愛に涙腺が緩みます。

 大満足のNHKの「土曜ドラマ」ですが、今月30日から「風に舞いあがるビニールシート」が始まります。この日曜日の赤旗「日刊紙」に、この番組の特集記事が掲載されていました。

 次回「土曜ドラマ」も期待大です。日曜日の内に書店に行って森絵都の原作を買って読みました。短編なのですぐに読了しました。この作品は、森絵都が直木賞を受賞した作品です。

 舞台は、国連難民高等弁務官事務所の東京事務所です。主人公の女性(里佳)と米国人男性(エド)との愛。その上司の死。彼女はその死を乗り越えて新たな一歩を踏み出す決意をします。

 赤旗の取材に、番組のプロデューサーが語っています。「ドラマの入口はラブストーリーで、見ていく上で難民問題への視野を広げてもらえれば、と思います。『9・11』以降、難民が拡大したことは忘れられつつあるのではないか、それではいけない。こうしたテーマは少しづつでもやっていきたい」

 UNHCR広報官の守屋さんは、「アジアやアフリカの諸国で、人権侵害を受けて日本にやって来た人々は少なくありません。難民申請も、昨年は1600人と過去最多となりました。その多くは、ミャンマーからの申請者です。政府に認定されるまでは、仕事にも就けず、不安定な状態のまま、救済を受けられることも知らない未申請の外国人が多いのが現状です。こうした難民問題が日本にもあることは、あまりにも知られていません」と赤旗の中で語っています。

 原作で、主人公の米国人上司のエドは「難民たちは風にまいあがるビニールシートのような存在。引き留めないと命は簡単に失われてしまう」と語ります。

 エドの生き方と、主人公の里佳の成長に背筋がピンと伸びます。自分の背中をそっと押してもらえるような作品です。

 この一冊で、森絵都にはまりました。これまでも女性作家としては、例えば、小川洋子や角田光代を読んできましたが、これだけわくわくする気持ちは久しぶりです。

 今、「カラフル」を読んでいます。この作品も軽やかだけれど深い作品です。今、3分の2まで一気に読みましたが、これだけページをわくわくしながらめくる作品は久しぶりです。

 この文庫本の解説で、阿川佐和子が「非凡だと敬遠されれば孤独になるのに平凡と言われる恐怖。そんな心のわだかまりから、森絵都文学は確実に解放してくれる。それも決して重い言葉や説教がましい言い草ではなく、いかにも軽やかに、ときに少々不良っぽく、そしてちょっとばかりの涙を添えて、最後に吹き出させてくれる」「『カラフル』を改めて読了し、今、抱えているさまざまな不安が何となく薄らいでいる自分に気がついて、ようやく私は理解した」と述べていますが、その気持ちが作品を読みすすめながら頷けます。

 主人公の真と一緒に成長している自分に気づきます。最後に、真はどうなってしまうの。早速続きを今から読みます。

 しばらく森絵都の作品に浸る日々が続きそうです。嬉しいです。

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